バーチャレクス・コンサルティング株式会社
~バーチャレクスが毎年実施するカスタマーサクセス日本市場動向&実態調査、2025年版の第七弾結果公開~
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:丸山勇人、以下、バーチャレクス)は
「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」 を実施し、この度
2025年版第七弾 の結果を取りまとめました。
■これまでの2025年調査結果
【第一弾】
「カスタマーサクセス、経営層の78.6%が「聞いたことがない」/取り組み企業の約8割ではAIの導入・活用進む」
【第二弾】
「AI活用」74.5%のカスタマーサクセス企業が効果を実感/6割以上が「新規売上増加」で業績向上
【第三弾】
タッチモデルとサブスク戦略が切り拓くカスタマーサクセス効果/ツール活用が業績向上に与える大きな影響
【第四弾】
フェーズ分けで変わるカスタマーサクセスの成果/サクセスロードマップが新規獲得・継続売上を大幅に伸ばす
【第五弾】
カスタマーサクセス成功企業46%が「外部専門家活用」/早期課題認識と対策が効果創出につながる
【第六弾】
KPIとヘルススコアの連動性がカスタマーサクセス成功の分岐点/ツール利用の情報管理体制でも効果に明暗
■今回の分析テーマ
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カスタマーサクセス業務におけるAI活用実態 -
カスタマーサクセス領域の投資状況と今後の展望 -
カスタマーサクセス取り組みの成果
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カスタマーサクセス業務におけるAI活用実態
まず初めに、カスタマーサクセスに取り組んでいる人に対して、
カスタマーサクセス業務 において
AIをどのように活用 しているか、または今後どのような
活用を検討している のかを尋ねました。カスタマーサクセスの効果を感じている
効果実感層 (n=494)では、まず
顧客対応におけるチャットボット が
61.3% と圧倒的に高い割合を示しており、基本的な自動応答システムやサポートチケットの自動作成が、
業務効率の向上 や
顧客満足度の改善 に寄与していると考えられます。また、より高度な分析ツールとして、
NPSやCSATの予測・分析(31.0%) 、
顧客行動予測(25.1%) 、および
AIによるパーソナライズ(21.7%) が導入され、単なる自動化以上の価値創出を目指していることが分かります。
一方、カスタマーサクセスの効果を感じていない/どちらとも言えない
効果未実感層 (n=345)では、最も多い回答が
「分からない/答えられない」(31.9%) となり、AIの具体的な効果や運用状況に対する
認識のばらつき が見て取れます。同グループにおいても
チャットボットの導入 は
31.6% と一定の割合を示すものの、全体としては効果実感が薄い結果となっています。さらに、業務内で
AIを利用していない 割合も効果実感層に比べ
高く 、導入の進捗や活用レベルに企業間で大きなばらつきがあることがうかがえます。
図1:[2025年] カスタマーサクセス業務でAIをどのように活用しているか(または今後活用を考えているか)
カスタマーサクセス領域の投資状況と今後の展望
ここからは、
カスタマーサクセス領域への投資 に対する企業の実態を見ていきます。まず、
「直近一年でカスタマーサクセスツールにかけた予算」 について尋ねたところ、
効果体感層 では、
約4割(39.7%) が
「50万以上/月」 と回答しており、比較的
高額な投資 を行うほど成果を得やすい傾向がうかがえます。一方で、効果を感じていない/どちらとも言えない
効果未体感層 (n=345)でも
23.8% が同じく
月50万以上 と回答しており、投資額の高さだけでは
十分な効果を保証できない ことも明らかです。
さらに、
効果未体感層 において
「分からない」 という回答が
29.0% と突出していることから、費用把握や運用状況の可視化が不十分なため、
効果検証が難しくなる 可能性が考えられます。
また、
10万円未満 や
10万~30万円未満 といった比較的低予算の層でも
効果を感じている 企業が一定数存在する点は、必ずしも
高額投資のみが成果を生むわけではない ことを示唆しています。投資額が低くても成果を得ている企業は、自社の規模や顧客構造に合わせた
最適なツール選定・活用 を行っている可能性があります。総合的に見ると、カスタマーサクセスの取り組みを成功させるには、単に予算を増やすだけでなく、導入目的の明確化、KPIの設定、チーム体制の整備など、運用面を含む
戦略設計 と
継続的なモニタリング が不可欠であると考えられます。
図2:[2025年] 直近1年でカスタマーサクセスにかけた予算
次に、
全社的にAIを導入している企業 に所属している人に対して、
カスタマーサクセスにおけるAI活用の予算配分先 を訪ね、その結果をカスタマーサクセスの効果体感別に分析しました。
