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ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」

4ヶ月 2 週間 ago
ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」
ワークマンは2027年3月期、出店・商品・販売を連動させる「マス化製品政策」を軸に成長を加速する。重点商品の育成や店舗網の拡大、販促と売場の一体運用を通じて、高成長の持続をめざす。
furukawa2026年5月14日

ワークマンは2027年3月期の計画において、成長ドライバーとして「出店」「商品」「販売」の3つを連動し、マス市場で勝てる看板商品の育成と供給体制の強化を進める方針を示した。キーワードは「マス化製品政策」。価値ある製品を創り出し、より多くの顧客へ届けることで、国内市場の深耕と経営効率の改善を進め、将来的な海外展開にもつなげる構えだ。

ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」
2027年3月期の経営方針(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2027年3月期のチェーン全店売上は2379億円計画

2027年3月期は、チェーン全店売上高を前期比13.7%増の2379億7000万円と計画。営業利益は同8.2%増の321億1200万円、経常利益は同9.3%増の334億1800万円、当期純利益は同8.3%増の223億2900万円を見込む。

マス化製品による既存店売上の伸長が全社売上をけん引する一方、店舗網拡大に伴い、新店効果が薄れる点にも触れている。

出店戦略:新業態「Workman Colors」の34店舗出店など、店舗網でマス化加速

出店面では「マス化を加速させる店舗網の構築」を掲げ、法人FCによるショッピングセンター(SC)出店を強化する。特に作業服を扱わない「#ワークマン女子」が進化した新業態「Workman Colors」は新規34店舗(ロードサイド16店舗、SC18店舗)の出店を計画している。

加えて、各業態の強みを生かせる地域や集客力の高い立地への新規出店、既存店活性化に向けたスクラップ&ビルドの推進も打ち出した。

出店計画の全体像では、期末店舗数を1130店舗(前期末1094店舗)とし、中長期目標として1500店舗を掲げる。「Workman Colors」は法人FCによるショッピングセンター出店を強化し、潜在顧客の開拓を進める。

ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」
出店計画の概要(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

商品戦略:5つの商品群で「マス化」を推進。

マス化製品政策の背景には、売れ筋商品の欠品による顧客満足度低下と、アイテム過多による管理コスト増加・店舗運営の複雑化(加盟店エンゲージメント低下)といった課題がある。

これに対し、「機能×価格」に優位性のある重点商品へ、在庫・販促・売り場などのリソースを集中投下する戦略へ転換。圧倒的な看板商品の育成をめざす。重点商品として、以下の5カテゴリーを提示している。

  • MEDiHEAL:低価格リカバリーウエア
  • Xshelter:断熱や暑熱など外部環境の影響を大幅に低減する独自高機能素材
  • UVカット商品:気候変動に伴う需要変化への対応
  • ファンウエア/ペルチェベスト:プロ需要中心から一般向けへ販路拡大
  • 機能性インナー:高コストパフォーマンスで来店頻度向上を狙う

KPIは「各重点商品でチェーン全店売上高の10%をめざす」としており、商品単位で“マス”を取りに行く設計だ。

さらに、マス化を成立させるための投下資本として、サプライチェーン強化(生産拠点・外部倉庫拡張)、マスマーケティング(TVCM・チラシなど)、全国統一の売り場づくり(新顕彰制度導入)、商品構成最適化(アイテム数削減)をあげている。

ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」
製品政策では5つの重点商品を設定(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

リカバリーウエア「MEDiHEAL」は、2025年9月〜2026年3月のシリーズ販売実績が約684万着、売上高約115億円に達した。一方、想定を上回る需要により欠品が継続しており、販売状況に応じた生産調整と在庫安定化を進める方針を示している。

ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」
リカバリーウエア「MEDiHEAL」は好調に推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

販売戦略:1店舗平均年商2億円を狙う

販売面では、「販促と売り場の連動を強化し、マス化製品政策の実効力を最大化する」としている。

具体的には、新製品発表会を起点に、TVCMやチラシ、アプリ、SNS、ラッピングストアなどを活用したマスマーケティングを強化し、客層拡大と売上最大化を狙う。

運営面のKPIとしては「1店舗当たり年商2億円の達成」を掲げる。店舗オペレーション改善、販促連動によるマス化製品の拡販、需要予測発注システム稼働による在庫適正化などを通じ、販売効率を高める。

既存店の売り場提案力向上も柱の1つで、年間200店舗以上の改装を見込む。内訳は、業態転換改装55店舗、リニューアル改装165店舗。顧客体験を高めることで、リピーター化を推進するとしている。

ワークマンはどう成長を続ける? 出店+商品+販売の「マス化製品政策の推進で高成長を実現」
販売戦略ではマスマーケティングを強化する(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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ユナイテッドアローズは「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」。中期経営計画の全体像まとめ

4ヶ月 2 週間 ago
ユナイテッドアローズは「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」。中期経営計画の全体像まとめ
ユナイテッドアローズは中高価格帯にフォーカスし、国内の売上成長と粗利率改善、海外拡大、LTV向上を同時に進める。
furukawa2026年5月14日

ユナイテッドアローズは、新たな中期経営計画(2026-2028)を策定し、「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」をテーマに掲げた。国内アパレルに加え、海外事業や非アパレル領域も含め、「高感度・高付加価値」を軸に成長をめざす。

強みは「顧客基盤×接客×商品×店舗・EC」

新中計の前提となる内部環境(強み・経営資産)として、高いブランド価値と高感度な顧客基盤、感動を提供する接客、高付加価値な商品、高立地な店舗、機能的なECをあげている。「164万人の高感度な顧客基盤」を重要な資産として位置付け、客単価や買上客数などの主要指標が2023年3月期比で伸長している点も強調した。

ユナイテッドアローズは「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」。中期経営計画の全体像まとめ
新中計の前提となる内部環境(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「中高価格帯」にフォーカス、グループで高付加価値戦略を推進

「中期経営計画2026-2028」では、コーエン譲渡後の事業ポートフォリオも踏まえ、ユナイテッドアローズの強みが生きる「中高価格帯マーケット」に特化。国内アパレル、海外アパレル、非アパレルの各領域で、高感度・高付加価値戦略を推進する方針を示した。

4つの重点取り組みで“さらなるシェア拡大”へ

中期経営計画2026-2028では、「さらなるシェア拡大」を重要なゴールの1つに据えた。そのほか、営業利益額・営業利益率の改善、海外売上・店舗数・顧客数の拡大、LTV向上も目標として掲げている。重点取り組みは次の通り。

  • 売上高成長:「客単価の向上」と「出店・改装による顧客接点の増加」を通じ、国内成長を積み上げる。
  • 売上総利益率の改善:商品管理基幹システム「UA3.0」の有効活用を進め、粗利率改善につなげる。
  • 海外展開の拡大:中国大陸、台湾での積極展開に加え、「他エリアへの卸拡張」も推進する。
  • LTV向上:「高感度カテゴリーへの展開」と「M&Aまたは事業開発」を進める。
ユナイテッドアローズは「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」。中期経営計画の全体像まとめ
新中計の全体像(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

計画全体を支える施策として、人的資本投資とOMO戦略も重視する。人的資本では、従業員エンゲージメント向上に加え、優秀な販売員の育成・確保を進める。

長期目標として連結売上高3000億円へ

ユナイテッドアローズは「長期ビジョン2032」も提示し、長期目標として連結売上高3000億円を掲げた。そのマイルストーンとして、新中計(2026-2028)では、連結売上高1850〜1950億円、連結営業利益115〜125億円、連結営業利益率6.1〜6.3%をめざす。

成長イメージとしては、既存事業2300億円、海外事業200億円、新規アパレル/アパレル派生/アパレル以外で500億円超を想定。M&Aも視野に入れながら、“事業ポートフォリオ拡張”を進める方針を示している。

ユナイテッドアローズは「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」。中期経営計画の全体像まとめ
新中計の経営目標(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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Anthropicがめざす「AI同士で完結させる」買い物体験とは? AmazonやeBayも警戒する“マルチエージェント”型コマースの衝撃+OpenAIやGoogleの動向まとめ

4ヶ月 2 週間 ago
Anthropicがめざす「AI同士で完結させる」買い物体験とは? AmazonやeBayも警戒する“マルチエージェント”型コマースの衝撃+OpenAIやGoogleの動向まとめtakano-mai2026年5月14日世界を先読み!日本独占配信 米国でもっとも有名なEC専門メディア『Digital Commerce 360』からの最新記事海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

Anthropic(アンソロピック)はAIエージェントを活用したコマースの領域で、OpenAIやGoogleほど表立った動きは見せていないものの、EC領域への進出を虎視眈々と狙っています。Anthropicが実施した実証実験の詳細を解説します。

Anthropicの“代理AIエージェント”実験「プロジェクトディール」

2025年から2026年初頭にかけて、OpenAIとGoogleは「ChatGPT」や「Gemini」のEC機能を着々とアップデートしてきました。その一方で、大規模言語モデル(LLM)の競合であるAnthropicは、生成AIモデル「Claude(クロード)」において、EC機能ではなく他の優先事項を追求しているように見えました。

しかし、Anthropicは4月24日に「エージェント型コマース」の展望の一端を明らかにしました。公表した「エージェント型コマース」の初期テスト結果によると、AnthropicはEC機能のテスト運用を「プロジェクトディール」と名付け、「自社スタッフのうち、特定の参加者による試験的な実験」だと説明しています。

実験では、米国・サンフランシスコのオフィスに所属する69人の従業員が、Anthropicが「Craigslist(クレイグスリスト)」(不要品の売買、求人などを個人ができる米国のコミュニティーサイト)に例えた仮想のマーケットプレイスで、自分たちの代わりにAIエージェントを使い、出品する商品の売買交渉を行いました。各従業員には“予算”として100ドルが支給され、ピンポン玉からスノーボードに至るまで、さまざまな商品を実際に出品し、売買しました。

Anthropicは自社の生成AIモデル「Claude」を活用し、AIエージェントがユーザーの代理人となり、売り手と買い手の交渉を担う実証実験を行った(画像はAIエージェント間の交渉のイメージ(日本語翻訳版)。Anthropicのコーポレートサイトからキャプチャして追加)
Anthropicは自社の生成AIモデル「Claude」を活用し、AIエージェントがユーザーの代理人となり、売り手と買い手の交渉を担う実証実験を行った(画像はAIエージェント間の交渉のイメージ(日本語翻訳版)。Anthropicのコーポレートサイトからキャプチャして追加)

この実験中、Anthropicは仮想のマーケットプレイスを利用するスタッフに対し、実験の詳細の一部をあえて伏せていました。最終的に、「プロジェクトディール」の検証結果は、「Claude」がEC市場でどのように活用されていくのかという点で新たな問題を提起することになりました。

さらにその結果は、AI活用の先駆けであるOpenAIやGoogleだけでなく、EC大手のAmazonやeBayまでもが、「Claude」がEC分野にもたらすかもしれない影響に注目するべきだということを裏付けるものとなりました。

186件、総額4000ドルの取引を実行

Anthropicの報告によると、「プロジェクトディール」の実験期間では最終的に186件の取引が成立。これらの取引の合計金額は4000ドルを超えました。

Anthropicは、「プロジェクトディール」に参加したスタッフたちが「将来、同様のサービスが実用化されたら、お金を払ってでも使いたい」と回答したと説明。もちろん、「プロジェクトディール」に参加したのはAnthropicの自社スタッフのため、客観的な評価とは言えません。自分たちが開発に関わるサービスを自画自賛している側面は否定できないからです。それでも、この実験からAnthropicが導き出した結論は、見過ごせない大きな可能性を秘めています。

実験の初期段階では、参加者が操作するAIエージェントはSalesforce(セールスフォース)が提供するビジネスコミュニケーションツール「Slack」を通じてやり取りをしました。「プロジェクトディール」の参加者には事前に知らされていませんでしたが、実際には4つの別々のマーケットプレイスが存在しており、ユーザーには異なるバージョンの「Claude」モデルが割り当てられていました。

AIが公平な“交渉人”に

最終的な取引が行われ、商品の受け渡しが完了した後、参加者は“交渉プロセスにおいて自分のAIエージェントが売り手と買い手のどちらにも肩入れせず、いかに公平に両者を取り持ったか”を評価しました。Anthropicが記録した平均スコアは4点(1〜7の段階評価)。このスコアは、交渉の結果、買い手と売り手のどちらか一方だけが得をしたり、不当に有利な条件を押し付けられたりしたとは、参加者たちが感じていなかったことを示しています。

