ネットショップ担当者フォーラム

生鮮食品EC「クックパッドマート」メイン利用者は、子どもらと同居する30-50代

2 years 9ヶ月 ago

クックパッドが2023年1月にユーザーを対象に行った調査によると、生鮮食品EC「クックパッドマート」ユーザーの多くは30〜50代で、配偶者・パートナー、子どもと同居しているという。

調査結果からは、「クックパッドマート」は主に核家族の共働き子育て世帯(DEWKs世帯)が、送料無料で市場や産地直送の新鮮な食材を買うために利用。ユーザーはアプリで注文した商品を週1回以上の頻度で、近くにある「マートステーション」で受け取っていることがわかったという。

「クックパッドマート」利用者の年代は30~50代が中心で、共働き子育て世代が多いことがわかる
「クックパッドマート」利用者の年代は30~50代が中心で、共働き子育て世代が多いことがわかる

就業状況を尋ねた質問では、80%以上が有職者であると回答。「クックパッドマート」は、核家族の共働き子育て世帯(DEWKs世帯)を中心に活用されている。

「クックパッドマート」の主な利用理由には「1品から注文できる」「市場や産地直送の新鮮な食材が買える」「送料が無料」「アプリで事前に注文できる」があげられたという。送料を気にせずアプリを活用して手軽に注文できる点や、食材の鮮度などが評価されていることがわかった。

生鮮品受け取りの宅配ボックス「マートステーション」は8割以上のユーザーが利用経験があり、うち97.1%が週1回以上の頻度で利用している。

利用理由は「送料無料だから」が最も多く(64.8%)、次いで「自宅や勤務先が近いから」(61.9%)、「好きなタイミングで受け取れるから」(50.0%)という結果となった。

「クックパッドマート」利用者の大多数が「マートステーション」を利用している。利用頻度も高い
クックパッドはユーザーの大多数が「マートステーション」を利用している。利用頻度も高い
「マートステーション」の利用理由は送料無料がトップにあげられている
「マートステーション」の利用理由は送料無料がトップにあげられている

調査概要

  • 調査内容:クックパッドマートユーザーへのアンケート調査
  • 調査期間:2023年1月19日
  • 対象:直近1か月以内に商品を購入している「クックパッドマート」ユーザー
  • 有効回答数:1021人
高野 真維

クックパッド、生鮮宅配ボックスの設置数が1000か所突破。都市型スーパー同等の規模に成長

2 years 9ヶ月 ago

クックパッドは、生鮮食品EC「クックパッドマート」の生鮮品受け取りの宅配ボックス「マートステーション」の設置数が1000か所を突破したと公表した。今後はさらなる設置数の拡大とともに、「隠れ買い物困難者」ゼロをめざした実証実験に取り組む。

「マートステーション」の設置数は都市型スーパーと同等規模

「クックパッドマート」は2018年9月にサービスを開始。生産者、市場の仲卸、専門店などが出店し、1万2000種類以上の食品を出品している。出品商品を宅配ボックスで受け取れる「マートステーション」の設置数は1000か所超。この数は、最大手の都市型小型スーパーマーケットの店舗数相当(2022年2月時点)の規模という。

ユーザーは商品をアプリで注文し、マンションやコンビニに設置された「マートステーション」で食品を受け取ることができる仕組み。都市部に暮らす核家族の共働き子育て世帯など、食品の買い物に課題を抱えていた「隠れ買い物困難者」による利用が多いという。

クックパッドは今後も「マートステーション」を拡充。「隠れ買い物困難者」ゼロをめざした実証実験を行う。第1弾として東京都目黒区・品川区の半径6km圏内に100か所の「マートステーション」の設置をめざし、事業者と連携を進める。「徒歩5分圏内で手軽にさまざまな食品が入手できる状態」を作るという。

コアターゲットを学芸大学駅・都立大学駅周辺エリアに定め、ユーザーへのヒアリングやエリア限定商品の販売、マルシェ、保育園と連携した子育て割引などを実施する。

実証実験第1弾は東京都目黒区・品川区の半径6km圏内に100か所の「マートステーション」の設置をめざす
実証実験第1弾は東京都目黒区・品川区の半径6km圏内に100か所の「マートステーション」の設置をめざす

マートステーションの設置状況

「マートステーション」は、2019年にマンション共用部への設置を開始。2020年からは東京メトロと連携して駅への設置を開始した。このほか、ドラッグストアやコンビニエンスストア、コインランドリー、保育園などユーザーの生活動線上に設置を進めている。

「マートステーション」は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で展開。設置数は2022年12月末時点で前年比約160%。主な設置場所は、マンション(30%)、コンビニエンスストア(25%)、コインランドリー(18%)が上位を占める。

「マートステーション」の設置数は右側が上がりに増えている
「マートステーション」の設置数は右側が上がりに増えている
設置場所はマンション、コンビニ、コインランドリーの順に多い
設置場所はマンション、コンビニ、コインランドリーの順に多い

設置エリアは東京都が全体の60%超を占めており、市区町村別では大型マンションが多い東京都江東区が最多だという。マンションはアプリで設置リクエストを送ることができるため、ユーザーからのリクエストにより設置につながるケースと、マンションオーナー側の意向で物件の価値向上のために設置されるケースがある。

エリア別の内訳では東京都が「マートステーション」設置数の60%超を占めている
エリア別の内訳では東京都が「マートステーション」設置数の60%超を占めている
高野 真維

D2C家具ブランド「LOWYA」が変化対応で成長した軌跡をベガコーポの浮城社長が解説【全13講演のECイベント見どころ】

2 years 9ヶ月 ago
ベガコーポレーションの社長が「LOWYA」の成長と変化を解説! EC成功の知見を学べる「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬」を2月21日(火)に開催。全13講演すべて視聴は無料

2月21日(火)に開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬~ECサクセスストーリー大集合~」では、ベガコーポレーション、アダストリア、ファンケル、花王、味の素、ロート製薬など、通販・EC業界で大きな存在感をもつ有名企業が登壇。

「D2C家具ブランド『LOWYA』の成長と変化」「味の素、ロート製薬、花王が語るメーカーECの壁と乗り越え方」などのテーマについて、企業の責任者などが講演します。13講演すべて「無料」で視聴できます。

まだお申し込みをしていない方のために、13講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

見どころ④ D2C家具ブランド「LOWYA」の成長と変化
14:00~14:45 KB-4 ゼネラルセッション

家具・インテリアのD2Cブランド「LOWYA(ロウヤ)」を展開するベガコーポレーション。講演では、代表取締役社長の浮城智和氏が自ら登壇し、業界で大きな存在感をもつ「LOWYA」の成長の軌跡と変化を詳しく解説します。

株式会社ベガコーポレーション 代表取締役社長 浮城智和 氏
株式会社ベガコーポレーション 代表取締役社長 浮城智和 氏
家具輸入商社で営業経験を積み27歳でベガコーポレーションを設立。2006年に家具・インテリアを扱うECサイト「LOWYA(ロウヤ)」を立ち上げる。2016年には世界を見据えた越境ECプラットフォーム「DOKODEMO(ドコデモ)」をオープン。同年、東京証券取引所マザーズへ上場。クリエイティブとテクノロジーを強みに、国内外にEC事業を展開している。
ベガコーポレーションが運営するD2C家具ブランド「LOWYA」のECサイトトップページ(画像は「LOWYA」の公式通販サイトから編集部がキャプチャ)
ベガコーポレーションが運営するD2C家具ブランド「LOWYA」のECサイトトップページ(画像は「LOWYA」の公式通販サイトから編集部がキャプチャ)
 
ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

「ネッ担 Meetup vol.3」(オンライン懇親会)を開催!

2月21日(火)18:30~20:30に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施。参加賞や豪華賞品(家電製品、化粧品セット、食品など)が当たるプレゼント抽選会も開催します!