効果実感層(n=221) では、
48.0% が
顧客対応の自動化 に投資しているほか、
顧客データ分析・行動予測(43.0%) や
FAQの自動化(38.9%) 、
パーソナライズ施策(31.2%) など、多様な取り組みに予算を割り当てています。また、
社内トレーニング や
ナレッジ共有 に投資する企業も
20.8% に上り、AI活用を
社内全体 で浸透させる取り組みが進んでいることがうかがえます。さらに、AI活用のパイロットプロジェクトに
試験的予算 を配分している企業が
14.5% にのぼり、今後の拡大に向けた積極的な姿勢も特徴的です。加えて、
「AI活用の必要性を感じているが、予算の確保が難しい」 という企業が
11.8% 存在する点も注目すべきであり、資金面の課題に直面しながらも前向きに
AI導入を検討 している企業が一定数あると考えられます。
一方、
効果未実感層(n=78) では、予算配分の内訳として
「分からない/答えられない」 が
41.0% と最も多く、次点の
顧客対応の自動化 も
25.6% にとどまっています。
社内トレーニング や
ナレッジ共有 への投資は
1.3% と非常に低く、この結果はAI導入の目的や運用体制が十分に整っていない可能性を示しています。また、今年度は予算化していないが
来年度以降の導入 を検討している企業は
1.3% にすぎず、今後の
拡大意欲も低い と考えられます。さらに、AI導入の優先度が低いため
予算を割り当てていない 企業が
3.8% 存在する点も、AI活用が十分に浸透していない要因の一つと捉えられます。
図3:[2025年] カスタマーサクセスへのAI活用の予算配分先(AI全社導入企業)
続いて、人材採用/育成、ツール導入、研修等を含む
カスタマーサクセス予算 について、
今後どの程度投資する予定 かを尋ねたところ、
効果実感層 の場合、全体の
約55% が前年比で
増額 (「やや増額」36.2%+「大幅に増額」18.8%)を計画しており、成果に対する評価が高く、
積極的な投資拡大の意向 が強いことがうかがえます。一方、約
28% は
現状維持 を選択しており、一定の安定運用を望む企業も存在するものの、全体的には
増額志向 が顕著です。減額を考える企業はごく少なく、専用予算がない割合も非常に低いことから、
カスタマーサクセス施策 が
投資対象 としてしっかり位置づけられていると考えられます。
対照的に、
効果未実感層 では、
「現状維持」 と
「分からない/答えられない」 が各約
25.2% という結果にとどまり、全体的に
慎重 かつ
不透明 な予算運用がうかがえます。予算増額に前向きな割合は
「やや増額」14.8% 、「
大幅に増額」4.9% と低く、むしろ
減額に傾く 傾向(「やや減額」13.3%、「大幅に削減」5.8%)も見受けられ、カスタマーサクセス施策に対する
期待値が低い ことが背景にあると考えられます。また、
専用予算を設けていない 割合もこのグループでは
高く 、企業全体の取り組み姿勢が効果実感と密接に関連していることが明確です。
全体として、カスタマーサクセスの
成果 が明確に
実感できる企業 は積極的に
投資を拡大 しようとする一方、効果が
実感できない 場合には
慎重な対応 や
減額 を検討する傾向が見られ、効果実感が投資判断の重要なファクターであることが示唆されます。
図4:[2025年] 今後のカスタマーサクセスに投資する予算
カスタマーサクセス取り組みの成果
最後に、
カスタマーサクセスの効果、成果 について見ていきます。
効果実感層 に対して、カスタマーサクセスのどんな取り組みがその
効果に直結 しているかを尋ねたところ、最も多かったのは
「顧客の離脱防止策の実施/解約の前兆を読み取り先んじて対策を打つ」(36.2%) ことでした。続いて、
「正しい顧客への販売・サービス提供」(35.6%) や
「顧客の状況を常に把握/サービス導入後の利用状況のモニタリング」(35.6%) といった施策が高い割合を示しており、これらの施策は
解約防止 や
顧客価値向上 に直結していると推察されます。
また、
顧客ニーズの変化に迅速に対応する(34.0%) や、
定期的な顧客フォローアップの徹底(26.9%) も挙げられ、利用状況を継続的に把握し、
課題を早期に解決 する姿勢の重要性が示されています。一方、発展的な施策として
「顧客同士のコミュニティ形成促進」(13.2%) や
「タイムトゥバリュー向上のための取り組み」(10.5%) は約1割程度にとどまり、まずは
“守り” の取り組みに注力している現状がうかがえます。
しかしながら、
「数値で顧客を把握/カスタマーヘルスの管理」(23.9%) や
「全社レベルでのカスタマーサクセスへの取り組み」(21.9%) の評価が一定数存在することから、
部門横断的なデータ活用 や
顧客理解の深化 が進んでいることも見受けられます。
図5:[2025年] カスタマーサクセス効果につながったと思う取り組み
また、カスタマーサクセスに取り組むことによって
業績向上などの成果が出た要因は何だと思うか と聞いてみました。すると、企業がカスタマーサクセスの
