【2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査(7)】AIの広範活用とテクノロジー投資で効果創出/効果体感企業の4割が「カスタマーサクセス概念社内浸透」推進
バーチャレクス・コンサルティング株式会社
~バーチャレクスが毎年実施するカスタマーサクセス日本市場動向&実態調査、2025年版の第七弾結果公開~
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:丸山勇人、以下、バーチャレクス)は「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、この度2025年版第七弾の結果を取りまとめました。

■これまでの2025年調査結果
【第一弾】
「カスタマーサクセス、経営層の78.6%が「聞いたことがない」/取り組み企業の約8割ではAIの導入・活用進む」
【第二弾】
「AI活用」74.5%のカスタマーサクセス企業が効果を実感/6割以上が「新規売上増加」で業績向上
【第三弾】
タッチモデルとサブスク戦略が切り拓くカスタマーサクセス効果/ツール活用が業績向上に与える大きな影響
【第四弾】
フェーズ分けで変わるカスタマーサクセスの成果/サクセスロードマップが新規獲得・継続売上を大幅に伸ばす
【第五弾】
カスタマーサクセス成功企業46%が「外部専門家活用」/早期課題認識と対策が効果創出につながる
【第六弾】
KPIとヘルススコアの連動性がカスタマーサクセス成功の分岐点/ツール利用の情報管理体制でも効果に明暗
■今回の分析テーマ
- カスタマーサクセス業務におけるAI活用実態
- カスタマーサクセス領域の投資状況と今後の展望
- カスタマーサクセス取り組みの成果
リリース全文PDFダウンロード
追加詳細データ・分析含む調査結果全文をご覧いただけます
カスタマーサクセス業務におけるAI活用実態
まず初めに、カスタマーサクセスに取り組んでいる人に対して、カスタマーサクセス業務においてAIをどのように活用しているか、または今後どのような活用を検討しているのかを尋ねました。カスタマーサクセスの効果を感じている効果実感層(n=494)では、まず顧客対応におけるチャットボットが61.3%と圧倒的に高い割合を示しており、基本的な自動応答システムやサポートチケットの自動作成が、業務効率の向上や顧客満足度の改善に寄与していると考えられます。また、より高度な分析ツールとして、NPSやCSATの予測・分析(31.0%)、顧客行動予測(25.1%)、およびAIによるパーソナライズ(21.7%)が導入され、単なる自動化以上の価値創出を目指していることが分かります。
一方、カスタマーサクセスの効果を感じていない/どちらとも言えない効果未実感層(n=345)では、最も多い回答が「分からない/答えられない」(31.9%)となり、AIの具体的な効果や運用状況に対する認識のばらつきが見て取れます。同グループにおいてもチャットボットの導入は31.6%と一定の割合を示すものの、全体としては効果実感が薄い結果となっています。さらに、業務内でAIを利用していない割合も効果実感層に比べ高く、導入の進捗や活用レベルに企業間で大きなばらつきがあることがうかがえます。

図1:[2025年] カスタマーサクセス業務でAIをどのように活用しているか(または今後活用を考えているか)
カスタマーサクセス領域の投資状況と今後の展望
ここからは、カスタマーサクセス領域への投資に対する企業の実態を見ていきます。まず、「直近一年でカスタマーサクセスツールにかけた予算」について尋ねたところ、効果体感層では、約4割(39.7%)が「50万以上/月」と回答しており、比較的高額な投資を行うほど成果を得やすい傾向がうかがえます。一方で、効果を感じていない/どちらとも言えない効果未体感層(n=345)でも23.8%が同じく月50万以上と回答しており、投資額の高さだけでは十分な効果を保証できないことも明らかです。
さらに、効果未体感層において「分からない」という回答が29.0%と突出していることから、費用把握や運用状況の可視化が不十分なため、効果検証が難しくなる可能性が考えられます。
また、10万円未満や10万~30万円未満といった比較的低予算の層でも効果を感じている企業が一定数存在する点は、必ずしも高額投資のみが成果を生むわけではないことを示唆しています。投資額が低くても成果を得ている企業は、自社の規模や顧客構造に合わせた最適なツール選定・活用を行っている可能性があります。総合的に見ると、カスタマーサクセスの取り組みを成功させるには、単に予算を増やすだけでなく、導入目的の明確化、KPIの設定、チーム体制の整備など、運用面を含む戦略設計と継続的なモニタリングが不可欠であると考えられます。

