数字でわかる最適レンタルサーバー

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タイプ別お勧めレンタルサーバー

最後に、事業所規模、サイト規模、メールの利用形態が異なる例を3つ挙げ、ここまで紹介したリソースの算出法を使ってケーススタディを行ってみる。

なお、ここでは、各レンタルサーバーコースのウワモノサービス(セキュリティー強化サービス、ECツール、CMSツールなどの付加サービス)の機能性、多彩さといった側面については考慮していない。実際のサービス選定ではサービスや機能も重要な要素となるが、費用対スペックという観点でレンタルサーバーを検討する際の参考としてもらいたい。

また、単純に各ケースで必要とされるスペックを割り出して、そのスペックを満たすコースのうち割安なコース(レンタルサーバー利用期間を3年と仮定し、3年間の支払い金額が最も少ないサービス)という観点だけで選定した。

すべてのケースについて、条件は前項のリソース計算の条件に準じるものとして計算した。

CASE 1 A税務・会計事務所

A税務・会計事務所プロフィール

事業所規模該当小規模該当せず中規模該当せず大規模
スタッフ数5人
事業所規模該当せず多い該当少ない
各スタッフ1日平均20通(うち添付ファイル付き2通)
サイト運営規模該当小規模該当せず中規模該当せず大規模
10ページ(うちサイズの大きなページ2ページ)
サイトのアクセス数該当せず多い該当少ない
500PV/日

必要スペック

ディスク容量84MB
月間転送量1.5GB

A税務・会計事務所は独立して15年の税務・会計事務所。地元のコネクションをベースに20ほどの顧問先を抱える事業所だ。従業員は、所長の税理士と、息子の税理士が2人、それと秘書兼事務スタッフ2人の5人という、家族経営の事務所である。

ウェブサイトは、3年前に息子の税理士が知人の制作会社に頼んで作ってもらった全10ページほどのもの。スタッフ紹介や、税務に関するマメ知識的な内容が中心の小規模なもので、以前は顧問先などを中心に若干アクセスがある程度だったが、最近は掲載している「税務マメ知識」が検索エンジンに引っかかり、1日500PVくらいのアクセスがある。

メールは、顧問先や税理士仲間とのやり取りを中心に各スタッフ1日20通ほどで、そのうち2通ほどが税務関係の文書の添付ファイルのやり取りがある。その他、事務所代表アドレスとしてinfo@○○○.comを使っていて、こちらにも同様のメール数のやり取りがある。

このA税務・会計事務所の場合、メールとウェブを併せた必要なディスク容量は最大約84MB(メール81.6MB、ウェブ2.4MB)、月間のデータ転送量はメールとウェブを併せて1,500MB程度だ。この程度のサイズなら、あえて法人向けのサービスでなく、個人向けのレンタルサーバーサービスで事足りてしまうかもしれない。

A税務・会計事務所にお勧めのレンタルサーバーの例

このA税務・会計事務所にお勧めのレンタルサーバーは「お勧めレンタルサーバー一覧(A税務・会計事務所)」のとおりだ。最初に挙げたのが「さくらのレンタルサーバ」。「さくらインターネット」では、法人向け/個人向けのそれぞれにサービスコースを用意しているが、この「さくらのレンタルサーバ<ライト>」は個人向けプランの中でも、最も低額のプランである。

このサービスの特徴は、1か月当たり125円(年額1,500円を月額に換算したもの)で、ディスク容量は300MB、メールアドレス数無制限に加えて、ウィルス対策まで付いてくるという大変お得なサービスだ。本来は個人向けのサービスコースだが、このA税務・会計事務所のように、比較的ライトな使い方をする事業所なら、このコースでも十分対応できるだろう。

なお、「さくらのレンタルサーバ」には上位プランとして、ディスク容量1GB(500円/月)、3GB(1,000円/月)のプランもあり、こちらもかなりお得な価格で用意されている。今後利用頻度が上がることが想定されるなら、こちらの上位プランで申し込んでおけば安心だ。

次に挙げた2つは、「ロリポップ! レンタルサーバー」(株式会社paperboy&co.)とステップサーバー(株式会社メディアウォーズ)。どちらも格安な個人向けを中心に展開するレンタルサーバーサービスだ。

お勧めレンタルサーバー一覧(A税務・会計事務所)

さくらのレンタルサーバ<ライト>
さくらインターネット株式会社

料金初期費用1,000円、月額料金125円(年払いのみ)
ディスク容量300MB(メール・ウェブ共通)
メールアドレス数無制限

ロリポップ! レンタルサーバー <独自ドメイン>
株式会社paperboy&co.

