ネットショップ担当者フォーラム

カウネットの配送負荷軽減策とは? 当日配送エリアに「当日選択式サービス」を導入、通常のお届け予定日を「翌日」と表示

4ヶ月 1 週間 ago

カウネットは27月30日から、オフィス用品通販サービス「カウネット」、「ウィズカウネット」、間接材一括購買管理システム「べんりねっと」、「べんりねっとL」において、当日配送対象の注文に「当日選択式サービス」を導入、当日配送と翌日配送を選べるようにする。

当日配送エリアでは、前日18時から当日11時までの注文を一律で当日配送している。そのため、注文画面には当日配送しか表示していなかった。「当日選択式サービス」で、注文画面に通常の配達予定日を「翌日」と表示し、急ぎの場合は「お急ぎ便」または「納品希望日」を選択することで「当日」に届けるようにする。

カウネットは一部地域を除く当日配送エリアにおいて、配送時間の実態調査を実施。その結果、当日配送エリアにおける配送は全体の90%以上が18時までに配達完了していたが、当日配送に限定すると14時台から17時台の4時間に88.8%が配達完了となり、配達が集中する傾向にあることがわかった。

こうした状況を受け、カウネットは物流比率を調整し、持続可能なサービス形態を実現するために「当日選択式サービス」の導入を決定。この仕組みを通じて、これまで一律で当日配送していた物量を翌日配送に移行し、配送ドライバーの労働環境改善を図る。

カウネットは27月30日から、オフィス用品通販サービス「カウネット」、「ウィズカウネット」、間接材一括購買管理システム「べんりねっと」、「べんりねっとL」において、当日配送対象の注文に「当日選択式サービス」を導入、当日配送と翌日配送を選べるようにする
14時台から17時台の4時間に配達が集中する傾向に

カウネットは当日中の商品配達の必要性を問うアンケートも実施した。その結果、「全ての注文で当日配送が必要」の回答は約3%に留まり、「急ぎの場合は当日配送が必要だが、翌日配送でも対応できる場合がある」の回答が約80%にのぼった。

カウネットは27月30日から、オフィス用品通販サービス「カウネット」、「ウィズカウネット」、間接材一括購買管理システム「べんりねっと」、「べんりねっとL」において、当日配送対象の注文に「当日選択式サービス」を導入、当日配送と翌日配送を選べるようにする
「全ての注文で当日配送が必要」の回答は約3%に留まった
鳥栖 剛

「ZOZOTOWN Yahoo!店」で洋服の下取りサービス「買い替え割」をスタート

4ヶ月 1 週間 ago

ZOZOは7月30日から、LINEヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」内の「ZOZOTOWN Yahoo!店」で、洋服の下取りサービス「買い替え割」を開始する。

「ZOZOTOWN Yahoo!店」で提供を開始する「買い替え割」は、過去に「ZOZOTOWN Yahoo!店」で購入されたアイテムを下取りし、新たに買い物をする際に下取り金額分をその場で値引きするサービス。これまで「ZOZOTOWN」上のみで提供していた「買い替え割」を「ZOZOTOWN Yahoo!店」でも提供する。

「買い替え割」で下取りしたアイテムは、「ZOZOUSED」「ZOZOTOWN Yahoo!店」「ZOZOUSED Yahoo!オークション店」で古着アイテムとして販売する。

「買い替え割」の利用方法は、買い物をする際にカートページ上の「買い替え割」を「利用する」を選択、遷移画面で過去に購入したアイテムから下取りに出す商品を選択するだけ。その後、購入商品とともに下取り回収用専用のバッグが届き、これに下取り商品を入れて発送することで完了する。

ZOZOは7月30日から、LINEヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」内の「ZOZOTOWN Yahoo!店」で、洋服の下取りサービス「買い替え割」を開始する
下取り商品は専用バッグで発送する
鳥栖 剛

丸井グループ、EC限定の「エポスカード」会員向け優待キャンペーンを開催。10%割引でセール【8/1~8/3】

4ヶ月 1 週間 ago

丸井グループは、丸井が運営する自社ECサイト「マルイウェブチャネル」で、丸井グループが発行しているクレジットカード「エポスカード」会員向けの優待キャンペーン「マルコとマルオの3日間」を開催する。期間中、ユーザーは「エポスカード」のクレジット払いをすると10%割引で買い物ができる。期間は8月1日〜3日で、「マルイウェブチャネル」限定で開催する。

「マルイウェブチャネル」トップページ(画像は編集部が「マルイウェブチャネル」のサイトから追加)

期間中は、一部のブランドが対象となる「ブランドクーポン」を実施する。丸井はユーザーに、関心があるショップやアイテムの「お気に入り登録」をお勧めしている。ユーザーは「マルイショッピングアプリ」をダウンロードし、アプリの通知をオンにすると、登録したショップやアイテムのセールなどさまざまな情報を得られる。

「マルイショッピングアプリ」を通じてユーザーにさまざまな情報を知らせる
「マルイショッピングアプリ」を通じてユーザーにさまざまな情報を知らせる

新規で「エポスカード」に入会したユーザーには、特典として「マルイウェブチャネル」で入会当日に利用可能な2000円分のWebクーポンと、期間限定で利用できる2000円分のwebクーポンを進呈する。「エポスカード」の優待10%割引と併せて使用できる。

「マルコとマルオの3日間」概要

  • 開催期間:2025年8月1日0:00~8月3日 23:59
  • 優待内容:「エポスカード」のクレジット(1回・2回・分割・ボーナス払い・リボ払い)の利用で、「マルイウェブチャネル」での買い物がクレジット利用額から10%割引
大嶋 喜子

ZETAがハッシュタグ広告に関する特許を取得

4ヶ月 1 週間 ago

ZETAは、リテールメディア広告とハッシュタグを連携させた新たな広告技術「ハッシュタグ広告」に関する特許を取得した。

取得した特許は、リテールメディア広告エンジン「ZETA AD」における新たな広告表示技術として、ハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」の技術を活用し、ハッシュタグ一覧ページの一部に広告表示を可能にする「ハッシュタグ広告」に関するもの。

内容は次の通り。

  • 発明の名称:情報処理装置、サーバ、情報処理方法、およびプログラム
  • 特許番号:特許第7708956号
  • 登録日:令和7年7月7日
ZETA ZETA HASHTAG リテールメディア広告とハッシュタグを連携させた新たな広告技術「ハッシュタグ広告」に関する特許
ハッシュタグ広告に関する特許を取得

「ZETA HASHTAG」とは

商品説明やレビューなどのテキストを解析し、その商品に関連するキーワードをハッシュタグとして抽出するサービス。多数の特許を取得している。

ZETA HASHTAG 特許取得
「ZETA HASHATAG」の特集(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

リユース事業のベクトル、総合買取専門店「エコスル」で宅配買取サービスを開始

4ヶ月 1 週間 ago

ファッションアイテムの買取や販売を手がけるベクトルは7月22日、総合買取専門店「エコスル」のサービスサイトを公開し、宅配買取サービスを開始した。査定料は無料で、ユーザーからの出張買取の申し込みを24時間受け付ける。従前の買取サービスで展開していた洋服・アクセサリー・バッグなどのファッションアイテムに加え、「ゲーム・フィギュア・ホビー・パソコン・カメラ」「ビデオカメラ・文房具」カテゴリの買取にも対応する。

ベクトルが公開した総合買取専門店「エコスル」のサービスサイトトップページ
ベクトルが公開した総合買取専門店「エコスル」のサービスサイトトップページ

ベクトルによると、物価高やフリマアプリの浸透により、新品よりも割安なリユース品への関心が高まっているという。ごみの削減やCO₂排出の抑制といった観点からもリユース品は支持を集めており、市場は拡大していることから、宅配買取品目を拡大した。

自社で買取できない商品の場合は、ユーザーに他社や専門業者を紹介する。すべての買取商品は、自社販売や業者間取引を通じ、リユースまたはリサイクルする。

サービスサイト開設に伴い、宅配買取品目を拡充した
サービスサイト開設に伴い、宅配買取品目を拡充した

ベクトルの「エコスル」は東京都内に4店舗、岡山県に1店舗を展開している。

ベクトルは「エコスル」のほかにも、ブランド古着通販サイト「ベクトルパーク」などなどマルチチャネルでリユース事業を展開している。

総合買取専門店「エコスル」概要

  • 店舗:東京都(4店舗)/岡山県(1店舗)
  • サービス内容:電話や店頭での買取コンシェルジュサービス、店頭買取、出張買取、LINE査定
  • 取扱アイテム:ブランド品、メンズ・レディース衣類、シューズ、時計、バッグ、財布、アクセサリー、金、釣り具、アウトドア・スポーツ用品、スマートフォン、楽器、ゴルフ用品など
大嶋 喜子

「効率化=成功」ではない!? 生成AI導入で成果が出ないワケ【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

4ヶ月 1 週間 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年7月14日~7月27日のニュース

EC業界でも生成AIの活用は急激に進んできています。しかし、生成AIによる業務効率化が進む一方で、「儲け」につながらないという声も少なくありません。今回の「ネッ担まとめ」では、生成AI活用による効率化と成果のズレをひもときます。

「自己満足AI化」の罠

生成AI導入で効率化しているのに"儲からない"のはなぜ? 意外と多い「自己満足の落とし穴」3つのパターン。「重要なのはAIそのものではない」 | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/890262

問題の本質は単純だ。「効率化」と「成果」を混同しているのである。

メール作成が10分から3分になった。議事録作成が30分から5分になった。素晴らしい効率化だ。しかし、それで終わっている。

削減できた時間で何をしているのか。この質問に明確に答えられる企業は驚くほど少ない。

(中略)

