キャップジェミニのワールド・ウェルス・レポート2020:富裕層の資産伸び率において、8年ぶりに北米がAPAC地域を上回る一方、COVID-19で先行きは不透明

リリース情報提供元: プレスリリース・ニュースリリース配信サービスのPR TIMES
2020年07月13日(月)
キャップジェミ二
富裕層は持続可能な投資に関心があり、料金に敏感で、超個別化を求めています




【2020年7月9日、パリ発】
キャップジェミニは本日、ワールド・ウェルス・レポート2020を発表しました。同レポートでは、世界的な景気減速、国家間の貿易摩擦、地政学上の緊張にもかかわらず、2019年の富裕層(HNWI)(*1) 資産と人数は、全世界で約9%増加しました。北米 (+11%) とヨーロッパ (+9%) がリードし、2012年以来初めてAPAC (+8%) を上回りました。但し、IMF (国際通貨基金) (*2) は2020年の世界経済が4.9%のマイナス成長に陥るものと予測しており、去年のブームから一転、先行きは不透明感に覆われています。


北米では、HNWIの人数と資産がいずれも11%増加 (2018年は資産が1%減少) し、2019年の世界全体でのHNWI人口増の39%, 資産増の37%をこの地域が占めました。ヨーロッパではHNWIの人数と資産が9%の伸びを見せ、APACやラテンアメリカの実績を上回りました。香港・中国・台湾を含むアジア諸国でマーケットが堅調に推移したものの、2019年のAPAC全体では8%の拡大に留まり、世界平均のHNWI成長率9%を下回りました。


以上はコロナ前、以下がコロナ後の話

国際取引所連合 (World Federation of Exchanges) の報告によると、COVID-19により世界のマーケットは18兆ドル以上 (*3) を2020年2月から3月にかけて失い、4月に一部を取り戻しました。ワールド・ウェルス・レポートではキャップジェミニの分析を紹介しており、そこでは2020年4月末までに世界の富が6%~8%減少すると予測しています (2019年12月との比較)。投資の優先順位も変わり、環境や社会に与える影響を重視する持続可能な投資が、パンデミック後の世界で大きな注目を集めています。

キャップジェミニの金融サービス部門CEO兼グループ常務理事会メンバーであるアニルバン・ボーズは、次のように述べています:「資産管理者も企業も、先が全く見通せない今日の異常な状況下で未知の海域に投げ出された格好です。それでも企業は、自社のビジネスモデルや業務モデルを見直し、もっと俊敏で堅牢なものに作り変えるチャンスがこの予測不能な事態によって到来した、とポジティブに捉えることもできます。企業は、アナリティクス・自動化・人工知能等の新しいテクノロジーを採り入れることで、顧客体験向上による売上アップと、プロセス合理化によるコスト削減を図ることが可能なのです。」


持続可能な投資と付加価値サービスへの引き合いが強まる

持続可能な投資 (SI) への関心の高まりが、潜在的に大きなビジネスチャンスを企業にもたらしています。超富裕層 (U-HNWI) (*4) において、SIは特に勢いがあります。全HNWI中の27%がSI商品に興味を示す一方、U-HNWIは40%が持続可能性へ資金を拠出する傾向にあります。

HNWIは、2020年末までにポートフォリオの41%、2021年末までに46%を、SI商品に振り向ける計画を描いています。資産管理会社もこの潮流を把握し、既に80%がSI商品のオプションを用意する等、そうした需要に応える態勢を整えています。社会的責任を果たす投資に特化したファンドは、2020年の市場動向においては貴重な明るい兆しです。HNWIはSI投資が社会や環境に与える影響を意識しつつ、SIが持つ金融商品としての価値もまた動機付けの要因となっています。より高いリターンとより低いリスクが、持続可能な投資へのHNWIの関心を後押しする理由として上位に来ています。39%がSI商品からより高いリターンを受けることを期待し、33%がSIを健全かつ投機性の低い商品と見ています。興味深いのはHNWIの26%が、社会に直接何かを還元したい、という意向を示したことです。


