情報セキュリティ10大脅威2025が発表、「地政学的リスク」に起因するサイバー攻撃が新登場【IPA調べ】

主要な脅威はほぼ今まで同じだが、手法がさらに巧妙に。

冨岡晶(Web担編集部)

2月13日 8:30

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は、「情報セキュリティ10大脅威2025」を公開した。2024年に発生した情報セキュリティの事故・事件に対して、約200名の「10大脅威選考会」メンバー(情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など)が投票を行い、「個人」「組織」の立場でそれぞれ上位10件を選出している。なお個人向け脅威については、下位の脅威への注意が疎かになることを避けるため、五十音順での紹介となっている。

個人情報の窃取、不正ログイン、偽警告、不正アプリが個人を攻撃

「情報セキュリティ10大脅威2025」は以下のとおり。

  • 情報セキュリティ10大脅威2025(個人)
「個人」向け脅威(五十音順) 初選出年 10大脅威での取り扱い(2016年以降)
インターネット上のサービスからの個人情報の窃取 2016年 6年連続9回目
インターネット上のサービスへの不正ログイン 2016年 10年連続10回目
クレジットカード情報の不正利用 2016年 10年連続10回目
スマホ決済の不正利用 2020年 6年連続6回目
偽警告によるインターネット詐欺 2020年 6年連続6回目
ネット上の誹謗・中傷・デマ 2016年 10年連続10回目
フィッシングによる個人情報等の詐取 2019年 7年連続7回目
不正アプリによるスマートフォン利用者への被害 2016年 10年連続10回目
メールやSMS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求 2019年 7年連続7回目
ワンクリック請求等の不当請求による金銭被害 2016年 3年連続5回目
  • 情報セキュリティ10大脅威2025(組織)
順位 「組織」向け脅威 初選出年 10大脅威での取り扱い(2016年以降) 前年順位
1 ランサム攻撃による被害 2016年 10年連続10回目 1
2 サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 2019年 7年連続7回目 2
3 システムの脆弱性を突いた攻撃 2016年 5年連続8回目 5、7
4 内部不正による情報漏えい等 2016年 10年連続10回目 3
5 機密情報等を狙った標的型攻撃 2016年 10年連続10回目 4
6 リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 2021年 5年連続5回目 9
7 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃 2025年 初選出 圏外
8 分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃) 2016年 5年ぶり6回目 圏外
9 ビジネスメール詐欺 2018年 8年連続8回目 8
10 不注意による情報漏えい等 2016年 7年連続8回目 6

個人・組織ともトップ10の項目はほぼ変わっていない。唯一「組織」向け脅威の7位に「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」が新たにランクインした。国家の関与が疑われるとされるサイバー攻撃で、金品目的で営利企業を狙うのでなく、政府機関・学術機関、研究者、報道関係者などからの情報窃取を狙うのが特徴だ。近年日本では「MirrorFace」(別名Earth Kasha)と呼ばれるサイバー攻撃グループによる活動が確認され、内閣サイバーセキュリティセンターが注意喚起している。なおここ数年圏外だった「分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)」が改めて8位にランクインしている。

調査概要

  • 【調査対象】2024年に発生した情報セキュリティの事故・事件
  • 【選定方法】「10大脅威選考会」メンバー約200名が投票
  • 【調査時期】2024年1月1日~12月31日

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