料金初期費用3,150円、月額料金263円(年払いのみ)
ディスク容量200MB(メール・ウェブ共通)
メールアドレス数無制限

ステップサーバー
株式会社メディアウォーズ

料金初期費用600円、月額料金300円
ディスク容量1GB(メール・ウェブ共通)
メールアドレス数無制限

CASE 2 Bブランドショップ

Bブランドショッププロフィール

事業所規模該当小規模該当せず中規模該当せず大規模
スタッフ数10人
事業所規模該当多い該当せず少ない
各スタッフ1日平均100通(うち添付ファイルつき10通)
サイト運営規模該当せず小規模該当せず中規模該当大規模
100ページ(うちサイズの大きなページ80ページ)
サイトのアクセス数該当多い該当せず少ない
5000PV/日

必要スペック

ディスク容量1,400MB
月間転送量31.5GB

Bブランドショップは、東京某所に店舗を構えるブランドショップがウェブ上に展開しているECサイトだ。このサイトでは、リアルショップ(実店舗)の在庫にある複数の商品をオンライン販売しており、スタッフのほとんどがウェブサイトの企画制作/運営にも当たっている。商品発送などの業務はリアルショップの店員が行っており、このサイトのスタッフとしてはカウントされていない。

このサイトは、大半が商品カタログのページとなっていて、そのうち80ページほどが、画像もたくさんある200KB程度のサイズを持つページだ。

メールのやり取りは、ウェブサイトの制作会社とのスケジュール調整、商品画像や企画書の送付などを中心に、各スタッフが1日100通ほど(うち添付ファイル付きが10通ほど)とヘビーである。

その他、ショップの代表アドレスのinfo@○○.comや問い合わせ用のgoods@○○.comなど共通アドレスを10個使っており、こちらも同様に100通ほどのやり取りがある。ウェブサイトには5,000PV/日のアクセスがあり、なかなか繁盛している。

このBブランドショップの場合、メールとウェブを併せた必要なディスク容量は、最大で約1,400MB(メール 1,360MB、ウェブ 51MB)、月間のデータ転送量はメールとウェブを併せて約31.5GBというヘビーユースなユーザーとなる。そのため、比較的容量の大きなサービスを選択する必要が出てくるだろう。

Bブランドショップにお勧めのレンタルサーバーの例

このBブランドショップにお勧めのレンタルサーバーは「お勧めレンタルサーバー一覧(Bブランドショップ)」のとおりだ。最初に挙げたのが「さくらのレンタルサーバ<プレミアム>」。この「さくらのレンタルサーバ<プレミアム>」は、ケース1でも紹介した「さくらのレンタルサーバ」の最上位プランで、ディスク容量が3GB、メールアドレス数が無制限、ウィルス対策付きのレンタルサーバーサービスを月額1,500円で利用することができる。個人向けのサービスコースだが、スペックはBブランドショップの求めるものを満たしている。

しかしながら、「さくらのレンタルサーバ プレミアム」は個人向けのサービスであり、パフォーマンス面などで不安を感じる場合も考えられる。そこで、次に「使えるねっと」の「仮想専用サーバー シルバー」と、「ファーストサーバ」の法人向けサービスである「ギガント」の2つを挙げておいた。

自力で最低限の設定とサーバー運用ができるなら、仮想専用サーバーを利用するのも一つの手だ。「使えるねっと」の「シルバー」なら、月額2,980円という低価格で仮想専用サーバーを利用することができるので、選択肢の1つとして検討する価値はあるだろう。
一方の「ギガントシリーズ」はこのクラスのディスク容量を持つ共用レンタルサーバーの中では月額3,000円を切る数少ないサービスであるうえ、Movable Typeやサイボウズなどが利用できる機能性、情報セキュリティー規格であるISMSの取得など、提供サービスが充実している点に特徴がある。ただし、メールアドレス数に制限があるため、制限以上に必要になるときはメールアドレス追加オプションを購入しなければならない。

お勧めレンタルサーバー一覧(Bブランドショップ)

さくらのレンタルサーバ<プレミアム>
さくらインターネット株式会社

料金初期費用1,000円、月額料金1,500円
ディスク容量3GB(メール・ウェブ共通)
メールアドレス数無制限

使えるねっと<仮想専用シルバー>
株式会社JMFインベストメント&テクノロジー

料金初期費用5,000円、月額料金2,980円
ハードウェア仕様CPU Xeon 2.8GHzx2/RAM 4GB/、ディスク 20GB
月間転送量制限150GB