ネットショップ担当者フォーラム2023冬 ネッ担Meetup オンライン懇親会

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

【リプレースのトラブル】千趣会は約110億円の最終赤字で通販事業は130億円の減収。システム刷新の影響と今後の対策

2 years 10ヶ月 ago

千趣会の2022年12月期連結決算は、売上高が589億2700万円(前期は731億4900万円)、当期損失は109億5200万円(同3億800万円の黒字)だった。この期から「収益認識に関する会計基準」を採用しているため対前期増減率は記載していない。

売上額は前期比154億7000万円の減収。連結営業損失は81億700万円、同経常損失は78億5300万円。

千趣会の2022年12月期連結決算は、売上高が589億2700万円(前期は731億4900万円)、当期損失は109億5200万円(同3億800万円の黒字)
連結決算損益(画像は千趣会のIR資料から編集部がキャプチャ)

多額の損失を計上したため、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に重要な疑義を生じさせるような状況」が存在しているとして、決算短信に「継続企業の前提に関する重要事象等」の注記を記載した。

大幅減収、赤字の主因は基幹システムのリプレイスに関連したトラブルにより販促を大幅に縮小したため。通販事業の売上高は前期比129億7400万円減の526億4500万円だった。

2022年1月に基幹システムのリプレイス実施した後、新システム稼働後に「ベルメゾンネット」で通常の営業活動に支障をきたす状態が発生、販促を大幅に縮小した。売上高が大きく減少し、第2四半期(2022年4-6月期)から、システムが安定稼働し販促を再開させたことで業績は徐々に回復した。

千趣会の2022年12月期連結決算は、売上高が589億2700万円(前期は731億4900万円)、当期損失は109億5200万円(同3億800万円の黒字)
通期業績の概要(画像は千趣会のIR資料から編集部がキャプチャ)

以前の基幹システムは、通販事業の成長に合わせて巨大化・複雑化し、さまざまな変化への対応が困難な状況になっていた。一方、千趣会の通販事業はビジネスモデルの転換期にあり、事業の変革を進める上でシステムの柔軟性が不可欠な要素となっていた。また、ベーシックでシンプルな基幹システムへと刷新するために、業務プロセスの改革も念頭に準備を進めた。

新システム稼働後、ECサイト「ベルメゾンネット」で注文を正しく受け付けできない、予定通りに商品を届けられないなどの事象が発生。これらに起因しコールセンターへの問い合わせが集中するなど、広範囲にわたって通常の営業活動に支障をきたした。

事態収束に向けて、販売促進活動などの一部業務を停止し、緊急的に人員配置を見直して早期の復旧に向けて対応。その結果、2022年第1四半期は、販売促進策を見合わせた影響で一時的に業績が悪化した

今後は早期に会員規模を回復し、通販事業を中核とした「独自の共創モデル」に変革することで成長をめざす。そのために、顧客の価値観や思いをくみ取り、生活の調和を整え、暮らしに潤いを生み出す提案をしていくとしている。

石居 岳

ゲオが公式通販サイト「ゲオオンラインストア」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」とレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」を導入

2 years 10ヶ月 ago

ゲオは、公式通販サイト「ゲオオンラインストア」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」と、レコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」を導入した。

検索速度の高速化、サイト内検索機能を充実

導入により、検索結果ページで商品を絞り込む際に「カテゴリ」「販売形態」「状態」「価格」など複数の検索条件を選択できるようにした。さらに、条件を満たさない項目はあらかじめグレーアウトする仕様にしたことで、目的の商品まで効率よくたどり着けるようサポートしている。

ゲオ オンラインストア ZETA SEARCH ZETA RECOMMEND ファセット検索
ファセット検索により、複数条件での絞り込みが可能に

他のユーザーの閲覧・購買傾向、商品のカテゴリ・属性などのデータを用いて、情報収集中・購入検討中といった各ユーザーの購買行動プロセスにあわせて商品をピックアップしオススメとして表示することで、クロスセルの機会創出に貢献する。

ゲオ オンラインストア ZETA SEARCH ZETA RECOMMEND 親和性の高いオススメを表示
各ユーザーの購買行動プロセスに合わせて、親和性の高いオススメを表示

「ZETA SEARCH」とは

ECサイト内の検索における「絞り込み」「並び替え」の設定の自由度・柔軟性を追求したEC商品検索・サイト内検索エンジン。

キーワード入力時のサジェスト機能や、もしかして検索、ドリルダウン式の絞り込み、事前に検索結果の該当数を表示するファセットカウントなど、多数の検索機能を有している。

JRE MALL ZETA SEARCH サイト内検索 EC商品検索
「ZETA SEARCH」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)

「ZETA RECOMMEND」とは

パーソナライズされたレコメンドで潜在ニーズを発掘し、収益とユーザーの満足度向上を支援するマーケティングソリューション。

購買履歴、閲覧履歴、検索履歴などの行動履歴を元にした各ユーザーの特徴づけを行い、リアルタイムにレコメンドを提示する。

JRE MALL ZETA SEARCH サイト内検索 EC商品検索
「ZETA RECOMMEND」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

佐川に続きヤマトも値上げ。第二次宅配クライシス目前の物流業界をサッと振り返る【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

2 years 10ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年2月6日~2月12日のニュース

佐川急便に続いてヤマト運輸も値上げを発表しました。全体的なインフレ、労働力減少などが原因です。2024年問題も抱える物流業界を2016年ごろから振り返ります。

宅配便取扱個数は2015年から急増。2030年前後まではこの傾向が続く

ニュースまとめ 宅配便取扱個数 国土交通省の調査 宅配便取扱実績
(画像は国土交通省の資料から編集部がキャプチャ)

国土交通省が発表した令和3年度の宅配便取扱実績から引用したグラフです。平成27年(2015年)から取り扱い個数が急増しているのがわかります。いったんは落ち着いたもののコロナによってまたも急増していますので、業界の流れとして取り扱い個数が増えていることを把握しておきましょう。

こちらの記事によると、2030年前後まではEC市場が伸びることが予測されていますので、そこまでは宅配便の個数も増加を続けるでしょう。

配送料の値上げ自体は2014年ごろから

配送料がまた値上げかも! の前に通販・ECに携わる皆さんは知っておきたい物流問題 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/3868

数年、通販・EC市場の拡大などにともなう物流関連の慢性的な労働力不足が、業界内で問題にあがっていました。2016年末に起きた佐川急便さんの配送遅延や荷物の取り扱い問題などによって、物流業界でいま起きていることが少しずつ広まってきたのではないでしょうか。

2017年の記事です。このころは配送費が安くて当たり前、業者を競争させればさらに下がるというイメージを持っていた人も多いのではないでしょうか? それが2016年末の佐川急便さんの遅延をきっかけに変わっていくことになります。

今後、物量は右肩上がりで増えると予想されます。

  • 荷物が消費者の希望した日時に届かなくなる
  • 配送業者からの取り扱い数量の制限
  • 配送料金の引き上げ

将来、こういったことが起きる可能性はゼロではありません。

瀧川編集長の予想は的中しています。母の日やクリスマスなど配送が集中する日は遅れたりパンクしたりするようになり、ヤマト運輸さんは2017年に総量規制を発表配送料金の値上げを発表しました。

消費者は送料無料を求め続ける

ネット通販の激増で日本の宅配便は崩壊する | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/158973

負担が重くなっているのは、宅配便会社だけではない。「アマゾン」や「楽天市場」など、最近のネット通販では”送料無料”のサービスが増えている。が、これは販売業者が送料を負担するので、利用者は負担しなくてもよい、という意味だ。結局はどこかが被らなくてはならない。利用者は送料込みの値段で、高いか安いかを判断する。1回分の送料は販売価格に含まれ、販売価格が高くなれば、競争上不利にならざるをえない。

こちらも2017年の記事から引用です。「ECは送料が無料になる」このイメージはずっと変わりません。「『送料当社負担』が良いのでは?」という意見があっても、消費者には「無料」が響くとなれば事業者側が表現を変えることは少ないでしょう。

全国の20歳~69歳の男女1000人に聞いた「送料設定や画像、ユーザーが求めるECとは」 | ネオマーケティング
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000271.000003149.html

ニュースまとめ ユーザーが求めるEC 嬉しいと感じる送料設定 調査
(画像はネオマーケティングのプレスリリースより)

一番嬉しいのは「全品送料無料」。同じものならポイントがついたり送料が無料になったりするのが良い。それはそうですよね、私も同じですから。こちらもずっと変わらない。

楽天・三木谷社長が語った「送料無料ラインの全店舗統一」「ワンデリバリー」など2019年以降の戦略まとめ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6175

(楽天市場は)送料がそれぞれの店舗で異なる。約8割の店舗が●●●●円以上で送料無料としているが、店舗ごとでバラバラのためお客さまの印象では、(送料が)高くなってしまっている。印象で他社に負けてしまう。消費者は統一した送料体系を要望している。

楽天出店者に激震が走った「送料無料ラインの全店舗統一」。今までの流れを見れば当然といえます。3980円がそのラインになり、2023年1月の新春カンファレンスでは「配送認定ラベル」の導入も発表され、品質も求められるようになってます。この動きは止まらないでしょう。

置き配、宅配ロッカーが普及し、配達員への気遣いも進んでいる

「置き配」で再配達削減へ――国交省と経産省が検討会立ち上げ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6326

置き配バッグを玄関に置いたら…再配達率43%削減に成功 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5753

ヤマト、オープン型宅配ロッカー「PUDO」を提供開始 ー 2022年度中に5000台の設置を目指す | ST
http://shopping-tribe.com/news/29192/

置き配に関して、当初は安全面を気にする人がいましたが、今では当たり前になっていますね。宅配ロッカーも駅やドラッグストアなどいたるところで見かけます。こちらはコロナの影響で普及が一気に進みました。

【「置き配」に関するアンケート調査】「置き配」魅力1位は、「配達員の負担が減るから」ヒトと環境に配慮した“サステナブルな物流”に意識が高まる | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/16908

ニュースまとめ 置き配 推奨するポイント 配達員の負担軽減 再配達不要 調査 サステナブルな物流
(画像はLOCCOのサイトから編集部がキャプチャ)

置き配をオススメする理由の1位は「配達員の負担が減る」。消費者は送料無料を求めるものの、配達員には負担をかけたくないという意識になっています。

今度は2024年問題と世界的なインフレ

物流業界の「2024年問題」で「自社も取引先も影響を受ける」は5割、卸売・小売業の課題は「サービス・商品の値上げ」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/9933