図2:[2025年] 直近1年でカスタマーサクセスにかけた予算
次に、全社的にAIを導入している企業に所属している人に対して、カスタマーサクセスにおけるAI活用の予算配分先を訪ね、その結果をカスタマーサクセスの効果体感別に分析しました。効果実感層(n=221)では、48.0%が顧客対応の自動化に投資しているほか、顧客データ分析・行動予測(43.0%)やFAQの自動化(38.9%)、パーソナライズ施策(31.2%)など、多様な取り組みに予算を割り当てています。また、社内トレーニングやナレッジ共有に投資する企業も20.8%に上り、AI活用を社内全体で浸透させる取り組みが進んでいることがうかがえます。さらに、AI活用のパイロットプロジェクトに試験的予算を配分している企業が14.5%にのぼり、今後の拡大に向けた積極的な姿勢も特徴的です。加えて、「AI活用の必要性を感じているが、予算の確保が難しい」という企業が11.8%存在する点も注目すべきであり、資金面の課題に直面しながらも前向きにAI導入を検討している企業が一定数あると考えられます。
一方、効果未実感層(n=78)では、予算配分の内訳として「分からない/答えられない」が41.0%と最も多く、次点の顧客対応の自動化も25.6%にとどまっています。社内トレーニングやナレッジ共有への投資は1.3%と非常に低く、この結果はAI導入の目的や運用体制が十分に整っていない可能性を示しています。また、今年度は予算化していないが来年度以降の導入を検討している企業は1.3%にすぎず、今後の拡大意欲も低いと考えられます。さらに、AI導入の優先度が低いため予算を割り当てていない企業が3.8%存在する点も、AI活用が十分に浸透していない要因の一つと捉えられます。

図3:[2025年] カスタマーサクセスへのAI活用の予算配分先(AI全社導入企業)
続いて、人材採用/育成、ツール導入、研修等を含むカスタマーサクセス予算について、今後どの程度投資する予定かを尋ねたところ、効果実感層の場合、全体の約55%が前年比で増額(「やや増額」36.2%+「大幅に増額」18.8%)を計画しており、成果に対する評価が高く、積極的な投資拡大の意向が強いことがうかがえます。一方、約28%は現状維持を選択しており、一定の安定運用を望む企業も存在するものの、全体的には増額志向が顕著です。減額を考える企業はごく少なく、専用予算がない割合も非常に低いことから、カスタマーサクセス施策が投資対象としてしっかり位置づけられていると考えられます。
対照的に、効果未実感層では、「現状維持」と「分からない/答えられない」が各約25.2%という結果にとどまり、全体的に慎重かつ不透明な予算運用がうかがえます。予算増額に前向きな割合は「やや増額」14.8%、「大幅に増額」4.9%と低く、むしろ減額に傾く傾向(「やや減額」13.3%、「大幅に削減」5.8%)も見受けられ、カスタマーサクセス施策に対する期待値が低いことが背景にあると考えられます。また、専用予算を設けていない割合もこのグループでは高く、企業全体の取り組み姿勢が効果実感と密接に関連していることが明確です。
全体として、カスタマーサクセスの成果が明確に実感できる企業は積極的に投資を拡大しようとする一方、効果が実感できない場合には慎重な対応や減額を検討する傾向が見られ、効果実感が投資判断の重要なファクターであることが示唆されます。

図4:[2025年] 今後のカスタマーサクセスに投資する予算
カスタマーサクセス取り組みの成果
最後に、カスタマーサクセスの効果、成果について見ていきます。効果実感層に対して、カスタマーサクセスのどんな取り組みがその効果に直結しているかを尋ねたところ、最も多かったのは「顧客の離脱防止策の実施/解約の前兆を読み取り先んじて対策を打つ」(36.2%)ことでした。続いて、「正しい顧客への販売・サービス提供」(35.6%)や「顧客の状況を常に把握/サービス導入後の利用状況のモニタリング」(35.6%)といった施策が高い割合を示しており、これらの施策は解約防止や顧客価値向上に直結していると推察されます。
また、顧客ニーズの変化に迅速に対応する(34.0%)や、定期的な顧客フォローアップの徹底(26.9%)も挙げられ、利用状況を継続的に把握し、課題を早期に解決する姿勢の重要性が示されています。一方、発展的な施策として「顧客同士のコミュニティ形成促進」(13.2%)や「タイムトゥバリュー向上のための取り組み」(10.5%)は約1割程度にとどまり、まずは“守り”の取り組みに注力している現状がうかがえます。
しかしながら、「数値で顧客を把握/カスタマーヘルスの管理」(23.9%)や「全社レベルでのカスタマーサクセスへの取り組み」(21.9%)の評価が一定数存在することから、部門横断的なデータ活用や顧客理解の深化が進んでいることも見受けられます。

