企業ホームページ運営の心得

嘘とセールスのボーダー。セミナー潜入取材第2弾

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の九十七

最先端と足立区の温度差

10月23日に、(社)電子情報技術産業協会のシンポジウム「先端Web技術は企業を変えるか」のパネルディスカッションにお呼ばれしました。富士通の松井くにおさんがモデレータで、パネリストはリアルコムの吉田健一さん、みずほ情報総研の古川曜子さん、モディファイの小川浩さんで末席に私。席順もこのままで「Web 2.0」への立ち位置順とのことです。打ち合わせもなく始まり、緊張しましたがそれぞれの立場から論じる「知的セッション」に刺激を受け、夕食会に場を移しての「延長戦」も意義のあるものでした。

そして翌日。とある「SEOセミナー」に「潜入取材」を決行したのですが、先端Webとの落差に笑いをこらえるのに苦心しました。役立たずセミナーの第2弾は「嘘つきセミナー」です。

嘘つきか無知か

私の名刺に「IT界の戸田奈津子さんを目指す」とあるのは、IT用語を「超訳」するという宣言でもあります。またズブの素人相手に専門用語を使う業界人の姿勢に、「おまえこんな単語も知らないの?」という傲慢さが垣間見えることへのアンチテーゼでもあります。お客さんは素人です。ただし、「嘘」は論外です。

「ヤフーのビジネスエクスプレスは5万2,500円でカテゴリ登録をしてくれる」

SEOセミナーの講師が断言します。ビジネスエクスプレスは、企業や個人事業主の商用目的サイトがYahoo!カテゴリに登録できるかを審査をするサービスで、登録を保証するものではありません。ところが「落選」の可能性には触れずに「外部SEO」の絶対条件とします。平たくいえば「嘘」です。

昨夜の余韻も失せ、講師の話しに耳を傾けると「SEOには金がかかる」が隠されたテーマのようです。

有料リンク報告には触れないまま

全30ページの「レジュメ」の中で内部SEOについては1ページしか触れず、外部SEO関連の記述がページを占拠します。しかも相互リンクなど無料の方法には触れず「金で外部リンクを買え」と説きます。ページランクが支配するグーグルでは、ランクの高いサイトからの「投票」が不可欠で、そのために金を使う(外部リンクを買う)のだといいます。ご丁寧にこの「投票(リンク)」なら20万円以上だとプロジェクターに見積もりを映しだします。

さて、グーグルでは検索順位の操作目的でバックリンク(被リンク、リンクを貼ってもらうこと)を売買することを「有料リンク」としてスパム扱いする方針を明らかにしています(ウェブマスター向けヘルプセンター)。実際には有料リンクの販売はまだ多く、ネット界定番の「いたちごっこ」となる可能性もあるとはいえ、リスクを語らないのはフェアではありません。スパム扱いされれば20万円支払った上で、グーグルの検索結果から追放される可能性もあるというのにです。

詐欺師の方便を駆使する

消防署の方から来ました。消化器販売詐欺の「つかみ」で、仮にばれても、消防署が存在する方角から歩いてきたので嘘ではないと主張します。わずかでも9割引の商品があれば、「9割引」と銘打ったセールも嘘ではありません。小さく「最大」といれておけば。グレーなテクニックです。

こんなテクニックもあります。売価100円の鉛筆を9割引にすると90円も店側が負担したようですが、仕入れ値が30円ならば20円の赤字に過ぎず、仮に100本販売したとしても2,000円の広告費と考えれば安いものです。

講師は自社で運営する企業紹介サイトで100万円、金融情報では500万円を「売り上げた」と胸を張ります。外部リンクを買い、アフェリエイトなども外部SEOとひとまとめにして金を使った結果だと。そして「粗利」ではありません。

素人相手に言いたい放題

「ページランクの高いサイトからの投票」が売買されれば、検索品質に影響を与えます。投票を買える金持ちが有利となり、貧乏なサイトは有益な情報持っていても不利となることをグーグルは懸念します。

一方

「知っていますか? 検索上位表示するには 詳しくは> ヤフーカテゴリ登録へ」

これは、「バックリンク 販売」とグーグルで検索して(11月7日時点)表示されるヤフービジネスエクスプレスの検索連動型広告のコピーです。何がいいたいかは読者の想像に委ねますが、匂わせても言質を与えない巧みさは勉強になります。「外部リンクを買いなさい」という啓蒙がヤフー対策だったのなら頷いたかもしれません。

我田引水も「嘘」はいけません。

外部SEO業者の値段も重要だと訴えました。上場しているSEO事業者3社の実名をあげこういいました。「上場企業は外資だから(料金の)ゼロが1つ多い」。自社を売り込む文脈でのことですが、「高い」の修飾語として「外資」ならあまりにも単純です。株主構成は「ネットで検索」ですぐわかり、各社ともに創業者が過半数を占めているベンシャーのそれです。念のため各社のIR窓口から問い合わせると「違います」と回答がありました。

自分に都合の良い結論のために

フカシは止まりません。「携帯SEOは不要。なぜなら携帯で検索する人は少ない。また公式サイトに登録されなければ効果はなく、登録されるには500万円ぐらい必要」と語ります。これも「検索」すれば数万円から「成果報酬」まで、さまざまな業者を探すことは簡単で、某キャリアでは「知人のコネ」で……という現場に立ち会ったこともあります。なによりネットは携帯からという層は激増し、業種によってはすでに携帯サイトは収益源で、入り口は「携帯検索」です。自社のセールスの邪魔になるといっても「嘘」はいただけません。

彼らの「嘘」は「ネットで検索」ですぐにボロが出ます。ところがここが盲点で「ネットで商売」をしようと目論んでいるのに「ネットで検索」をして調べる人は少数派です。本稿読者のために警句を発しますが、セミナーの現場で私が口を閉ざしていたのは、前日の余韻から居眠りをしていただけではありません。自己責任が商売の原則だからです。

セミナーの後は「ネットで検索」。内容の真贋は数秒で「ヒット」しますので。

♪今回のポイント

セミナーの内容はネットで検索。

デメリットを語らない、すぐにばれる嘘を平気でつく講師(笑)は多い。

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