効率化で生まれた時間を、売り上げにつながる活動に投資していないからである。

生成AIの活用で「時間が空いた」こと、それがイコール「成果」ではありませんよね。効率化自体が「目的」になってしまうと、そこで思考は止まります。

大切なのは「その空いた時間で何をするか?」という再設計。もっと言えば、売り上げを伸ばすための活動を増やせているか。生成AIというツールではなく、活用者の「意図」が成果を分けるという視点が必要ですよね。

削減した時間やコストを、どこに再投資するか。この問いに明確に答えられなければ、AI導入は自己満足で終わる。

重要なのは、AIそのものではない。AIで生まれたリソースをどう活用するか。この戦略と実行力が問われている。

AI活用によって確保できた時間・人員・コストを、どこにどう生かすのか。その「再投資戦略」こそが成果に直結するポイント。

ECの領域でも「自動化する」「効率化する」だけではなく、「空いた時間でお客さまと向き合えたか?」という問いを、自分自身に返す必要がありそうです。また、その行動をAI時代のEC運営の指標に設定する必要がありますよね。

要チェック記事

売り上げ世界一も“一人負け”状態 なぜ「クール」だったナイキは失墜してしまったのか | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2507/22/news013.html

ある意味ひとつの「イノベーションのジレンマ」かもしれません。D2Cブランドも多様化している時代ですし、仕方ないのかも。

【EC新時代の戦略】なぜ今“動画コマース”なのか? 変わる購買行動+施策の設計ポイント+ユニクロの事例+成功・失敗要因を解説 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14384

普通に考えたら、ECのない時代は、お客さまはみんな店舗で商品を「見ていた」わけで、テクノロジーが追い付いてきただけ、とも言えますね。

「楽天市場」でパーソナライズド検索がスタート、ユーザーごとに検索結果を最適化 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14447

これは自然の流れですよね。むしろ遅かったくらい。検索のパーソナライズやAIの一般化により、SEOの価値は少しずつ変化しています。

「日傘は借りる時代へ!」≪日傘シェア≫が山手線駅含む東京都内でスタート、“24時間140円”の勝算は? | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/890741

いやもう、男性も日傘を差している時代なので、市場は一気に増えたでしょう。それくらいの気候というのもありますが。

PV減なのに大成功? パシフィコ横浜が目指した「無駄ゼロ」のサステナブルWeb戦略 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2025/07/15/49641

「サイトで迷子が増えると排出CO2は増える」!(笑)目の付けどころが面白いっす。でも、こういうサイトが今後主流になるかもですね。

わかっているのに「なぜか動き出せない」…。意志が弱いせいじゃない"本当の理由" | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/886988

たしかに「意思が弱い」とかではないですよね。ちょっとしたズレで自信がないだけ。ちょっと修正するだけで動きやすくなる。人はそんなものだと思います。

今週の名言

カミタケモータース黒石さんに聞く!現場主導のマーケティング最前線 | QA ZERO
https://qazero.com/blog/team-driven-marketing-kamitake/

皆さんがそれぞれ考えて、AIも活用して、現場の声を聴いて、日々コミュニケーションの中から企画が生まれて、すぐに実行する。(丸山氏)

(中略)

未来への展望、というとおこがましいのですが、特定の誰かが決めるのではなく「データと現場の声を聞きながら、みんなで考えていく中に次の施策がある」と考えています。(黒石氏)

「次の打ち手は、現場にある」。この言葉は、どんなにAIが進化しても変わらない本質です。

意思決定は現場の「観察、対話、実行」のなから自然に生まれていくことが理想ですし、あくまでそこをめざしたいところです。なぜなら、お客さまに接するのは「現場」だから。

これを実現できた組織が変化にも強く、時代に応じて柔軟に進化していけるのだと感じています。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

石田 麻琴

「猛暑」で自動配送ロボットのニーズが拡大、「楽天無人配送」は8月限定でお届け時間を2時間延長

4ヶ月 1 週間 ago

楽天グループは8月、東京都内の晴海・月島・勝どきエリアで展開する「楽天無人配送」で、通常10時〜21時のお届け時間を8時〜21時に延長する。

「楽天無人配送」は、配送料金100円で自動配送ロボットがスーパーなどの商品を届けるサービス。2024年11月から晴海・月島・勝どきエリアで定常的なサービスを展開している。「楽天無人配送」ではスターバックスやファミリーマート、吉野家、スーパーマーケット文化堂など14店舗の約5000品目で利用可能だ。

楽天グループは8月、東京都内の晴海・月島・勝どきエリアで展開する「楽天無人配送」で、通常10時〜21時のお届け時間を8時〜21時に延長する
自動配送ロボットから荷物を受け取る様子

楽天によると自動配送ロボットの配送サービスは夏に買い物需要が拡大するという。茨城・つくばで2022年11月から22023年12月まで提供していた配送サービスでは夏(2023年6〜8月)の月平均注文数は春(同3〜5月)と比べ約1.7倍、秋(同9〜11月)と比べ約2.1倍と需要が拡大していたという。

商品はアイスの需要が伸びているという。晴海では今年6月は特にアイス商品の注文数が多く、1か月間の販売個数は2024年12月からの半年間の月平均販売個数に比べて約1.53倍と高くなったという。

鳥栖 剛

獲得コスト増、Cookie規制下の顧客データ取得の難化に悩む担当者必見。新規獲得などに役立つ「SmartNews Ads」活用とは

4ヶ月 1 週間 ago
スマートニュースは広告事業をさらに強化しており、運営するニュースアプリ「SmartNews」に表示できる広告メニューを多様化している。2025年6月、7月に開始した2つの広告サービスの特長を担当者に聞く

サードパーティCookie規制、リスティング広告の単価高騰など新規顧客の獲得がますます難しくなっているなか、注目が集まっているのがニュースアプリ「SmartNews」上で同社が展開する広告事業だ。ここ最近のトレンドとして、新たなユーザーにリーチしたい地域密着企業やEC企業による利用が増えているという。そしてこの6~7月、位置情報を活用した広告出稿や、企業自ら広告を運用できる機能を実装、「SmartNews」ユーザーへアプローチしやすくする環境整備を進めている。スマートニュース Ads Product 広告プロダクト GTM 責任者 部長の甲賀雄介氏、広告代理店第二事業部 事業本部長 今治和也氏に詳細を聞いた。

スマートニュース Ads Product 広告プロダクト GTM 責任者 部長 甲賀 雄介 氏(左)、広告代理店第二事業部 事業本部長 今治和也 氏
スマートニュース Ads Product 広告プロダクト GTM 責任者 部長 甲賀 雄介 氏(左)、広告代理店第二事業部 事業本部長 今治和也 氏

中堅・中小企業が利用しやすい広告メニューを強化

スマートニュースの広告事業「SmartNews Ads」では近年、中堅・中小企業(SMB)からの広告出稿が増加。2024年1-3月期(第1四半期)の出稿金額は前年同期比で44.7%増、アカウント数は同40.5%増と大きく伸びた。出稿企業は地域密着型の事業者、EC専売の事業者など業種を問わずさまざまだ。

サードパーティCookie規制の流れや、リスティング広告のクリック単価高騰といった市況から、事業者は新規顧客獲得に向けたコストが増加しやすい市況が続いている。こうした状況下で、「SmartNews Ads」に広告を出稿する事業者が増えているという。

スマートニュースとマクロミルが2025年4月に共同で実施した調査(対象は20~60代男女、回答数624人)でメディアごとの専念視聴(ほかの行動をせず、専念して観る)度合いを比較した結果、「SmartNews」の専念視聴は79%と、テレビや主要なデジタルメディアと比較して高い結果となり、最も専念視聴しているメディアだと推定されることがわかったという。

「SmartNews」ならではのアプリユーザーにアプローチできる点、ニュースコンテンツに隣接して表示されるため、不適切コンテンツに広告が隣り合わず、ブランドを毀損(きそん)しにくいことなどが広告主のメリットとなっている。

広告主によるユーザーへのリーチ拡大にも積極的。2024年4月には、従来の「SmartNews」に加えて、NTTドコモが運営するドコモユーザー向けのニュースアプリ「SmartNews for docomo」(旧「マイマガジン」)の両方のアプリへ広告を自動配信する仕様にアップデートした。

SMBの販路拡大やマーケティング支援にさらに貢献するため、「SmartNews Ads」で「セルフサーブ型広告」と「地点半径ターゲティング」の提供を始めた。

「セルフサーブ型広告」と「地点半径ターゲティング」は、「SmartNews」に出稿する 広告配信の利便性と精度を向上させる2つの新機能。「セルフサーブ型広告」は広告主自らが広告出稿・配信を管理できる機能で、「地点半径ターゲティング」は位置情報に基づいた高精度なターゲティングで「SmartNews」ユーザーにアプローチできるようにサポートする機能だ。

「SmartNews」は近年、地域密着型の企業や専門ECなど、中堅・中小企業(SMB)による広告出稿が拡大しており、これらは、SMBを中心としたEC事業者などの新規顧客獲得をサポートするという。

地点半径ターゲティングは6月19日から提供を始めている
地点半径ターゲティングは6月19日から提供を始めている

「セルフサーブ型広告」でより柔軟な運用

「セルフサーブ型広告」は、広告主がオンライン上でアカウント開設から配信設定、予算管理、決済までを一貫して行える

広告は審査から最短1日で掲載。クリエイティブの変更もスピーディーに対応でき、広告主はタイミングや目的に応じた柔軟な運用ができる。最低出稿金額は設けておらず、少額からの出稿も受け付けるため、「SmartNews Ads」を初めて利用する事業者から大手広告主、広告代理店まで、幅広い層にとって使いやすい仕組みだ。

「地点半径ターゲティング」で特定エリアのユーザーにリーチ

「地点半径ターゲティング」は、管理画面の地図上で市区町村単位や任意の地点を中心に半径を指定し、広告配信エリアを柔軟に設定できる。配信エリアとして指定できる範囲は、半径500メートルから50キロメートルまで。高精度の位置情報を活用し、指定エリアを訪問したことのあるユーザーや、その地域を生活拠点としていると推定されるユーザーをターゲティングし、広告を配信できる。