図5:[2025年] カスタマーサクセス効果につながったと思う取り組み
また、カスタマーサクセスに取り組むことによって業績向上などの成果が出た要因は何だと思うかと聞いてみました。すると、企業がカスタマーサクセスの効果を実感するためには、組織内での意識改革や十分なリソースの投入が極めて重要であることが読み取れます。まず、全体の約40%近くが「カスタマーサクセスの概念を社内に浸透させた」と回答しており、従業員一人ひとりがカスタマーサクセスの意義を理解し、共通認識を持つことが施策の成功に直結していると考えられます。また、約39%が「会社がカスタマーサクセスへの予算を確保/拡大した」と答えており、経営陣からの支援と十分な投資が、実際の施策遂行において大きな後押しとなっていると考えられます。
さらに、導入したソフトウェアを効果的に活用できた(36.2%)ことや、カスタマーサクセスの取り組みを継続した(32.0%)との回答も目立ち、短期的な成果だけでなく、継続的な改善と最新ツールの積極的な活用が成果に結びついていることがうかがえます。また、顧客の声を製品・サービスの改善に活かす取り組みや、既存顧客との関係構築も一定の評価を受けており、顧客視点の取り組みが企業全体の成長に貢献しているといえるでしょう。
一方で、トップダウンの推進や専門人材の採用・育成といった要素は比較的低い評価に留まっており、現場での柔軟な対応や組織全体の協力体制の方が、成果を生む上でより効果的であるという示唆も得られます。
全体として、カスタマーサクセスを成功させるには、社内の意識統一や予算確保、継続的な取り組み、そして最新ツールの活用が不可欠であり、これらの施策が相乗効果を発揮することで、顧客満足度の向上と持続的な成長につながっていると考えられます。

図5:[2025年] カスタマーサクセスの成果が出た要因だと思うもの
AI導入と投資戦略が生む次世代イノベーション
全体として、カスタマーサクセスにおける取り組みは、基本的なチャットボットの自動応答から高度なNPS予測やパーソナライズ施策まで、多岐にわたるAI活用が進む一方で、効果実感の有無による運用や投資額に大きな差が見受けられます。効果を実感している企業は、比較的高額な予算配分と具体的な施策(顧客離脱防止、正しい販売、利用状況のモニタリングなど)を通じて顧客満足度や業績向上を実現しているのに対し、効果未実感層では予算配分や運用体制の整備が不十分であり、今後の改善が求められる状況です。これらの結果は、単なるツール導入にとどまらず、組織全体での意識改革と戦略的な投資、さらに継続的な改善活動が、カスタマーサクセスの本質的な成功を実現するための鍵であることを、改めて浮き彫りにしています。
なお、今回の調査で得られたデータは膨大であるため、本調査の分析結果は複数回にわたって公開していきます。各回では、カスタマーサクセスの導入状況や成果、成功要因、今後の展望などをテーマごとに掘り下げ、日本企業におけるカスタマーサクセスの実態と動向を詳しく分析します。
第七弾調査結果詳細
本調査結果の詳細な分析結果全文はこちら
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2025年2月21日~2025年2月26日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)64,138人
過去の調査結果はこちら
2019年~2024年の調査結果をご覧いただけます
<参考>
バーチャレクス社翻訳カスタマーサクセス担当者のためのバイブル
『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
カスタマーサクセスの法則や用語を紹介
カスタマーサクセスのいろはがわかるサイト
カスタマーサクセスで顧客接点の未来を創る by Virtualex Consulting
(すべて生成AIで制作したコンセプトムービー)
■ バーチャレクス・コンサルティング株式会社について
バーチャレクス・コンサルティングは創業来「企業と顧客の接点領域」にフォーカスしたビジネスを展開しており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、"Succession with You" ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げています。現在では顧客企業のCRM領域のDX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開しています。
■ バーチャレクスグループについて
バーチャレクスグループは、各企業約1,000名以上の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。2016年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場しています。
■ 本件に関するお問い合わせ
専用フォームよりお問い合わせください
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
~バーチャレクスが毎年実施するカスタマーサクセス日本市場動向&実態調査、2025年版の第七弾結果公開~
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:丸山勇人、以下、バーチャレクス)は「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、この度2025年版第七弾の結果を取りまとめました。