「プロジェクトディール」参加者による、売り手と買い手の公平性スコアは「4」。どちらか一方に有利な条件を押し付けられたりしなかったと感じている人が多い(画像はAnthropicのコーポレートサイトからキャプチャして追加)
「プロジェクトディール」参加者による、売り手と買い手の公平性スコアは「4」。どちらか一方に有利な条件を押し付けられたりしなかったと感じている人が多い(画像はAnthropicのコーポレートサイトからキャプチャして追加)

この満足度が正確なものだと仮定すれば、「プロジェクトディール」はマーケットプレイス全般に大きな影響を与えることになります。特に、特定のAIエージェントの使用を禁止しているAmazonやeBayにとっては重要な意味を持つでしょう。

また、このテストからは、買い手と売り手の双方が「自分たちの代理人(仲介役)」としてAIを立てるという、マルチエージェント形式の活用シーンをAnthropicが重要視していることがわかります。このことは、OpenAIやGoogleがこれまで公表してきたAI活用の優先順位とは異なる戦略にスポットを当てるものです。

OpenAIは決済から連携へ戦略転換

OpenAIの場合、戦略転換のかじを2026年3月に切りました。「『ChatGPT』内での決済完了体験」から、各事業者が提供する「ChatGPTアプリ」を通じた決済体験を重視する方向へ転換しました。

OpenAIとそのパートナー企業は「ChatGPT」アプリ、「Shopify」加盟店の場合は「Shopify」と「ChatGPT」の連携を通じて決済を完了させるフローです。これは、データに対するコントロール権をEC事業者やそのECプラットフォーム側により多く持たせることを目的としていると考えられます。

Shopifyは、 「ChatGPT」から「Shopify」加盟店の商品を購入できるようにしている(画像はShopifyのニュースリリースより)
Shopifyは、 「ChatGPT」から「Shopify」加盟店の商品を購入できるようにしている(画像はShopifyのニュースリリースより) 

AIエージェントによる交渉代行の懸念点

「プロジェクトディール」は一般に公開されたサービスではないため、「Claude」に交渉を代行させるためにどのようなデータや権限が受け渡されるのかは不明です。また、「Claude」が最終的な決済自体を実行するのかも定かではありません。

大手のオンラインマーケットプレイスが、出品者とやり取りをする「第三者の交渉人(AIエージェント)」を受け入れるかどうかは、今後の大きな焦点となります。また、出品者側のAIエージェントが、プラットフォーム側と交渉することを許容するかどうかも不明です。

しかし、「プロジェクトディール」の実験結果を見ると、Anthropic、OpenAI、Googleが、既存の勢力に対抗して『AIエージェントが買い物をサポートしてくれる独自のマーケットプレイス』を自ら立ち上げるのではないか――という推測も現実味を帯びてきます。

同時に、Metaがすでに「Facebook Marketplace」(Facebookでコミュニティのメンバーからアイテムを購入したり、アイテムを販売したりできるオンラインプラットフォーム )と関連するAIモデル「Meta AI」(売り手がAIを活用して買い手からの問い合わせメッセージへの返信を自動作成する)を保有しており、「プロジェクトディール」をより大規模に再現しようとする可能性があることも注目に値します。

Googleは小売大手と連携強化

一方で、Googleによる「Gemini」を活用したEC関連の最新の取り組みは、特定の小売事業者向けプロジェクトに焦点を当てています。たとえば、Googleの「ユニバーサル・コマース・プロトコル(UCP)」を使用して、美容・コスメ専門店大手の米Ulta Beauty(アルタビューティー) の商品を検索大手のAIモードで購入可能にしたことなどがあげられます。

Google画面上からのUlta Beautyの商品の購入イメージ(画像はUlta Beautyのコーポレートサイトから編集部がキャプチャして追加)
Google画面上からのUlta Beautyの商品の購入イメージ(画像はUlta Beautyのコーポレートサイトから編集部がキャプチャして追加) 

また、Macy’sのAIエージェント「Ask Macy’s」もGoogleの技術を採用。GoogleはWalmartやHome Depotなどの他の小売事業者とも連携を進めている最中です。

こうしたなか、Googleのマーチャント・ショッピング担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるアシッシュ・グプタ氏も、4月に「エージェント型AIは、あらゆる人にとってオンラインショッピングをより簡単にする大きな可能性を秘めている」とし、エージェント型AIへの期待感を強調しています。

Googleは過日、2025年のホリデーシーズンに向けて、消費者向けのAIモード機能を数多く発表しました。当時、Googleは決済も非常に重視していました。Google Cloudのクライアントである小売事業者を通じて、ECサイトのインフラやデータと深く結びついていることは、OpenAIにはない独自のEC参入ルートとなっています。

現時点では、LLMを保有する企業の中で、OpenAIとGoogleがエージェント型コマースにおいて最も先行しているように見えます。しかし、Anthropic、Meta、Amazonも、それぞれ独自のコマース戦略を推し進めています。なかでも、EC最大手のAmazonは最も推進していると言えるでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん、白川久美さん、中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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Digital Commerce 360

世界最大級のネット通販業界の専門誌『Digital Commerce 360』(旧『Internet Retailer』)は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

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SHIRO、香港1号店を開設。2日間で売上2000万円、来店3200人、1人あたり購入点数は他国店舗の2倍以上

4ヶ月 2 週間 ago
SHIRO、香港1号店を開設。2日間で売上2000万円、来店3200人、1人あたり購入点数は他国店舗の2倍以上
シロでは、香港に開設した直営店1号店の滑り出しが好調だ。1人あたりの購入製品点数は3.3点となっており、他国店舗の2倍以上だという。店舗内には、好みのフレグランスを作る体験ができる「ゼロブレンダーラボ」も設置している
ohshima2026年5月14日

シロは5月1日、香港1号店「SHIRO K11 Musea」をオープンした。開店後2日間の実績は、来店者数が約3200人、売り上げが約2000万円となった。顧客1人あたりの購入製品点数は3.3点で、他国店舗の2倍以上という。香港限定フレグランスのオードパルファン(香水の一種)は約1100点を売り上げた。

香港での1号店「SHIRO K11 Musea」
香港での1号店「SHIRO K11 Musea」

来店客は長蛇の列、他国店舗を上回る反響

オープン当日は、開店直後から終日途切れることなく来店客の行列が続き、待ち時間は最大で約1時間半になったという。オープン初日と翌日の2日間の来店客3200人は、2025年4月に韓国1号店として開店した「SHIRO Seongsu」の、開店後2日間の来店者数の1.3倍となる。

香港1号店の2日間の売り上げは約2000万円で、「SHIRO Seongsu」開店時の2倍となった。顧客1人あたりの購入製品点数は3.3点となり、他国店舗と比べても多かった。

オープン当日は予定時間の約1時間前から来店客が並び、予定時間より早く開店した
オープン当日は予定時間の約1時間前から来店客が並び、予定時間より早く開店した

香港1号店で特に人気を集めているのは、香港限定フレグランス「花茶(HANACHA)」オードパルファン。香港の食文化に欠かせない花茶をイメージした香りが特長となっている。オープンから2日間で1100点を販売したほか、4月27日に先行してオープンした香港向けの公式オンラインストアでも、3日間で1000点以上を受注したという。 

ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」を設置

「SHIRO K11 Musea」では店舗中央に、ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」を設置している。「ゼロブレンダーラボ」では、製品化に至らなかった香料、製品化過程で生まれた試作香料、ゆずとヨモギの蒸留水、3種のアルコールから好きなものを組み合わせ、来店客が自分だけのフレグランスミストを作ることができる。2日間で241人が体験したという。

「ゼロブレンダーラボ」で使用可とする香料は、「SHIRO」の製品開発拠点である北海道・砂川の「みんなの工場」での製品開発とリンクさせ、随時変更する。

ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」。「SHIRO K11 Musea」店舗にのみ設置している
ものづくり体験ができる「ゼロブレンダーラボ」。「SHIRO K11 Musea」店舗にのみ設置している

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[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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サン宝石の「通販会社」から「ファンと育てるIPブランド」へ転換する成長戦略。民事再生から4年後の挑戦とは

4ヶ月 2 週間 ago
サン宝石の「通販会社」から「ファンと育てるIPブランド」へ転換する成長戦略。民事再生から4年後の挑戦とは
民事再生を経て、通販中心からIPブランドへの転換を進めるサン宝石。ファンとともに自社キャラクターの価値を育てる成長戦略を明らかにした
ohshima2026年5月14日

メモリーテックつくばはこのほど、キャラクターIP「ほっぺちゃん」などを手がけるインタラクティブコンテンツ事業部のサン宝石の事業方向性を発表した。

サン宝石の人気キャラクターIP「ほっぺちゃん」を中核に据え、価格競争ではなく知的財産を軸に、ブランド価値で選ばれる事業へ転換。雑貨、文具、アパレル、カプセルトイ、菓子、コスメ、インテリア、書籍、デジタルコンテンツなど、幅広い領域で事業を展開する。

外部の売り場やイベントなどで「ほっぺちゃん」と消費者の出会いを創出し、「ファンが見つける」→「SNSで語られる」→「新しい世代に届く」→「公式ECやイベントへ戻ってくる」の循環を作り出すことを成長戦略とする。国内だけでなく、海外への進出も視野に入れている。

サン宝石のキャラクター「ほっぺちゃん」
サン宝石のキャラクター「ほっぺちゃん」

民事再生後、通販中心の事業構造を見直し

サン宝石は子ども向けアクセサリーなどの老舗通販会社。雑誌広告で新規顧客を集め、会員に通販用カタログを送るビジネスを展開してきた。

帝国データバンクによると、収益悪化により資金繰りが限界に達し、2021年8月27日に甲府地裁へ民事再生法の適用を申請。同日に保全命令を受けた。2013年9月期の売上高は約42億6400万円だったが、2020年9月期売上高は約4億9100万円と収益が悪化。購買行動の変化、少子化、カタログ通販市場の縮小などが背景にあったという。

その後、玉光堂の子会社である聖和趣味の会とスポンサー契約を締結。聖和趣味の会が吸収合併によりサン宝石事業を吸収、法人としてのサン宝石は解散した。関連会社のみっとめるへん社にサン宝石の事業が移った後、グループ企業4社の合併で存続会社となったメモリーテックつくばがサン宝石の事業を手がけている。

現在は従来の通販中心の事業構造を見直し、自社コンテンツ「サン宝石」と「ほっぺちゃん」を軸に、EC、ライセンス、ポップアップストア、ワークショップ、SNS、アニメ、海外展開を組み合わせた新たな事業モデルへの転換を進めている。

「ほっぺちゃん」をライセンス事業の中核に

「ほっぺちゃん」は2010年にサン宝石が誕生させたキャラクター。2026年5月5日に誕生16周年となった。誕生当時は女子小学生を中心に人気が集まり、現在は当時のファンが大人になったことで再び注目を集めているという。「平成レトロ」「平成女児」といったトレンド、大人が子どものような感性を楽しむ「キダルト消費」といった時代の流れとも重なった。

民事再生後、サン宝石は通販事業のビジネスモデルをそのまま元に戻すのではなく、「ほっぺちゃん」をフックとしたIPブランドの成長をめざすことを決めた。ガチャガチャ、卸売り、ライセンス、ワークショップなどを通じてサン宝石以外の売り場やイベントにも展開。そこで出会ったファンがSNSで自発的に発信し、その声が子どもたちなどの新しいファンへ届く循環が生まれているという。

「ほっぺちゃん」をフックとしてファンとの接点拡大を図る
「ほっぺちゃん」をフックとしてファンとの接点拡大を図る

「ほっぺちゃん」の手作りワークショップ、撮影ブース、寄せ書きコーナー、限定商品、過去作品展示、従前のカタログの展示などを通じて、ファンが「買う」だけではなく、思い出す・作る・参加する・共有する体験を提供する。

海外戦略も進行し、日本ならではの「かわいい」「手作りの温かさ」「ファンとともに育つ」文化を背景に「ほっぺちゃん」を世界へ届けることをめざす。

多様性の象徴として再定義

「ほっぺちゃん」は職人の手しぼりで作られ、色も形も表情もそれぞれ異なる。この特長から、サン宝石は「ほっぺちゃん」を多様性を象徴するキャラクターとして再定義している。