「2024年問題」とは、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧されている物流業界の諸問題を指す。

物流業界に新たに生まれた2024年問題。配達員へ配慮するのであればトラックのドライバーに配慮するのも当然です。業界の健全化が配送費に影響を及ぼしてきそうです。

ヤマト運輸「年度ごとに運賃を見直す」。「宅急便」「EAZY」「宅急便コンパクト」「国際宅急便」は10%値上げへ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10616

【佐川急便とヤマト運輸】法人向け宅配料金の値上げ示唆 すでに10%上昇を通告された事業者も | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/8064

資源・エネルギー価格や原材料価格の上昇に伴うインフレ傾向、労働力減少による賃金や時給単価の上昇、2024年問題を控えた物流事業者を取り巻く外部環境などの変化・対応のため、値上げに踏み切る。

送料に限らずあらゆるものの価格が上昇しています。ドライバーを確保するためには労働条件を良くしたいけれど、物価が上がってしまって送料の値上げ分では追いつかない可能性もあります。自社独自の物流網を確保するなど工夫をしても限界がありそうです。

早さと安さを求めるユーザー、売り上げを伸ばしたいモールや事業者、外部環境に苦しむ配送業界。2023年は物流に頭を悩ませる年になりそうです。

今週の要チェック記事

【ステマ規制】消費者庁が公表した運用基準案とは?判断基準は第三者の「自主的な意思」の有無 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10610

規制はしたいけれど具体的な事例を出すと抜け道も生まれる。どこが落としどころになるのでしょうか。

Shopifyの手数料はどれくらいかかるの? | アプロ総研スタッフコラム
https://www.apro-soken.co.jp/column/shopify/shopify-commission.html

アプリをたくさん入れたらそれぞれで従量課金…ということにならないように注意しましょう。

「これが欲しかった」とBondeeに感じる理由 Z世代VCが語る、次世代SNSの魅力とつながりに求めるもの | CreatorZine
https://creatorzine.jp/article/detail/3958

今はあまり話題になってないですが流行りそうな「Bondee」。早めに使っておくとよさそう。

「PayPayチラシ」提供開始 チラシで「誰が・どこで購入したか」が分かる時代に:8000店舗以上で導入 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2302/07/news157.html

「誰」といってしまうと個人情報が気になってしまいますね。こういった表現は考えもの。

アマゾン日本事業の売上高は約3.2兆円、ドルベースは243億ドル(前期比5.7%増)【Amazonの2022年実績まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10620

この伸び率でも世界で見たら低いほう。Amazonは常に大きく成長しています。

創業90年以上 BtoB向けニット工場ノグチニットが自社ブランドを立ち上げたワケ | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12289

身の丈にあった運営を続けている事例。今の時代はこういったショップが増えています。

楽天新春カンファレンス2023まとめ | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/230209-rakuten-conference-2023/

SKUに対応して配送にも対応しないといけないですね。あわせてシステムもアップデート。

今週の名言

本当にその会議はムダですか?目的を忘れて効率化しても意味がない | パワー・インタラクティブ
https://www.powerweb.co.jp/blog/entry/2023/02/03/100000

会議の効率化をはかるなら、どこを効率化して、どこに「自由な余白」を残しておくのか。その見極めが大事だということです。

配送を効率化するときも同じでしょうし、自社の業務の効率化をするときも同じでしょう。適度な余白がないと息苦しくなってパンクします。

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

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森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

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森野 誠之

メタバース+ECビジネスの可能性とは?アダストリアが挑むメタバース事業を大公開!【全13講演のECイベント見どころ】

2 years 10ヶ月 ago
アダストリアによるメタバース事業への挑戦など、EC成功の事例や秘訣を学べるイベント! 全13講演すべて無料で視聴できる「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬」を2月21日(火)に開催

2月21日(火)に開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬~ECサクセスストーリー大集合~」では、アダストリア、ベガコーポレーション、ファンケル、花王、味の素、ロート製薬など、通販・EC業界で大きな存在感をもつ有名企業が登壇。

「アダストリアが語るメタバース事業とビジネスの可能性」「D2C家具ブランド『LOWYA』の成長と変化」「味の素、ロート製薬、花王が語るメーカーECの壁と乗り越え方」などのテーマについて、企業の責任者などが講演します。13講演すべて「無料」で視聴できます。

まだお申し込みをしていない方のために、13講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

見どころ③ アダストリアが語るメタバース事業とビジネスの可能性
~「メタバースって日本が一番イケてる」―こんな未来をつくる挑戦を大公開~
14:00~14:45 KA-4 ゼネラルセッション

アダストリアの公式WEBストア「 .st(ドットエスティ)」では、私たちの日常と同じように、メタバースでもファッションを楽しむきっかけを作り、顧客接点、収益化、価値向上を目的に事業を展開しています。

今後、ファッションコンテンツを軸に、コンテンツやクリエイティブによる可能性の拡大、メタバースでのバリューチェーンを形成するための取り組みを加速していきます。

本セッションでは事業会社として、1企業1メタバースの時代に向けたユーザーコミュニケーションの事例、ビジネスの可能性をお伝えします。

株式会社アダストリア 広告宣伝部 メタバースプロジェクトマネージャー 島田 淳史 氏
株式会社アダストリア 広告宣伝部 メタバースプロジェクトマネージャー 島田 淳史 氏
1979年生まれ。大手インターネット広告代理店、エンタメ事業会社を経て、2022年3月にアダストリアに入社。広告宣伝部マネージャー。ブランドプロモーション企画、PRに従事。メタバースプロジェクトマネージャーを担当
アダストリアが展開するメタバース事業のイメージ(画像はアダストリアが「PR TIMES」で発表したリリース資料から編集部がダウンロード)
アダストリアが展開するメタバース事業のイメージ(画像はアダストリアが「PR TIMES」で発表したリリース資料から編集部がダウンロード)
 
ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

「ネッ担 Meetup vol.3」(オンライン懇親会)を開催!

2月21日(火)18:30~20:30に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施。参加賞や豪華賞品(家電製品、化粧品セット、食品など)が当たるプレゼント抽選会も開催します!

ネットショップ担当者フォーラム2023冬 ネッ担Meetup オンライン懇親会

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

【JADMA会員】2022年売上合計は0.1%増の1兆4405億円。食料品や文具がけん引、化粧品は低調 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 10ヶ月 ago
日本通信販売協会(JADMA)が会員企業向けに実施した売上高月次調査集計によると、2022年の総売上高は前年比0.1%増の1兆4405億9400万円だった

日本通信販売協会(JADMA)の売上高月次調査集計によると、対象約120社の2022年(1月~12月)の総売上高は前年比0.1%増の1兆4405億9400万円だった。「衣料品」や「家庭用品」「化粧品」「通信教育・サービス」などさまざまな項目が減少したが、「食料品」全体や「文具事務用品」などがプラスとなったことで対前年比では微増となった。

食品や文具がけん引し、対前年比“微増”で持ちこたえ

JADMAによる2022年(1月~12月)売上高月次調査の集計結果は次の画像の通り。

表中、右側が2022年(1月~12月)売上高月次調査の集計結果。JADMAが約120社を対象に実施
表中、右側が2022年(1月~12月)売上高月次調査の集計結果。JADMAが約120社を対象に実施

カテゴリー別に見ると「衣料品」が同2.1%減の2229億8500万円となった。2月から8か月連続でマイナスとなるなど低調だった。「家庭用品」は同2.7%減の1585億900万円。9月には15%を超えるマイナスを記録するなど不調に終わった。

「雑貨」全体は同0.3%増の7307億4800万円。年間を通じてほぼ横ばいの推移となった。この内、「文具・事務用品」は同3.0%増の3941億8500万円で、プラス成長だった。

「化粧品」は同3.5%減の1914億600万円で、1月を除いたすべての月でマイナスとなるなど低調だった。

両項目を除いた「雑貨」は同1.3%減の1451億6200万円。3月からは6か月連続でのマイナスとなり、振るわなかった。

食料品は順調な伸び

「食料品」全体は同4.1%増の2997億9100万円。8月からは5か月連続でプラスとなるなど好調に推移。12月には20%を超える伸び率となっている。

この内、「健康食品」は同0.7%減の1708億5900万円だった。また、健食以外の「食料品」については同11.2%増の1289億3400万円となっており、全項目を通じて最も伸び率が大きくなった。12月には35%を超える伸び率も記録した。

通教はもっともふるわず。2桁マイナス目立つ結果に

「通信教育・サービス」は同13.2%減の161億3700万円となり、全項目を通じて最も減少幅が大きくなった。8月を除いたすべての月でマイナスとなったほか、2桁マイナスの月も8回あるなど大きく低迷した。

「その他」は同6.1%減の126億100万円だった。12月には20%を超えるマイナスも記録している。

12月単月では6.7%増加

なお、22年12月度(単月)の主要121社の通販総売上高は、前年同月比6.7%増の1561億600万円だった。「衣料品」「家庭用品」「通信教育・サービス」などが減少したものの、「食料品」「文具・事務用品」などが増加したことから、全体ではプラスとなった。

項目別に見ると、「衣料品」が同1.3%減、「家庭用品」が同8.1%減。「雑貨」全体は同3.5%増で、この内「文具・事務用品」は同6.6%増となった。「化粧品」は同0.2%減だった。両項目を除いた「雑貨」は同0.4%増となった。

健康食品を除く「食料品」は前年比37%増の大幅伸長

「食料品」全体は同24.2%増で、この内「健康食品」は同2.8%増。健食以外の「食料品」は同36.5%増となり、全項目を通じて最も伸び率が大きくなった

「通信教育・サービス」は同30.1%減で、すべての項目で最もマイナス幅が大きくなった。「その他」は同22.9%減だった。

なお、1社当たりの平均受注件数は7万1772件(回答99社)だった。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

メルカリ、越境EC事業者4社と提携。越境ECチャネルを強化へ

2 years 10ヶ月 ago

メルカリは越境EC事業を手がけるBless International、FROM JAPAN、SIG Service、ZenGroupの4社と提携した。各社との提携で、越境ECチャネルのさらなる強化をめざす。

メルカリが提携した越境EC事業者4社と連携内容は?