■これまでの2025年調査結果
【第一弾】
「カスタマーサクセス、経営層の78.6%が「聞いたことがない」/取り組み企業の約8割ではAIの導入・活用進む」
【第二弾】
「AI活用」74.5%のカスタマーサクセス企業が効果を実感/6割以上が「新規売上増加」で業績向上
【第三弾】
タッチモデルとサブスク戦略が切り拓くカスタマーサクセス効果/ツール活用が業績向上に与える大きな影響
【第四弾】
フェーズ分けで変わるカスタマーサクセスの成果/サクセスロードマップが新規獲得・継続売上を大幅に伸ばす
【第五弾】
カスタマーサクセス成功企業46%が「外部専門家活用」/早期課題認識と対策が効果創出につながる
【第六弾】
KPIとヘルススコアの連動性がカスタマーサクセス成功の分岐点/ツール利用の情報管理体制でも効果に明暗
■今回の分析テーマ
- カスタマーサクセス業務におけるAI活用実態
- カスタマーサクセス領域の投資状況と今後の展望
- カスタマーサクセス取り組みの成果
リリース全文PDFダウンロード
追加詳細データ・分析含む調査結果全文をご覧いただけます
カスタマーサクセス業務におけるAI活用実態
まず初めに、カスタマーサクセスに取り組んでいる人に対して、カスタマーサクセス業務においてAIをどのように活用しているか、または今後どのような活用を検討しているのかを尋ねました。カスタマーサクセスの効果を感じている効果実感層(n=494)では、まず顧客対応におけるチャットボットが61.3%と圧倒的に高い割合を示しており、基本的な自動応答システムやサポートチケットの自動作成が、業務効率の向上や顧客満足度の改善に寄与していると考えられます。また、より高度な分析ツールとして、NPSやCSATの予測・分析(31.0%)、顧客行動予測(25.1%)、およびAIによるパーソナライズ(21.7%)が導入され、単なる自動化以上の価値創出を目指していることが分かります。
一方、カスタマーサクセスの効果を感じていない/どちらとも言えない効果未実感層(n=345)では、最も多い回答が「分からない/答えられない」(31.9%)となり、AIの具体的な効果や運用状況に対する認識のばらつきが見て取れます。同グループにおいてもチャットボットの導入は31.6%と一定の割合を示すものの、全体としては効果実感が薄い結果となっています。さらに、業務内でAIを利用していない割合も効果実感層に比べ高く、導入の進捗や活用レベルに企業間で大きなばらつきがあることがうかがえます。

図1:[2025年] カスタマーサクセス業務でAIをどのように活用しているか(または今後活用を考えているか)
カスタマーサクセス領域の投資状況と今後の展望
ここからは、カスタマーサクセス領域への投資に対する企業の実態を見ていきます。まず、「直近一年でカスタマーサクセスツールにかけた予算」について尋ねたところ、効果体感層では、約4割(39.7%)が「50万以上/月」と回答しており、比較的高額な投資を行うほど成果を得やすい傾向がうかがえます。一方で、効果を感じていない/どちらとも言えない効果未体感層(n=345)でも23.8%が同じく月50万以上と回答しており、投資額の高さだけでは十分な効果を保証できないことも明らかです。
さらに、効果未体感層において「分からない」という回答が29.0%と突出していることから、費用把握や運用状況の可視化が不十分なため、効果検証が難しくなる可能性が考えられます。
また、10万円未満や10万~30万円未満といった比較的低予算の層でも効果を感じている企業が一定数存在する点は、必ずしも高額投資のみが成果を生むわけではないことを示唆しています。投資額が低くても成果を得ている企業は、自社の規模や顧客構造に合わせた最適なツール選定・活用を行っている可能性があります。総合的に見ると、カスタマーサクセスの取り組みを成功させるには、単に予算を増やすだけでなく、導入目的の明確化、KPIの設定、チーム体制の整備など、運用面を含む戦略設計と継続的なモニタリングが不可欠であると考えられます。