ファーストサーバ <ギガント2>
ファーストサーバ株式会社

料金初期費用9,450円、月額料金2,940円
ディスク容量10GB(メール・ウェブ共通)
メールアドレス数10(オプションにより追加可能)

CASE 3 C株式会社

C株式会社プロフィール

事業所規模該当せず小規模該当中規模該当せず大規模
スタッフ数100人
事業所規模該当多い該当せず少ない
各スタッフ1日平均100通(うち添付ファイルつき10通)
サイト運営規模該当せず小規模該当中規模該当せず大規模
40ページ(うちサイズの大きなページ25ページ)
サイトのアクセス数該当せず多い該当少ない
1000PV/日

必要スペック

ディスク容量7.5GB
月間転送量36GB

C株式会社は設立から数年たったIT系のベンチャー企業である。設立以来順調に業績を伸ばしており、現在のスタッフ数は100人を数えるに至っている。

IT系ベンチャーらしく、各スタッフともメールの利用頻度は非常に多く、一人あたり1日平均100通程度のメールがやり取りされており、企画書や新しいウェブシステムの設計書など、添付ファイルのやり取りも頻繁(10%程度)である。その他共通アドレスの運用も盛んだ。

C株式会社の運営するウェブサービスは数百ページ、数千万PVを持つ大規模なポータルサイトだが、企業サイトそのものはサービス概要や会社紹介、サービスのサポートのページが中心で、40ページほどの中規模サイトだ。そのうち25ページが、画像を多く使った詳しい説明が掲載されたページで、現在は1日1,000PVほどのウェブサイトである。

C株式会社が必要としているメールとウェブを併せたディスク容量は最大約7.5GB(メール 7480MB、ウェブ 17.25MB)、月間のデータ転送量はメールとウェブを併せて約36GBと、事業規模に応じた大きいものとなっている。そのため、C株式会社の企業サイトやメールのためには、仮想専用サーバーや専用サーバーの検討が必要となってくる。

C株式会社にお勧めのレンタルサーバーの例

このC株式会社にお勧めのレンタルサーバーは「お勧めレンタルサーバー一覧(C株式会社)」のとおりだ。最初に挙げたのは、ケース2でも紹介した「使えるねっと」の「仮想専用サーバー シルバー」。このクラスの事業を展開する企業なら、サーバー運用の技術者をある程度抱えていることが想定できるので、仮想専用サーバーの運用に問題はないだろう。

次に挙げた「AKIRAインターネットサービス」の「ビジネス」は、共用のレンタルサーバーサービスコースの中でも比較的大きなディスク容量を提供するコースで、ウェブとメールのディスク容量が分かれていることが特徴として挙げられる。

月間転送量制限は目安として設定されているが、超過した場合の料金発生などはないようなので、実際の運用状況を見ながら調整することになるだろう。

「クララオンライン」の「仮想専用レンタルサーバー Doppio」は、同社の仮想専用サービスの中では最上位のサービスコースである。ただし、RAMが2GBとあるが、これはサーバー全体のメモリ量なので、共用サーバーと同様に他のユーザーと共有することになり、自分が2GBすべて使えるわけではない。この点に不安があるなら、同社のより上位のFPSと呼ばれるサービスや、最初に挙げた「使えるねっと」のサービスを検討するといいだろう。どちらもサーバーの性能を保証しており、一契約で複数のサイトを保持できるため、コスト削減や一括管理などのメリットも享受できてお勧めだ。

お勧めレンタルサーバー一覧(C株式会社)

使えるねっと<仮想専用シルバー>
株式会社JMFインベストメント&テクノロジー

料金初期費用5,000円、月額料金2,980円
ハードウェア仕様CPU Xeon 2.8GHzx2/RAM 4GB/、ディスク 20GB
月間転送量制限150GB

AKIRAインターネットサービス <「ビジネス」プラン(1年)>
有限会社アキラ

料金初期費用5,145円、月額料金5,985円
ディスク容量1GB(ウェブ)、メール:80MB/1アドレス
メールアドレス数300まで
月間転送量制限32GB(目安)

クララオンライン <Doppio>
株式会社クララオンライン

料金初期費用なし、月額料金6,980円
ハードウェア仕様CPU Xeon 2.8GHz×2/RAM 2GB/、ディスク 8GB(RAID-5)
月間転送量制限200GB(オプションにより追加可能)

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.2』 掲載の記事です。

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