職人の手しぼりで作られる「ほっぺちゃん」
職人の手しぼりで作られる「ほっぺちゃん」

着ぐるみ化、アニメ化、手作りキットでファン接点拡大

サン宝石は近年、「ほっぺちゃん」の着ぐるみ事業を開始した。着ぐるみ化によりイベント、ポップアップ、ファンミーティング、地域連携、企業コラボなどリアルな場での体験価値を広げる。

2026年1月10日からは、「ほっぺちゃん」のアニメ放送を開始。反響は「好評」だという。

「ほっぺちゃん」の着ぐるみ化、アニメ化が進んでいる
「ほっぺちゃん」の着ぐるみ化、アニメ化が進んでいる

近年は職人が「ほっぺちゃん」をしぼる動画がSNSで反響につながり、「自分でも作ってみたい」という声が寄せられているという。こうした声を受け、サン宝石はワークショップや手しぼりキットを展開し体験を提供してきた。16周年では“手しぼりキット”の再販、体験イベントの拡大、企業・クリエイター・キャラクターとのコラボレーションを通じて新たな価値創造をめざす。

「ほっぺちゃん」しぼりワークショップ(左)、「ほっぺちゃん」手しぼりキット(右)
「ほっぺちゃん」しぼりワークショップ(左)、「ほっぺちゃん」手しぼりキット(右)

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[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」

4ヶ月 2 週間 ago
越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
SBペイメントサービスの調査によると、海外販売を行う企業の64.4%が、国・地域ごとのオペレーションの違いに負担を感じていることがわかった。越境・海外ECの拡大意欲は高い一方、法規制対応や決済環境の整備、日本語サポートの不足が課題となっている。
furukawa2026年5月13日

SBペイメントサービスがこのほど実施した調査によると、海外販売を手がけているまたは検討している企業の間で越境展開への関心は高い一方、国・地域ごとの決済や運用対応が大きな課題になっている。複数国で販売を行う企業の64.4%が国・地域ごとのオペレーションの違いに負担を感じたことがあると回答した。

実施中企業の相談先はJETRO、検討中企業はコンサル会社が上位

海外販売にあたっての相談先を見ると、実施中の企業では「日本貿易振興機構(JETRO)」が31.5%で最多となり、「税理士・公認会計士」が29.3%、「商社」が28.2%、「コンサル会社」が27.9%で続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
実施中企業の相談先はJETRO、検討中企業はコンサル会社が上位

一方、実施を検討している企業では「コンサル会社」が23.9%でトップとなり、「取引先金融機関」が21.0%、「地方自治体」が17.8%、「決済代行会社」が17.4%で続いた。

販売先は東アジア・東南アジアが中心、検討先でも上位に

海外販売を実施している国・地域は、「東アジア・東南アジア」が64.4%で最も高く、「北米」が53.0%、「欧州」が43.7%で続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
販売先は東アジア・東南アジアが中心、検討先でも上位に

実施を検討している企業でも、「東アジア・東南アジア」が43.8%で最多となり、「欧州」が29.3%、「中国」が25.0%だった。

実施中企業の課題は法規制対応、検討中企業は日本語サポート不足

海外販売を実施している企業に対し、複数国で販売を行う際、国・地域ごとに異なる対応や法規制などのオペレーションについて負担を感じたことがあるか尋ねたところ、64.4%が「感じたことがある」と回答した。一方、「感じたことはない」は6.0%にとどまり、その差は10倍以上となった。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
6割強が国・地域ごとに異なる対応や法規制などのオペレーションについて負担

海外事業全般で売上や事業運営に影響が大きい課題として、実施中の企業では「法規制・コンプライアンスへの対応」が33.8%で最多となり、「現地の商習慣や経済情勢、ニーズの把握」が32.1%で続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
実施中企業の課題は法規制対応、検討中企業は日本語サポート不足

一方、実施検討中の企業では「導入・運用時における日本語サポートの不足」が22.8%で最も多かった。

海外事業全般で感じている課題に対して、最も必要な支援を聞いたところ、全体では「法規制・コンプライアンスに関する支援」が14.9%でトップ。次いで「現地市場・顧客ニーズ調査・情報提供、商習慣に合わせた対応」(10.5%)、「現地向けマーケティング支援」(9.7%)が続いた。

越境・海外ECは何が負担? 「法規制・コンプライアンスへの対応」「導入・運用時における日本語サポートの不足」
海外事業全般で感じている課題に対して、最も必要な支援

業種別で見ると、金融・保険業では「現地向けマーケティング支援」(20.0%)、建設業では「法規制・コンプライアンスに関する支援」(23.4%)、商社・卸売業では「法規制・コンプライアンスに関する支援」(21.7%)と「導入・運用時における日本語サポート」(18.3%)が最も必要とされていることがわかった。

クレカ以外に北米はPayPal・Apple Pay、アジアはローカル決済が浸透

海外販売で現在利用している決済手段は、「クレジットカード決済」が47.4%で最多だったが、「現地銀行経由の海外送金」が35.6%、「現地のQRコード/電子マネー決済」が35.4%と続き、ローカル決済の存在感も大きい。


海外販売で現在利用している決済手段

国・地域別に見ると、「クレジットカード決済」以外では、北米で「PayPal」「Apple Pay」、欧州で「Apple Pay」がよく導入されている一方、中国や東アジア・東南アジア、南アジア、オセアニアでは「現地のQRコード/電子マネー決済」が広く使われていた。


クレカ以外に北米はPayPal・Apple Pay、アジアはローカル決済が浸透

決済課題は「手数料」「不正対策」「キャッシュフロー」

海外販売における決済面の課題では、「決済・送金・為替手数料の高さ」が31.9%で最多となり、「不正利用対策・セキュリティ対策」が31.2%、「入金サイクル・キャッシュフロー」が27.6%で続いた。


決済課題は「手数料」「不正対策」「キャッシュフロー」

また、決済課題への対応について「対応方法を検討中・対応できていない」「国・地域ごとに対応状況にバラつきがある」と回答した企業は合計47.5%に上り、約半数が十分に対応しきれていない状況だった。特に海外拠点で販売する企業では55.0%と高く、現地拠点を持つほど運用の複雑さが増していることがうかがえる。


決済課題への対応状況

対応が最も難しい国・地域としては、「中東・アフリカ」が19.4%で最も高く、「中国」が18.8%、「東アジア・東南アジア」が17.0%で続いた。販売拡大の有望市場と、決済対応の難所が重なっている点は、事業者にとって悩ましいポイントと言えそうだ。


対応が最も難しい国・地域

海外販売における決済課題に対して、最も必要な支援を尋ねたところ、全体では「決済・送金手数料や為替コストの削減」が13.5%で最多となった。次いで「不正検知・チャージバック対策」(12.0%)、「最適な現地決済手段の提案・導入」(11.5%)が続いた。


海外販売における決済課題に対する必要な支援

業種別では、コンサルティング・会計・法務・人材では「決済・送金手数料や為替コストの削減」(21.7%)と「決済データ分析による課題の可視化、決済承認率の改善」(19.6%)、不動産・宿泊業では「最適な現地決済手段の提案・導入」(19.6%)、小売業では「決済・送金手数料や為替コストの削減」(19.4%)、飲食業では「不正検知・チャージバック対策」(20.5%)、運輸・物流業では「決済手段ごとの売上データの一元管理」(20.0%)の支援が最も必要とされていることがわかった。

今後5年で4割超が海外販売を拡大へ。小売・卸・飲食では5割超

今後5年以内に海外販売を「拡大する予定がある・拡大を検討している」と回答した企業は43.5%だった。


今後5年以内に海外販売を拡大する予定

業種別では、商社・卸売業、小売業、飲食業で5割を超えており、海外販売への意欲は引き続き高い。


業種別の今後5年以内に海外販売を拡大する予定

拡大したい国・地域では、「東アジア・東南アジア」が42.3%、「北米」が41.6%、「中東・アフリカ」が41.3%で上位となった。


展開を拡大したい国・地域

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ

4ヶ月 2 週間 ago
LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
LINEヤフーは2027年3月期の経営方針として「AIエージェント化の推進」を掲げ、一般ユーザー向け「Agent i」と企業・店舗向け「Agent i for Business」を軸にAI活用を本格化する。LINEを起点にした体験進化と既存サービスのAI対応を進め、課金・広告・コマースを含む新たな収益モデルの構築も視野に入れる。
furukawa2026年5月13日

LINEヤフーは2027年3月期の経営方針の柱として「AIエージェント化の推進」を掲げ、ユーザーと企業・店舗の双方でAI体験を再設計する。具体的には、「LINEを起点とした体験進化」と「既存サービスのAI時代適合」を両輪で進め、日常利用の導線にAIを組み込むことで、利用拡大と将来的なマネタイズにつなげる方針だ。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
LINEヤフーは2027年3月期の経営方針の柱として「AIエージェント化の推進」を掲げている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

一般ユーザー向けは「Agent i」。「LINE起点」でAI利用を広げる

一般ユーザー向けには「Agent i」を展開する。各サービスをAIエージェント化しながら、対応領域を順次広げていく構想だ。特徴は、複雑なプロンプト入力を前提とせず、タップ中心で目的の情報や商品にたどり着ける“ナビゲーション型”の体験をめざしている点にある。

対象領域としては、「買い物」「おでかけ」「天気」「レシピ」「ヘルスケア」など日常生活に近い領域から、「仕事相談」「日程調整」「航空券手配」「住まい探し」「子育て」まで幅広い分野を想定している。

今後は、情報検索やレコメンドにとどまらず、ユーザーの要望に応じてタスクを代行する方向への発展も視野に入れている。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
一般ユーザー向けは「Agent i」を「LINE起点」でAI利用を広げる(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

企業・店舗向けは「LINE公式アカウント」をAI化

企業・店舗向けには「Agent i for Business」を展開。LINE公式アカウントを“ビジネス向けAIエージェント”へ進化させる方針を示している。

接客領域:AIモードで顧客対応を自動化

接客領域では、LINE公式アカウントの「AIモード」を活用し、顧客対応をAIが補完する。多重同時対応や営業時間外対応を可能にすることで、ユーザー利便性と店舗側の運用効率を両立させる狙いだ。LINE公式アカウントのビジネスアカウント数は100万超としており、LINEヤフーはこの既存基盤をAI展開の重要アセットと位置付けている。

運用・分析領域:「Agent i BI」で施策実行を支援

運用・分析領域では、「Agent i BI」を展開する。マーケティング施策の立案から実行、分析までをAIが支援し、担当者の業務効率化と高付加価値業務へのシフトを促す考えだ。LINEヤフーは、こうした領域を“運用のエージェント化”と位置付けている。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ
企業・店舗向けにLINE公式アカウントを“ビジネス向けAIエージェント”へ進化させる(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

マネタイズは「ユーザー/クライアント課金・広告・コマース」

AIエージェント化は現時点では利用拡大フェーズにあるが、LINEヤフーは2027年3月期以降のマネタイズ方針も示している。「AI時代に即した新たなマネタイズモデル」として、次の4方向を整理している。

  • ユーザー課金:LYPプレミアム会員を基盤に、コンシューマー向けAI課金プランを拡充
  • 広告:エージェント上で「Agent型広告」を提供(現在テスト中)
  • コマース:AIによる購買支援を通じてコンバージョン改善や手数料収益につなげる
  • クライアント課金:LINE公式アカウントの「AIモード」で課金を盛り込む

単なる広告表示だけではなく、AIとの対話や提案導線の中に収益機会を組み込む構想を描いている。

LINEヤフーが取り組む「AIエージェント化の推進」まとめ

現在は「利用拡大と磨き込み」を優先

AI関連コストについては、「ソフトバンクグループ全体の枠組みの中でコントロール可能」と説明。2025年度のAIコストは約100億円、2026年度も同程度を見込んでいるという。また、現時点では収益貢献よりも、プロダクトの磨き込みと利用拡大を優先する段階と位置付けている。社内KPIとしては、売上よりも「アクティブユーザー数」を重視しているとしている。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円で8.7%増、EC化率は25.8%