進化し続ける期待に応えるには、超個別化が必要

2020年が予測不能な年となったことで、資産構成の見直しが進み、専門的アドバイスへの顧客の期待が高まると共に、その料金に対する選別眼もまた厳しくなるでしょう。株式は2020年初頭に最大規模の資産クラスとなり、世界のHNWI金融ポートフォリオの30%を占めました。これは主に株式市場が堅調に推移したことと、金融刺激策で信頼が回復したことによります。一方でHNWIは、資産管理者の料金に対してますます批判的な目を持つようになり、33%が2019年のレートに納得していません。市場の不安定化に伴い、不満が高まるものと予想されます。本レポートによると、HNWIの5人に1人以上が、今後1年以内に取引先を変える可能性があります。HNWIの42%が、高額な料金をその一番の理由に挙げています。またHNWIは、資産ベースの料金よりも運用実績やサービスに基づいた料金を好む傾向があり、料金に見合う十分な価値が提供されることへの期待が高まっていることを示しています。

資産管理会社にとって、デジタル機能はビジネスを続けていく上での中心的なテーマとなりました。AI、アナリティクス等の各種テクノロジーが実現する超個別化商品は、進化し続けるHNWIの期待に、下記を含む各分野で対応が可能です:


リスクプロファイルの個別生成 - 行動科学と感情分析を活用して、クライアント個々のリスクプロファイルを解釈する
個別化したポートフォリオ構成と個別アドバイス - データアナリティクスと機械学習でカスタマイズしたポートフォリオを作成し、クライアントの行動を評定して、個別にアドバイスを提供する
カスタマイズしたクライアントへのレポート - APIと複数のデータソースを用いて、顧客が投資した商品の包括的なビューを作成する


投資家はCOVID以前 (2020年1~2月)、個別化した情報を入手できる接点や、カスタマージャーニーで取引先が提供するサービスについて、最も不満に感じていました。HNWIの60%以上が、資産管理の新商品やマーケットに関する情報を入手すべく試みたものの、満足な経験が得られなかったと答えています。情報入手と付加価値サービスに関する自らの体験内容に最も不満度が高かったのは、50~59歳の年齢層に属するHNWIでした。


BigTechというトロイの木馬

情報へのアクセスや付加価値サービスに関する顧客接点での顧客体験が凡庸だと、顧客に「ワォ!」と言わせて感動させる機会を逃すことになります。キャップジェミニがインタビューしたHNWIの40%以上が「各種の顧客接点で優れた体験をすると、その企業に対して抱く全体的な印象に強いインパクトがある」と答えており、そうした効果はCOVID-19の状況下で更に高まるものと見られます。

BigTechと呼ばれる競合他社を潜在的な攪乱要因の上位にランクしたのは資産管理者の26%のみですが、情報へのアクセスと付加価値サービスにおいてはBigTechが現在の取引先を凌駕できるはず、とHNWIは確信しているようです。HNWIの74%が「BigTechの資産管理提案を検討する意思がある」と答えており、「今後1年以内にメインの資産管理会社を変える可能性がある」と答えた22%のHNWI中では、その割合が94%にも上っています。

ラテンアメリカやアジア太平洋地域(日本を除く)のHNWIは、BigTechの資産管理サービスを採り入れる可能性が最も高いことが示されました。一方、日本や北米では、今後1年以内にメインの資産管理会社を変える可能性が高いHNWIのBigTech採用性向が、劇的な高まりを見せています。予想に違わず、40歳未満のHNWIが最もその傾向が強く、受け入れ意思は90%近くにも達します。

BigTechが金融サービスの地盤を獲得するのに伴い、資産管理会社は、デジタルによる顧客エンゲージメントを 早急に強化する以外、道は殆ど残されていません。HNWIの満足度が最も低かった顧客接点と、BigTechの浸食に対して最も脆弱な顧客接点を並べて見ると、クライアントジャーニーの3つのステージ(顧客獲得、専門的アドバイス、付加価値サービス)が、注力すべき領域として浮かび上がります。