図2:[2025年] 直近1年でカスタマーサクセスにかけた予算
次に、全社的にAIを導入している企業に所属している人に対して、カスタマーサクセスにおけるAI活用の予算配分先を訪ね、その結果をカスタマーサクセスの効果体感別に分析しました。効果実感層(n=221)では、48.0%が顧客対応の自動化に投資しているほか、顧客データ分析・行動予測(43.0%)やFAQの自動化(38.9%)、パーソナライズ施策(31.2%)など、多様な取り組みに予算を割り当てています。また、社内トレーニングやナレッジ共有に投資する企業も20.8%に上り、AI活用を社内全体で浸透させる取り組みが進んでいることがうかがえます。さらに、AI活用のパイロットプロジェクトに試験的予算を配分している企業が14.5%にのぼり、今後の拡大に向けた積極的な姿勢も特徴的です。加えて、「AI活用の必要性を感じているが、予算の確保が難しい」という企業が11.8%存在する点も注目すべきであり、資金面の課題に直面しながらも前向きにAI導入を検討している企業が一定数あると考えられます。
一方、効果未実感層(n=78)では、予算配分の内訳として「分からない/答えられない」が41.0%と最も多く、次点の顧客対応の自動化も25.6%にとどまっています。社内トレーニングやナレッジ共有への投資は1.3%と非常に低く、この結果はAI導入の目的や運用体制が十分に整っていない可能性を示しています。また、今年度は予算化していないが来年度以降の導入を検討している企業は1.3%にすぎず、今後の拡大意欲も低いと考えられます。さらに、AI導入の優先度が低いため予算を割り当てていない企業が3.8%存在する点も、AI活用が十分に浸透していない要因の一つと捉えられます。

図3:[2025年] カスタマーサクセスへのAI活用の予算配分先(AI全社導入企業)
続いて、人材採用/育成、ツール導入、研修等を含むカスタマーサクセス予算について、今後どの程度投資する予定かを尋ねたところ、効果実感層の場合、全体の約55%が前年比で増額(「やや増額」36.2%+「大幅に増額」18.8%)を計画しており、成果に対する評価が高く、積極的な投資拡大の意向が強いことがうかがえます。一方、約28%は現状維持を選択しており、一定の安定運用を望む企業も存在するものの、全体的には増額志向が顕著です。減額を考える企業はごく少なく、専用予算がない割合も非常に低いことから、カスタマーサクセス施策が投資対象としてしっかり位置づけられていると考えられます。
対照的に、効果未実感層では、「現状維持」と「分からない/答えられない」が各約25.2%という結果にとどまり、全体的に慎重かつ不透明な予算運用がうかがえます。予算増額に前向きな割合は「やや増額」14.8%、「大幅に増額」4.9%と低く、むしろ減額に傾く傾向(「やや減額」13.3%、「大幅に削減」5.8%)も見受けられ、カスタマーサクセス施策に対する期待値が低いことが背景にあると考えられます。また、専用予算を設けていない割合もこのグループでは高く、企業全体の取り組み姿勢が効果実感と密接に関連していることが明確です。
全体として、カスタマーサクセスの成果が明確に実感できる企業は積極的に投資を拡大しようとする一方、効果が実感できない場合には慎重な対応や減額を検討する傾向が見られ、効果実感が投資判断の重要なファクターであることが示唆されます。

図4:[2025年] 今後のカスタマーサクセスに投資する予算
カスタマーサクセス取り組みの成果
最後に、カスタマーサクセスの効果、成果について見ていきます。効果実感層に対して、カスタマーサクセスのどんな取り組みがその効果に直結しているかを尋ねたところ、最も多かったのは「顧客の離脱防止策の実施/解約の前兆を読み取り先んじて対策を打つ」(36.2%)ことでした。続いて、「正しい顧客への販売・サービス提供」(35.6%)や「顧客の状況を常に把握/サービス導入後の利用状況のモニタリング」(35.6%)といった施策が高い割合を示しており、これらの施策は解約防止や顧客価値向上に直結していると推察されます。
また、顧客ニーズの変化に迅速に対応する(34.0%)や、定期的な顧客フォローアップの徹底(26.9%)も挙げられ、利用状況を継続的に把握し、課題を早期に解決する姿勢の重要性が示されています。一方、発展的な施策として「顧客同士のコミュニティ形成促進」(13.2%)や「タイムトゥバリュー向上のための取り組み」(10.5%)は約1割程度にとどまり、まずは“守り”の取り組みに注力している現状がうかがえます。
しかしながら、「数値で顧客を把握/カスタマーヘルスの管理」(23.9%)や「全社レベルでのカスタマーサクセスへの取り組み」(21.9%)の評価が一定数存在することから、部門横断的なデータ活用や顧客理解の深化が進んでいることも見受けられます。

