“潜在層への訴求とターゲティング” “検討期間が長くて高価な商品の広告”に効果的なインタレストマッチ――代理店フルスピードが明かすノウハウ
※2013年1月29日より、興味関心連動型広告「インタレストマッチ」は「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」という総称に変わりました。 インタレストマッチは広告掲載方式のひとつとして存続します。
ニーズが検索につながる商品ならスポンサードサーチは有効だ。
では、検索されない商品はどうやって訴求するのか?
その答えの1つがインタレストマッチである。
こう語るのは、ネット広告代理店の株式会社フルスピードのメディア戦略本部 リスティング広告部副部長の刑部真氏だ。
「少額からでも始められる、費用対効果の高い広告」として定着したスポンサードサーチ®だが、そもそも検索されない商品を訴求するとなると別の手段が必要となる。このスポンサードサーチだけではカバーしきれない潜在顧客への訴求手段がインタレストマッチ®である。
インタレストマッチは、バナー広告のように「枠や露出回数を買う」わけでも、スポンサードサーチのように「検索キーワードに応じて広告を掲載する」わけでもない。広告主としては難しくて手が出しづらく、代理店としても提案が難しい広告となっている。
果たして、インタレストマッチはどのような使い方で威力を発揮するのか。インタレストマッチの活用に積極的な刑部氏に聞いてみた。
Yahoo! JAPANはじめ優良サイトなどの利用者を対象に訴求
フルスピードはYahoo!リスティング広告正規代理店の中でも特にインタレストマッチを活用しており、投入されている予算の比率も大きい。インタレストマッチが有効な商品やサービス、施策とは何か、同社メディア戦略本部 リスティング広告部副部長の刑部真氏は次のように説明する。
「スポンサードサーチは、広告主にとっても非常にわかりやすく費用対効果を説明しやすいことは確かです。しかし掲載枠の数は限られていますし、最適化を突き詰めていくと掲載のボリューム自体が小さくなってしまいます。また、いくら費用対効果が高いといっても競合が多いとクリック単価も高くなるため、別のアプローチが必要になります。
インタレストマッチは、まずYahoo! JAPANを中心とした優良サイトなどのコンテンツページに広告を掲載できることが大きいです。利用者のボリュームも潜在顧客に訴求するうえで広告主へのアピールポイントになります。スポンサードサーチは検索するインターネットユーザーだけが対象ですからね
」(刑部氏)
「潜在顧客への訴求」と「ターゲティング」という2つのアプローチ
スポンサードサーチほどニーズに対して直接的ではないものの、Yahoo! JAPANをはじめとする優良サイトのコンテンツページ閲覧者に対してアプローチできる。これはインタレストマッチならではの利点だ。さらに具体的なインタレストマッチの活用ノウハウとして、フルスピードでは2つのアプローチを採っている。
- キーワードでの検索(スポンサードサーチ)へ誘導
- さまざまな属性や要素に基づくターゲティング
「インタレストマッチの活用には、まず潜在層への訴求があります。興味関心をきっかけに具体的な商品名を知ってもらい、安い単価で検索に誘導してキーワードでの検索につなげるというアプローチです。
もう1つはターゲティングで、これは最近の機能強化でかなり現実的な方法になったといえます。他の広告との連携ではなく、インタレストマッチ単体でも費用対効果を追求できるようになりました。コスメの商品であれば、例えば『10代後半~30代前半の女性』といったように対象を絞り込めますし、それを前提に広告テキストも工夫できます。また、年齢制限があるゲームやWebサービスにも有効です
」(刑部氏)
実際、インタレストマッチが効果を出しやすい商品の傾向もある。刑部氏は「不動産、医療、家電といった比較的検討期間が長くて高価な商品との相性が良く、実績も出ている
」という。
「そのうち買おう」「いつかは手に入れたい」「何となく気になっている」といった潜在ニーズの掘り起こしに効果的ということだろう。
スマートフォンではPC以上にインタレストマッチのターゲティングが有効