「地点半径ターゲティング」で広告配信エリアを指定する際の管理画面イメージ
「地点半径ターゲティング」で広告配信エリアを指定する際の管理画面イメージ

商圏内の認知拡大や来店促進に有効な手段として、特に地域密着型ビジネスを展開するSMB広告主にとって効果的な広告配信となる。

「セルフサーブ型広告」の機能にも対応。広告主は配信設定や、「地点半径ターゲティング」を適用する範囲に応じた予算を即座に調整できる

「地点半径ターゲティング」で広告配信エリアを指定した地図のイメージ。複数の地点を選ぶこともできる
「地点半径ターゲティング」で広告配信エリアを指定した地図のイメージ。複数の地点を選ぶこともできる

スマートニュースは、これまでもSMB領域に特化した専任チームの設置や広告配信システムの刷新、パートナーランク制度の導入など、SMB広告主の支援体制を強化してきた。これらの取り組みにより、SMB領域の事業者による広告出稿や、広告効果の実績は近年、着実に拡大しているという。

たとえば、福島県の老舗和菓子店「柏屋」は、若年層への認知拡大や季節商品の販促に「SmartNews Ads」を活用し、初回出稿でクリック率は5.1%、クリック単価は従前(他媒体)までの広告出稿と比較して25%圧縮となった。

スマートニュースは今後もこうした国内のSMB広告主のために、広告プラットフォームとしての機能強化と支援体制のさらなる進化に取り組んでいく方針としている。

「ブランドの信頼感醸成」「出稿しやすさ」「高精度の配信」に強み

ここからは今治氏、甲賀氏への一問一答から、新広告サービスの具体的な運用イメージと今後の展望を聞く。

「SmartNews」ユーザーならではの潜在顧客にリーチ

――「セルフサービス型広告」の特長を教えてほしい。

今治氏小額から広告出稿しやすく、信頼性の高いニュース記事と同一面に掲載されるため、ブランドの信頼感につなげやすい一面があります。アカウント開設から配信設定・予算管理・決済まではすべてオンラインで完結。クリエイティブの変更にも即座に対応し、反映します。

スマートニュース 広告代理店第二事業部 事業本部長 今治和也 氏
スマートニュース 広告代理店第二事業部 事業本部長 今治和也 氏

今治氏:「SmartNews」の特色の1つに、ユーザーの約4割はSNSを日常的に利用していないという点があります。裏を返せば、SNS広告では届きにくい潜在顧客層にもリーチしやすいと言えます。この点も強みです。

7月10日から提供を開始した「セルフサーブ型広告」の特長
7月10日から提供を開始した「セルフサーブ型広告」の特長

――出稿の効果を検証する機能や、今後の検討事項は。

今治氏:広告配信のレポート機能で、広告主が自社のKPIに照らし合わせて広告効果を検証することが可能です。

将来的には広告主同士が情報交換し、広告効果や活用方法を高め合えるようなコミュニティの形成も構想しています。

精度の高い広告配信を実現

――「地点半径ターゲティング」の活用例を教えてほしい。

甲賀氏既存の「SmartNews Ads」におけるターゲティング機能と併用することができ、「小売店の新商品・セールの告知」「新店舗オープン情報やキャンペーン」「不動産のマンションモデルルーム来場予約獲得」といったケースで使われています。

スマートニュース Ads Product 広告プロダクト GTM 責任者 部長 甲賀雄介氏

甲賀氏:たとえば、女性向けの商品であれば、「地点半径ターゲティング」と、広告配信の対象範囲になる女性のデモグラフィック情報――たとえば、年代などを掛け合わせることで、より精度の高い広告配信が可能になります。

――想定される利用企業は。

甲賀氏:小売、不動産、飲食、人材、教育サービスなど、地域性や店舗商圏を持つような業態で幅広くご活用いただけると考えています。

――「地点半径ターゲティング」での利用で多く想定される利用ケースは。

甲賀氏:地理上の適用範囲は、半径2~3キロメートル前後が最も多く利用されると想定しています。これは、利用料金が従量課金であることからも、一般的に徒歩圏内とされる1キロメートル前後からスタートし、ボリュームや効果を見ながら広げていくといった活用が想定されるためです。

利用企業は飲食店やアパレル企業が多いと見込まれますが、不動産、コンビニ、ショッピングモールなどの商業施設もターゲットになり得ると考えています。

――「地点半径ターゲティング」の適用対象の人がオフライン店舗に来店した場合の計測は可能か。

甲賀氏「地点半径ターゲティング」経由でオフラインの店舗に来店した消費者の計測機能は、現在開発中です。

現時点では、ユーザーによる来店予約といった、“オフライン店舗に来店する前”のコンバージョン計測はできています。実際に店舗を訪れた際の計測は年内中の開発をめざしております。

これにより、“「地点半径ターゲティング」の配信ターゲットとしているユーザーが、広告主が運営している店舗に実際に来店したか”どうかを把握できるようになる見通しです。ECと店舗のOMOを推進している事業者さまはますます利用しやすくなります

読者の皆さまにお知らせ

甲賀氏と今治氏は、ネットショップ担当者フォーラム編集部が主催する無料オンラインセミナーイベント「Digital Commerce Frontier 2025」にて、【7/30(水)14:00~14:45】に登壇! 実店舗運営者は必見のジオマーケティングについて、さらに詳しく解説します。

事前登録の上、無料で視聴できます。登録がまだの方は下記の画像をクリックし、ぜひお申し込みください!

「Digital Commerce Frontier 2025」 スマートニュース
画像をクリックするとセッションの視聴申し込みページにリンクします
高野 真維

「楽天モバイル最強感謝祭」を成長の起爆剤となる企画に育てるなど「第10回 楽天市場サービス向上委員会」まとめ

4ヶ月 1 週間 ago

楽天グループは7月11日、「楽天市場」の運営について出店店舗と意見交換をする「第十回 楽天市場サービス向上委員会」を実施した。

「楽天市場サービス向上委員会」は、「楽天市場」出店店舗による独立した任意団体である「楽天市 場出店者 友の会」と楽天グループの経営陣との意見交換の場として、2021年3月から実施。年2回の委員会、顧客コミュニケーション、エンターテインメントなどのトピックに関する改善を協議する分科会で構成している。

「第十回 楽天市場サービス向上委員会」では、「顧客コミュニケーション分科会」「エンターテインメント分科会」から活動を報告したほか、新設の「エコシステム分科会」についての説明を実施した。

委員会には「友の会」に参加する「楽天市場」出店店舗と楽天グループの専務執行役員 コマース マーケティングカンパニー プレジデントの松村 亮氏が参加した。

エコシステム分科会

楽天の広範なエコシステムを活用し、店舗の成長を促進することを目的に新たに設立した。ユーザーが複数の楽天サービスを利用するクロスユースの価値について再確認。「楽天モバイル」を活用した新規顧客の獲得とロイヤリティ向上のための施策について、「エコシステム分科会」で議論していくことを報告した。

具体的には、2024年12月に開始し3か月ごとに実施している「楽天モバイル最強感謝祭」について、「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」に並ぶ店舗の成長の起爆剤となる企画に育てられるように店舗と議論していくという。

顧客コミュニケーション分科会

店舗とユーザーのコミュニケーションについて議論し、店舗のファンを増やして売上向上を図るための活動を進めてきた。今回はユーザーに向けたレビューの投稿を促す施策、店舗レビュー活用策について議論した。

レビューの質を向上させるために2025年1月から、商品の注文後24時間後以降・365日以内をレビュー投稿できる期間と定めたと楽天が報告。商品発送前に投稿されるレビューが削減し、商品到着後の具体的なレビュー投稿が増え、商品に関する好意的な感想の割合が増加したという。また、店舗レビュー活用事例について定期的に意見交換を実施したことを報告した。

エンターテインメント分科会

「楽天市場」のコンセプトである「Shopping is Entertainment !」を、「人を介して物を買う喜び」と定義、ユーザーの買い物体験の質の向上に取り組んでいる。ECでの購買体験が発見型や衝動買いへと変化しているなかで、「人を介して物を買う喜び」を「楽天市場」がユーザーにどう提供できるかについて議論した。

具体的には、店舗がそれぞれの商品の訴求ポイントを商品ページ上で表現できるショップコンテンツページの活用方法について議論。今後は、店舗から寄せられたコンテンツページの機能改善や活用における知見の共有などの要望に対して、施策を検討していくという。

鳥栖 剛

ZOZO、アスクル、パルコ、中川政七商店、セブン-イレブン、ワコール、ファンケルなどが登壇するリアルECセミナー【7/29+30@オンライン配信】

4ヶ月 1 週間 ago
EC・小売市場で活躍する担当者や有識者が、聴講者の事業成長のヒントにつながる知見をお届けするオンラインイベント「Digital Commerce Frontier 2025」を7月29日(火)+30日(水)に開催。全26講演のセミナーをすべて無料で視聴できます

インプレスの『ネットショップ担当者フォーラム』は7月29日(火)+30日(水)、オンラインイベント「Digital Commerce Frontier 2025」を開催します。ZOZO、アスクル、パルコ、スマートニュース、ワコール、アシックスなどの担当者が登壇する全26講演をオンラインで配信します。

Digital Commerce Frontier 2025
リテールメディア、OMO、AI活用、BtoB成功法則、CRM、新規獲得などが学べるオンライン開催のECイベント

セミナーには、上述の企業のほか、セブン-イレブン、ミルボン、ファンケル、豊洲漁商産直市場、ビームテックなどさまざまな有力企業が登壇。

マーケティング戦略、リテールメディアの活用、CX向上、「推し活」を捉えたマーケティング、BtoBtoCの成功モデル、OMO、水産業界のDX事例、GPSの位置情報を基にターゲティングする「ジオマーケティング」の運用法など、各種テーマでの事例・ノウハウを紹介します。