4ヶ月 2 週間 ago
ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円で8.7%増、EC化率は25.8%
ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上高は前期比8.7%増の405億6400万円だった。デジタル戦略の進展で会員基盤の拡大が進み、高額購買会員の増加や会員売上高構成比の上昇がみられた。
furukawa2026年5月13日

ユナイテッドアローズの2026年3月期におけるEC売上高は、前期比8.7%増の405億6400万円だった。単体売上高に占めるEC比率は同0.5ポイント減の25.8%。また客数は同6.9%増、客単価は同0.4%増だった。

ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円、8.7%増
EC売上高は前期比8.7%増の405億6400万円(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ユナイテッドアローズでは、デジタル戦略の進展により顧客基盤の強化が進んでいる。特に、優良顧客の会員数や会員売上高構成比が拡大しているという。

年間10万円以上購入する「UAクラブ高額購買会員」は、2026年3月期時点で約18万人となり、2023年3月期比で約60%増。売上高シェアは50.9%で、同4.3ポイント上昇した。

ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円、8.7%増
優良顧客の会員数推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

会員基盤全体でも拡大が進んでいる。アクティブ会員数は164万1000人に達し、2023年3月期比で25.6%増となった。会員売上高は844億円で同43.7%増、会員売上高構成比は54.8%となり、同5.2ポイント上昇した。

ユナイテッドアローズの2026年3月期EC売上は405億円、8.7%増
UAクラブ会員の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

このほか、会員維持率は58.2%で2023年3月期から4.6ポイント上昇。F2以上の会員比率は50.8%で同1.7ポイント上昇した。クロスユーザー数は24.5万人で、同48.9%増となった。

ユナイテッドアローズは、アクティブ会員数が前中期経営計画末から33万人拡大し、会員維持率やF2以上会員比率も向上したことで、会員の定着が進んでいるとしている。

アクティブ会員数とF2以上の会員比率の推移を見ると、アクティブ会員数は2023年3月期の130.6万人から、2024年3月期に136.9万人、2025年3月期に151.0万人、2026年3月期に164.1万人へと増加した。

F2以上の会員比率は、2023年3月期が49.1%、2024年3月期が49.0%、2025年3月期が50.2%、2026年3月期が50.8%と堅調に推移している。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
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ユナイテッドアローズ、持株会社制へ移行。名称は「株式会社TABAYAホールディングス」

4ヶ月 2 週間 ago
ユナイテッドアローズ、持株会社制へ移行。名称は「株式会社TABAYAホールディングス」
ユナイテッドアローズは10月1日付で持株会社体制へ移行し、商号を「株式会社TABAYAホールディングス」に変更する。上場を維持しながら、グループ経営の高度化やM&Aを含む多角化を進める。
furukawa2026年5月13日

ユナイテッドアローズは10月1日付で持株会社体制へ移行し、商号を「株式会社TABAYAホールディングス」に変更する。上場は維持したまま、グループ経営の高度化やM&Aを含む多角化を進める。

ユナイテッドアローズ、持株会社制へ移行。名称は「株式会社TABAYAホールディングス」
ユナイテッドアローズは持株会社制へ移行し名称を「株式会社TABAYAホールディングス」に変更する(画像は公式サイトのトップ画面を編集部がキャプチャ)

持株会社体制への移行に向け、4月1日付で100%出資の分割準備会社「株式会社ユナイテッドアローズ」を設立した。今後、現在のユナイテッドアローズを吸収分割会社、分割準備会社を吸収分割承継会社とする吸収分割方式で事業を承継する予定だ。

これにより、現在のユナイテッドアローズは「TABAYAホールディングス」としてグループ全体の戦略立案やガバナンス強化を担い、新会社の「ユナイテッドアローズ」が既存事業を引き継ぐ。

5月11日に吸収分割契約に関する取締役会決議と契約締結を実施し、6月22日の株主総会での承認を経て、10月1日に持株会社体制へ移行する計画。分割準備会社設立による現時点での連結業績への影響は軽微としている。

持株会社体制への移行後は、TABAYAホールディングスが「M&Aを含む多角化の推進」「グループ経営の高度化」「ガバナンスの強化」「子会社経営の自立性向上」を担う。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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500mlボトルが約50円。低価格でも“増収増益”の成長を続けるライフドリンク カンパニーが重要視する3つの戦略

4ヶ月 2 週間 ago

2022年頃から本格化した値上げラッシュ。飲食料品における値上げの勢いは、2025年に比べて小康状態で推移しているものの、消費者の節約意識は高まり続けている。そんななか、低価格を維持しながら「増収増益」を達成しているのが、飲料製品を製造・販売するライフドリンク カンパニーだ。たとえば「OZA SODA(オーザソーダ)」は500ミリリットルのボトルの価格が1本約50円~(2026年4月時点)で、「楽天市場」の水・ソフトドリンクカテゴリーでは5年連続ランキング1位を獲得した。ライフドリンク カンパニーの執行役員 浅井祥平氏とEC事業部の越前真央氏に、「低価格を維持するための3つの重要戦略」を聞いた。

拡大傾向の「清涼飲料水市場」。なぜ値上げが続くのか

富士経済によると、近年、国内の清涼飲料水市場は右肩上がりで伸びており、2026年は前年比4.8%増の5兆8601億円に達すると予測されている。緑茶やほうじ茶などの「日本茶」や「麦茶」のほか、健康意識の向上や止渇需要の高まりを背景に「無糖炭酸飲料」も好調だ。2026年の無糖炭酸飲料市場は、2024年比で113.5%の1480億円になると予測されている。

清涼飲料水市場は右肩上がりで伸びている(出典:富士経済のプレスリリース)
清涼飲料水市場は右肩上がりで伸びている(出典:富士経済のプレスリリース)

飲料市場全体は拡大傾向ですが、品目により増減が明確化しています。生活必需品といえる水・お茶・無糖炭酸飲料は増加している一方、缶コーヒーなど需要が下がっている一部の嗜好品もあります。直近のトレンドとしては、世界的な「抹茶ブーム」が国内の緑茶市場にも多大な影響を与えています。緑茶(煎茶)の生産者が抹茶の生産にシフトする動きがあり、緑茶の生産数が減少しています。しかし、ペットボトル飲料の緑茶市場は拡大しており、結果的に緑茶の価格が高騰しています。(浅井氏)

浅井氏によれば、近年の飲食料品の値上げラッシュは、天候不良などによる原材料の高騰、為替、人件費や物流費の上昇が主な要因になっているという。データバンクによれば、2026年3月の食品値上げは684品目で、そのうち加工食品が304品目と最多になった。

たとえば、伊藤園では、緑茶飲料「お~いお茶」など138品目を2026年3月1日出荷分から値上げした。値上げ幅は5~33.3%で、主力の600ミリリットル入りボトルの希望小売価格は216円から237円に上がった。コカ・コーラボトラーズジャパンも、「綾鷹」ブランドの緑茶飲料22品目を2026年3月1日出荷分から値上げ。値上げ幅は6.3~12.1%で、650ミリリットル入りボトルの希望小売価格は税別200円から220円に上がった。

「OZA SODA(24本入り)」は、最安値の定期便だと1本49.3円(画像はライフドリンク カンパニーのECサイトからキャプチャ)
「OZA SODA(24本入り)」は、最安値の定期便だと1本49.3円
(画像はライフドリンク カンパニーのECサイトからキャプチャ)

「こうした背景により、消費者の“節約志向”が顕著に高まっています」と越前氏。ライフドリンク カンパニーの無糖炭酸飲料「OZA SODA」は、自社EC利用者の約7割が、500ミリリットル1本が約49.3円と最安値で設定している定期便を利用している。他社モールで販売している製品も、1本約60円(時期により多少変動)と類似製品と比較して低価格帯に設定しており、こちらも好調だという。同製品は、「楽天市場」の水・ソフトドリンクカテゴリーで5年連続ランキング1位を獲得した。

ライフドリンク カンパニー EC事業部の越前真央氏(画像提供:ライフドリンク カンパニー)
ライフドリンク カンパニー EC事業部の越前真央氏(画像提供:ライフドリンク カンパニー)

「脱・付加価値戦略」で万人受けを狙う

1950年にお茶の卸事業で創業し、1972年に会社として設立されたライフドリンク カンパニー。過去には氷、乾麺、運輸、太陽光発電など事業を多角化してきた時期もあるが、2015年にPEファンド(非公開株式に投資するプライベート・エクイティ・ファンドの略称)のサンライズキャピタル(東京都港区)に株式を売却し、資本業務提携をしたことを機に「ドリンク事業への一本化」に踏み切った。2023年6月には、プライム市場に上場した。

現在、売り上げの約6割を占めるのが、イオンや西友など約30社のPB商品の製造となる。残り4割は「OZA SODA」をはじめとした水、お茶、炭酸水の自社製品で、これらはECを中心に販売している。自社ECと「Amazon」「楽天市場」が中心だが、近年は、メルカリが提供する「メルカリShops(ショップス)」や「ふるさと納税」など販路を広げているところだ。

ライフドリンク カンパニーは、「水」「お茶」「炭酸飲料」を扱う飲料事業者だ(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)
ライフドリンク カンパニーは、「水」「お茶」「炭酸飲料」を扱う飲料事業者だ
(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)

そんな同社がコンセプトとして掲げるのが、日常使いしやすい「脱・付加価値」と「低価格」だ。“おいしさの中心”を意識して、赤ん坊から高齢者まで誰もが飲みやすい味わいを追求、飲料としての“本質的な価値”を満たすことを重視する。そのうえで、市場における最低価格帯をめざしている。PB製品においても同様の価値を提供しているという。

めざしているのは「おいしさの中心」で、誰にとっても飲みやすい味わいだ(画像提供:ライフドリンク カンパニー)
めざしているのは「おいしさの中心」で、誰にとっても飲みやすい味わいだ
(画像提供:ライフドリンク カンパニー)

日常のあらゆるシーンで飽きずに飲んでいただけることを重視しており、たとえば、「OZA SODA」は「プレーン」「レモン」「ピンクグレープフルーツ」「ライム」「シリカ」の5種類に限定しています。一方で、新規需要開拓を目的にターゲットを絞った期間限定フレーバーも展開していて、最近では、若年男性が好む「エナジードリンク風味」(販売終了)や女性層を意識した「ライチ」を販売しました。(越前氏)

そうした戦略が功を奏して、2026年4-12月期(第3四半期)業績は、売上高が前期比18%増の406億円、営業利益は同10%増の46億円と増収増益を達成。なお、通期ベースでは2017年3月期から9年連続の増収、営業利益は2020年3月期から増益を続けている。

低価格を維持するための3つの重要戦略

飲料大手が続々と値上げを実施するなか、ライフドリンク カンパニーは、なぜ値上げ幅を抑制し、最低価格帯を維持できているのか。浅井氏によれば、次の3つの戦略が低価格を支える柱になっているという。

1. 少品種大量生産

現在、ライフドリンク カンパニーが製造・販売するのは「水」「お茶(茶葉製品を含む)」「炭酸飲料」の3領域のみ。サイズも「500ミリリットル」と「2リットル」の2種を中心としている。最も需要の多い品種のみを大量に生産することで、生産効率を最大限に高めているという。PB事業においても、低価格を優先し、得意先ごとにペットボトルやキャップの形状を変更することはしていない。ラベルだけを変えて製造している。

生産効率向上のためには、製造を止める時間を作らないのが重要です。もし、ペットボトルの形状がたくさんあるとしたら、形状を変更するたびに機械を止めて、6~8時間をかけて金型を交換しなければなりません。当社では、ペットボトルの形状を限定し、500ミリリットルと2リットルの2つのラインを設けることで、連続生産を可能にしています。(浅井氏)

ラインアップは「水・お茶・炭酸飲料」のみ、サイズは「500ミリリットル」と「2リットル」が中心だ(画像はライフドリンク カンパニーのサイトからキャプチャ)
ラインアップは「水・お茶・炭酸飲料」のみ、サイズは「500ミリリットル」と「2リットル」が中心だ
(画像はライフドリンク カンパニーのサイトからキャプチャ)

