ウザい Web接客にさようなら! ECサイトで「おもてなし」を実現するためのヒント
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
今回のテーマは「Web接客を知る」。なぜWeb接客ツールが必要なのでしょうか? 「ウザい」と嫌われないためにはどうすれば良いのでしょうか? すでに導入している店舗もそうでない店舗も、Web接客のあり方について、あらためて考えていきましょう。
キャラクターデザイン◎材井千鶴 イラスト◎宮川綾子
そもそもWeb接客って何?
弊社ではこれまで100社以上の企業に対してWeb接客の活用を提案し、1,000回以上のシナリオでABテストを行い、数多くのCVR改善実績を作ってきました。Web接客ツールは、これからのWeb戦略において重要なポジションを担うことは間違いありません。
ですが、これだけMAやWeb接客が浸透している現在でも、「ポップアップがウザい」といった話はいまだによく耳にします。 あまりポジティブな印象を持たれていないのが実情です。
かく言う私も正直なところ、ポップアップがウザいと思う側の人間です。
「えっ、お前が言うの?」って話かもしれませんが、これはネガティブキャンペーンでも何でもなく、Web接客を否定しているわけでもありません。正確に言うと「ウザいと思ってしまうWeb接客が多い」ということです。
Web接客ツールの普及が広がり機能も向上している昨今でも、Web接客ツールを導入した結果、ユーザーにウザがられている残念なサイトが多数見受けられます。
Web接客の目的は「おもてなし」
「Web接客」には大きく分けると「ポップアップ型」と「チャット型」の2種類があります。それぞれの詳細は次回お伝えしますが、得意なことやアプローチ方法が異なりますので、おさえておきましょう。
「CVRアップ」「離脱率改善」「CS向上」。これらを目的にWeb接客ツールを導入する企業が多いですが、CVRや離脱率は指標であって、目的ではありません。Web接客の本来の目的は、サイトでおもてなしを実現することだと考えます。
おもてなしが実現できれば、CVRアップなどは結果として付いてきます。逆に言うと、いくらWeb接客を導入しても、おもてなしになっていなければ、CVRアップやCS向上などにつながることはありません。Web接客ツールは素晴らしいツールですが、導入するだけでCVRが劇的にアップする魔法のツールではないのです。
ウザいポップアップを「おもてなし」に変えるヒント
さて、ウザいと思わがちのWeb接客でおもてなしを実現するにはどうしたらいいのでしょうか。ヒントは、ユーザーから「ウザい」と思われるその理由にあります。
ポップアップがウザい理由
① 気持ちよくサイトを見ていると……タイミング
② 頼んでもいないのに…… 誰に(ユーザーセグメント)
③ まったく興味のない情報で……何を
④ 毎回同じような内容が表示される!……更新性
①気持ちよくサイトを見ていると
いつ接客をするのか? つまり「タイミング」が重要です。多くのWeb接客が、接客しなくていいタイミングに接客してしまっているため、ウザいと感じてしまうわけです。
②頼んでもいないのに
誰に対して接客を行うかを考えるとき、「ユーザーセグメント」が必要です。実店舗ではお客さまから接客を頼むケースと、店員が察して声をかけるケースがあります。Web接客でも考え方は同じです。
「接客(声かけ)を欲している人に、声をかける」
「接客(声かけ)を望んでいない人には、声をかけない」
基本的な考え方はこれにつきます。
Web接客ツールを導入した時にありがちなことですが、「せっかく接客ツールを入れたんだから、たくさんの人に接客して、しっかりCVRをアップしないと!」と意気込んで、お客さまが望まない「余計な接客」をしてしまうケースはよくあります。
③まったく興味のない情報で
実店舗であれば、店員がお客さまに合わせて、声のかけ方や話す内容を変えます。チャット型(有人)の場合でも、実店舗同様にユーザーに合わせて会話を行うことができるので、フレキシブルな対応が可能です。
しかしポップアップ型の場合は、あらかじめどのような内容を表示するのか設定し、自動的に表示されることになりますので、企画段階で、ユーザーがどのような情報を欲しがっているのか、深く思考しなければなりません。
④毎回同じような内容が表示される!
チャット型(有人)の場合は人が対応するため、あまり問題になりませんが、ポップアップ型や、ボットタイプの接客によくある課題です。更新を怠って同じような内容を何度も伝えてないないでしょうか? Web接客には「PDCA」が欠かせません。
情報が古かったり同じ案内を繰り返してばかりでは店の信頼性に関わります。このよう状態では「広告みたいだ」と思われ、逆効果です。
一度成功した接客パターンをそのまま放置しておき、どんどん実績が悪くなるケースは往々にしてあります。Web接客を導入する際は、必ず専任の担当者をつけて、日々の動きをチェックし、PDCAを回さなければなりません。
そもそもWebサイトでの「おもてなし」って何だろう?
ECサイトに必要なおもてなしとは、「お買い物が完了するまで、スムーズかつ気持ちよく導いてあげること」です。「そんなの当たり前」と思われるかもしれませんが、実店舗ではできていてもECサイトではできていないということが多いのです。
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。実店舗とWeb(ECサイト)で比較して考えてみましょう。
おもてなしを構成する3つの要素
おもてなし3要素 | 実店舗 | Web(ECサイト) |
---|---|---|
1 品質 (お客さまに選ばれるものを提供できているか) | メニュー、商品の質 | マーケティング:ペルソナ、カスタマージャーニーマップ、コンセプトダイアグラムなど |
2 サービス (安心感、信頼感、心地よさを与えているか) | お客さまに対する直接的な接客 | Web接客、CRM、オムニチャネル、ゲーミフィケーション |
3 居心地 (お客さまにとって居心地のよい空間になっているか) | お店の外観・内観 | サイトデザイン、UI設計、LPO・EFO |
上の表のとおり「品質」「サービス」「居心地」という3つの要素を中心に、さまざまなアクションが必要であり、Web接客だけではおもてなしは実現できません。しかし、Web接客はおもてなしを実現するための重要な1コンテンツであることも事実です。
Web接客が主に担うのは「サービス」の部分です。安心感・信頼感、心地よさを与えることがミッションです。「いつ、誰に、何を」を正しく設計し、PDCAをしっかり回していことで、あなたのサイトのお客さまにとって、本当に喜ばれるおもてなしを実現しましょう。
今回はWeb接客シリーズの1回目「Web接客を知る ~そもそもWeb接客はどんなもの?本当に必要なの?」をお送りしました。次回の本気シリーズは「Web接客を導入する ~どんなツールがあって、何を選べばいいの?」をテーマにお送りします。自分のサイトに合った接客ツールの選び方を“本気で”考えたいと思います。お楽しみに。
オリジナル記事はこちら:ウザい Web接客にさようなら! ECサイトで「おもてなし」を実現するためのヒント(2018/09/12)
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