配信時間は両日、11:00~17:45。ECビジネスに役立つセミナーをすべて無料で聴講できます(事前登録制)。

こんな人にオススメ

  • リテールメディアについて学びたい
  • 広告の新規獲得単価が上がっているなか、コスト減+効果的な施策を知りたい
  • 生成AIやデータを活用して、ECの売り上げアップ、業務効率化を図りたい
  • 推し活をマーケティングに生かす方法が知りたい
  • ECと実店舗双方の強みを生かしたOMOの成功事例を学びたい
  • BtoB-ECのマーケティング戦略のコツを知りたい
  • BtoC向けモールに出店しているので、それを活用してBtoBビジネスを成長させたい
  • BtoB-ECを本格的に始めたいので、そのコツやリプレイスに必要なことを知りたい
  • リピート率をアップする施策を知りたい

1日目は、ZOZOグループによる、ユーザーファーストを軸に築き上げてきた広告事業の特長、中川政七商店による、生成AIを活用した顧客コミュニケーションの運用負担軽減の取り組みなどのセッションを用意。

2日目は、ワコールによる、顧客戦略とOMOによる新たな購買体験提供のノウハウや、ビームテックによる、「楽天市場」などのBtoC向けECプラットフォームを活用しBtoBの法人受注を獲得する戦略など、通販・ECの成長に役立つノウハウや知見を数多く講演します。

開催概要

  • 開催日時:2025年7月29日(火)、30日(水)11:00~17:45
  • 開催内容:オンライン配信
  • 参加料金:無料(事前登録制)
  • 主催:株式会社インプレス ネットショップ担当者フォーラム
  • 参加費:無料(事前登録制)
  • 詳細と申し込みhttps://netshop.impress.co.jp/event/202507
ネットショップ担当者フォーラム編集部

通販業務支援のGoQSystem、Amazonの配送支援サービス「Amazon Easy Ship」と連携。出品者の受注業務を最大80%以上自動化

4ヶ月 2 週間 ago

GoQSystemは、提供する通販業務支援システム「GoQSystem」が、Amazonの販売事業者向け配送サービス「Amazon Easy Ship」と連携した。

「GoQSystem」を導入しており、かつ、「Amazon Easy Ship」を利用している事業者は、Amazon出品業務の効率化と利益向上を図ることができる。

「GoQSystem」とは

「GoQSystem」は、通販業務で発生するルーティン作業を自動で処理する仕組みを提供している。特長は次の通り。

複数ショップの一元管理

「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」など、複数ショップの注文情報を一括管理できる。「Amazon Easy Ship」以外の配送方法にも対応し、出荷業務全体を効率化する。

「GoQSystem」上で「Amazon Easy Ship」の集荷予約が可能

注文内容に応じて、「Amazon Easy Ship」「クロネコヤマト」「佐川急便」「日本郵便」など最適な配送手段を自動で選択する。今回の連携により、「Amazon Easy Ship」も配送手段に追加された。

受注業務の80%以上を自動化

利用企業は、すべてのモールの送り状を「GoQSystem」上で発行できる。出荷後の発送メールなども自動対応し、業務の約80%を自動化する。

「GoQSystem」は通販業務のルーティン業務を自動処理する
「GoQSystem」は通販業務のルーティン業務を自動処理する

「Amazon Easy Ship」とは

「Amazon Easy Ship」は、Amazonが提供する出荷プラットフォーム。注文をAmazon指定の配送業者が、出品者(販売事業者)の倉庫まで集荷・配送する。

Amazonが提供する出荷プラットフォーム「Amazon Easy Ship」
Amazonが提供する出荷プラットフォーム「Amazon Easy Ship」

ワンクリックでの送り状発行、出荷通知の自動送信、配送料金の安さなどに特長があり、利用企業の配送業務効率化とコスト削減に貢献する。

「Amazon Easy Ship」はAmazon販売事業者の配送の効率化とコスト削減に貢献する
「Amazon Easy Ship」はAmazon販売事業者の配送の効率化とコスト削減に貢献する
大嶋 喜子

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってはいるがまだ使わないが多数

4ヶ月 2 週間 ago

ポイ活型モバイルアンケートアプリなどを展開するノウンズは7月25日、「TikTok Shopに関する意識調査」の結果を発表した。

「TikTok Shop」の認知度と利用意向

「TikTok Shop」の認知度と利用意向について聞いた。サービス自体を「知っている」あるいは「名前だけ聞いたことがある」と回答した割合は約4割。6月末のリリースから間もないタイミングではあるが、浸透はまだ限定的と指摘している。

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってるけどまだ使わないが多数
「TikTok Shop」の認知について

利用意向は2割にとどまった。「あまり利用したいと思わない」「全く利用したいと思わない」と答えた割合は全体の約8割。この結果からノウンズは「知らないから使わないのではなく、知ってもまだ使う気にならない」という現状が見えてくると分析。「生活者は新しい購買機能に対し、期待よりも慎重な視線を向けている段階であり、今後の利用拡大には、信頼感の醸成や実体験の共有など“納得感”を高める仕掛けが求められるといえそう」としている。

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってるけどまだ使わないが多数
「SNSアプリ内で買い物が完結する機能」の利用意向

SNSで購入してみたい商品・サービス

「TikTok Shop」のようなSNS内ショッピング機能で購入してみたい商品やサービスについても聞いた。「食品・飲料」「ファッション」「美容・スキンケア」が上位を占めた。視覚的に訴求しやすく、日常的な関心が高いジャンルが、SNSショッピングとの相性の良さを示しているとした。

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってるけどまだ使わないが多数
購入してみたい商品やサービス

動画をみて買いたくなる投稿の特長

動画プラットフォームで見たことをきっかけに商品・サービスを「買いたくなる」と感じる投稿の特長についても聞いた。「短時間で要点がまとまっていて内容がすっと入る」や「実際に使ってレビューしていることが伝わる」といった“情報のリアルさと即効性”が高く評価されている。

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってるけどまだ使わないが多数
商品・サービスを「買いたくなる」と感じる投稿の特長

購買意欲を高めるインフルエンサー像は、「フォローしていて日頃から信頼している人」「専門性の高い人」「実際に使ってレビューする人」が上位にあがり、「等身大の存在」「生活に近い存在」への信頼感が、購買行動における最重要因子となっている。一方で、「有名人」「フォロワーが多い人」といった表面的な影響力には関心が集まりにくく、SNSでの購買促進においては、誰が言っているかよりも、どれだけ本音で語られているか・自分と重ねられるかが重要になっていることがわかった。

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってるけどまだ使わないが多数
Q:どんなインフルエンサーやクリエイターであれば、動画視聴後の購入意欲が高まりますか?

SNS動画視聴後に購買を見送った理由は、「案件感が強く信頼できない」「価格が高い」「動画は良かったが自分には不要だった」といった項目が上位を占めた。これらの結果からは、「TikTok Shop」のようなSNS内ショッピングにおいて、ユーザーが「衝動的に欲しい」と感じても、それを自分にとって本当に必要かどうか一度立ち止まって考える傾向があるとしている。

消費者約1000人に聞いた「TikTok Shop」。利用意向は約2割、知ってるけどまだ使わないが多数
動画視聴中に購入を見送った理由

調査概要

  • 調査期間:2025年7月1日〜7月2日
  • 調査対象:全国の一般生活者
  • 調査対象者数:999人
  • 調査方法:「Knowns 消費者リサーチ」を通じたインターネット調査
鳥栖 剛

日本郵便の住所を7桁の英数字に変換・伝達する新サービス「デジタルアドレス」、「GMOクラウドEC」が導入

4ヶ月 2 週間 ago

GMOメイクショップは7月22日、オーダーメイド型ECサイト構築プラットフォーム「GMOクラウドEC」において、日本郵便の住所を7桁の英数字に変換・伝達する新サービス「デジタルアドレス」を導入したと発表した。GMOメイクショップによると、EC構築サービスで初の導入になるという。

「デジタルアドレス」は5月から日本郵便が開始した新サービス。日本郵便のサービスを便利に利用するためのID「ゆうID」に登録している住所を7桁の英数字に変換、郵便番号を含む都道府県から町域、建物情報など住所情報の全文を7桁の英数字で表現する。

「デジタルアドレス」に対応するサービスにおいて、既存の住所の代わりに「デジタルアドレス」を利用することで、住所データを簡潔に伝えることができる。引っ越しなどをしても一生涯に渡って同じ「デジタルアドレス」を持ち続けることもできるという。

日本郵便の住所を7桁の英数字に変換・伝達する新サービス「デジタルアドレス」、「GMOクラウドEC」が導入
「デジタルアドレス」は住所を7桁の英数字に変換・伝達する

GMOメイクショップは、「住所DX」を推進する日本郵便の取り組みに賛同、その普及に向け「GMOクラウドEC」に導入した。「デジタルアドレス」に対応することで、ECサイトにおける煩雑な住所入力の手間を大幅に削減し、顧客の購買体験向上やEC事業者の業務効率化、配送ミスの削減などにつなげる。今後はGMOメイクショップが提供するECサイト構築SaaS「makeshop byGMO」への導入も順次進めていく予定としている。

「GMOクラウドEC」で構築したECサイトでは、住所入力画面に「デジタルアドレス」の入力項目を追加できるようにした。これにより、ユーザーは、購入時の住所入力フォームに「デジタルアドレス」を入力するだけで、正確な住所情報を自動で呼び出すことができる。

GMOメイクショップは、日本郵便がめざす「デジタルアドレス」の社会インフラ化という大きなビジョンと歩調を合わせながら、ECサイトにおける住所入力の効率化と正確性の向上に向けて、連携して取り組んでいくとしている。