資産管理会社においては、Open X(*5)理論に基づく2面戦略を取ることで、資産管理者が迅速かつコスト効率よく、バリューチェーン全体の機能を強化できます。各社は顧客獲得、専門的アドバイス、付加価値サービス向けに、テクノロジーに投資して社内に専門能力を構築し、更にエコシステムとの提携・協業やWealthTechパートナーシップを活用して、それらの能力を強化すべきです。

資産管理者にとって直近の課題は既存ビジネスの繋ぎ留めかもしれませんが、今から、そしてパンデミック後の景気回復を見込んで各種の専門能力を構築しておくことが、将来のビジネスチャンスや新たな収益源への道を整えることにつながります。自らを取り巻くエコシステムと共調して「個別化した情報や個別の投資戦略を容易に入手したい」というHNWI顧客の要望に、素早く応えることができれば、その企業は勝ち組になれるでしょう。

本レポートの詳しい内容については、キャップジェミニとThe Rudin Groupが7月9日 (木) 午前10時 (米東部夏時間) 開催のワールド・ウェルス・レポート2020 LinkedIn ライブイベント(*6)の録画(以下)をご覧ください。
https://www.linkedin.com/video/live/urn:li:ugcPost:6686974656060252160/
また、本レポートは http://www.worldinsurancereport.com/ よりダウンロードできます。

調査手法
ワールド・ウェルス・レポート2020は71ヵ国を網羅しています。これは、世界の国民総所得の98%かつ世界の株式市場時価総額の99%をそれぞれ上回るカバー率です。キャップジェミニの2020 Global HNW Insights Surveyにおいて、北米・ラテンアメリカ・ヨーロッパ・アジア太平洋地域における21の主要ウェルスマーケットを対象に、2,500名超のHNWIにアンケート調査をしました。この調査は2020年1月~2月に行われたため、調査結果はCOVID-19危機の影響を反映していません。





キャップジェミニについて
キャップジェミニは、コンサルティング、デジタルトランスフォーメーション、テクノロジー&エンジニアリングサービスのグローバルリーダーです。キャップジェミニ・グループはイノベーションの最前線に立ち、進化を続けるクラウド、デジタル及び各種プラットフォーム分野で、顧客のあらゆるビジネス機会に対応致します。キャップジェミニは、50年以上にわたり蓄積してきた優れた実績と業界固有の専門知識を基に、戦略から運用まで、弊社の一連のサービスを通じて、顧客企業が目指すビジネスビジョンの実現をご支援致します。キャップジェミニの信念は、「テクノロジーに関わるビジネス価値は人を通じて具現化される」ことであり、この信念こそが弊社の原動力となっています。キャップジェミニは、世界約50ケ国27万人に及ぶチームメンバーで構成される多文化企業です。アルトランを含むグループ全体の2019年度売上は、170億ユーロです。

キャップジェミニ株式会社については、以下をご覧ください。
https://www.capgemini.com/jp-jp/
キャップジェミ二株式会社のソーシャルアカウント
Twitter: https://twitter.com/CapgeminiJapan
Facebook: https://www.facebook.com/CapgeminiJapan/

People matter, results count. (人にこだわり 成果にコミット)



High Net Worth Individual (個人富裕層) とは、主たる住居・文化的収集品・消耗品・耐久消費財を除き、100万米ドル以上の投資可能資産を保有する人をいう。
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2020/06/24/WEOUpdateJune2020
World Federation of Exchanges, “First Quarter 2020 & Full Year 2019 Market Highlights,” 7. Mai 2020; https://www.world-exchanges.org/news/articles/world-federation-exchanges-releases-first-quarter-2020-full-year-2019-market-highlights
Ultra-HNWI (超富裕層) とは、3,000万米ドル以上の投資可能資産を保有する人をいう。
Open Xは、オープンバンキングをコンプライアンスに基づくアプローチから一気に飛躍させ、リソースやデータのシームレスなやり取りへ移行させます。それを可能とするのが商品改定サイクルの迅速化であり、カスタマーエクスペリエンスを継続的に向上させます。
ワールド・ウェルス・レポート2020 LinkedIn ライブイベント:https://worldwealthreport.com/world-wealth-report-2020-linkedin-live/

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