2. 製造工程の内製化

物流費の削減を目的に、「ペットボトル」の内製化も行っている。ライフドリンク カンパニーでは、海外からレジン(樹脂)を買い付け、自社工場で一からペットボトルを製造している。同様の手法を取っているメーカーもあるが、多様な形状を扱う場合、すべての製造ラインを自社で賄うのは現実的ではなく、100%の自社製造は難しくなる。そんななか、ほぼ100%のペットボトルを自社で製造していることがライフドリンク カンパニーの強み、すなわち「低価格」を支える戦略になっているそうだ。

メーカーによっては、一部は自社で製造して、残りは完成したペットボトルを購入する。あるいは、プリフォームと言って、ボトル形状に膨らませる前段階の「試験管」のような形状をした中間製品を購入する場合もあります。特に完成品を輸送する場合は、ほぼ“空気”を運んでいるようなもので、非常に輸送効率が悪いんです。(浅井氏)

ペットボトルは自社で、ほぼ100%内製化している(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)
ペットボトルは自社で、ほぼ100%内製化している
(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)

こうして輸送費を削減したうえで、製品ごとのペットボトルの厚みの調整も行っている。炭酸飲料ではガス抜けを防ぐために一定の厚みが必要だが、それ以外の製品は、品質に影響のない範囲で薄肉化して材料費の削減につなげているという。

3. 工場の全国展開

小中規模の工場を全国的に構えることも、物流費の抑制につながっている。現在、ライフドリンク カンパニーでは岩手から宮崎まで全国14か所に工場を展開。新規建設に加え、M&Aによる工場取得を積極的に進めている。2024年3月には、静岡県御殿場市に新設工場が誕生。2026年1月には、子会社の群馬ビバレッジがポッカサッポロフード&ビバレッジ・群馬工場を取得し、新たに生産を開始している。

グループ全体で全国に14の飲料工場を展開し、物流費を抑制(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)
グループ全体で全国に14の飲料工場を展開し、物流費を抑制
(画像はライフドリンク カンパニーの「2026年3月期 第3四半期 決算補足説明」より)

物流費は年々上昇していますが、工場を全国展開することで各店舗までのデリバリーコストを極小化しています。また、BCP(事業継続計画)の観点でもメリットがあり、地震などの災害時に一部工場の生産が停止しても、その他地域の工場で生産を継続できます。M&Aを拡大戦略の一つに据えているのは、新設よりも大幅に時間やコストを削減できるためです。(浅井氏)

競合より“わずかでも安い”ことが選ばれる理由に

日本のインフレ率は、2022年から上昇し、2023年には1992年以降最高となる3.27%を記録した。2026年度は1%台後半に鈍化するという予測もあったが、中東情勢悪化による影響が懸念され、野村證券では2026年半ばにも再び2%を上回ると予想している(参考:野村リサーチ「日本経済見通しを修正 原油高踏まえ、物価見通しを大幅に上方修正 野村證券・森田京平」)。

そして、賃上げ率はというと、2023年以降に急上昇している。2024年は賃上げ率(全規模)で5.10%、賃上げ率(中小)で4.45%となり、約30年ぶりの水準となった(参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書(HTML版)」)。こうしたなか、「消費の二極化が顕著になっている」と浅井氏は指摘する。

現在は、ようやく賃金上昇が物価高騰に追いついてきたところかもしれません。とはいえ、消費者の節約志向は続いていて、「商品の二極化」がますます進んでいる印象です。嗜好品や贅沢品には相応のコストを支払うけれど、日常の食品や日用品といった生活必需品は、できる限り節約したい方が大半だと考えます。そうした領域では、競合よりわずかでも安いことが「選ばれる理由」になってきます。

一方で、あらゆるコストが上がるなかで、適切に価格転嫁していくことも求められます。そのため「低価格」は維持しつつも、各小売店やECサイトの状況を見ながら随時、判断していきたいと考えています。(浅井氏)

「脱・付加価値」「低価格」の戦略を継続しつつ、今後は自販機事業にも参入していくと浅井氏は話した(画像提供:ライフドリンク カンパニー)
「脱・付加価値」「低価格」の戦略を継続しつつ、今後は自販機事業にも参入していくと浅井氏は話した
(画像提供:ライフドリンク カンパニー)

ライフドリンク カンパニーでは、引き続き「脱・付加価値」「低価格」を掲げつつ、新規顧客獲得につながりやすい数量限定商品も積極展開していく方針だ。さらに、今後は自社製品の販路を自動販売機にも広げていく。この3月に新たに設立した子会社にて、ポッカサッポロフード&ビバレッジの自動販売機事業を継承。全国にある4万台が承継される見込みだ。

※記事初出時、商品ラインアップ画像の出典元に誤りがあったため、5/18 12時00分に訂正しました。修正してお詫び申し上げます。(編集部)

この記事の筆者

[ 執筆 ] 小林 香織

フリーライター/北欧イノベーション研究家

「自由なライフスタイル」に憧れて、2016年にOLからフリーライターへ。【イノベーション、キャリア、海外文化】などの記事を執筆。2020年に拠点を北欧に移し、デンマークに6か月、フィンランド・ヘルシンキに約1年長期滞在。現地スタートアップやカンファレンスを多数取材する。2022年3月より東京拠点に戻し、北欧イノベーションの研究を継続する。

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クラダシが自社開発した“滞留予測AI”とは?過剰在庫の未然防止システムを提供開始

4ヶ月 2 週間 ago
クラダシが自社開発した“滞留予測AI”とは?過剰在庫の未然防止システムを提供開始
クラダシはサービスの提供を通じて「フードロスを生まない」仕組みの構築を支援し、サプライチェーン全体の最適化を図る。従来からの事業でクラダシが買い取り、売り切ってきたマーケットプレイスとしての実務基盤を生かす
ohshima2026年5月13日

クラダシはこのほど、食品メーカー向けにフードロスを未然に防ぐための滞留在庫予測サービス「Kuradashi Forecast」の提供を開始すると発表した。いつ・どれだけ余るかを可視化し、最適な販促アクションを提示する。

運営するフードロス削減のECサイト「Kuradashi」での販売を通じて独自の滞留予測エンジンを自社で開発。食品メーカーが抱えた過剰在庫は「Kuradashi」での買い取りも提案する。

「Kuradashi Forecast」は、メーカーの在庫管理・販売管理データをAPIやCSVで連携し、滞留予測エンジンによって「滞留リスクの高い危険SKU」を早期に判定するサービス。滞留の可能性がある商品を可視化し、的確なアクションを促す。また、蓄積されるデータを導入企業が商品設計や生産計画に活用することで、「フードロスを生まない」仕組みの構築を支援する。

「Kuradashi Forecast」の主な機能と特長は次の通り。

  • 危険SKUの早期判定:在庫量、賞味期限、出荷ペースを統合し、残日数・在庫量・ 消化速度に過去の販売知見を掛け合わせ、いつ、どれだけ余るかを予測する。
  • 推奨アクションの提示:最適な「推奨売価帯」の提示、「Kuradashi」での買い取り提案など、具体的なアクションを提示する。
  • 実務データに基づくロジック:市場の価格反応に基づいた実効性の高いロジックを提供する。これまでにクラダシが買い取り、売り切ってきた実務基盤をベースとする。
「Kuradashi Forecast」の機能や特長
「Kuradashi Forecast」の機能や特長

クラダシはこれまで、フードロスの危機にある商品を買い取り、「Kuradashi」で販売する「1.5次流通」を行ってきた。発生したロスを救うだけでなく、ロスの発生を未然に防ぐアプローチも必要だという考えから、独自の滞留在庫予測エンジンを開発した。

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[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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ハルメク、フジサンケイのBSフジと協業。50代以降女性向けのライフスタイル情報番組を放送開始【5/17から】

4ヶ月 2 週間 ago
ハルメク、フジサンケイのBSフジと協業。50代以降女性向けのライフスタイル情報番組を放送開始【5/17から】
BSフジの発信力とハルメクの強みを掛け合わせ、健康・住まい・お金・旅など、50代からの女性が関心を寄せるテーマを紹介する番組を開始する
ohshima2026年5月13日

ハルメクホールディングス傘下のハルメクはこのほど、BSフジとの共同企画によるTV番組「いろどりびより ~人生を彩るトキメキの時間~」の放送を5月17日から開始すると発表した。

BSフジの発信力と、読者のリアルな声をもとに雑誌を作ってきたハルメクの強みを掛け合わせ、新たなライフスタイル情報番組を展開。自社の雑誌「ハルメク」を通じて発信してきたライフスタイル情報をテレビを通じて視聴者に届ける。


番組ロゴと、出演するお笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」

番組では、雑誌「ハルメク」で紹介している健康・住まい・お金・旅など、50代以降の“ハルメク世代”の女性が関心を寄せるテーマを取り上げる。視聴者の共感や新たな発見を楽しめる構成で、テレビと雑誌「ハルメク」の双方で楽しめる内容とする。

雑誌「ハルメク」と連動したコーナーでは、連載「リンパのミカタ」の木村友泉さんがゲストとして登場し、日常に取り入れやすいリンパケアのポイントを紹介。また、「ハルメク」2026年5月号に登場した片付けのプロ・大津たまみさんは、「かがみたくない」「時間をかけたくない」などのニーズに応える家事スタイル「ないない家事」を伝授する。

番組概要

  • 番組名:いろどりびより ~人生を彩るトキメキの時間~
  • 放送局:BSフジ
  • 放送予定 :2026年5月17日午後6時~
  • 出演者:阿佐ヶ谷姉妹(お笑いコンビ)、柳原可奈子さん(タレント)、野々村真さん(俳優)、野々村俊恵さん(タレント)、木村友泉さん(リンパケアマスター)、大津たまみさん(掃除・片付けのプロ)
  • 主な内容:健康、住まい、お金に関連するノウハウ・トピックス

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[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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イオンの「共創型」リテールメディアの全ぼう+顧客価値創出の実践事例がわかるリアルECセミナー【5/26開催】

4ヶ月 2 週間 ago
イオンの「共創型」リテールメディアの全ぼう+顧客価値創出の実践事例がわかるリアルECセミナー【5/26開催】takano-mai2026年5月12日イベント・セミナー

5月26日(火)に東京・日比谷国際ビルコンファレンススクエアで「ネットショップ担当者フォーラム 2026 春 ~ eコマースコミュニケーションDay ~」を開催します。イオン、SHEIN、キタムラ、アルビオン、アテニア、DECENCIA、キタムラなど著名企業の実践的事例や最新戦略を学べるセッションを多数ご用意! 全公演無料で聴講できます(事前登録制)。まだお申し込みをしていない人のために、編集部おすすめコンテンツの見どころを紹介します。

見どころ③ イオンの購買データ×店舗接点で実現する「共創型」リテールメディア
~メーカー連携による顧客価値創出の実践事例~

5月26日(火)10:30~11:20 A-1

セッションでは、広告枠としてのリテールメディアの販売に留まらず、「購買を動かす接点設計」を軸に、メーカーとの連携を通じたイオン流の顧客価値創出の取り組みをご紹介します。

セッションに登壇する赤坂氏は、デジタルコンサルティングや新規事業開発の実務経験を持つ人物。国内最大級の店舗網を有するイオンで、リテールメディアの推進を担っています。

サイネージをはじめとした店舗接点と購買データをどのように掛け合わせ、どのように効果検証を行っているのか、実践事例を交えて解説。リテールメディアの具体的な運用や、販促効果の可視化に関心のあるEC・小売担当者にとって学びを得られる内容を届けます。

イオン株式会社 リテールメディア推進部 部長 赤坂徳聖氏

イオングループ全体のメディア・データ基盤を統合し、リテールメディアを起点とした新たな価値創出を推進している。デジタルコンサルタント、モバイルマーケティング、新規事業開発など幅広い領域で実務・マネジメントを経験してきた実績を持つ。

ネッタヌネッタヌ

年間10兆円以上の売り上げ、年間数十億人以上の来店者、1億人以上の「WAON POINT」会員、全国1万7,000の店舗網を持つイオンさん。単なる広告事業ではなく、生活者と共に成長する“共創ドリブン型”のマーケティングをめざしています。

セッションでは、イオンさんのリテールメディアの現在地、全国のリアル店舗のネットワークを生かした取り組みなどを、実例とともに詳しく解説します。リテールメディアの活用に関心がある方は必聴の内容です!