鳥栖 剛

佐川急便の2025年お盆期間(8/13~15)の集配業務、配達日指定を呼びかけ

4ヶ月 2 週間 ago

佐川急便はこのほど、お盆期間である8月13日(水)~8月15日(金)の集配業務について発表した。

8月13日(水)~8月15日(金)の期間に配達を希望する場合、「指定日配達シール」を貼付するか、送り状に配達指定日を明記するよう呼び掛けている。個人宅宛ての荷物は「指定日配達シール」の貼付がなくても配達するとしている。​​

佐川急便の2025年お盆期間(8/13~15)の集配業務、配達日指定を呼びかけ
お盆期間は配達日指定を呼びかけている(画像は佐川急便のサイトから編集部がキャプチャ)

また、お盆期間中は交通渋滞が予想されることから、日時に余裕を持った配送を呼びかけている。

鳥栖 剛

佐川急便、陸自東北方面隊と輸送協力協定。災害時向けの備蓄品保管や輸送を円滑化

4ヶ月 2 週間 ago

佐川急便は7月23日、陸上自衛隊東北方面隊と「輸送協力に関する協定」を締結し、宮城県仙台駐屯地にて締結式を行った。東北方面隊が保有する災害用備蓄品の保管や輸送などが円滑に実施できるよう、輸送面での協力体制を構築することなどを目的としている。災害が発生した際の被災者の救援および復旧、災害時を想定した活動や訓練も含む。

佐川急便 代表取締役社長 笹森公彰氏(左)、陸上自衛隊東北方面隊 牛嶋築 方面総監
佐川急便 代表取締役社長 笹森公彰氏(左)、陸上自衛隊東北方面隊 牛嶋築 方面総監

主な協定内容は次の通り。

災害発生時の連携

  • 東北方面隊が指定する地域への物資の輸送
  • 物資の保管場所の提供および荷役作業の実施

平時の取り組み

  • 災害用備蓄品の保管および輸送
  • 輸送情報および輸送力の提供に関する訓練の実施

佐川急便は指定公共機関として、これまでも日本各地における自然災害発生時において、自治体や各団体と連携し、被災地での復旧に関わる活動をしてきた。

2023年12月6日には、陸上自衛隊西部方面隊と、九州・沖縄地方において災害発生時のさまざまな活動や災害を想定した訓練などを円滑に実施することを目的に「輸送協力に関する協定」を締結。この協定では、物資輸送、荷役作業、保管場所の提供を災害発生時に連携。平時は情報共有体制の確立・維持、定期的な合同訓練を実施している。

大嶋 喜子

ファンケル流データ活用+Tips、大手ECモールを活用したBtoB-EC成長術、LINEを起点としたCRM戦略を学べるオンラインイベント【7/29+30開催】

4ヶ月 2 週間 ago
EC企業の担当者や有識者が登壇し、参加者の事業成長につながる知見を講演するオンラインイベント「Digital Commerce Frontier 2025」を7月29日(火)+30日(水)に開催。すべてのセミナーを無料で聴講できます

7月29日(火)+30日(水)に、デジタルコマースに関わる人必見の大型オンラインイベント「Digital Commerce Frontier 2025」を開催。ワコール、スマートニュース、ZOZO、中川政七商店、アスクル、パルコ、アシックスなど著名企業の成功事例や実践的な知見を学べるさまざまなセミナーを用意しています。リテールビジネス、BtoC-EC、BtoB-EC、メーカーECなどデジタルコマースに携わる方を対象に、AIやリテールテックなどの最新トレンド、最先端テクノロジー活用、事例、最新ソリューションなどを多数お届け。視聴はすべて無料です!(事前登録制)。オンラインで全国から参加いただけます。まだお申し込みをしていない人のために、編集部がおすすめ講演の見どころをご紹介します。

「Digital Commerce Frontier 2025」のおすすめ講演
  1. ZOZOの広告事業戦略+中川政七商店の生成AI活用が学べる! オンライン開催のデジタルコマースイベント【7/29+30開催】
  2. アスクルのBtoB-ECマーケティング施策、J.D. パワーの調査に学ぶ顧客満足度向上のポイントが学べるオンラインECセミナー【7/29+30開催】
  3. JFRグループのeスポーツ+推し活マーケ、EC売上10倍・会員数13倍を実現したアシックスのCX戦略などが学べるオンラインセミナー【7/29+30開催】
  4. ワコールの顧客体験向上+OMOの深化、新規獲得に役立つ「SmartNews」活用法などが学べるECセミナー【7/29+30開催@オンライン】
  5. セブンイレブンの新規事業リテールメディア戦略、パルコの共創型EC、顧客体験改善施策などが学べる! オンライン配信イベント【7/29+30開催】
  6. ミルボンのBtoBtoCモデル+水産業界のDX事例+BtoB EC効率化手法【7/29+30開催】
  7. リテールメディアへのUGC活用法、オルビスやワークマンなどのUI/UX成功事例、認知・体験・LTVをつなげるEC戦略を学べるオンラインセミナー【7/29+30開催】
  8. アイリスプラザのマーケットプレイス導入事例+ショート動画でCVR最大化+転売ヤー対策の最新戦略を解説【7/29+30開催】
  9. ファンケル流データ活用+ビームテックのBtoB新戦略+クレッシェンドラボのLINE CRM戦略を学べる! オンラインイベント【7/29+30開催】
Digital Commerce Frontier 2025

見どころ㉔ ファンケル流 積み上げたデータによる顧客理解とデータ活用のTIPS 

7月30日(水)14:00~14:45 KA2-4特別講演

ファンケルは創業から自社による通信販売を主軸としてビジネスを展開してきました。直接顧客に商品を販売してきた文化ゆえに、顧客を理解すること、およびデータを活用することに強いこだわりを持って知見を積み上げてきました。そして現在、それらを加速するためにデジタル技術を積極活用しています。そんなファンケルの現在地点をTIPSと共に共有します。

株式会社ファンケル グループIT本部 情報システム部 部長 長谷川 敬晃 氏 

株式会社ファンケル グループIT本部 情報システム部 部長 長谷川 敬晃氏

2003年、新卒でファンケルに入社。自社ECサイトの運営、サービス開発、ツール導入のPMを担当。マーケティングオートメーションの立ち上げ、外部ECモールへのオフィシャルショップ出店を主導。あくなきCX向上を目的に、直販(ECサイト)と店舗のチャネルを統合したスマホアプリを作り、顧客体験価値の最大化をめざすOMOを推進。2023年10月から現職でマーケティングをIT領域から支援。

ネッタヌネッタヌ

ファンケルが長年、データとデジタル活用で顧客理解を深め、競争激しい通販・EC市場で成長を遂げたのか? 本講演では「心地よいデジタル体験」を追求するCRM戦略(MA活用、カート放棄アプローチ、機械学習によるDM選定など)、CRMを支える販売基幹システムの刷新などを解説。ライブショッピングがLTV向上につながった秘訣、さらに店舗と通販のOMO連携を通じた「絆」を育む取り組み、データ連携による業務変革の事例も説明していく貴重なセッションです。

見どころ㉕ BtoBビジネスを伸ばすためのBtoC、新常識“ビームテック流法人向けEC術” ~新規営業チャネルを作る大手ECモール活用+潜在顧客を法人契約へ導くコンテンツ戦略~

7月30日(水)17:00~17:45 KB2-7クロージング講演

常識にとらわれない新たなBtoB-ECビジネスを学んでみませんか? 「楽天市場」「Amazon」などBtoC向けECプラットフォームを最大限に活用し、BtoBの法人受注を獲得する新常識の戦略を解説します。また、ECモールとの差別化を図る自社BtoB-ECサイトの運営法、広告費をかけずに顧客を獲得するための取り組みを説明。これからBtoB-ECを始めたい人、既存のBtoB-ECビジネスをさらに伸ばしたい人は必見です。

株式会社ビームテック 営業統括部長 取締役 吉田 甚一朗 氏

株式会社ビームテック 営業統括部長 取締役 吉田 甚一朗氏

1982年(昭和57年)、8月6日生まれ、42歳。サッカ一と教職免許を目的に行った大学在学中、ケガをした時の空き時間に「ヤフーオークション」にハマる。当時で月商100万オーバー。大学を卒業して個人事業主でマッサージ業に就き多くの社長から仕事のイロハを学ぶ。自分の時間を売るマッサージから、物販で時間の制約から解放されたいと思いLED照明の営業をするベンチャー企業に入社。その後、現在の代表とビームテックを創業。ECをメインとした、集客、認知による卸販路の拡大。自社ブランドによるアップル認証商品の製造や照明の概念を変える「EWINDOW」の販売に至る。コロナ禍以降は、レーザー彫刻機メーカーの正規代理店を行い新たな価値を提供している。

ネッタヌネッタヌ

ビームテックが実践する「BtoCtoB」というユニークな販売モデルを徹底解説します。ECモールで個人として購入する潜在的な法人担当者へアプローチし、「水銀灯処分」「白熱球からLEDへの取り替え方」といった具体的な課題を解決する数百本のコンテンツで信頼を獲得する戦略を公開。毎日更新するYouTube動画で認知度を高め、競合がやらない「ベタな営業」(電話やZoomでの個別相談)により、高額商品の高いコンバージョン率を実現する秘訣を深掘りします。「照明はただ照らすだけか」という問いから始まる「プロダクトアウト」の考え方まで、中小企業ならではのユニークな法人向けEC戦略を学ぶことができます。

見どころ㉖ LINE CRMでアジア市場を牽引するクレッシェンドラボ EC/OMO業界で本当に売り上げに繋がる顧客コミュニケーション戦略とは(仮)