広告主として気になるのが、急速に拡大を続けるスマートフォンだ。Yahoo!リスティング広告でも重要視しており、スマートフォン向けのさまざまなターゲティング機能が強化されている。同社メディア戦略本部 リスティング広告部部長の伊藤陽子氏は、広告媒体としてスマートフォンの可能性は大きいと語る。
「スマートフォンが今後伸びることは間違いないでしょう。インフラも発展し、機能面でもPCとの差はなくなりつつあります。24時間いつでもどこでも持ち歩きますから、広告との接触機会は明らかに増えます。
一方で、限られた画面サイズに出せる広告は限られますから、今後は『どこに出すか』ではなく『誰に出すか』へと発想を変える必要があります。第三者配信やより精度の高いターゲティングなど、技術面からのアプローチも重要になってくると考えています
」(伊藤氏)
スマートフォンでのターゲティングについて、パーソナライズという視点からもさらなる精度向上が期待できるとするのが、同社メディア戦略本部 リスティング広告部 シニアコンサルタントの野口直樹氏だ。
「手元で検索できるというスマートフォンの特性から、パーソナライズがさらに進むはずです。そうなると、興味関心に基づいて広告を出すインタレストマッチの精度はPC以上に高まるでしょうし、今以上に成果を出しやすくなると考えています。
また、インタレストマッチやスポンサードサーチの可能性として、テレビとの連携もあります。当社でもまだ検証段階ではありますが、テレビCMを展開している場合、放送時間帯に合わせてリスティング広告を打つといったことを試しています。
いずれにせよ、スマートフォンへの注目は広告主の間でも非常に高まっています。フィーチャーフォンに取り組んでいなかったのに、スマートフォンには強い興味をお持ちのお客様は多いです。フィーチャーフォンの場合はコンシューマー向けが中心でしたが、スマートフォンの場合はBtoBのお客様の関心も高く、サイト制作からリスティング広告の展開までご相談いただくことは多いです
」(野口氏)
トータルソリューション力と技術力で勝負
フルスピードは2006年から正規代理店としてYahoo!リスティング広告(当時は前身となるサービス)を扱っているが、他にもSEO、アフィリエイト広告、ディスプレイ広告、ソーシャルメディアなど幅広くカバーしている。さらに、広告運用最適化のためのプラットフォームを独自開発するなど、技術開発にも力を入れている。
同社取締役副社長でメディア戦略本部本部長の泉健太氏も、トータルソリューション力と技術力に自信を見せる。
「当社はもともとSEOが主力事業でしたが、実はここ数年でSEO以外の事業が増えています。現在は、主力のSEO/SEMに加えてディスプレイ広告、ソーシャルメディアマーケティングなども幅広く取り組んでいます。さらに、それらの多様なプロモーションを集約して広告運用を最適化する統合プラットフォームを自社開発して、広告の配信と成果の一元管理化も進めています。ネットマーケティングを総合的に提案できる“トータルソリューション力”が当社の強みです。
注目されているスマートフォンに関しては、これまで培ってきたSEOのノウハウが強みになります。画面サイズの制約からファーストビューが勝負といえるスマートフォンでは、検索結果で上位表示させるニーズが高まるはずです。SEOとスポンサードサーチの両面で対策を行い、ファーストビュー画面を面で抑えることが重要となるでしょう。
さらに、当社の親会社であるフリービットは、クラウドやデータセンター事業を手掛けるなど、高い技術力を持っています。われわれはその技術力を広告分野で活用することで、“技術系インターネット総合広告代理店”として躍進していくつもりです
」(泉氏)
- 本社所在地 ● 〒150-0044 東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー8階
- 事業内容 ● インターネット広告代理店事業、アドネットワーク事業、情報メディア事業(レストラン・グルメ情報ポータルサイト、Androidアプリのポータルサイト)、クリエイティブ事業
- URL ● http://www.fullspeed.co.jp/
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