講師との名刺交換、3講演以上聴講で豪華賞品が当たる抽選会も

会場には、Wi-Fi、電源をご用意。講演後には講師との名刺交換の時間もあります(一部講演を除く)。また、3講演以上聴講すると、和牛やワイヤレスイヤホンなど豪華景品が当たる抽選会も実施します。

セミナー後に懇親会を開催

セミナー後、5月26日(火)18時30分~20時00分まで、セミナーに登壇した講師、EC事業者、外部招聘ゲスト、スポンサー企業などが参加する懇親会を開催します。

「こんな時どうしている?」「EC運営にAIをどのように活用しているか知りたい」「横のつながり作りをしたい」など、講演者やEC事業者さん同士の情報交換、課題の共有などが行えるリアルな交流の場です。

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「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策

4ヶ月 2 週間 ago
「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
Joshin(旧上新電機)は中期成長戦略「JT-2028経営計画」で、2029年3月期にEC売上高に占める自社ECサイトの販売比率5割の実現を掲げた。OMO推進やPB商品への本格参入、実店舗改革を通じて、収益力の強化を図る。
furukawa2026年5月12日

家電量販店を展開するJoshin(旧上新電機)は、営業利益100億円超をめざす新中期成長戦略「JT-2028経営計画」を進める。ECと実店舗を融合させるOMO戦略を重要テーマの1つに位置付け、2029年3月期までにEC売上高に占める自社ECサイト販売比率50%の実現を掲げた。2027年3月期はその通過点として、自社EC比率を現状の44%から46%へ引き上げる計画だ。

「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
「JT-2028経営計画」達成に向けたロジックツリー(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「JT-2028経営計画」では、2027年3月期〜2028年3月期を「変革フェーズ」と位置付け、中長期的に勝ち続けるための基盤固めを進める。最終年度となる2029年3月期以降は「飛躍フェーズ」とし、創業100周年を見据えた“次のステージへのジャンプ”をめざすとしている。

2027年3月期は自社EC比率を46%へ引き上げ

EC戦略の柱として掲げるのは、「自社ECサイト販売比率50%の実現」と「家電販売比率の向上」だ。2027年3月期は、次の4施策を重点的に進める。

  • 自社サイトへの流入数(来店数)拡大
  • リアル店舗とECの相互利用を促進するOMO戦略
  • 家電製品の販売拡大
  • 自社サイトの成約数拡大

数値目標として、自社ECサイト販売比率を44%から46%へ引き上げるほか、相互利用稼働会員数を前期比15%増、自社サイト稼働会員数を同7%増、家電販売額を同2%増とする計画だ。

「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
重点戦略とするECの取り組み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

また、ECの配送対応については「一部離島・山間部などを除く」としながらも、リサイクルを伴う大型家電の配送・設置サービスを全国へ拡大する方針を示した。

PB商品に本格参入、家電全般へ拡大も視野

PB(プライベートブランド)事業にも本格参入する。Joshinは2025年10月、商品部内に「商品開発室」を新設。OEM協業先の開拓を進め、2026年度から中小型家電を中心にPB商品の投入を開始する。

2027年3月期に発売予定の商品として、電池、電球、ハンディクリーナー、電子レンジ、炊飯器、電気ケトルなどをあげている。2027年3月期の計画では、PB商品の売上高構成比を4.6%、PB商品150SKUの開発を目標に据えた。

さらに中長期では、PB対象を中小型家電からエアコンなど大型家電を含む家電全般へ拡大する方針。2029年3月期には、PB売上高構成比10%、PB商品数500SKU超を目標としている。

「次のステージへジャンプする」ためにJoshinが取り組むOMO戦略と自社サイト販売比率5割の施策
PB商品戦略について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

不採算店舗整理やアウトレット・リフォーム事業も強化

実店舗戦略では、「リアル店舗数に依存しない持続可能な事業体制への転換」を進める。不採算店舗の撤収やスクラップ&ビルドを進め、最大15店舗程度を整理する見通し。一部店舗はアウトレット業態へ転換し、地域競争力の強化を図る。

また、リフォーム事業も重点領域と位置付ける。従来のパッケージ型リフォームに加え、オーダーリフォーム領域へ参入。関西エリアを中心に事業展開地域の拡大を進めるほか、外部企業との協業・提携・M&Aも積極的に推進する。またJoshin店舗と自社ECサイト双方でリフォーム受注体制を整備・強化する。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」

4ヶ月 2 週間 ago
AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
ZOZOは、AIエージェントの普及で「検索して探す」購買行動が変わる可能性を見据え、ECを“提案の場”へ進化させる戦略を打ち出した。中期経営計画では「MORE FASHION」領域の拡大を軸に、対話型AIや着回しAIの活用を進め、検索の次の時代に対応する。
furukawa2026年5月12日

AIエージェントの活用によって「対話型検索」が一般化すれば、将来的には「検索してリンクをクリックする」といった消費行動が減っていく可能性がある。ZOZOはこうした変化を前提に、ECに求められる役割はユーザーのニーズをくみ取り、最適な商品やコーディネートを提案し、そのまま購入につなげるものへと変わっていくと見ている。こうした環境変化に対し、ZOZOは中期経営計画のなかでAIエージェント時代をリスクとして受け止めるだけでなく、「提案の場」になるチャンスをつかむ姿勢を鮮明にしている。

中計の「MORE FASHION」領域でAI対応を明示

ZOZOの中期経営計画では、事業領域を「MORE FASHION」「NEAR FASHION」「GLOBAL」の3つに整理し、「ZOZOTOWN」を中核としながら、その周辺領域にも収益基盤を広げていく方針を示した。このうち「MORE FASHION」は、既存成長の中核を担う領域と位置付ける。収益力を原資に規律ある投資を進めながら、これまで接点を持てていなかった新規ユーザーとの出会いを広げていく考えだ。

具体策としては、ポップアップストア「ZOZOTOWN NAGOYA」や、ファッションと音楽を掛け合わせた「ZOZOFES」など、リアル接点の拡大を進める。加えて、ブランド数の拡充によって、ファッションを買う場としての想起をさらに強めていく方針だ。そして、その延長線上にある重要テーマとして、AIエージェント時代への対応を掲げている。

「検索→クリック→購入」から「ニーズ→推奨→即購入」へ

ZOZOが問題提起するのは、AIエージェントの普及によって、従来の「検索→リンクをクリック→情報収集→購入」という購買導線が短縮され、「ニーズを伝える→推奨される→そのまま購入する」という流れに置き換わる可能性がある点だ。

こうした変化のなかで、ZOZOは汎用(はんよう)的な検索の最適化を追うのではなく、ファッションに特化したAIを磨き、ユーザーの「ニーズ」や「興味」が生まれる段階から関与する戦略を描く。検索される場であり続けるのではなく、ユーザーにとって最初に相談し、提案を受ける場へと進化することが狙いだ。

そのカギを握るのが、ZOZOが保有する独自データだ。流行や情緒的な商品データ、そして購買に近い顧客データを生かすことで「ファッション特化AIエージェントのチャンス」をつかみにいく考えを示している。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
ファッション領域に特化したAIエージェントの可能性を広げていく(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

対話型AIを「服選びの相談相手」に「WEAR」やLINEで提案機能を展開

ZOZOはAI活用を、「日常の服選びを支援する提案機能」として具体化している。対話型AI(LLM)の活用を進めており、「ChatGPT」アプリ上で「WEAR」のコーディネートを提案する取り組みを展開。LINE公式アカウントでは、「ZOZOの似合うコーデAIラボくん」として、対話を通じて服選びを支援する導線も整えている。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
ChatGPTアプリ上でWEARのコーディネート提案を行う取り組みやLINE公式アカウント活用を進めている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「WEAR」ではAIに学習させる「似合う」データの整備も進めている。具体的には、「好みのジャンル」「体型の悩み」「味付け」「与える印象」という4つの要素を搭載。新たにコーデごとの「味付け」や「与える印象」も加えることで、より個人に合った提案につなげる狙いだ。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
「WEAR」ではAIに学習させる「似合う」データの整備も進めている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ZOZO保有データとAIの掛け合わせで、“買った後”まで支援

ZOZOのAI活用は、購入前の提案にとどまらない。購入後の活用を見据えた「アイテム着回しAI」も実装。初期効果として利用者の翌月再訪問率が1.1倍になるなどの成果が出ているという。

この取り組みの特長は、AIが参照する情報が一般的なファッション知識だけではない点にある。ユーザーのお気に入り登録商品や購入済みアイテム、好みに関する情報に加え、ZOZO独自のコーディネートTipsなど、自社が蓄積してきたデータを活用することで、購入後も継続的にスタイリングを支援する構想を描いている。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
購入後の活用を見据えた「アイテム着回しAI」も実装(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「LYST」でも「主戦場はAIエージェントへ」

AIエージェント時代への備えは、国内の「ZOZOTOWN」にとどまらない。グループに加わった、欧米を中心に展開するファッションショッピングプラットフォーム「LYST」についても、「主戦場はAIエージェントへ」と明示している。

そのなかでZOZOは、自社が持つデータ知見やノウハウが、「LYST」の成長にも有効に働くとみている。

AIエージェント時代、「検索はされなくなる可能性」にZOZOはどう対処する?「『提案の場』になるチャンスをつかみに行く」
自社が持つデータ知見やノウハウが「LYST」の成長にも有効としている(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

社内でもAI活用を可視化、独自指標「AZARS」を導入

ZOZOは、AIをサービスに実装するだけでなく、社内活用の基盤整備も進めている。独自指標「All ZOZO AI Readiness Score(AZARS)」を導入し、主観的になりがちなAI活用度を全社共通の基準で可視化・評価、活用レベルの底上げを図る。AI活用を一部の部署や担当者にとどめず、組織全体の競争力として高めていく狙いがある。

現時点で送客効果は限定的

もっとも、「ChatGPT」やLINEを通じたAI関連施策の送客効果は、現時点ではまだ限定的という。ZOZOによると、「ChatGPT」ではユーザーが明示的に操作しなければ機能を利用しにくい面があり、LINEについても全面展開には至っていない。

それでもZOZOは、こうした取り組みを先行して進めることに意味があると見る。実際の対話データを元に改善を重ねることで、提案精度やユーザー体験の向上につなげていく考えだ。

なお、外部LLMへのデータ流出については、ZOZOの保有データをそのまま外部に取り込ませる構造ではなく、ユーザーの入力を自社側でファッション文脈に変換し、適切な商品やコーディネートを返す仕組みを想定しているため、大きなリスクはないとしている。

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ケーズホールディングスのEC売上倍増をめざす取り組みとは? 2027年3月期にEC刷新で新サイトをリリース

4ヶ月 2 週間 ago
ケーズホールディングスのEC売上倍増をめざす取り組みとは? 2027年3月期にEC刷新で新サイトをリリース
ケーズホールディングスは中期経営計画で、EC売上高の倍増を目標に掲げている。2027年3月期中の新ECサイトリリースを軸に、出荷拠点の集約やOMOを含む店舗連携強化、アプリ刷新などを進め、EC成長を支える全社DXを加速している。
furukawa2026年5月12日

家電量販店を展開するケーズホールディングスは、2025年3月期〜2027年3月期を対象とした「中期経営計画2027」で、重点施策の1つに掲げるているのがDXによる業務効率化と売上拡大だ。なかでもEC領域では、オンラインショップの利便性向上、出荷拠点の集約、OMOを含む店舗連携強化を柱に据える。2027年3月期中にはECサイト刷新による新サイトのリリースを予定しており、EC売上高を2024年3月期比で倍増させる目標も掲げている。

ケーズホールディングスのEC売上倍増をめざす取り組みとは? 2027年3月期にEC刷新で新サイトをリリース
中計におけるDX施策の取り組み状況(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ケーズホールディングスのDXは単なるECサイト改修にとどまらない。店舗業務の効率化、本社業務の省力化、商品情報管理基盤の刷新、AI活用、人材育成まで含め、全社横断で構造改革を進めている。EC強化も、その一環として位置付ける。

中計の重点施策は「EC利便性向上」「店舗業務効率化」「システム基盤強化」

ケーズHDはDX戦略の重点施策を大きく3つに整理している。1つ目は、ECと「あんしんパスポート」アプリの利便性向上による売上拡大。2つ目は店舗業務の効率化。3つ目は、社内システム刷新による基盤強化と本社業務の効率化だ。