今回、メルカリが提携した事業者4社が手がけるサービスは次の通り。

  • Bless International:越境ECサイト「Neokyo(ネオキョウ)」
  • FROM JAPAN:日本と米国の商品を取り扱う越境ECサイト「One Map by FROM JAPAN」
  • SIG Service:主に中国向けの越境代理購入サービス「doorzo(任意門)」
  • ZenGroup:海外向け日本商品購入サービス「ZENMARKET」

「Neokyo」は海外在住の顧客の代わりに「メルカリ」の商品を購入し、海外まで届けるサービス。

FROM JAPANは「One Map by FROM JAPAN」のWebサイト内に「メルカリ」の海外向け専用ページを開設。海外発送手続きのほか、英語・中国語を含めた10言語での顧客サポートにも対応する。

「doorzo(任意門)」とのシステム連携では、「メルカリ」で出品されている商品を、中国語での検索・商品の閲覧、海外からの購入に対応する。顧客は、中国で主流の決済方法「Alipay」「WeChat Pay」を利用することもできるという。

ZenGroupは、「ZenMarket」を通してZenMarket、世界中のどこからでもさまざまな言語と通貨で「メルカリ」を閲覧・商品購入ができるようにする。「ZenMarket」のホームページ内で「メルカリ」の商品詳細やリストを表示できるため、顧客はサイト間を行き来する必要がなく、シームレスに買い物できるという。

円安が追い風に。越境EC領域は堅調に成長

メルカリの連結売上高は約1470億円(2021年7月ー2022年6月期)。「メルカリ」の月間利用者数は現在2070万人超。2022年は円安・ドル高も追い風となり、「メルカリ」における海外利用者数は約1.4倍に増加(2021年11月と2022年11月時点の比較)。越境EC領域は堅調に推移したという。

メルカリは国内市場におけるシェア拡大のほか、将来的には「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」ことを掲げている。

「メルカリ」の売上高は1470億円超となっている(画像はメルカリの報道資料から編集部が抜粋)
連結売上高は1470億円超
グローバル市場でのシェア拡大をめざす(画像はメルカリの202222年6月期通期決算説明資料から編集部がキャプチャ)
グローバル市場でのシェア拡大をめざす(画像はメルカリの2022年6月期通期決算説明資料から編集部がキャプチャ)

今期(2023年6月期)の事業方針としては、中長期的なプランとして、外部パートナーとの連携の加速をあげている。

メルカリは外部パートナーとの連携に力を入れている(画像はメルカリの2022年6月期通期決算説明資料から編集部がキャプチャ)
メルカリは外部パートナーとの連携に力を入れている(画像はメルカリの2022年6月期通期決算説明資料から編集部がキャプチャ)

メルカリが運営するフリマアプリ「メルカリ」は2019年、BEENOSの完全子会社が運営する越境ECサポートの代理購入サービス「Buyee(バイイー)」との連携で越境ECを開始している。

高野 真維

【値上げ調査】コスト上昇を企業が負担した割合は60%。4月に値上げ予定の小売業は6割

2 years 10ヶ月 ago

帝国データバンクが2022年12月に実施した価格転嫁に関する調査によると、自社の商品・サービスのコスト上昇に対して、企業の販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は39.9%となった。企業負担は60.1%。

帝国データバンクが2022年12月に実施した価格転嫁に関する調査 「価格転嫁率」について
「価格転嫁率」について

商品・サービスを価格転嫁できた理由を聞いたところ、コスト上昇の程度や採算ラインなど「原価を示した価格交渉」が45.1%で最多(複数回答、以下同)。

「取引先への価格改定の通知」(28.7%)「業界全体における理解の進展(25.8%)「日頃から発注者へのコストに影響しそうな情報共有」(24.2%)「業界全体における価格調整」(13.9%)が続いた。

帝国データバンクが2022年12月に実施した価格転嫁に関する調査 価格転嫁ができた理由(複数回答)
価格転嫁ができた理由(複数回答)

業界別では、「製造」で「原価を示した価格交渉」が63.7%と他の業界より高い。「小売」では原価を示した価格交渉は難しく、2割程度にとどまっている。

小売業では、「取引先への価格改定の通知」が26.7%、「原価を示した科化交渉」が21.1%、「業界全体における価格調整」が21.1%などとなった。

帝国データバンクが2022年12月に実施した価格転嫁に関する調査 価格転嫁ができた理由(主な業界別)
価格転嫁ができた理由(主な業界別)

2023年における自社の商品・サービスの値上げ予定(実績含む)を聞いたところ、多くの企業の年度始めである「4月」が42.8%で最高となった。

次いで、「1月」(28.1%)「5月」(26.5%)「3月」(20.6%)「2月」(20.2%)が2割台で続いた。2023年通年でみると、1月~5月に値上げが集中している。

帝国データバンクが2022年12月に実施した価格転嫁に関する調査 2023年の値上げ予定(実績含む)
2023年の値上げ予定(実績含む)

業界別にみると、「製造」「卸売」「小売」はいずれも「4月」が最高。「小売」においては、「4月」の値上げが6割を超えている。

帝国データバンクが2022年12月に実施した価格転嫁に関する調査 2023年の値上げ予定(主な業界別)
2023年の値上げ予定(主な業界別)

ただし、調査時点での値上げ動向のため、先行き不透明感が強まるなか、今後さらに値上げが行われる可能性もある。

石居 岳

ロイヤル顧客育成の鍵は「ファンコミュニティ」。顧客と長期的な関係を築いてLTVを最大化するコツを、ロイヤル顧客プラットフォーム「coorum」のAsobicaが解説

2 years 10ヶ月 ago
LTVの向上には顧客と長期的に深く交流できるファンコミュニティが重要な役割を果たす。簡単にオンライン上でファンコミュニティサイトを立ち上げて運用できる「coorum(コーラム)」の利用が広がっている
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マーケティング支援を手がけるAsobica(アソビカ)が提供するのが、ノーコードでファンコミュニティサイトの開設・運用ができるロイヤル顧客プラットフォーム「coorum(コーラム)」。オンライン上に企業と顧客、あるいは顧客同士がつながって交流できる場を設け、ロイヤル顧客の育成や顧客データの分析などができるようになるプラットフォームだ。

Asobicaセールス部マネージャーでファンコミュニケーション研究室室長の佐藤頌太氏が、ロイヤル顧客の育成方法や「coorum」の特徴などについて解説する。

Asobica 佐藤頌太氏
Asobicaセールス部マネージャー
ファンコミュニケーション研究室室長 佐藤頌太氏

大事なのは顧客との関係性の強化

ロイヤル顧客の育成がトレンドになっている。要因としては、外部環境の変化に左右されず、安定した売り上げが見込めることが大きい。

たとえば、コロナ禍では飲食店やアパレルショップなどの来店客が激減し、新規顧客の獲得が難しくなりライト層が離反した。一方で「その店が好き」という層は一定数存在する。コントロールできない外部要因に対して、そうしたファン層、つまりロイヤル顧客に継続利用してもらうことが大事になる。

逆に、「おうち時間」を充実させるアイテムを提供している企業はコロナ禍で一時的に売り上げを伸ばしたが、そのうち顧客が減少傾向になる可能性も考えられる。その際に離反を軽減するには、顧客との関係性を強化してロイヤル顧客に育成できるかどうかが鍵になる。

ロイヤル顧客の育成がトレンドになっている背景
ロイヤル顧客の育成がトレンドになっている背景

外部環境の変化を考慮に入れなくても、2割の顧客が8割の売り上げを生んでいる、いわゆる「パレートの法則」のような企業においても、その2割の優良顧客やファンを大事にするのは当然だろう。そして残り8割の顧客に対しても優良顧客へと引き上げることができれば、売り上げの底上げにつながる

また「1:5の法則」のように、新規顧客獲得には既存顧客の5倍のコストがかかるということを考えても、顧客との関係強化によって、安定した売り上げ基盤を構築することはおろそかにできない。

別の視点で考えると、人口減少が続く日本では中長期的に新規顧客の獲得効率が悪くなっていく。そこで既存顧客のデータを活用して顧客ごとの売上単価、つまりLTV(顧客生涯価値)を高めていく必要がある。OEMの発達もあって商品だけで競争するのは限界がある。そこにおいても顧客との関係性というのは重要になるだろう。

商品の機能だけではなく、情緒的な価値、関係性の部分で選ばれるようなサービスを作っていくことが、マーケティングの流れとして必要になっている。(佐藤氏)

LTV向上のためのアプローチとは?