7月29日(火)16:00~16:40 A1-6講演

クレッシェンドラボは、日本・台湾・タイでLINE CRMを核にEC/OMO業界を支援し、企業の顧客体験を進化させてきました。セッションでは、CRM/MAツール「MAAC(マーク)」とマルチチャネルチャットプラットフォーム「CAAC(カーク)」を軸に、売り上げに直結する"次世代の顧客コミュニケーション"の実践戦略を解説します。LINEを起点に、企業はどのようにLTVを高め、競争優位を築けるのか―― 今、求められる顧客接点設計の最新トレンドと成功事例をご紹介します。

株式会社クレッシェンドラボ 事業開発担当 森下 篤也 氏

株式会社クレッシェンドラボ 事業開発担当 森下 篤也氏

DX支援を行う上場スタートアップにてエンジニアを経験後、2023年にクレッシェンドラボに事業開発担当として入社。大手企業から中小企業まで幅広い企業へLINEマーケティングツール「MAAC」とLINEチャットツール「CAAC」の導入提案・活用支援を行う。

株式会社クレッシェンドラボ 上級事業開発担当/パートナーシップマネージャー 石橋 稜介 氏 

株式会社クレッシェンドラボ 上級事業開発担当/パートナーシップマネージャー 石橋 稜介氏

大手3PLにて都市開発における新規物流網提案に従事、その後、メガベンチャーにて物流Tech事業の立ち上げを経て、クレッシェンドラボに事業開発担当として入社。主にパートナーセールスを担当しており、販売パートナー企業とLINEマーケティングツール「MAAC」とマルチチャットプラットフォーム「CAAC」の導入提案・活用支援を行う。

Digital Commerce Frontier 2025
ネットショップ担当者フォーラム編集部

データを活用するための考え方「的当てゲーム理論」と「データは宝の地図じゃなくて、コンパス」とは? | 強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

4ヶ月 2 週間 ago
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載17回目】

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。17回目の連載は「体系的なデータ活用の考え方」をテーマに解説します。

ここをクリックで連載の目次を表示
強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

データ活用について考えていこう!

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは! 今回もよろしくお願いします!

石田

はい。ネッタヌ君、こんにちはーー。

ネッタヌネッタヌ

早速なんですが、前回前々回のお話って、どちらも石田さんがネットショップ担当者時代に経験した具体的な事例だったじゃないですか。今回のテーマは「体系的なデータ活用の考え方」だから、この2回とは少し違う感じですよね。

石田

そうだね。どちらも私の「マーケティング観」を作った大事な経験で、今回はその経験も含めて導き出した「ECのマーケティングの原理原則」の話をしようか(キラリン)

ネッタヌネッタヌ

楽しみです! けれど、今回のテーマの「データ活用」っていきなり言われてもイマイチピンとこないんですけれど……どこから考えればいいんですか?

石田

じゃあ、まず「的当てゲーム理論」の話をしようか。マーケティングにおけるデータ活用をシンプルに理解できる考え方だ。

ネッタヌネッタヌ

「的当てゲーム理論」?? なんですかそれ(笑)

EC内製化 「的当てゲーム理論」とは?
「的当てゲーム理論」とは?

「的当てゲーム理論」っていったいどんな考え方?

石田

「的当てゲーム理論」は、私が2011年にECマーケティング人財育成という会社を創立してから、ずっとセミナーなどで話している理論で、ECのマーケティングにおける「行動と成果」そして「運営サイクル」の関係を説明している「型」なんだよね。

ネッタヌネッタヌ

(石田さんが創業のときから話している由緒正しい理論だったんだ。「なんですかそれ」なんてバカにしてマズかったかな……)少年が1人、左側に立っていますね。

石田

うん。「的当てゲーム理論」の構図を説明するね。まず、この左側に立っている少年が、ECを販売チャネルとして事業を進める人。つまり、我々ネットショップの運営者だ。経営者でも担当者でもいいと思う。そして右側には暗闇があるんだけれど、その暗闇の向こうのどこかに「的」がある

ネッタヌネッタヌ

暗闇の向こうにある見えない「的」に向かってボールを投げる、そんな的当てゲームなんですね(ネッタヌがこの前お祭りでやった的当てゲームとは少し違うな……)

石田

そう。暗闇の向こうにある的に向かってボールを投げるんだけれど、当然少年からは的が見えない。

ネッタヌネッタヌ

じゃあ、ボールを投げても的に当たったのか見えないですよね?

石田

たしかに的に当たったかは見えない。ただ、的に当たったか当たってないか、それを判断できる「何か」が返ってくるんだ。

ちょっと難しい質問なんだけれど、ネッタヌ君、何だか想像つく?

ネッタヌネッタヌ

う~ん、的は見えないけれど、返ってくるもの……なんだろう……。

石田

それはね。「」なんだ。ボールが的に当たったか当たってないかは見えないけれど、的に当たったら「音」が返ってくる。

ネッタヌネッタヌ

つまり、「音」で的に当たったかどうかがわかると。

石田

ボールが的に当たらなかったら音がしないだけ。的の端に当たれば「ドスッ」と鈍い音が鳴る。そして、的の真ん中にきれいに当たれば「カコーン」って気持ちのいい音が返ってくるわけだ。

ネッタヌネッタヌ

つまり……。

石田

この「ボールを投げる」っていうのは、お客さまや市場に対するアプローチ、つまり改善施策のことだ。そして、返ってくる「音」が「成果」。つまり、データなんだよ。

ネッタヌネッタヌ

なるほどー。ネットショップのマーケティングはセッション数やコンバージョン率など、成果がデータで返ってきますもんね。

石田

ネットショップの運営者は、ボール(改善施策)を投げて音(データ)を聞く、そしてその音(データ)から反応を仮説検証して、次のボール(改善施策)を投げる。この繰り返しこそECのマーケティングであり、それを表現したのが「的当てゲーム理論」なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

ちなみに、この暗闇って何を意味しているんですか?

石田

インターネットだよ。ネットショップって、お客さんの顔が見えないでしょ?

ネッタヌネッタヌ

あー、確かにECってそうですね。お客さんが見えない。

石田

加えて、暗闇の向こうにある「的」が何か。それは「お客さん」自身なんだ。

EC内製化 ボール(施策)が的(お客さん)に当たったかを音(データ)を聞いて判断する
ボール(施策)が的(お客さん)に当たったかを音(データ)を聞いて判断する

「的」は同じ場所に留まらない。投げるボールを修正し続けよう

ネッタヌネッタヌ

つまり、僕らはインターネットの向こうにいるお客さんに向かって、「改善施策」というボールを投げている、と。

石田

そのとおり! さすがネッタヌ君、理解が早い!

もう1つ大事なのは、この「的」は少しずつ動いているってことなんだ。的は同じ場所に留まっていてくれない。

ネッタヌネッタヌ

的は少しずつ動いている……。なんだか石田さんが言いたいことがわかる気がします。

石田

この「的」は「お客さん」なんだけれどさ、少し表現を加えていうと「お客さんのニーズ」なんだ。お客さんのニーズって、トレンドや年齢、ライフスタイルの変化によって少しずつ変わっていくでしょ?

ネッタヌネッタヌ

確かに、昨日刺さったものは今日も刺さる可能性が高いけれど、来月も刺さるとは限らない……。

石田

つまり、毎回同じところにボールを投げてもいずれ当たりは悪くなる。だからこそ、動いている的(お客さんのニーズ)に合わせて、投げるボールを修正し続ける必要があるわけだ。極端な話、ネットショップの商材自体を変えたりしてさ。

ネッタヌネッタヌ

返ってくる音を聞き続けるからこそ、その変化に気づけるってことですよね。

石田

「音=データ」を見続けるからこそ反応の変化に気づけるんだ。

ネッタヌネッタヌ

前回の「Yahoo!ショッピング」のセッション数爆増の話、あれも音を聞いていたから気づくことができたってことですよね?

石田

まさにそう。毎日同じデータを見ていたからこそ、気づくことができた。

ネッタヌネッタヌ

もしも、データをたまにしか見てなかったら?

石田

きっと気づけなかったと思う。データが変化した瞬間を見逃しただろうし、変化から時間が経ち過ぎていて「なぜそうなったのか?」の要因も探索できなかったかもしれない。

ネッタヌネッタヌ

日々の観察が大事だってことですね。

EC内製化 データは宝の地図ではなくコンパス
データは宝の地図ではなくコンパス

データは「コンパス」。正しい方向に進んでいるかどうかを確認するためのツール

石田

あともう1つ、伝えておきたい「データ活用の考え方」がある。

ネッタヌネッタヌ

お、出ましたね。なんでしょう?

石田

これは前回のコラムでも少し触れたことなんだけれど、「データは宝の地図じゃなくて、コンパス」なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

あ、石田さん言っていました!

石田

データってさ、一見宝の地図のように「ここを掘れば宝がある」って示してくれるもののように感じるじゃない。でも本当はそうじゃない。

ネッタヌネッタヌ

じゃあ、何を教えてくれるんですか?

石田

いま自分たちが進んでいる方向。つまり、目的・目標に対して「ズレていないか、異変がないか」を教えてくれる

ネッタヌネッタヌ

正しい方向に進んでいるかどうかを確認するためのツールってことですね。

石田

そうそう。だから、成果につなげるための「答え」が書いてあるわけじゃないんだ。

ネッタヌネッタヌ

「コンパスで確認して、行動を修正して、また進む」――ここは完全に「的当てゲーム理論」と共通していますね。

石田

まさにそこ。「的当てゲーム理論」と「データは宝の地図じゃなくて、コンパス」。ぜひ両方ともECのマーケティングチームの「共通認識」にしてほしい。

ネッタヌネッタヌ

石田さん、「的当てゲーム理論」と「データは宝の地図じゃなくて、コンパス」の考え方の大切さはすごーくわかったんですけれど、これを日々の実務から習慣化していく方法ってないですかね?