EC領域では、次の施策を重点的に進める。

  • オンラインショップのUI改善による利便性向上
  • 店頭受け取りの強化
  • 出荷拠点集約による物流効率化
  • EC売上高の倍増
  • 「あんしんパスポート」アプリの機能強化

EC成長を、「集客」「UI改善」「店舗受取」「物流効率」「アプリ活用」を組み合わせた複合施策で実現する考えだ。

2027年3月期中に新ECサイトをリリース

DX施策の中核となるのがECサイトの刷新だ。目的は、顧客利便性向上による売上拡大と、EC価格対応の迅速化によるシェア拡大。2027年3月期中に新ECサイト公開を予定している。

これまでの取り組みとして、インターフェースデザイン改良、商品検索性向上、価格調査体制の見直し・強化、デジタル広告強化などを進めてきた。

出荷拠点集約で受注能力を強化

EC売上倍増を支える基盤として、物流体制の見直しも進める。DX投資の1つとして、EC出荷体制強化による受注能力向上を目的に「EC出荷拠点の集約化」を推進。2025年3月期には、一部地域で発送拠点集約のテストを実施した。2026年3月期には発送拠点の集約化を本格的に進めた。

OMO推進で店舗との相互送客を強化

ケーズHDは、ECを単独チャネルとして強化するのではなく、店舗との連携を前提としたOMO施策も推進している。「ECサイト取組強化」の目的は、店舗連携による相互送客の実現。具体的には店頭受け取りを強化しており、店頭受取件数は2025年3月期に前期比6%増、2026年3月期には同18%増となった。

アプリ刷新や電子レシート導入も推進

スマートフォンアプリの刷新も重点施策の1つに位置付ける。狙いは、顧客利便性向上と個別マーケティング強化による売上機会拡大。2025年3月期には「あんしんパスポート」アプリ内の顧客情報整理を進め、2026年3月期にはトップ画面のリッチ化を実施した。また、電子レシートの導入も進める。これも顧客利便性向上と個別マーケティング強化を目的とした施策として位置付けている。

店舗DXや基幹システム刷新も推進

今回の中計では、EC強化を支える周辺領域のDXも同時に進めている点が特徴だ。店舗業務効率化では、POSシステム刷新(タブレット化)、ストアコンピュータ廃止、店舗・本部間コミュニケーションツール見直しなどを推進。これまでに、POS返品処理操作の簡素化、ネットワーク回線見直し、社内携帯見直し、タブレット型POS導入着手、社内チャットボット活用開始などを進めた。2027年3月期には、接客時の手書き商談メモの電子化もリリース予定としている。

また、社内システム基盤強化では、ECシステム刷新、本社バックオフィス効率化、商品情報管理基盤刷新、データ統合・連携、生成AI活用、クラウド活用加速、IT人材育成・増員などを推進している。2026年3月期には、商品情報管理システムの稼働開始、基幹システムのクラウド移行完了、一部商品を対象とした商品在庫管理へのAI導入などを実施した。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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LINEヤフーのeコマース取扱高は4.2兆円で8.2%増、ショッピングは1.8兆円で6.6%増

4ヶ月 2 週間 ago
LINEヤフーのeコマース取扱高は4.2兆円で8.2%増、ショッピングは1.8兆円で6.6%増
LINEヤフーの2026年3月期は、eコマース取扱高が前期比8.2%増の4兆2612億円となり、リユース事業やトラベル事業が成長をけん引した。ショッピング領域では「Yahoo!ショッピング」の課金モデル転換を進め、リユース領域ではAI活用を通じた機能強化を進めている。
furukawa2026年5月12日

LINEヤフーの2026年3月期連結業績におけるeコマース取扱高は、前期比8.2%増の4兆2612億円だった。リユース事業とトラベル事業が成長をけん引したほか、「Yahoo!ショッピング」ではふるさと納税需要の取り込みと大型販促が好調で取扱高が拡大した。

LINEヤフーのeコマース取扱高は4.2兆円で8.2%増、ショッピングは1.8兆円で6.6%増
eコマース取扱高は前期比8.2%増の4兆2612億円となった(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

このうち、国内物販系取扱高は同6.3%増の3兆3161億円だった。内訳を見ると、「Yahoo!ショッピング」「LINEギフト」「ZOZOTOWN」「LOHACO」などによるショッピング取扱高は同6.6%増の1兆8660億円。「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」「ZOZOUSED」などによるリユース事業の取扱高は同14.0%増の1兆1199億円。一方、アスクルBtoB事業の取扱高は同14.8%減の3301億円。トラベル・飲食分野の取扱高は同11.2%増の5643億円、「LINE SHOPPING」(台湾・タイ)や「ZOZOFIT」などによる海外EC取扱高は同22.5%増の3807億円だった。

2026年3月期の連結業績は、売上収益が前期比6.2%増の2兆363億6600万円、営業利益が同8.3%増の3413億2200万円、当期純利益が同39.9%増の2830億9000万円。コマース事業の売上収益は同1.1%増の8576億円だった。

コマース事業では、2025年10月にアスクルで発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害の影響があったものの、BEENOSやLINE MAN CORPORATION PTE. LTD.の連結子会社化に加え、ZOZOグループやショッピング事業の成長が増収に寄与した。

「Yahoo!ショッピング」は「売上ロイヤリティモデル」へ転換

LINEヤフーは、ショッピング事業とリユース事業の双方で、課金モデルの見直しやプロダクト改善を進めながら、AI活用を強化している。

LINEヤフーのeコマース取扱高は4.2兆円で8.2%増、ショッピングは1.8兆円で6.6%増
「Yahoo!ショッピング」は「売上ロイヤリティモデル」へ転換(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「Yahoo!ショッピング」では、2026年9月に料金プランを改定し、従来の広告モデルから売上ロイヤリティモデルへ転換する。新料金体系は、月額システム利用料1万円、売上ロイヤリティ2.5%、さらに「LINEショッピング」アプリ経由の手数料2〜4%で構成する。LINEヤフーは、プラン改定による収益性改善に加え、将来的にはAI経由手数料の導入も予定している。

リユース領域では、プロダクト改善を通じてAIマネタイズの強化を進めている。「Yahoo!オークション」では、良質な商品の拡充やLINE通知との連携を推進。「Yahoo!フリマ」では、エンタメ領域のマーケティング強化やWeb出品対応を進めている。

AI活用の具体例として、「Yahoo!オークション」でAIが商品説明文や取引メッセージを解析し、詐欺の可能性を検知する機能を導入。Yahoo!フリマでは、出品写真をもとにAIが相場価格を提案する機能などを展開している。

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レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」導入サイトのレビュー、Q&Aの投稿数が1700万件を突破

4ヶ月 2 週間 ago
レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」導入サイトのレビュー、Q&Aの投稿数が1700万件を突破
エージェンティックコマースへの注目が高まるなかで、購入者によるクチコミ、Q&AといったUGCを活用し、ユーザーの関心や利用シーンに応じて提案することの重要性が高まっている
fujita-h2026年5月12日

ZETAは、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」導入サイトにおけるレビューおよびQ&Aの投稿数が、2026年4月時点で1700万件を突破したと発表した。

エージェンティックコマース時代にUGCの重要性が高まる

ZETA VOICE レビューとQ&A件数が1700万件を突破

生成AIやAIエージェントの拡大に伴い、ユーザーがAIとの対話を通じて商品を探索・比較し、購買する「エージェンティックコマース」への注目が高まっている。こうした環境下では、商品スペックや在庫情報だけでなく、購入者によるクチコミやQ&AといったUGC(User Generated Content)を活用し、ユーザーの関心や利用シーンに応じて提案することが重要となる。

「ZETA VOICE」におけるレビューおよびQ&Aの投稿数は、2026年2月に1600万件を突破して以降も着実に増加し、2026年4月時点で累計1700万件を突破した。

レビューやQ&Aの投稿数が拡大している背景には、ユーザーが購入前後の体験や疑問を共有する機会が増えていることに加え、ECサイト上での購買判断において「利用者の声」の重要性が高まっていることがあげられる。さらに、クチコミやQ&Aは商品詳細ページで参照される情報にとどまらず、生成AIによる商品提案や検索、レコメンドなどの精度や納得感を高めるデータとしての活用も広がっていることがあげられるとZETAは説明する。

「ZETA VOICE」とは

サイト内にレビューコンテンツを実装できるサービス。ユーザーのレビューを複数の評価軸で収集し、さまざまなUIで表示する仕組みを簡単に導入することができる。

ZETA VOICE 基本機能
「ZETA VOICE」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)

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この記事の筆者

藤田遥

ネッ担編集部

保険系SE→ECサイト運営を経て、編集未経験でインプレスに入社し、ネットショップ担当者フォーラム編集者に。趣味は音楽を聴く、ゲーム、ショッピング。ライブと買い物に行くとき以外は基本的にインドア派。カレーとコーラが好き。

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藤田遥

「チャンスがない」のではない! 「気づいて、拾いにいけるか」が成功の分かれ道【ネッ担まとめ】

4ヶ月 2 週間 ago
「チャンスがない」のではない! 「気づいて、拾いにいけるか」が成功の分かれ道【ネッ担まとめ】fujita-h2026年5月12日新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

「あの人は運が良かった」。上手くいっている人を見ると、ついそう思ってしまうことがあります。ただ実際には、チャンスは突然空から降ってくるものではありません。「気づいて、拾いにいけるか」が大きな分かれ道です。今回の「ネッ担まとめ」では、天津木村さんの岩手移住の話を通じて、チャンスを拾い上げるための「覚悟」を考えます。

わざわざ岩手に移住した理由

「吟じます」でブレイクから18年…《天津木村(49歳)》の現在 「月収3桁万円→数万円」のどん底味わい、岩手移住で大復活 | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/942059

生放送のMCがどれだけすごい仕事か、それを僕に任せてくれた人の覚悟に対して、週末に岩手に行って東京に戻ってくる仕事でいいのか。岩手の人たちに愛してもらえるのか。同じ空気を吸って、同じものを食べて生活して、ようやく愛してもらえるんじゃないかって、言われました。

それまで僕は、チャンスが転がってくるのを待つタイプだったのですが、チャンスは身の回りにたくさん転がっていて、それに気づいて自分から拾い上げることができるかが勝負だと、教えられました。

そのときに、自分にとってのそれは、岩手に移住して、そこでスターになるためにがんばることだと気づいたんです。

「チャンスを待つ」のではなく「自ら拾いにいく」。この記事を読んで、感動してしまいました。天津木村さんの中でさまざまな葛藤があったのだろうな、と。

場所を変え、空気を変え、「岩手の皆さんに本当に受け入れてもらうには、どうすればいいか?」を考えた。その結果としての移住。表面的な活動ではなく、同じ空気を吸うところまで踏み込んだからこそ、岩手でも応援される存在になっていったんでしょうね。

そこをしっかり覚悟できた「人間性」も根本にある気がします。

ーー東京や大阪で活躍していた身としては、岩手移住に“都落ち”のような意識もあったのではないでしょうか。

そうですね。荷物をすべて車に乗せて、東京から盛岡に入るときには、少し泣いてしまいました(笑)。千鳥など活躍している同期や、東京でがんばっている後輩とか、いろいろなことが頭を巡りました。

でも、そのときに、そういう思いはそこですべて捨てようと思いました。誰に何を言われても関係ない。自分が選んだ道をがむしゃらに進むしかない。そんな切り替えができました。

環境を変えるって、怖いですよね。特に天津木村さんのように、東京そして全国で一度「成功の基準」を持ってしまった人ほど、そこから外れる決断は苦しい。

しかし、その過去の価値観を捨てられるかどうかで、次のステージに行けるかが決まるのかもしれません。

「誰にどう見られるか」ではなく、「自分はどう生きたいか」。

今回はビジネスの話でもECの話でもありませんが、生き方として大切な話としてピックアップしました。

要チェック記事

AIは速度を前払いし、失敗を後払いにする | note | Kosuke Kuzuoka
https://note.com/kkosukeee/n/n99258fe1da3c

そうなんですよね。AIは人間の根本的な「理解」を阻むツールにもなってしまっている。本来、経験を積み重ねないと「理解」はできないんですよね。

太秦映画村が生まれ変わった なぜ、R-18の“拷問部屋”までつくったのか | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2604/21/news017.html

「イマーシブ・フォート東京」も近しいコンセプトの施設だったんですけれどね。こちらの映画村はどうか。とりあえず私はめちゃくちゃ興味あります!

