講座15 広告機会損失を防ぐ! 媒体審査&掲載ガイドライン対策
文:鈴木綾香 紺野俊介 監修:紺野俊介((株式会社アイレップ))
キーワード広告にも「媒体審査」が存在する
現在、「化粧品」とYahoo! JAPANで検索をすると、およそ80社のキーワード広告表示がある(2007年11月1日現在)。「化粧品 通販」でも70社近く、「健康食品」だと100社を超えている。また「エステ」もおよそ70社と多くの出稿がある。これだけを見ても、化粧品・健康食品・エステなどの業界でのキーワード広告の出稿ニーズが、高まっていることがわかるだろう。
しかし実際に、化粧品・健康食品・エステなどのサイトでキーワード広告を出稿しようとすると、なかなか思いどおりにはいかないケースが多い。というのも、薬事法に従っているかどうか「媒体審査」があるからだ。
媒体のガイドラインは年々厳しくなる傾向にあり、薬事法がらみのビジネスモデルを持ったサイトの出稿ニーズも高まっている中で、なかなか思いどおりに出稿ができないと頭を悩ませている担当者も多いのではないだろうか(図1)。
以前は広告を“事前審査”していたオーバーチュアのスポンサードサーチは、現在は審査フローを変更して“事後審査”になっている。この変更により、審査の厳しいものでも出稿ができるようになったのではないかと思われがちだが、一部事前審査になるものもある。詳細は公表されていないものの、薬事法がらみのものは事前審査フロー対象の可能性が高いので注意が必要だ。
もちろん、媒体審査には薬事法以外の審査も存在する。キーワード広告で広告機会を最大限に活かしていくためにも、媒体審査を知ることは重要なポイントとなってくる。今回は薬事法を初めとする、媒体審査の注意点を紹介していこう。
薬事法がらみのキーワード広告出稿のポイントとは
媒体審査に関して最近多く相談を受けるケースは薬事法がらみである。化粧品や健康食品を扱うサイト上では、「病気が治る」や「シミを消す」などのいわゆる「効果・効能の暗示」とされる表現に対しての規制が厳しくなっており、キーワードの追加、広告文の変更などができなくなるケースが増加している。
中にはアカウントの開設すらできないため、キーワード広告の出稿すらできないケースもある。化粧品や健康食品だけにかかわらずエステに関しても、「脱毛」などは出稿における審査が非常に難しくなっている。最近では薬事法以外にも景品表示法や医療法などより細かく審査がなされるようになっている傾向があるので、これまで以上に「媒体審査」がキーワード広告出稿の重要なポイントとなってくることは間違いないだろう。
では、化粧品や健康食品を扱うサイトは、もうキーワード広告を出稿できないのだろうか。実際には、そういうわけでもない。認められている表現の範囲内での言及であれば、効果・効能をうたっても出稿はできる。
キーワード広告における薬事法対策に必要な要素はいくつかあるが、まず大前提としてあげられるのが「薬事法とはどのような法律で、どのような表現はNGで、どこまでが表現として許されているのか」を理解することである。法律自体をしっかりと理解するのはもちろん、薬事法関連のメルマガを購読するなど、日ごろから薬事法に対してのアンテナを張ることが効果的である。グーグルアラートの活用、同業種の他サイトの閲覧などもいいだろう。さまざまな事例に普段から触れることで、どのような表現なら許されるのかといったリライトのコツも身についてくる。
また、「あきらめずに薬事法と、根気よく付き合うこと」も重要である。薬事法は、化粧品や健康食品のECサイトなどを持つ広告主にとっては、ずっとついてまわるものであり、一度や二度の対応で解決するわけではない場合があるからだ。たとえば、一度広告が出稿できてもサイトのリニューアルや新商品の追加など、そのたびに“薬事法を考慮したクリエイティブ”が必要となる。しかし、ここであきらめては、せっかくのキーワード広告が力を発揮できない。薬事法は難しい法律ではあるが、日々の積み重ねによってクリアできるものなのだ。薬事法という法律がある限り、これに正面から向き合い、根気よく付き合っていく。こうした心構えこそが、キーワード広告の成功へとつながるのである(図2)。
審査落ちになる3つの原因とは
これまで、薬事法を中心とした媒体審査について述べてきたが、媒体審査における審査落ちのケースは薬事法だけではない。オーバーチュアのスポンサードサーチでの審査落ちの例を見てみよう。審査落ちする原因は大きく分けて次の3つだろう。
コンテンツ不足
出稿キーワードがリンク先のページと関連性が著しく低い場合に、審査で落とされてしまうケースである。対処法としては、より関連の高いページへリンク先を変更する、また関連性の高いコンテンツを増やすなどがあるだろう。
「ちょっとリンクをクリックすれば関連するページがあるんだけど」という場合でもNGになることもあるので、リンク先はできるだけキーワードとの関連性の高いページにしよう。そのほうが成果にもつながりやすいはずだ。
ガイドライン違反
オーバーチュアの掲載ガイドラインを超えたものはもちろん掲載することができない。ガイドラインとしては、前に述べた薬事法を含めた誇大広告から、銃のような掲載禁止商品、著作権やアダルト関連、アフィリエイト入札までが含まれる。承認可能な場合とそうでない場合も存在するので、出稿前に必ず確認しておきたいところである。
ひっかかりやすいのが、「日本一」「世界一」「ナンバー1」などの、最高を意味する表現だろう。また、政治活動、アダルトサイト、ギャンブル関連サイトなどの広告もガイドラインで禁止されている。
その他出稿ルールによる審査落ち
よくある例としては、「転職 東京都」などキーワードに地名を含む場合だ。この場合には「タイトルと説明文にもその地名を含める」という出稿ルールがある。有名人の名前をキーワードとして入札した場合も同様となる。このようなルールを見落としていると、大量の審査落ちになるなど、キーワード広告運用の壁になることがあるので注意していきたい。
これ以外にも、利用できない文字や記号を利用する際のルールなどがあるので、オーバーチュアの掲載ガイドラインを確認しておこう(図3)。
広告出稿の機会損失を防ぐために
広告というものは、好きなものを好きなように出稿できるわけではなく、それぞれの媒体が定めたガイドラインに沿った形で出すことが前提となっている。これは、雑誌広告でもテレビCMでもキーワード広告でも同じだ。
定められたガイドラインの中で、いかに工夫をして良い広告を出稿していくのかが、重要なポイントであり、ときにその工夫にはノウハウが必要になってくるケースもあるだろう。
自分だけは関係ないと考えていると、意外な理由で審査に落とされることもある。そうなることを防ぐためにも、媒体のガイドラインにどのようなものかを、いま一度確認することが必須となる。さらに、ノウハウのある代理店へ相談するなどして、なるべく広告出稿の機会を失わないようにしていく努力が必要だろう。
媒体のガイドラインは、広告出稿の番人。
しっかり理解&きちんと守ることが必要。
継続的にチェックして、スムーズな広告出稿を。
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