そうしたなかで、顧客のロイヤリティを高め、LTVを向上させるには何をすればよいだろうか? 佐藤氏によると、3つのアプローチがあるという。

  1. クーポンなどのキャンペーンを実施する
  2. サービスの情報を確実に届ける
  3. ブランドロイヤリティを向上させる

1つ目のキャンペーンは短期的な成果が出やすい施策となる。2つ目の情報については、魅力や新商品情報を伝えることで購買につながる可能性が高まる。

佐藤氏が最も重要だと位置付けるのは3つ目のブランドロイヤリティの向上だ。サービスやブランドの情緒的価値を醸成し、ロイヤル顧客に育てるという発想だ。

LTV向上の3つのアプローチ
LTV向上の3つのアプローチ

クーポンやキャンペーンを活用した売り上げと、ファンの自発的な購入による売り上げを比べると、同じ金額であっても前者を継続するにはクーポンやキャンペーンを続ける必要があり、もちろん一定のコストが発生する。

一方、ロイヤリティが引き上がって購買したものであれば、次回も自発的に情報を収集して購入してくれる可能性が高く、安定した売り上げにつながりやすいと言えるだろう。

ブランドロイヤリティを高めると安定した売り上げにつながる
ブランドロイヤリティを高めると安定した売り上げにつながる

ロイヤル顧客を増やすには何が必要か?

ロイヤル顧客を抱えるには何が必要になるだろうか? 佐藤氏は「ファン育成をめざしたコミュニケーション」だという。現在、日本人が1日に得る情報は、江戸時代1年分の情報量と同じだと言われている。そんな情報の洪水のなかにあって、企業は顧客に対して一方的に情報を発信するのではなく、参加型や交流型のように双方向なやり取りが求められる

また、ファンを作るには共感、信頼、愛着を醸成していくことも大事。具体的には、ユーザーがSNSに発信した際にその企業やブランドの公式アカウントからお礼のメッセージが届けば、そのユーザーは「大事にしてくれている」と感じる。あるいは、他のユーザーとともに製品やサービスについて「それわかる!」と共感し合いながら盛り上がり、愛着が生まれていくこともある。

つまり、ユーザーと企業のつながりだけでなく、ユーザーと企業(やブランド)、そして他のユーザーを合わせた3者による交流もファンを作る上では非常に有効となる。

ファンを作るコミュニケーションのポイント
ファンを作るコミュニケーションのポイント

ファンを育成するための継続的な深いコミュニケーションを行うには、そのための顧客接点が必要になる。そこですぐに浮かぶ接点はSNSだ。しかし、佐藤氏はSNSについて次のように指摘する。

SNSは拡散性が高い分、深いコミュニケーションが取りづらいという特性がある。その意味では浅いコミュニケーションの場と位置付けられる。(佐藤氏)

SNS以外でメーカーなどがファンを作るために行っている施策に、工場見学やファンミーティングといったオフラインイベントがある。これはコストがかかり頻繁に実施できるものではないが、深いコミュニケーションを取ることは可能になる。ただ、単発の取り組みで終わってしまう傾向がある。

期間と深度で顧客接点を分類したグラフ
期間と深度で顧客接点を分類したグラフ

佐藤氏は、上のグラフの右下にあるような、長期的で顧客と深く狭く接することができる顧客接点作りが必要だという。

そこでキーワードとなるのが「ファンコミュニティ」だ。顧客との関係性を強化できるような専用の場として、ファンコミュニティへの注目やニーズは高まっている。実際、Asobicaにもファンコミュニティ制作への依頼や相談が企業から寄せられるケースが増えているようだ。

そもそもファンコミュニティとは何か?

昨今注目されている顧客接点としてのファンコミュニティだが、そもそもどういったものだろう? 佐藤氏の説明によるとこうだ。

ファンコミュニティというのは基本的にクローズドな環境で、価値観の一致が起こりやすいのが特徴。(佐藤氏)

つまり、同じ価値観の人同士が閉じた環境に集まることで深いコミュニケーションが生まれていくというのが、ファンコミュニティが持つ特性というわけだ。

同じ価値観を持つ人が集うことでコミュニケーションが生まれる
同じ価値観を持つ人が集うことでコミュニケーションが生まれる

企業と顧客、あるいは顧客同士が集まって交流する場をファンコミュニティとした場合、同じ価値観のなかでサービスに対するお薦めの活用法やレビューが積極的に発信されるため、VOC(顧客の声)やUGC(ユーザーが作るコンテンツ)がどんどん溜まっていく

そうして集まった声をプロダクトやサービスの改善、開発に生かせば、調査費を削減できる。あるいは、SNSと連携して蓄積したコンテンツを拡散することも可能だろう。プロモーションに絡めれば、VOCをもとに顧客のニーズを分析してプロモーションの設計ができる。このようにファンコミュニティを軸にしてさまざまな展開につなげることが可能となる。

先述の通りSNSは拡散性が高い分、深いコミュニケーションが取りづらい。一方のファンコミュニティは拡散性がまったくないものの、内部で価値観が一致するので深いコミュニケーションが取れる。この両者の強みをうまく活用すれば、効果的なマーケティングを仕掛けることができる

SNSとファンコミュニティの違い
SNSとファンコミュニティの違い

たとえばファンコミュニティのなかでコンテンツを増やしていき、SNSに流していく。それを見た新たな顧客が「そんな面白い企画をやっているならファンコミュニティに入りたい」とファンコミュニティに参加する。このようにしてファンコミュニティのつながりが広がっていく。そこでの交流を通じてロイヤリティを高め、さらにコンテンツを作って拡散する。こうした循環型のマーケティングもファンコミュニティによって可能になる。

ファンコミュニティとSNSとの連動
ファンコミュニティとSNSとの連動

ファンコミュニティ施策を強化することで得られる3つの成果

ビジネスにおいてさまざまな可能性を持つファンコミュニティだが、改めてそこから得られる成果を整理してみると、次の3つの項目があげられる。

成果①「LTV」

継続的な深い交流の場があることで、顧客のロイヤリティの引き上げにつながる。ひいては顧客単価、つまりLTV向上に寄与する。

成果②「VOC」

顧客の声を収集してマーケティングに活用できる。費用が高くて調査ができない企業も、ファンコミュニティがそれを代替する。

成果③「UGC」

多くのUGCを生み出して、SNSと連動させて拡散することで、新規顧客の獲得につながっていく。

ファンコミュニティで得られる3つの成果
ファンコミュニティで得られる3つの成果

Asobicaが提供する「coorum」の4つの特徴

ファンコミュニティ施策を実行する上で、オンライン上で企業と顧客、あるいは顧客同士のコミュニケーションを作っていくことが必要になる。その際にWebサイトを立ち上げたり、企画を考えたりといった作業をワンストップで解決できるのが、Asobicaが提供する「coorum」だ。

「coorum」は江崎グリコのポッキーやカインズのDIYのファンコミュニティなどで導入されている。「coorum」には、大きく4つの特徴がある。

特徴① ノーコードで簡単にオンラインファンコミュニティが作成できる

ノーコードでファンコミュニティサイトを作れるため、立ち上げやその後の運用も含め、簡単な操作で素早くPDCAを回すことができる。簡単なUI・UXでカスタマイズできるため、担当者は月ごとの新しい企画などにも柔軟に対応できる。

ノーコードのため簡単にカスタマイズできる
ノーコードのため簡単にカスタマイズできる

特徴② ファンコミュニティに必要な機能を標準装備

「coorum」にはさまざまなフォーマットがあり、Instagramのように画像を投稿したり、Twitterのようにテキストベースで交流したり投票したりできる。貯めたポイントをクーポンに切り替えるといった機能も搭載している。

目的に合わせたさまざまなフォーマットを用意
目的に合わせたさまざまなフォーマットを用意

特徴③ ファンコミュニティやユーザーの分析機能

「coorum」は分析が強いのも特徴。誰が・いつ・どこで・何をしたかというデータが取得でき、外部のECやCRMシステムなどとも連携できる。そのため、ファンコミュニティ内のどのコミュニケーションによって売り上げが伸びたかといった分析も可能になる。

ECの顧客基盤との連携も可能
ECの顧客基盤との連携も可能

特徴④ ファンコミュニティの活性化をサポート

ファンコミュニティを立ち上げた後に、その場を活性化させて盛り上げることも大事。そのために必要な仕掛けや施策などの運営については、Asobicaのサポートチームが支援する。