図5:[2025年] カスタマーサクセス効果につながったと思う取り組み
また、カスタマーサクセスに取り組むことによって業績向上などの成果が出た要因は何だと思うかと聞いてみました。すると、企業がカスタマーサクセスの効果を実感するためには、組織内での意識改革や十分なリソースの投入が極めて重要であることが読み取れます。まず、全体の約40%近くが「カスタマーサクセスの概念を社内に浸透させた」と回答しており、従業員一人ひとりがカスタマーサクセスの意義を理解し、共通認識を持つことが施策の成功に直結していると考えられます。また、約39%が「会社がカスタマーサクセスへの予算を確保/拡大した」と答えており、経営陣からの支援と十分な投資が、実際の施策遂行において大きな後押しとなっていると考えられます。
さらに、導入したソフトウェアを効果的に活用できた(36.2%)ことや、カスタマーサクセスの取り組みを継続した(32.0%)との回答も目立ち、短期的な成果だけでなく、継続的な改善と最新ツールの積極的な活用が成果に結びついていることがうかがえます。また、顧客の声を製品・サービスの改善に活かす取り組みや、既存顧客との関係構築も一定の評価を受けており、顧客視点の取り組みが企業全体の成長に貢献しているといえるでしょう。
一方で、トップダウンの推進や専門人材の採用・育成といった要素は比較的低い評価に留まっており、現場での柔軟な対応や組織全体の協力体制の方が、成果を生む上でより効果的であるという示唆も得られます。
全体として、カスタマーサクセスを成功させるには、社内の意識統一や予算確保、継続的な取り組み、そして最新ツールの活用が不可欠であり、これらの施策が相乗効果を発揮することで、顧客満足度の向上と持続的な成長につながっていると考えられます。

図5:[2025年] カスタマーサクセスの成果が出た要因だと思うもの
AI導入と投資戦略が生む次世代イノベーション
全体として、カスタマーサクセスにおける取り組みは、基本的なチャットボットの自動応答から高度なNPS予測やパーソナライズ施策まで、多岐にわたるAI活用が進む一方で、効果実感の有無による運用や投資額に大きな差が見受けられます。効果を実感している企業は、比較的高額な予算配分と具体的な施策(顧客離脱防止、正しい販売、利用状況のモニタリングなど)を通じて顧客満足度や業績向上を実現しているのに対し、効果未実感層では予算配分や運用体制の整備が不十分であり、今後の改善が求められる状況です。これらの結果は、単なるツール導入にとどまらず、組織全体での意識改革と戦略的な投資、さらに継続的な改善活動が、カスタマーサクセスの本質的な成功を実現するための鍵であることを、改めて浮き彫りにしています。
なお、今回の調査で得られたデータは膨大であるため、本調査の分析結果は複数回にわたって公開していきます。各回では、カスタマーサクセスの導入状況や成果、成功要因、今後の展望などをテーマごとに掘り下げ、日本企業におけるカスタマーサクセスの実態と動向を詳しく分析します。
第七弾調査結果詳細
本調査結果の詳細な分析結果全文はこちら
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2025年2月21日~2025年2月26日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)64,138人
過去の調査結果はこちら
2019年~2024年の調査結果をご覧いただけます
<参考>
バーチャレクス社翻訳カスタマーサクセス担当者のためのバイブル
『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
カスタマーサクセスの法則や用語を紹介
カスタマーサクセスのいろはがわかるサイト
カスタマーサクセスで顧客接点の未来を創る by Virtualex Consulting
(すべて生成AIで制作したコンセプトムービー)
■ バーチャレクス・コンサルティング株式会社について
バーチャレクス・コンサルティングは創業来「企業と顧客の接点領域」にフォーカスしたビジネスを展開しており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、"Succession with You" ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げています。現在では顧客企業のCRM領域のDX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開しています。
■ バーチャレクスグループについて
バーチャレクスグループは、各企業約1,000名以上の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。2016年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場しています。
■ 本件に関するお問い合わせ
専用フォームよりお問い合わせください
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