効果を実感するため には、
組織内での意識改革 や十分な
リソースの投入 が極めて
重要 であることが読み取れます。まず、全体の
約40% 近くが
「カスタマーサクセスの概念を社内に浸透させた」 と回答しており、従業員一人ひとりがカスタマーサクセスの意義を理解し、
共通認識を持つこと が施策の成功に直結していると考えられます。また、
約39% が
「会社がカスタマーサクセスへの予算を確保/拡大した」 と答えており、
経営陣からの支援と十分な投資 が、実際の施策遂行において大きな後押しとなっていると考えられます。
さらに、
導入したソフトウェアを効果的に活用できた(36.2%) ことや、
カスタマーサクセスの取り組みを継続した(32.0%) との回答も目立ち、短期的な成果だけでなく、
継続的な改善 と
最新ツールの積極的な活用 が成果に結びついていることがうかがえます。また、
顧客の声を製品・サービスの改善に活かす 取り組みや、
既存顧客との関係構築 も一定の評価を受けており、
顧客視点の取り組み が企業全体の成長に貢献しているといえるでしょう。
一方で、
トップダウンの推進 や
専門人材の採用・育成 といった要素は比較的
低い評価 に留まっており、
現場での柔軟な対応 や
組織全体の協力体制 の方が、成果を生む上でより
効果的 であるという示唆も得られます。
全体として、カスタマーサクセスを成功させるには、
社内の意識統一 や
予算確保 、
継続的な取り組み 、そして
最新ツールの活用 が不可欠であり、これらの施策が相乗効果を発揮することで、
顧客満足度の向上 と
持続的な成長 につながっていると考えられます
。
図5:[2025年] カスタマーサクセスの成果が出た要因だと思うもの
AI導入と投資戦略が生む次世代イノベーション
全体として、カスタマーサクセスにおける取り組みは、基本的なチャットボットの自動応答から高度なNPS予測やパーソナライズ施策まで、
多岐にわたるAI活用 が進む一方で、
効果実感の有無 による
運用 や
投資額 に
大きな差 が見受けられます。効果を実感している企業は、
比較的高額な予算配分 と
具体的な施策 (顧客離脱防止、正しい販売、利用状況のモニタリングなど)を通じて
顧客満足度 や
業績向上 を実現しているのに対し、
効果未実感層 では予算配分や運用体制の整備が
不十分 であり、今後の改善が求められる状況です。これらの結果は、単なるツール導入にとどまらず、組
織全体 での
意識改革 と
戦略的な投資 、さらに
継続的な改善活動 が、カスタマーサクセスの本質的な成功を実現するための鍵であることを、改めて浮き彫りにしています。
なお、今回の調査で得られたデータは膨大であるため、本調査の分析結果は複数回にわたって公開していきます。各回では、カスタマーサクセスの導入状況や成果、成功要因、今後の展望などをテーマごとに掘り下げ、日本企業におけるカスタマーサクセスの実態と動向を詳しく分析します。
第七弾調査結果詳細 本調査結果の詳細な分析結果全文はこちら
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2025年2月21日~2025年2月26日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)64,138人
過去の調査結果はこちら 2019年~2024年の調査結果をご覧いただけます
<参考>
バーチャレクス社翻訳カスタマーサクセス担当者のためのバイブル
『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
カスタマーサクセスの法則や用語を紹介
カスタマーサクセスのいろはがわかるサイト
カスタマーサクセスで顧客接点の未来を創る by Virtualex Consulting
(すべて生成AIで制作したコンセプトムービー)
VIDEO
■ バーチャレクス・コンサルティング株式会社 について
バーチャレクス・コンサルティングは創業来「企業と顧客の接点領域」にフォーカスしたビジネスを展開しており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、"Succession with You" ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げています。現在では顧客企業のCRM領域のDX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開しています。
■ バーチャレクスグループ について
バーチャレクスグループは、各企業約1,000名以上の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。2016年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場しています。
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