サポートチームが運営を支援
サポートチームが運営を支援

江崎グリコのポッキーの導入事例

「coorum」の導入先として、江崎グリコによるポッキーのファンコミュニティコミュニティ「ポキトモ」がある。ポッキーを好きな人びとが集まって交流したり、ポッキーの担当者と会話したりできる場だ。

「ポキトモ」
ポッキー好きが集うファンコミュニティ「ポキトモ

ポキトモでは、ポッキーの担当者がTipsや素朴な疑問、ファンに聞いてみたいことなどを発信して、顧客の声を収集。また、ファン同士のコミュニケーションを活性化させるねらいで、「どのポッキーが好き?」といった具合でブランド側からお題を出して場を盛り上げている。

また、オフラインのイベントやキャンペーンの情報もファンコミュニティ内にストックしておき、参加できなかった人も共有できるようにしている。

ファンコミュニティを通じて、欲しい商品を質問し、その解答を商品開発や改善のヒントにつなげるといった取り組みも行っている。ファンコミュニティに参加しているのは、ロイヤル顧客が大半であることから、問いかけに対する回答もたくさん寄せられる

非常に有益な声を多く集められるというのは大きな強み。その意味では、「ポキトモ」というファンコミュニティが、マーケティング施策において大事な役割を担っていると感じている。(佐藤氏)

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キヨハラサトル

イケア・ジャパンが実践する、顧客体験を向上させるオムニチャネル戦略とは?【全13講演のECイベント見どころ】

2 years 10ヶ月 ago
イケア・ジャパンのオムニチャネル戦略など、ECのサクセスストーリーを一挙公開! 全13講演すべて無料で視聴できるECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬」を2月21日(火)に開催

2月21日(火)開催の「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬~ECサクセスストーリー大集合~」では、イケア・ジャパン、ファンケル、花王、アダストリア、味の素、ロート製薬など、通販・EC業界で大きな存在感をもつ有名企業が登壇。

「イケア・ジャパンが実践する顧客体験を向上させるオムニチャネル戦略」「アダストリアが語るメタバース事業とビジネスの可能性」「味の素、ロート製薬、花王が語るメーカーECの壁と乗り越え方」などのテーマについて、企業の責任者などが講演します。13講演すべて「無料」で視聴できます。

まだお申し込みをしていない方のために、13講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

見どころ② イケア・ジャパンが実践する顧客体験を向上させるオムニチャネル戦略
11:00~11:45 KB-1 オープニング基調講演

イケア・ジャパンは、EC強化とオムニチャネル化を加速しています。シティショップ、イケアストア、ECサイト、アプリなどタッチポイントが拡充するなか、チャネル間をシームレスにつなぐために「より良い体験を」「拡張・さらに体験を広げる」「補う・特定のチャネルでは提供できないものを提供する」というイメージを定義。2020年4月にローンチしたスマートフォン用アプリ「IKEAアプリ」を軸に、販売スタッフも巻き込んだ顧客満足度向上の取り組みを紹介します。

イケア・ジャパン株式会社 カントリーデジタルマネジャー 野崎 智子 氏
イケア・ジャパン株式会社 カントリーデジタルマネジャー 野崎 智子 氏
1999年にヒューレットパッカード社に入社。その後、複数の外資系企業にてデジタル化を進め、2007年にイケア・ジャパンに入社。2019年よりカントリーデジタルマネジャー
「IKEA公式オンラインストア」より(画像は編集部がキャプチャ)
IKEA公式オンラインストア」より(画像は編集部がキャプチャ)
 
ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

「ネッ担 Meetup vol.3」(オンライン懇親会)を開催!

2月21日(火)18:30~20:30に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施。参加賞や豪華賞品(家電製品、化粧品セット、食品など)が当たるプレゼント抽選会も開催します!

ネットショップ担当者フォーラム2023冬 ネッ担Meetup オンライン懇親会

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ヤフーは「楽天市場」「Amazon」よりも売上を伸ばしやすい⁉ 専門コンサルが伝授する「Yahoo!ショッピング」攻略法 | 竹内謙礼の一筆啓上

2 years 10ヶ月 ago
「Yahoo!ショッピング」を専門にコンサルティングサービスを提供するアルドの佐藤英介氏の著書を踏まえながら、「Yahoo!ショッピング」の攻略法を解説(連載第25回)

「楽天市場」「Amazon.co.jp」に次ぐ流通規模の「Yahoo!ショッピング」。他のモールに比べて具体的に公開されている攻略法が多くないせいか、本腰を入れて運営しているネットショップが少ないのが現状である。

そのようななか、「Yahoo!ショッピング」を専門にコンサルティングサービスを提供するアルドの佐藤英介氏が、1月に『Yahoo!ショッピング完全攻略ガイド』(技術評論社)を刊行。本書では佐藤氏の抱負なコンサルティング経験をもとに、「Yahoo!ショッピング」の攻略法をわかりやすく解説している。

今回、佐藤氏にインタビュー取材を行い、「Yahoo!ショッピング」の運営ノウハウについて語ってもらった。

佐藤氏が執筆した「Yahoo!ショッピング完全攻略ガイド」(技術評論社)
佐藤氏が執筆した『Yahoo!ショッピング完全攻略ガイド』(技術評論社)

「Yahoo!ショッピング」のほうが売り上げを伸ばしやすい⁉

――「楽天市場」やAmazonと比べて、「Yahoo!ショッピング」に力を入れているネットショップは少ないのが現状です。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」の規模感に気づいていない人が多いからだと思います。正式な数字は公表されていませんが、「楽天市場」とAmazonの総流通額がそれぞれ4兆円ぐらい。対して「Yahoo!ショッピング」は1兆円ほどあります。

それを「たった4分の1」と捉えるのか、それとも「4分の1もあるんだ」と捉えるかが、「Yahoo!ショッピング」への本気度の差になってくると思います。

――他のモールと同様、「Yahoo!ショッピング」も店舗同士の競争が激しいのでしょうか。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」は公称で約100万店舗ありますが、実質、稼働しているのはそのうちの約10万店舗と言われています。本気で取り組んでいるネットショップはさらに絞られてくるので、おそらく「楽天市場」やAmazonよりは競争は緩い状況だと思います。

――つまり、本気で運営している「楽天市場」の約5万5000店舗と、中途半端に運営している「Yahoo!ショッピング」の10万店舗の、どちらでネットショップを運営するかということですね。

佐藤氏:商材にもよりますが、「楽天市場」よりも「Yahoo!ショッピング」の方が、売り上げが伸ばしやすい事例は多いです。他のモールに比べて攻略するノウハウがシンプルな点も、お勧めの理由の1つだったりします。

「Yahoo!ショッピング」を専門にコンサルティングサービスを提供するアルドの佐藤英介氏
「Yahoo!ショッピング」を専門にコンサルティングサービスを提供するアルドの佐藤英介氏

輸入販売企業が「Yahoo!ショッピング」でモール運営を学ぶ例も

――「Yahoo!ショッピング」にはどのような運営スタイルの店舗が多いのでしょうか。

佐藤氏:大きく分けて2つあります。1つは「楽天市場」をメインにして、「Yahoo!ショッピング」を片手間で運営している店舗。もう1つが、中国からの輸入販売の会社で、Amazonの次の市場として、「Yahoo!ショッピング」に出店しているケースです

――輸入業者は「楽天市場」ではなく、「Yahoo!ショッピング」に移行していくんですね。

佐藤氏:「楽天市場」は思いのほかランニングコストがかかりますからね。「Yahoo!ショッピング」を挟んでモール運営の基礎を学んでから、「楽天市場」に行くケースが多いです。

“ちゃんとやれば”売り上げは伸びる! まずはキーワードの見直しを

――ネットショップの運営者からは「『Yahoo!ショッピング』の売り上げの伸ばし方がよくわからない」という声をよく聞きます。

佐藤氏:「わからない」というよりも、「手が回らない」というのが実情ではないでしょうか。「楽天市場」をメインにしている店舗は、どうしても「Yahoo!ショッピング」の運営は後回しになってしまいますし、Amazonで成功した中国輸入の人たちも、モールの運営方法の経験がないから、「Yahoo!ショッピング」の運営が雑になってしまいます。ちゃんと手を加えれば、まだまだ売り上げを伸ばすチャンスはあると思います。

――まずは、どこから改善していけばいいでしょうか。

佐藤氏:キーワードの見直しです。「Yahoo!ショッピング」の売り上げの約8割は検索経由で売れています。他のモールと違い、検索対策が露骨に売り上げに影響するところがあるんです。

「キャッチコピー」の項目にキャッチコピーを書いてはいけない⁉

――どのようにキーワードを見直していけばいいのでしょうか。

佐藤氏:1つは検索対策そのものの改善です。たとえば「Yahoo!ショッピング」の商品登録の際、「キャッチコピー」の項目には、検索に引っ掛かりやすいキーワードを挿入するのが鉄則です。

しかし、多くのネットショップが「キャッチコピー」という言葉の通りに、その項目にセールストークを書き込んでしまい、検索キーワードとは無関係な言葉を挿入してしまうのです。

――たとえば?

