コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
心得其の百壱
身体を蝕む茹でガエル
カエルを熱湯にいれると慌てて逃げだしますが、水から徐々に沸かしていくと温度変化に気がつかず、気づいたときには茹だって死んでしまうといいます。実際には死ぬ前に逃げ出すそうですが、緩やかな変化に気がついたときには手遅れになってしまうという寓話です。景気や運不運を理由に対策を講じずに、ジワジワと売上が減少する企業と重ねると笑えません。
仕事以外でも茹でカエルは現れます。骨折や重大な病気ならば治療に取り組みますが、ゆっくりと身体を包み込んでいく「不調」にはなかなか気がつきません。プロなら健康管理も仕事のうちと、言うは易く行うは難し。そして私の場合は、気がつけば首が回らなくなっていました。
今回は人気連載「ワーカーズピットイン」へのリスペクト企画。「身体のメンテナンス」について。
本当に首が回らない日々
商売用の借入金は一度も遅滞することなく返済していますが、一年ちょっと前に「首が回らない」自分を発見しました。慣用句ではなく肉体的にです。女心を掴むという「助手席に手を回してクルマをバック」ができなくなりました。首の可動域がせまく目を動かしても真横までしか見られないのです。また二年前から慢性的な頭痛でしたが、二日酔いが続いているのだと「自己診断」し「酒に弱くなった」と嘯(うそぶ)いていました。腱鞘炎とはさらにその前からのつきあいです。ついでにいえば昨夏の記事で事実確認を怠り十二指腸に穴も空きました。
今振り返れば身体が悲鳴を上げていたのでしょう。
気合いと根性と洒落を愛する人生観に加えて、我慢強さが追い打ちを掛けます。頭痛による吐き気も「頭が痛いのだから当然」と開き直る始末です。
不調に気づいた「酒風呂」
効果には個人差があります。本稿で紹介する各種方法はミヤワキの個人的見解に過ぎず、効能効果を保証するものではありません。最近、薬事法がやたらうるさいので念のため。
不幸の渦中にいる人はそれが不幸だと気がつきません。環境に適応するのも人間の能力です。多少の傷みは慣れてしまいます。頭痛も腱鞘炎も回らない首も「職業病」と諦観していたある日、「崑崙の湯」という入浴剤を頂戴しました。浴槽に顆粒を溶かすと「酒風呂」になり血行促進・美肌に良いといいます。酒風呂は藤原紀香さんの「美肌方法」と知っていたので目指せ紀香とチャレンジです。
残念ながら藤原さんにはなれませんでしたが、湯につかっていると頭頂から後頭部に何かが流れる感覚を覚えました。固まった澱が、少しずつ溶け出していくようで、湯上がりに頭痛が軽くなりました※。血行が良くなったからといった医学的なものはわかりませんが「頭痛がなおるかも!」と閃いた瞬間です。
症状に気がつかないほどに
「ビリーズ・ブート・キャンプ」を開始したのも、健康(と、いっても頭痛解消ですが)へのチャレンジの1つでした。頭痛解消には効果がありませんでしたが、記事にできたので損はしていません。ビリーに飽きた半年後、地域新聞の広報欄に「体験鍼灸」を発見しました。私は先端恐怖症気味なのですが好奇心が恐怖を凌駕します。「直す」より「試す」が楽しくて仕方がなかったと告白します。
見立ては「冷え」と「気の滞り」で3か月から6か月の通院とのこと。汗っかきでも冷え性になるのだと驚き、初回は無料でも2回目からは有料という商売の仕掛けに「なるほど」と頷き体験取材と通院します。
針を打たれ「ここ感じますか」という問いに、「あ、少しだけ」と気を遣うのが大変でした。どうやら鈍いようです。3か月を目前と控えたころ、首に「ゴリッ」という違和感が生まれました。回してみるとゴキゴキ、ゴリゴリといわゆる「肩こり」の音がするのです。以来、頭痛が和らぎました。頭痛の原因と首が回らない理由は平たくいえば「肩こり」だったのです。固まりすぎて音がならないほどの。ハリにもコリにも鈍かったようです。
座り仕事の宿命
針で肩こりが治まることはわかりました。ただ頭痛は少し残り、腱鞘炎はあまり改善されませんでした。鍼灸の力不足というより生活習慣への助言を無視したせいだと知るのはもう少し後です。
余談ですが、「ワーカーズピットイン」で紹介されていた「腱鞘炎対策」は2年ほど前に近所の接骨院で教えて貰い取り組んでいます。やるとしばらくは治まるのですが、イタチごっこのように痛みはぶり返します。つい最近「マイミク」の表参道ビオ東洋医学センターの高橋院長に腱鞘炎について訊ねると、幾つかの要因が重なると前置きした上で「長時間の座業」も関係することがあるといいます。次に述べる「治し方」から私の場合はこれだったのでしょう。さらに「浅い呼吸」も要因となると指摘します。はたと気がつきました。仕事に集中し過ぎると息を止めている自分に。以来、仕事の区切りには深呼吸をしています。
話を戻します。春に足首を痛め歩けない日がありました。そしてこれが頭痛とさよならするきっかけとなったのです。
先人の教えのススメ
リハビリ目的に近所の散歩を始めました。ウォーキングではなく散歩です。起きた都合、天気次第という不真面目なものでしたが、春の陽光が灼熱の光線を放ち、朝には涼しい風が頬をなでる頃、頭痛も肩こりも手首の痛みを覚えない自分を見つけました。頭痛、肩こり、腱鞘炎が「歩いて」直ったのです。散歩が座り仕事とのバランスをとってくれたと睨んでいます。そういえば鍼灸師もいっていました「歩きなさい」と。
日の丸弁当の梅干しには防腐効果があり、硫化アリルを知らない時代からネギが風邪に効くといわれていました。先人達の「知恵」です。語り継がれるものには理由があるのではないでしょうか。会社の一駅前で下車して歩く健康法は「昭和」から提唱されていました。「頭痛」「肩こり」「腱鞘炎」にはお散歩を。効能効果を保証するものではありませんが、少しだけ身体がシェイプされるおまけ付きです。こちらはバナナやEMS(電流を流して筋肉を動かす運動方法)より確実に。
♪今回のポイント
身体のケアも仕事のウチ。
自分に「あう」方法を探す過程を楽しむ。
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