企業ホームページ運営の心得

若手だからこそできる自己アピール。大風呂敷という決意表明

実績のない若手だからこそできるアピール方法、ベテランにはない特権があります
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百八十九

起業と人生の相似

自動車整備関連工具部品の製造販売「日整工業(東京都足立区六町)」のサイトは、「社名検索」によるアクセスが最多です。同社は創業40年で業界知名度が高く、リピーターやクチコミでの注文が引きも切らない状態です。実績や人脈は「老舗」の強さの一部です。これは「若手」が望んでも得ることはできません。不足を嘆くか、不足で我慢するか、それとも不足を個性とするかは人生に通じますが、私なら「個性」を採用します。嘆いていても解決はせず、我慢だけでは切なすぎます。そして「ない」からこそできることがあります。

今回は前回の続き、自己アピール連続企画の「若手編」。ベテランにはマネできない、若手に与えられた特権があります。

若手だけがもつ実力

語る歴史を持たない若手(起業・創業したての会社)でも物語があったほうがいいのは、前回述べたように日本人が歴史に弱いからです。社歴がなければ「自分語り」をします。起業に至ったエピソード、前職での経験などを並べます。ただし、これは「ドラクエ」のようなRPGゲームにおいての「布の服」と同じ、ないよりは“マシ”というレベルの武装です。若手が取り組む自己アピールとは、コンテンツではなく「営業」。「そんなことか」と笑うかもしれませんが、真実とはシンプルで当たり前のことばかりです。

若手にとっての「営業」と「売り込み」はイコールではありません。生まれたての企業の存在など誰も知らず、まず知ってもらうことが肝心です。そのために、飛び込み、DM、電子メール、FAX、各種会合とすべてのチャンネルを通じてお客と接触します。つまり営業とは「世界と接触」することです。特に都会では隣に住んでいる人の名前を知らないことも珍しくなく、商売をしていても別の業界になると接点がありません。そこでこちらから「異世界」の扉をノックします。これが「営業」です。

言葉遊びではなく

ノックする音は大きい方が、扉を開けてくれる確率が上がります。そこで「ハッタリ上等(昭和後期の不良用語でOK、大丈夫というニュアンス)」。「御社の売り上げを必ずあげます!」「ホームページで注文殺到!」などと、大風呂敷を広げてください。嘘はいけませんが「意気込み」ならば問題ないという立場に私は立ちますし、実際に私はやっていました。

私にも日本人の血は流れており「謙虚」さを理解する機能は標準装備されています。しかし、こう自問自答して決断したのです。

ホームページで売り上げを上げる自信がないのなら、そちらの方が詐欺だ

Web屋としての自信があるから商売にし、お客に提供する。ならば断言しようと。つまり「ハッタリ」とは商売においての覚悟を「宣言」することなのです。これは「ベテラン」にはできないことです。不用意に大風呂敷を拡げることで、すでに持っている実績と人脈を傷つけるリスクがあります。これによる損失は計り知れません。信用を積み上げるには時間がかかりますが、一瞬でなくすことができるのを老舗企業なら知っています。失うものがない若手だからとれる捨て身戦法です。

ハッタリを実績に変える

「捨て身戦法」を恐れることはありません。取引が成立し、拡げた風呂敷をたたむことができれば結果オーライですし、お客の期待に添えなければ「実力不足」を知る材料として、品質やサービスの向上に役立てれば「プラス」にはなっても損にはなりません。ただし、お客の時間をいただいているわけですから、プロとして挑むからには自分の実力と風呂敷の広さを天秤にかけられる冷静な目も必要です。

経験という上積みは、失敗による損失に勝ります。悪評も気にすることはありません。「悪評」というのは企業の認知度に比例するもので、無名の若手の失敗が広く語られることはないのです。いずれにせよ成功しなければビジネス界から「捨てられる」のです。故事に「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とあるように、すべてを投げ打つほどの覚悟を持って挑めば、チャンスをつかむことは経験則から簡単です。

前回述べたように日本人は「歴史」好きな反面、「新参者」を遠ざける傾向があります。遠くから存在に気づかせるには「ハッタリ」を使ってでも目立たなければならないのです。私が「若手」の頃は、些細な実績を大袈裟に語り、嘘ではない程度に経歴を「盛り」ました。そして「ハッタリ」だったものを実績で上書きしました。

商売は人間性がみえるステージ

営業といっても世界の扉をノックするのが目的ですから「買ってください」「契約してください」「仕事をください」とへりくだるのは得策ではありません。私はいまでもこう語りかけます。

御社のお力になれるかもしれません。お声をお掛けください

売り込みではなく、「(ビジネス)パートナーになら“なってあげる”」というスタンスです。これはその後の取引にも影響するので、また別の機会に。

もう7年ほど前になりますが、地元企業を中心にDMを出したことがあります。徒歩圏内には散歩のついでに「投函」しました。そのうちの1社から先日に電話があり、ホームページについて相談したいから打ち合わせに来いと命じられます。基本的に取引発生前に当社から訪問することはないのですが、ご近所ということで散歩のついでに伺い、ホームページについての質問に答え、アドバイスしました。2時間ほど経ってから「料金」を尋ねるので、「ホームページにある通り」と答えると、条件反射のように「安くしろ」とリクエストするので、丁重にお断りします。

普段は相談だけでも料金が発生するんですよ。一番遠くのお客さんは、香川県から朝一番の飛行機に乗って相談にきました

席を立つ前にこのように告げると、きょとんと不思議そうな顔をしていました。後に別のルートから聞いた話ですが、こう思っていたようです。

DMを出すぐらいだから暇なんだろう。だから安く使える

私が「高飛車」な態度を取るのは、こうした人種を排除するための経験則です。

得手と不得手は表裏一体です。若手だからできることがあり、それはベテランも同じです。そして、情報を教えてくれた別ルートという人脈を通じて「値引き」の打診が今もきているのは「人脈」のデメリットです。

今回のポイント

「なりふり」は気にしなくていい。

成功すればすべてが「エピソード」になる。

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