佐藤氏:「今なら30%オフ! 送料無料!」とか。

――検索キーワードとは無関係ですね。

佐藤氏:これは確かに“キャッチコピー”ではあるのですが、検索に引っ掛かる言葉ではありません。

指針にすべきはSEO

――でも、このキャッチコピーが表示されることで、購入意欲をそそられるという一面もあるのではないでしょうか。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」のアプリだと、そもそもこの「キャッチコピー」に入力した言葉は表示されないのです。さらにPCだと文字も小さいので、キャッチコピーとしての役割を果たしていません。

この項目は「検索対策のために必要なキーワードを挿入するところ」と割り切って、SEOを重視した言葉を入れる必要があります。

「キャッチコピー」の入力欄は「検索対策のために必要なキーワードを挿入するところ」と考える(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)
「キャッチコピー」の入力欄は「検索対策のために必要なキーワードを挿入するところ」と考える(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)

楽天市場やAmazonと差別化したワード選定が求められる理由とは

――他にもキーワードに関する改善策はありますか。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」は調べられている言葉が独特なので、「楽天市場」やAmazonとは違うキーワードを選定する必要があります。

たとえば、「楽天市場」で「水着」と検索窓に入力すると、「水着 レディース」「水着 メンズ」と、直接、購入に結びつく候補キーワードが表示されます。

一方、「Yahoo!ショッピング」の検索窓に「水着」と入力すると、「水着 50代」「水着 40代」と、年代が候補キーワードとして表示されるようになります。

「Yahoo!ショッピング」では、たとえば「水着」と入力すると、年代が候補キーワードとして表示される(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)
「Yahoo!ショッピング」では、たとえば「水着」と入力すると、年代が候補キーワードとして表示される(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)

――物販の検索キーワードで『年代』を入れるなんて聞いたことがありません。非常に変わっていますね。

佐藤氏:他にもあります。たとえば、「楽天市場」で「肝臓」と検索すると、候補キーワードに「肝臓エキス」「肝臓サプリ」が上がってきますが、「Yahoo!ショッピング」だと「肝臓に良いお茶」「肝臓の数値が高い原因」と、文章化された候補キーワードが上がってきます。

――なぜ、そのような独特の候補キーワードになるのでしょうか。

佐藤氏:ポータルサイトの「Yahoo!」の影響を大きく受けるからです。

先ほどの事例でいえば、ユーザーが「50代で似合う水着って何だろう?」と、まずはポータルサイトのYahoo!で「水着 50代」で検索します。

その後、検索結果に「Yahoo!ショッピング」のサムネイルの写真が表示されて、「この水着かわいい!」と、そのまま「Yahoo!ショッピング」に入ってきてしまうので、結果、候補キーワードが「水着 50代」という、ちょっとクセのあるキーワードになってしまうんです。

まずは検索キーワードの掘り起こしを

――「楽天市場」やAmazonとは“別物”のキーワードと考えたほうが良さそうですね。

佐藤氏:まずはポータルサイトのYahoo!で検索してみて、どのような候補キーワードがあるのか調査してから、「Yahoo!ショッピング」の検索キーワードの掘り起こしを行ったほうがいいと思います。

もしかしたら、今まで予想もしていなかった穴場のキーワードが出てくるかもしれないですし、「楽天市場」やAmazonでは売れなかった商品が売れ始める可能性も十分にあると思います。

訴求力のあるページを作り出すための打ち手とは?

――ページの具体的な改善策はありますか。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」はアプリのページが独特です。たとえば、「楽天市場」のスマホページだとスクロールしていけば画像コンテンツを見せることが可能ですが、「Yahoo!ショッピング」だと、ページで一旦、テキスト文を読ませたあとに、その下にある「すべて見る」をクリックさせなければ、画像コンテンツを見せることができません。

――画像で作られた訴求力のあるページを見せるためには、ワンクッション挟むことになるのですね。

佐藤氏:商品ページを作る際、テキストの説明文をしっかり作り込んで、「すべてを見る」をクリックしてもらうようにしなければいけません。あと、商品ページには20枚まで写真を挿入することができるので、できるだけ多くの写真や画像を入れて、商品の訴求力を上げていく必要があります。

――「楽天市場」で作った商品ページを、「Yahoo!ショッピング」で流用してもいいのでしょうか。

佐藤氏:問題ありません。ただ、先述したように流入してくる検索キーワードが「楽天市場」と違います。ページを流用した後、Yahoo!で検索キーワードを調査して、商品名やキャッチコピーなどの微調整を行う必要があります。

佐藤氏は「できるだけ多くの写真や画像を入れて、商品の訴求力を上げる必要がある」と提唱(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)
佐藤氏は「できるだけ多くの写真や画像を入れて、商品の訴求力を上げる必要がある」と提唱(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)

「Yahoo!ショッピング」で優位な広告とは?

――広告運用の改善点はありますか。

佐藤氏:広告は大きく分けてキーワード系の広告と、サムネイルなどの画像系の広告の2つがあります。「Yahoo!ショッピング」は検索経由の顧客が多いので、キーワード系の広告のほうが費用対効果はいいと思います。

――父の日やお歳暮などの画像系の広告はどうでしょうか。

佐藤氏:悪くありません。「楽天市場」と同じように売れてくれます。ただ、「楽天市場」の画像系の広告は費用対効果などのデータを測定することができるのですが、「Yahoo!ショッピング」の画像系の広告は、いまだにクリック数などの基本的な数値の測定しかできません。

しっかりした広告の効果測定ができないので、広告運用の実績が乏しい店舗は、「Yahoo!ショッピング」ではキーワード系の広告に投資したほうが戦略は組み立てやすいと思います。

ポイントは“売れる”キーワードをいかに見い出すか

――キーワード系の広告もたくさんあります。お勧めのものはありますか。

佐藤氏:「アイテムマッチ」と呼ばれる広告がお勧めです。Yahoo!の検索結果で上位表示されるものです。この広告枠が一番使い勝手が良く、高いレスポンスが取れると思います。

「アイテムマッチ広告」は高いレスポンスが期待できるという(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)
「アイテムマッチ広告」は高いレスポンスが期待できるという(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)

――運用のコツを教えて下さい。

佐藤氏:アイテムマッチの広告は、「キーワードの入札単価」×「売り上げ」×「Yahoo!ショッピング内のSEO」の指標で表示順位が決まります。つまり、できるだけ単価が安く、売れるキーワードを掘り起こして、検索の上位を確保していれば、必然的にアイテムマッチは費用対効果の高い広告として運用することが可能になります。

――すべては、売れるキーワードを見つけることにかかっているのですね。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」内のSEOで上位が取れるのなら、その分、アイテムマッチの広告でも上位に表示されやすくなりますからね。

要は自分の店舗が、どのようなキーワードで売り上げを作っていくのか方向性さえ決まれば、非常にシンプルな方法でネットショップを運営することが可能になります。

広告投資は強気な費用感で!

――広告費は最初から強気に投資していったほうがいいのでしょうか。

佐藤氏:そのほうがいいと思います。少しずつ広告費を増やしていくやり方だと、費用対効果が分かりにくくなります。これは「Yahoo!ショッピング」に限った話ではなく、ネット広告は最初から大きな金額を投資したほうが、広告の質を掴みやすくなります。

日頃の検索順位のチェックは欠かさずに

――データの検証方法で改善すべき点はありますか。

佐藤氏:よほど売れている店舗でなければ、週に1回程度の検証で十分だと思います。アクセス数と売り上げを見た上で、あとはアイテムマッチの費用対効果をチェックするぐらいで問題ないと思います。

――そこまで神経質にデータを検証する必要はないんですね。

佐藤氏:ただ、「Yahoo!ショッピング」内の検索順位はマメにチェックしたほうがいいと思います。競合店舗が力を入れてきたり、商品が入れ替わったりして順位が変わると、それがアイテムマッチの費用対効果に直接影響を与えます。

検索順位の調査ツールは「Yahoo!ショッピング」には標準装備されていないので、うちの会社でわざわざ独自のツールを作りました。それだけ日頃の検索順位のチェックは必要だと思います。

売り上げが跳ねやすい日をうまく利用するために

――「Yahoo!ショッピング」は昨年の10月にPayPayモールと合併しました。それに合わせて、ポイント還元セールが「毎週日曜日」から「毎日」に変更されました。

佐藤氏:日曜日にセールを集中していた頃のほうが、月を通して売り上げが高かった印象があります。ただ、ポイントが還元される「5」のつく日と日曜日が重なった時は、大きく売り上げが跳ね上がっています。

佐藤氏は、「Yahoo!ショッピング」の売り上げを伸ばしやすいタイミングがあると指摘
佐藤氏は、「Yahoo!ショッピング」の売り上げを伸ばしやすいタイミングがあると指摘

――その特異日に売り上げを伸ばす方法はあるのですか。

佐藤氏:ポイント還元率を上げて「倍倍ストア」に申し込むのがお勧めです。PRオプションも設定しなくてはいけないので、手数料が多く取られますが、利益率が高く、リピートしてくれる商品であれば、思い切って5のつく日曜日にセールをぶつけてみるのも面白いと思います。