石田

ネッタヌ君、ナイスなところを突っ込むね。これらの「原理原則」は頭の中でわかっていても、なかなか思考には浸透していかない。実務から思考に浸透させていかないと習慣化しないし、チームの「共通認識」にはならないよね。

ネッタヌネッタヌ

ぜひ、「実務から習慣化していく方法」のヒントを教えてもらえたら、ネッタヌ、飛び上がって喜んじゃうんですが……。

石田

じゃあ、次回はこのマーケティングの原理原則をいかに「チームに浸透させるか」の話をしようか。ここがこのコラムの目的でもある「マーケティングチームの内製化」の一番のポイントになるよね。

ネッタヌネッタヌ

次回もよろしくお願いします!!

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

この連載の理解度チェックを行えるホワイトペーパーを無料で配布しています。「EC事業の内製化」をめざすためにお役立て下さい!
>>お問い合わせはこちら

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

石田 麻琴

アイリスプラザのマーケットプレイス戦略、ショート動画でCVR最大化、転売ヤー対策の最新戦略を解説するオンラインセミナー【7/29+30開催】

4ヶ月 2 週間 ago
著名EC企業の担当者や有識者が登壇し、参加者の事業成長につながる知見を講演するオンラインイベント「Digital Commerce Frontier 2025」を7月29日(火)+30日(水)に開催。すべてのセミナーを無料で聴講できます

7月29日(火)+30日(水)に、デジタルコマースに関わる人必見の大型オンラインイベント「Digital Commerce Frontier 2025」を開催。ワコール、スマートニュース、ZOZO、中川政七商店、アスクル、パルコ、アシックスなど著名企業の成功事例や実践的な知見を学べるさまざまなセミナーを用意しています。リテールビジネス、BtoC-EC、BtoB-EC、メーカーECなどデジタルコマースに携わる方を対象に、AIやリテールテックなどの最新トレンド、最先端テクノロジー活用、事例、最新ソリューションなどを多数お届け。視聴はすべて無料です!(事前登録制)。オンラインで全国から参加いただけます。まだお申し込みをしていない人のために、編集部がおすすめ講演の見どころをご紹介します。

Digital Commerce Frontier 2025

見どころ㉑ アイリスプラザに聞く!自社EC+マーケットプレイス導入の舞台裏

7月30日(水)12:00~12:40 A2-2講演

アイリスオーヤマの公式通販サイト上でマーケットプレイスを導入したアイリスプラザ。導入プロジェクトの指揮を執った人、運営に携わる人が登壇し、導入の背景や狙い、実際の運用で感じたメリットや課題について具体的に解説します。世界の大手企業が採用するマーケットプレイスの「Mirakl」から、国内事例のリアルな体験談をもとに、今後のEC戦略のヒントをお届けします。

Mirakl株式会社 カスタマー サクセス チーム シニア ビジネス コンサルタント ペイン 千夏氏 

Mirakl株式会社 カスタマー サクセス チーム シニア ビジネス コンサルタント ペイン 千夏氏

国内銀行、インド系システムインテグレーター、オランダ系 SaaS 企業を経て Mirakl 株式会社へ入社。 バックオフィス業務、システム企画・開発、運用サポートなどの幅広い経験からシステムソリューションを用いた DX や BPR (ビジネスプロセス・リエンジニアリング)、新規事業企画などに携わる。特に海外パッケージシステム導入プロジェクトにおいては20年以上の経験あり。

株式会社アイリスプラザ 営業本部 マネージャー 川浪 祐嗣氏

株式会社アイリスプラザ 営業本部 マネージャー 川浪 祐嗣氏

2010年アイリスオーヤマ入社後、営業企画、事業企画などを経てEC事業に従事。ECでは顧客満足を追求し、サイトUI、決済承認率改善などに取り組みつつ、CRM施策を実践。2024年よりマーケットプレイス機能の導入を主導し、Miraklと連携しサービスの構築を実現。

株式会社アイリスプラザ 新規企画室 室長 松浦 翔平氏

株式会社アイリスプラザ 新規企画室 室長 松浦 翔平氏

2009年アイリスオーヤマ入社後、営業、事業企画、マーケティングを経てEC事業に従事。2024年下半期よりアイリスプラザマーケットプレイス事業に参画し、セラーリクルーティングやセラーグロースの仕組み構築を実践中。

見どころ㉒ スワイプ型ショート動画で変えるEC顧客体験。CVRを最大化する最新動画活用術を徹底解説。

7月30日(水)13:00~13:40 A2-3講演

近年、ECサイトの成果を左右する要素として注目されている「ショート動画」。ECサイトにおける動画活用の必要性は認識されていながらも、具体的な実践方法や効果的な展開方法が多くの企業の共通の課題となっています。セッションでは、顧客体験の向上を通じたコンバージョン率改善やエンゲージメント強化を実現する手法を解説します。動画制作の負担を軽減する、AI技術を活用した効率的な動画制作プロセスも紹介します。

株式会社ギャプライズ UGC&D2Cテクノロジー事業部 金子 葉月氏

株式会社ギャプライズ UGC&D2Cテクノロジー事業部 金子 葉月氏

メーカーでのEC運営経験を経て、株式会社ギャプライズに入社。UGCマーケティングツールやショート動画コマースツールを活用した、ECサイトのCVR改善や売上向上の提案から運用支援を担当。アパレル・食品・コスメなど幅広い業界において、ブランドごとの課題に即したサポートに取り組んでいる。

見どころ㉓ 転売ヤーをハックする?!テック武装した転売ヤーに打ち勝つEC防衛戦略

7月30日(水)16:00~16:40 A2-6講演

転売ヤーの巧妙な手口を徹底的にハック(解明)し、彼らの戦術を無効化する40分セミナー。BOT対策や需要予測の応用など、具体的な事例と実践的ノウハウを紹介。単なる防御ではなく、転売ヤーが近づけない販売システムの設計法からEC担当者が知るべき「敵の正体」に迫ります。

フラッグシップ株式会社 代表取締役 神馬 光滋氏

フラッグシップ株式会社 代表取締役 神馬 光滋氏

1989年生まれ。幼少期をネパール・米国で過ごし、Web開発に携わりながら知見を深め、大学卒業と同時にフラッグシップを創業。2017年よりShopifyを主軸にEC支援事業へ特化、2018年、日本初のShopify Plus Partnerに認定。国内外エンタープライズEC開発をリードし、2024年にはMiraklを活用したマーケットプレイス領域にも進出。企業ECビジネスのさらなる進化を支援する。

Digital Commerce Frontier 2025
◇◇◇

次回はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

Amazon、日本初の陸上風力発電所を稼働開始。一般家庭約1.9万世帯分の年間消費電力に相当する電力を生成

4ヶ月 2 週間 ago

アマゾンジャパンは7月25日、青森県上北郡六ヶ所村の陸上風力発電所が稼働したと発表した。発電容量は33メガワットで、日本国内の一般家庭約1万9000世帯分の年間消費電力に相当する電力を生成する見込みという。

発電所はAmazonにとって日本国内で投資する初の陸上風力発電プロジェクト。8基の風車で構成している。地上から風車の中心部分であるハブまでの距離は85m、風車の直径は120mとなっている。建設したのは発電事業者のコスモエコパワー。

風車を取り付けている様子
風車を取り付けている様子
8基の風車から構成される風力発電
8基の風車から構成される風力発電

陸上風力発電所が位置する青森県六ヶ所村は、年間を通じて安定して風が吹いており、全国でも有数の風力発電の適地として選出された。

Amazonは、2040年までにネット・ゼロ・カーボンを達成する公約「The Climate Pledge (クライメイト・プレッジ)」を掲げ、グローバルでカーボンフリーエネルギープロジェクトへの投資を加速している。

実際、Amazonは2020年より5年連続で世界最大の再生可能エネルギー購入企業であり、日本国内においても最大の再生可能エネルギー購入企業となっている。2021年に国内初となる「コーポレートPPA」(発電事業者から再エネ電力を直接購入する仕組み)を活用した太陽光発電プロジェクトを立ち上げ、現在では、9件の大規模太陽光・風力発電所、および16件の屋根設置の太陽光発電プロジェクトに投資している。

2025年7月1日には、三菱地所の施設「ロジクロス名古屋みなと」をAmazon専用に設計した物流拠点を新設。国内最大規模の地中熱空調や、Amazonとして世界で初めて壁面太陽光発電設備を導入した。

壁面太陽光発電設備を備えた名古屋市のフルフィルメントセンター(2025年8月から稼働予定)
壁面太陽光発電設備を備えた名古屋市のフルフィルメントセンター(2025年8月から稼働予定)
大嶋 喜子

「決済が通らない」で失うのは売上と信頼感。EC事業者と消費者への調査から見えたリアルな実態と対策のヒント | それ、決済で解決できます。売上・UX・不正対策――すべてにつながる「見直しポイント」

4ヶ月 2 週間 ago
オンラインショッピングでのクレジットカード決済の非承認はユーザーの購買意欲低下や企業・ブランドへの信頼感低下につながる可能性も。ユーザーと事業者に行ったアンケート調査から、EC事業者が行うべき対応のヒントを探ります
多くのEC実施事業者が決済承認率を重要視している一方で、その詳細や改善策への理解が不足しているという認識ギャップがあります。ユーザーにとって決済エラーの多くは理由が不明なままであり、この不透明さが不信感を高め、EC事業者にとっては見えない機会損失につながっているのをご存じですか? 調査データなどから、決済プロセス全体の現状把握、課題特定、対策立案を通じた決済承認率の戦略的改善のアプローチなどを解説します。

「理由もわからずエラーになる」「決済が通らない」。こんな経験していませんか?