「聖地巡礼に来ました」 なぜ、セブン‐イレブン津田沼店に全国から日本酒好きが集まるのか | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2604/20/news040.html

いやいや、こんなラインアップが充実したコンビニがあったらビビるでしょ! 画一サービスを脱却して「元○○屋さん」のカラーを出す時代がきたのかも。

相手に響かない「AI資料作成」の罠。プレゼンのプロが教えるAIに代替できない3つの営業力 | AdverTimes.
https://www.advertimes.com/20260422/article541722/

「ああAIで作ったのね」になっていますよね(笑)。 大切なのは伝える相手に「響く」かどうか。ログインが必要な記事ですが、ぜひ読んでみてください。

値上げの波と、これからの「値段」の話 | note | 木村祥一郎 / 木村石鹸
https://note.com/yudemen/n/na9f09d89f328

昨年2月に、木村石鹸の木村社長の講演を聴く機会がありました。理論と感性が両立したお話で面白かったです。こういう人が市場をどう見ているか。

魔法の施策は存在しない。泥臭いPDCAでCVを2倍にした広告運用の振り返り|note pro公式 | ANAGRAMS
https://anagrams.jp/blog/ad-pdca-for-cv-growth/

大きな潮流の変わり目には一発逆転ホームランが生まれることもあるんですが、再現性はないですよね。我々のような一般人はやはり「地道なカイゼン」です。

今週の名言

30年続く伝説の個人サイト『とほほのWWW入門』管理人に見る、エンジニアの継続力の正体「どうすればやめられるのか知りたい」 | エンジニアtype
https://type.jp/et/feature/30854/

あるイベントで登壇したときに、来場者から「なぜこれほど長くサイトを続けられたのですか?」と質問されたことがあるんですよ。答えは単純で「好きだから」のひと言に尽きます。むしろどうやったらやめられるのか知りたいくらいで(笑)。

(中略)

どんなことでも嫌々やっていたら覚えが悪いし、長く続かないと思うんです。なので、現役時代はよく若手エンジニアに対して「自分を騙してでも、まずは一度好きになってみたら?」と伝えてきました。

やはり長く続けられる人って、「努力を努力として認識していない」んですよね。

もちろん日々苦しいこともあると思うんですが、それ以上に「面白い」や「楽しい」が勝っている。だから、自然と続く。続くから、積み上がる。

AI時代に、知識そのものの価値は相対的に下がっていくかもしれません。でも「好きだから続ける」という熱量は、変わらない人間の強い武器なのでしょうね。

「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。

ECMJ 石田氏石田氏

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノイン 酒匂氏酒匂氏

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequation 中林氏中林氏

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

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[ 執筆 ] 石田 麻琴

株式会社ECマーケティング人財育成

石田 麻琴(いしだ・まこと)

株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役

早稲田大学卒業後、ネット通販企業に6年間従事。ECの責任者として、ヤフーショッピング月間ベストストア8回受賞。全国第1位を獲得。ネット通販を中心としたWebビジネス支援の株式会社ECマーケティング人財育成を設立。EC・Web企業を支援。
BPIA/Webビジネス研究会ナビゲータ、協同組合ワイズ総研理事。

ECマーケティング人財育成では、日々、インターネット通販を手掛けている事業者、およびその関連事業者に向けた情報を発信しています。ECサイト運営などに役立つ情報については、こちらをご参照ください。

月1回、EC企業における優秀なスタッフやチームを育成するための事例やノウハウを提供する、人財育成に関するセミナーを無料で実施しています。

fujita-h

【越境ECの国・地域別ファッションブランド取引数】人気の日本ブランドは「ユニクロ」「G-SHOCK」「SEIKO」など。ラグジュアリーブランドを中心に需要拡大

4ヶ月 2 週間 ago
【越境ECの国・地域別ファッションブランド取引数】人気の日本ブランドは「ユニクロ」「G-SHOCK」「SEIKO」など。ラグジュアリーブランドを中心に需要拡大
越境ECサイト「FROM JAPAN」の海外購入代行サービスを通じた「楽天ラクマ」の越境取引では、ラグジュアリーブランドのリユース需要が高い傾向が見られている。国・地域別の人気ブランドや消費動向をまとめる。
ohshima2026年5月12日

フリマアプリ「楽天ラクマ」を運営する楽天グループと、海外在住のユーザー向けに越境ECサイト「FROM JAPAN」を運営するFROM JAPANはこのほど、「楽天ラクマ」における越境取引データから、国・地域別で取引数が多いファッションブランドのランキングを発表した。

データは、FROM JAPANが海外在住のユーザー向けに運営する越境ECサイト「FROM JAPAN」において、2025年の1年間に「楽天ラクマ」を通じて取引されたファッションブランド品の実績に基づき集計した。特に取引数が多い10の国・地域ごとにランキング形式でまとめている。

越境取引における国・地域別ファッションブランドランキング
越境取引における国・地域別ファッションブランドランキング

「FROM JAPAN」の海外購入代行サービスを通じた「楽天ラクマ」の越境取引では、リユース品の中でもラグジュアリーブランドの需要が高いことがわかった。特に欧米では若年層を中心に長財布やアナログ腕時計の需要が高い傾向が見られた。

また、日本のブランドは「SEIKO」をはじめ、「G-SHOCK」「ISSEY MIYAKE」「UNIQLO」などが多くの国でランクインしている。FROM JAPANは、日本発祥ブランドについて「品質への信頼や機能性、デザイン性、コストパフォーマンスの高さなどが理由でリユース市場での価値が高まっている」と解説している。

越境取引におけるファッションブランドの国・地域別の傾向
越境取引におけるファッションブランドの国・地域別の傾向

米国

調査において、米国は最も取引件数の多い国。取引数が多いファッションブランドは、1位は「LOUIS VUITTON」、2位が「GUCCI」、3位が「CHANEL」、4位が「COACH」、5位が「UNIQLO」だった。前年の調査では「CHRISTIAN DIOR」が4位だったが、今回は「COACH」が4位に浮上し、「UNIQLO」も新たに上位5ブランドに入った。

「LOUIS VUITTON」では、1998年に誕生した「ヴェルニ」ラインの長財布が最も多く取引された。

FROM JAPANによると、米国の利用者層は20代が最も多いという。「世界的にキャッシュレス決済の普及により財布を使う機会が減少する一方、米国ではラグジュアリーブランドの財布をあえて持つトレンドが見られる。この背景には、SNSなどでバッグの中身を披露するコンテンツの流行や、2000年頃に流行したブランドやアイテムを取り入れ、レトロなスタイルを最先端のファッションとして楽しむトレンドがある」(FROM JAPAN)

米国における越境ECファッションブランド取引数ランキング
米国における越境ECファッションブランド取引数ランキング

香港

香港では、取引数が最も多いファッションブランドは前年に続き「Supreme」だった。これに次いで、「HERMES」「CHANEL」「LOUIS VUITTON」「CHRISTIAN DIOR」の順に取引数が多い。「Supreme」ではメンズのTシャツ、キャップ、ビーニー(ニット帽の一種)などの帽子が人気だったという。

FROM JAPANによると、香港は40代男性の利用者が多く、他国と比較すると高年齢で成熟した市場という。「バッグやジュエリーはラグジュアリーブランドを中心にブランド価値を重視する人が多い」(FROM JAPAN)

香港における越境ECファッションブランド取引数ランキング
香港における越境ECファッションブランド取引数ランキング

英国

英国では、「HERMES」「COACH」に続いて日本の時計ブランド「G-SHOCK」の取引数が多い。取引数4位は「Nike」、5位は日本のブランド「ISSEY MIYAKE」がランクインした。「ISSEY MIYAKE」は、英国では3年連続で同調査の5位以内にランクインしており、日本のブランドへの人気が示された。「英国ではネクタイに次いで腕時計の需要が高く、ランクインした『G-SHOCK』のほかに『SEIKO』『OMEGA』なども支持されている」(FROM JAPAN)

英国における越境ECファッションブランド取引数ランキング
英国における越境ECファッションブランド取引数ランキング

オーストラリア

オーストラリアでは、1位は2年連続で「COACH」、2位は日本の時計ブランド「SEIKO」、3位が「LOUIS VUITTON」、4位が「Chrome Hearts」、5位が「CHRISTIAN DIOR」だった。「SEIKO」は前年調査では4位だったが、2位にランクアップしたという。「オーストラリアの利用者では男女比が半々で、20~30代が大半を占めている」(FROM JAPAN)

オーストラリアにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング
オーストラリアにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング

オランダ

「GUCCI」「LOUIS VUITTON」「CHANEL」に続いて、4位が日本の時計ブランド「SEIKO」となっている。5位は「CELINE」だった。 オランダの利用者層は20代女性が最も多いという。

オランダにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング
オランダにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング

カナダ

取引数1位、2位が日本ブランドだった。1位は時計ブランドの「SEIKO」、2位がファッションブランド「UNDERCOVER」となっている。3位は「LOUIS VUITTON」、4位は「DIESEL」、5位は「CHRISTIAN DIOR」だった。「SEIKO」は前年調査では2位だったが首位に浮上。「UNDERCOVER」は新たに5位以内にランクインし、日本のファッションブランドへの人気がうかがえるという。「利用者層では20〜30代の男性が多く、アナログ腕時計やメンズのTシャツ、アウター、スニーカーなどが人気。アナログ腕時計の需要も高まっている。高い品質とリユースならではの高いコストパフォーマンスによって、日本の歴史ある時計ブランド『SEIKO』が支持されている」(FROM JAPAN)

カナダにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング
カナダにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング

台湾

台湾では、1位・2位・5位が日本のブランドとなっている。1位はファッションのラグジュアリーブランド「GRACE CONTINENTAL」、2位は下着ブランド「Wacoal」、5位は「UNIQLO」。3位は「LOUIS VUITTON」、4位は「CHANEL」だった。

FROM JAPANによると、台湾では40~50代女性の利用者が最も多く、レディースファッションやインナーを中心に取引されたという。

台湾における越境ECファッションブランド取引数ランキング
台湾における越境ECファッションブランド取引数ランキング

フランス

「GUCCI」、フランス発祥の「Chloe」、「OMEGA」に続き、4位が日本の時計ブランド「SEIKO」となった。5位は「PRADA」。フランスではバッグやアパレルと並んで、腕時計の取引が多かったという。「20代の男性利用者が最も多く、若年層を中心にアナログな高級腕時計への関心が高まりつつある。日本のリユース市場は、流通量の少ない希少モデルを入手しやすい点が評価されている可能性がある」 (FROM JAPAN)

フランスにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング
フランスにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング

シンガポール

1位が日本の「SEIKO」、2位が「CHRISTIAN DIOR」、3位が日本の「G-SHOCK」、4位が「HERMES」、5位が日本の「ISSEY MIYAKE」だった。「SEIKO」は前年調査に続いて今回も1位だったという。「シンガポールは30代男性の利用者が多く、特に時計とメンズファッションの取引が多くを占めた。限定品やヴィンテージ品の需要が高く、希少性やコレクター向け要素が強い商品が多く取引されている」。(FROM JAPAN)

シンガポールにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング
シンガポールにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング

ドイツ

ドイツでは、「GUCCI」「LOUIS VUITTON」「COACH」に続き、、4位が日本のファッションブランド「TORNADO MART」だった。5位は「adidas」、日本のデニムブランド「EDWIN」、日本のファッションブランド「HYSTERIC GLAMOUR」が同率で並んだ。「ドイツでは、日本発祥ブランドの取引が増加。日本のファッションブランドが持つ品質の高さとこだわりやセンスが相まって、購入者に支持されている」。(FROM JAPAN)

ドイツにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング
ドイツにおける越境ECファッションブランド取引数ランキング

調査概要

  • 調査エリア:米国・英国・オーストラリア・オランダ・カナダ・シンガポール・台湾・ドイツ・フランス・香港の計10の国と地域
  • 調査対象者:「FROM JAPAN」から「楽天ラクマ」の商品を購入した海外ユーザー
  • 調査期間:2025年1月1日~12月31日
  • 調査実施機関:「楽天ラクマ」「FROM JAPAN」

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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