小・中・高校生の“裏アカ”所有率は3割超、しかし危機意識が低くトラブルは「他人事」【デジタルアーツ調べ】

“ネッ友”がいる未成年は3割超、過半数が「会ってもいい・もう会っている」。一方で危機意識は低い。

デジタルアーツは、未成年者の携帯電話・スマートフォンの最新の利活用状況について、調査結果を発表した。半年~年1回のスパンで継続調査しており、今回で12回目。小・中・高校生男女618名(および同年代の子どもを持つ保護者層618名、合計1,236名)から回答を得ている。

小・中・高校生の94.5%がスマホ使用、1日平均3.7時間

まず端末種別について聞くと、小・中・高校生の94.5%がスマートフォンを使用しており、前回調査(2018年1月)からさらに3.7%増加した。年代別で見ると、小学生(高学年)が16.5%増加し90.8%となり、はじめて90%台に達した。

 
 
 
 

平均利用時間も伸長しており、前回から0.5時間増加し3.7時間。小学生が2.5時間(前回から0.6時間増加)、中学生が2.8時間(0.4時間増加)、高校生が5.7時間(0.1時間増加)。最も平均時間が長いのは高校生女子で6.1時間に達している。

 

“ネッ友”がいるのは3割超、過半数が「会ってもいい・もう会っている」

ここからは、ネット上のコミュニケーションに対する危機意識を探る質問を行った。まず「ネット上のみでコミュニケーションを取る友達(ネット上の友達、ネッ友)」の有無を聞くと、「いる」としたのは小・中・高校生全体の37.5%。年齢が上がるほど比率は上がり、高校生女子で52.4%、高校生男子で46.6%に達する。

 

「ネット上の友達との接し方」について聞くと、全体では「十分仲良くなったので、できれば会ってみたい」13.8%、「もう少し仲良くなれば会ってみても良い」18.5%、「会うのは抵抗があるが、顔写真または顔が写っていない写真なら送っても良い」9.9%、「既に会っていてこれからも会いたい」16.4%などだった。総じて、ネッ友に会うことのハードルは低い。

これを年齢性別で見ると、高校生女子は「十分仲良くなったので、できれば会ってみたい」22.2%、「既に会っていてこれからも会いたい」24.1%が上昇する。

 

また「ネッ友にどこまで情報を教えられるか」という質問でも、「年齢」54.7%、「住んでいる地域」47.0%のほか、「職業(会社名・学校名)」26.7%、「顔、容姿」24.1%、「本名」21.6%などが2割を超えるなど、危機意識の低さが浮き彫りになった。

 

「個人情報の漏えい」に警戒しているが、どこか他人事

一方で「自分が当事者(被害者/加害者)になりうると感じた事件を選んでください」という設問では、「個人情報の漏えい」が前回の22.0%から大きく増加し小・中・高校生の43.0%となっている。「ネット上で知り合った人に誘拐/拉致/乱暴/殺害される」6.3%、「自分の写真を送らされ、脅迫される」5.0%も存在する。

前述の回答と矛盾するようだが、「個人情報の漏えい」や「自画撮り被害」などは、言葉で知っているだけの他人事で、“ネッ友と実際に会っても、自分は大丈夫”“本名や顔を教えても、自分は脅迫されない”といった当事者意識の欠如が感じられる。

 

女子高生は7割近くが“裏アカ”所有、便利な反面、リスクの意識を

こうした複雑な環境や個人の心境から、「リアルな友人関係とは別の関係を築きたい」「本音をより安全に吐露したい」という考えで、いわゆる“裏アカウント”(裏アカ)を開設するユーザーも多い。

「ネットやSNSの裏アカウント」の有無を聞くと、小・中・高校生全体の30.7%が裏アカウントを所有していた。女子高校生では69.9%、女子中学生でも47.6%が裏アカウントを利用していた。特に女子中学生は昨年から18.5%と大きく伸びている。

 

裏アカで投稿する内容は、「趣味、好きな芸能人・アーティスト、好きなもの・こと」が未成年全体でもっとも多く、47.0%だった。

好きなもの・ことについて、誰でもポジティブに表アカウントでも表明したい。しかし趣味志向は多様化が進んでおり、ともすれば「あんな○○が好きなの?」「○○が好きとか趣味悪い」といったネガティブな反応も有り得る。未成年にとっては“悩み事や日々の感情以上に、周りに話しにくいこと”になっていると言えるだろう。

 

実際に「裏アカを持っている理由」を聞くと、全体の1位は「顔のわかる相手に知られたくない感情/言いたいことが言えるから」40.1%だった。高校生男子では「顔のわかる相手に知られたくない趣味や好きな人・もの・ことがあるから」41.7%がトップに入れ替わる。

 

ただしこうした裏アカウントの利用についても、匿名性を有効活用して仲間うちの交流が可能な反面、情報が漏えいした場合に、表アカウント以上に過剰な反応を呼ぶリスクがある。つい最近も、アイドルグループのメンバーが、裏アカウントに投稿するつもりの内容を間違えて投稿し、強い批判を受けるという事例が発生している。

「個人情報の漏えい」「自画撮り被害」「裏アカウントでのうかつな発言」など、未成年においては、さまざまなネットトラブルについて、単なる“他人事”として聞き流すのではなく、いつ自分の身に起きてもおかしくない“事件”として学んでほしい。

調査概要

  • 【調査対象】携帯電話・スマートフォンを持つ全国10歳~18歳の男女、および同年代の子を持つ保護者
  • 【調査期間】2019年4月1日~2日
  • 【調査方法】インターネット調査(実施機関:マクロミル)
  • 【有効回答数】1,236サンプル(未成年者:618サンプル、保護者:618サンプル)
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