「カートに商品を入れて購入ボタンを押したのに、決済が通らない」――そんな体験をしたことはありませんか? クレジットカード情報に誤りはないはずなのに、理由もわからずエラーになる。この「なぜか買えない」という違和感は、ユーザーにとって購入に向けた大きな心理的な壁でなると同時に、EC事業者にとっては売上機会損失につながる重大なリスクです。

日々の買い物などもオンラインにシフトするなかで、クレジットカード決済の“非承認”という見えにくい障壁が、購買体験と企業の売り上げにマイナスの影響を与えるケースも少なくありません。特に高額商材や急ぎの購入時には「通らない=買えない」が即時の機会損失に直結し、事業者にとっては広告投資や集客努力を無駄にしてしまう結果にもなりかねません。

YTGATEはこうした決済の実態を可視化するため、2025年5月に消費者とEC事業者向けの2つの調査を実施しました。そのなかから特に注目すべき結果を抜粋し、両者間に横たわる認識のギャップ、そこから導かれる課題・打ち手について考察します。

「決済エラー」は珍しくない――3か月以内に約3割のユーザーが経験

YTGATEが全国の20~60代のオンラインショッピング利用者・男女302人を対象に実施した調査では、約30%(89人)が「過去3か月以内に決済の失敗を経験した」と回答しました。つまり、3人に1人が直近でトラブルを経験している状況です。

YTGATE オンラインショッピング時の決済エラーに関する消費者実態調査2025 オンラインショッピング時にクレジットカードの決済に失敗したことがあるか
オンラインショッピング時にクレジットカードの決済に失敗したことがあるか

さらにその影響は感情面にも及びます。決済エラー経験者のうち、約29%が「イライラ・怒り」を感じたと答え、5.6%は「そのブランドやECサイトからの離脱を検討した」と回答。 購入完了直前のエラーは、ユーザーの購買意欲を損なうだけでなく、企業やブランド全体への不信感にもつながりかねません

YTGATE オンラインショッピング時の決済エラーに関する消費者実態調査2025 決済エラーが発生した際に感じたこと
決済エラーが発生した際に感じたこと

行動面にも分岐が見られました。決済エラー経験者のうち約28%は、別の手段で購入を継続した一方で、約8.6%は「購入をやめた」「他サイトを利用した」と回答しています。つまり、およそ1割のユーザーが他社へ流出している可能性があります

YTGATE オンラインショッピング時の決済エラーに関する消費者実態調査2025 決済エラー時にユーザーが行った行動
決済エラー時にユーザーが行った行動

加えて注目すべきは、「なぜエラーになったのかが不明なまま」というケースが多い点です。 決済エラーを経験したユーザーのうち、約半数が「理由が表示されなかった」「わからなかった」と回答している結果も得られました。

YTGATE オンラインショッピング時の決済エラーに関する消費者実態調査2025 決済エラー発生時に理由が表示されたかどうか
決済エラー発生時に理由が表示されたかどうか

この不透明さこそが、ユーザーの不信感や離脱意欲を高めてしまう要因であり、EC事業者にとっては知らぬ間に売りなっている売り上げとして、深刻に捉えるべきポイントだといえるでしょう。

「重要な課題」だが「詳しく知らない」。意識と理解のギャップ

YTGATEが実施したEC事業者309人(年商100億円以上の大手企業を含む)への調査では、クレジットカード決済における決済承認率(オーソリ承認率)について、7割以上のEC事業者が「自社にとって重要な課題」と認識していることが明らかになりました。

YTGATE クレジットカード決済における決済承認率について 自社にとって重要な課題かどうか
クレジットカード決済における決済承認率が、自社にとって重要な課題かどうか

しかしその一方で、62.4%が「(決算承認率という)言葉の意味を詳しく知らなかった」と回答。課題意識は高まっているものの、具体的な改善に向けた知識・手段は浸透していないのが現状です。

YTGATE クレジットカード決済における決済承認率について 「決済承認率」という言葉の意味を知っているかどうか
「決済承認率」という言葉の意味を知っているかどうか

特に年商規模による差も見られ、年商100億円以上の企業では「内容までよく知っている」が約3割に達する一方で、年商10億円未満の企業では「知らない」割合が顕著に高いという結果に。 つまり、大手は経営指標として扱い始めている一方で、中小企業ではそもそも気づいていないケースも多いのです。

YTGATE クレジットカード決済における決済承認率について 「決済承認率」という言葉の意味を知っているかどうか(年商規模別)
「決済承認率」という言葉の意味を知っているかどうか(年商規模別)

加えて、全体の76.5%が「決済承認率の改善ニーズがある」と回答。そのうち約25%は「非常にニーズがある」と答えています。現場で日常的に「なぜか通らない決済」に直面している企業ほど、改善による売上回復のポテンシャルを痛感していることが伺えます。

YTGATE クレジットカード決済における決済承認率について 決済承認率の改善ニーズがあるかどうか
決済承認率の改善ニーズがあるかどうか

背景にある“制度変更”と複雑化するリスク判断

こうした非承認の増加には、近年の制度変更も影響しています。2025年3月から「EMV 3-Dセキュア」導入が必須化されたことで、決済時に本人認証のステップが追加され、ユーザーの手続きが煩雑になりました。

また、3Dセキュア(本人認証)を行ったうえで成立した決済が不正利用となった場合、加盟店ではなくカード会社がその損害を負担する「ライアビリティシフト」が発生します。この背景から、カード会社としてはリスク回避の観点から、少しでも不審な兆候があれば承認を控える傾向が強まっているのが実情です。

そのため、限度額が残っていても、利用地域や時間帯、決済金額、カードの種類、IPアドレス、端末情報の違いなどが引き金となり、決済が拒否されるケースは珍しくありません。

一方、EC事業者側にはこうした判断ロジックが見えにくく、「決済が行われなかった理由がわからない」「改善の余地があるのか不明」という声も多く聞かれます。結果として、カゴ落ちが発生し、顧客からのクレームが増加、社内対応の工数がかさむなど、 売り上げ、CX、オペレーションの三面でじわじわとした負荷が蓄積されているのです。

今こそ「決済承認率」を攻めの経営指標に

決済承認率は、単なるオペレーション上のKPIではありません。それは、ユーザーの購入意欲が最も高まる決済直前に立ちはだかる最後の関門であり、もしここでエラーや非承認が発生すれば、それまで積み上げてきたマーケティングや商品開発、UI改善といったあらゆる施策の努力が水の泡となってしまいます。

たとえば、広告費をかけて集客し、カート投入率やLP改善でコンバージョン率を高めても、最後の決済段階で承認されなければ売り上げはゼロ。この「見えない機会損失」を正しく把握し、戦略的に改善していくことが、これからのEC経営にとって重要な差別化要素になると考えています。

では、EC事業者はどのような対応を取るべきなのでしょうか。

EC事業者が行うべき対策をフェーズ毎に解説

YTGATE EC事業者がフェーズ毎に行うべき取り組み

クレジットカード決済には、「決済前」「決済時」「決済後」と複数のステージが存在し、それぞれに売上ロスや不正リスクの発生ポイントが潜んでいます。EC事業者が安定した売り上げと顧客体験を維持するためには、こうした決済プロセス全体を俯瞰し、戦略的に対応していくことが重要です。

具体的には、以下の3ステップを踏まえた取り組みが効果的です。

①現状把握

まずは自社の決済データを分析し、決済承認率やカゴ落ち発生率などを可視化することで、どの段階で売り上げを失っているのかを明らかにします。「ユーザーがどの時点で、なぜ購入をやめたのか」の要因を詳細に分析することで、UIや導線の最適化だけでなく、決済に起因するボトルネックの特定と解消にもつながります。

②課題の特定

不正対策が強化される一方で、過剰な防御設定により正当な取引まではじかれてしまうケースも増えています。可視化された数値をもとに、エラーコード、発生タイミング、利用カード種別などの傾向を分析し、非承認や離脱の根本要因を特定します。

③対策立案

分析結果に基づき、カード会社ごとの対応方針の調整、判定ルールや接続仕様の見直し、ユーザーへのフォロー施策など、実効性のある改善策を設計・実行していきます。

さらに、実務のなかでは次の3つの観点を重点的に見直すことが大切です。

会員情報の監視と健全化(決済前)

会員登録・ログイン・情報変更時における不審な挙動を検知し、不正アカウントの早期排除を行うことで、不正決済を未然に防ぐことができます。

決済取引のリアルタイム監視(決済時)

取引情報と決済情報を連携させ、決済直後に不正検知を行う仕組みを導入することで、不正利用を即時に遮断し、被害拡大を防止します。

決済後の離脱対策(決済後)

エラーコードなどのシステムログを分析し、エラー発生後のユーザーに対して再決済の案内やサポートを行うことで、取りこぼしを防ぎ、売り上げの回復を図ります

これらの施策を通じて、「決済承認率」という一見地味な指標を、売り上げとユーザー体験を左右する“戦略的な成長レバー”として位置づけることができるのです。

しかし、「実際にはそこまで手が回らない」というのが多くのEC事業者の本音ではないでしょうか。売上管理、在庫対応、顧客対応、広告運用――日々の業務に追われるなかで、「決済が本当に正しく機能しているか」を継続的にモニタリングして課題を洗い出し、改善を実行していくことは、現場にとって決して簡単なことではありません。

だからこそ、私たちは“入金の入り口”である決済の現場を見守り、代わりに改善を伴走する存在でありたいと考えています。

YTGATEは「承認率の可視化」を出発点に据え、「カゴ落ち要因の分析と改善施策の立案」「不正リスクと売上確保のバランス最適化」「カード会社との交渉・対話による調整支援」などを行っています。

単なる数値の改善ではなく、その裏にあるユーザー体験や売上最大化への貢献にこだわりながら、EC事業の持続的成長を支えてまいります。

YTGATEの決済承認率改善サービス:https://ytgate.jp/service/payment/

高橋祐太郎
確認済み
1 時間 11 分 ago
ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る