――「Yahoo!ショッピング」の売り上げを伸ばすためには、専属のスタッフは必要でしょうか。

佐藤氏:理想は専属スタッフがいたほうがいいと思います。最近はプロモーションパッケージに申し込むと、キーワードごとの売れ行きをはじめ、シェア率や成長率も分かるようになりました。専属のスタッフにまめに検索キーワードを調査してもらうようにすれば、さらに「Yahoo!ショッピング」の売り上げは伸びていくと思います。

――小規模なネットショップだと、なかなか専属の担当者がつけられないのが現状です。

佐藤氏:その場合は、「月に3日は『Yahoo!ショッピング』に集中する日」と決めて、限られた日数で運営に集中するやり方がいいと思います。毎日べたつきになるほどの仕事量はありませんから、担当制よりも取り組む日数で仕事量を振り分けたほうがいいと思います。

初心者は商品点数を絞った運用を

――初心者が「Yahoo!ショッピング」に取り組む際の注意点を教えて下さい。

佐藤氏:商品点数を広げないことです。広げ過ぎるとキーワードの調査も雑になって、広告やSEOの管理ができなくなります。キーワード探しが効率よくできるようになるまでは、商品点数を絞って運用したほうがいいと思います。

――他に「Yahoo!ショッピング」を運営する際の注意点はありますか。

佐藤氏:2日以内に商品が届く「優良配送」に対応しなければ、そもそも「Yahoo!ショッピング」内の検索で上位に表示させることができません。優良配送の対応は“マスト”と思って取り組んだほうがいいと思います。

検索で上位に表示させるためには「優良配送」の対応が欠かせない(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)
検索で上位に表示させるためには「優良配送」の対応が欠かせない(画像は「Yahoo!ショッピング」から編集部がキャプチャして追加)

週末だけ上位表示を勝ち取れる“裏技”とは

――出荷量が少ないネットショップだと、外部のロジスティクスのサービスが使えないので、優良配送の対応が難しくなりそうですね。

佐藤氏:優良配送の仕組みを逆手に取る方法もあります。たとえば、土日に配送を休んでいるネットショップが多いので、土日だけ優良配送に対応すれば、週末だけ「Yahoo!ショッピング」内の検索で上位表示されるようになって、売り上げを伸ばすことが可能になります。

――面白い裏技ですね。

佐藤氏:「Yahoo!ショッピング」は「楽天市場」やAmazonと比べてコロコロと売り方が変わります。いち早く情報を掴んで、いち早く変化ができるネットショップが勝ち残るロジックになっています。

私もTwitterを通じて「Yahoo!ショッピング」の運営ノウハウや最新の情報をタイムリーに発信しています。よろしければフォローしてもらえればと思います。

【筆者からのお知らせ】

ネット通販、人材教育、企画立案、キャッチコピーのつけ方等、斬新な切り口で「ナマのノウハウ」をメールマガジンでお届けしています!

竹内 謙礼

かっこの不正検知サービス「O-MOTION」がチャットボットツール「qualva」と連携。不正注文や悪質転売の対策が可能に

2 years 10ヶ月 ago

かっこは、不正注文検知サービス「O-PLUX(オープラックス)」と、PROFESSYが提供するチャットボットツール「qualva(クオルバ)」が連携したと発表した。

チャットフォーム経由でアフィリエイト報酬を狙うといった不正注文を防止、ネット通販事業者における住所確認や本人確認などの業務効率化を実現する。

不正対策の大幅な業務効率化をサポート

「qualva」を利用しているEC事業者は「O-PLUX」を手軽に導入でき、オペレーションコストを抑えて、高精度な不正対策に取り組むことができる。

不正対策は、電話番号疎通情報、空き室情報、「O-PLUX」を利用しているECサイトで発生した不正傾向など幅広い注文情報から検知する。

「O-PLUX」と「qualva」の連携イメージ
「O-PLUX」と「qualva」の連携イメージ

かっこによると、ここ最近では、デジタルマーケティングツールとして見かけることも多くなっているチャットフォーム経由で、アフィリエイト報酬狙いの不正注文や悪質転売などの不正注文被害が増加しているという。

特にD2Cや単品通販のEC事業者はチャットボットツールを利用していることも多く、利用するECシステム(ショッピングカート)が不正対策ツールとシステム連携していないケースもある。

また、これまでの不正対策では、担当者による目視審査、自社のブラックリストとの照合、地図サイトでの住所確認、不正注文が発生した際のメールや電話による本人確認、注文キャンセル処理などの運用負荷が大きく、一定の注文数を超えると人力での対応が難しくなっていた。「O-PLUX」が「qualva」と連携することで、こうした負荷の業務効率化を支援する。

PROFESSYからのコメントは次の通り。

顧客であるEC事業者から、アフィリエイト報酬目的の不正注文や悪質転売などの対策の要望をいただいていた。これまでも「qualva」を提供することでEC事業者にとっての顧客体験の最大化やCVRの向上に貢献してきたが、「O-PLUX」の連携を通じ、増加傾向が続くECサイトにおける不正注文被害への対策を提供することで、顧客企業の事業成長にも貢献していく。

チャットボットツール「qualva」とは

PROFESSYが提供する、新規顧客獲得に完全特化したチャットボット。対話型のセキュアな電子決済機能やシームレスな資料請求、エステやレストランの予約までさまざまなシーンで活用できる。

アップセル・クロスセル用のシナリオにカスタマイズが可能で、定期通販サイトのCVRを高める効果が期待できる。

フォーム入力の途中で離脱してしまったユーザーに通知する“カゴ落ちSMS”機能など、「qualva」にしか搭載されていないさまざまな独自機能を活用することにより、ウェブサイトに訪れるユーザーの顧客体験を最大化してCVR向上につなげる。

不正注文検知サービス「O-PLUX」とは

かっこが提供する、注文データをもとに通常の注文か不正注文かを判定するサービス。データサイエンスを活用した独自の審査ロジックによって不正注文をリアルタイムに検知し、クレジットカードのなりすまし注文、不正転売・悪質転売、後払い未払いなどの不正被害の防止や審査業務の自動化を実現する。

独自の審査ロジックに基づいてさまざまな業務を自動化する
独自の審査ロジックに基づいてさまざまな業務を自動化する
不正被害の防止にも役立つ
不正被害の防止にも役立つ
高野 真維

Shopify Japanの2023年戦略 。大手向けプラン「Shopify Plus」の本格展開&パートナーとの提携強化など

2 years 10ヶ月 ago

Shopify Japanは2月6日に実施した事業戦略説明会で、「大手ブランドやエンタープライズ向けビジネスの体制づくりと強化」に注力するとして、大手ブランド向けのプラン「Shopify Plus」を本格展開していく方針を掲げた。

他の注力する領域として「国内における小売企業のニーズに対応するための3rd Partyとの連携」「国内ビジネス強化のための投資」をあげた。

日本における2017年から2021年までの年平均成長率(CAGR)は、導入企業数が120%超、流通総額は170%だという。

左の図が事業者数の伸長で、右の図が流通総額。いずれも大きく伸長している(画像はShopify Japanが開催した記者説明会の配布資料から編集部が抜粋。以下同)
左図が事業者数、右図が流通総額(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)

2023年度に注力する3領域とは?

Shopify Japanが2023年度に国内で注力する領域としてあげている項目は次の通り。

  1. 大手ブランドやエンタープライズ規模の小売企業向けビジネスの体制づくりと強化
  2. 国内における小売企業のニーズに対応するための3rd Partyとの連携
  3. 国内ビジネス強化のための投資 

大手ブランド向けプラン「Shopify  Plus」の本格展開、「Commerce Components by Shopify(コマース・コンポーネンツ・バイ・ショッピファイ)」の国内展開に備えた体制作りを掲げた。

「Shopify Plus」は、Shopifyが提供するECサイト構築サービス「Shopify」の上位プラン。

「Commerce Components by Shopify」は、小売企業が「Shopify」の製品を機能ごとにコンポーネント化し、必要に応じて自由に組み合わせて既存自社システムと統合できるようにする仕組み。2023年度は、国内提供に向けた体制作りに取り組む。

「Shopify Plus」の本格展開と、「Commerce Components by Shopify」の国内展開に備えた体制づくり
(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)

2023年度(2023年1~12月期)は、「Shopify Plus」の継続的なビジネス強化に向けて、「Shopify Plus」パートナーとのエコシステム強化を図る。

これまでに日本郵便、三井物産、GMOペイメントゲートウェイといった外部企業との連携を進めてきた。たとえば、日本郵便とは、コストを最大51%削減できる配送サービス「+ Shipping(プラスシッピング)」を2022年10月に提供するなど、3rd Partyとの連携はすでに手応えを得ている状況だ。

日本郵便、三井物産、GMOペイメントゲートウェイといった3rd Partyとの連携を進めてきた
3rd Partyとの連携について(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)

また、マーケテイングなどさまざまな領域で“次の成長に向けての投資”に乗り出すという。

Shopify Japanは次の成長に向けての投資も積極的に取り組む方針
投資領域について(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)
高野 真維

【大雪予報による配送への影響】ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の対応まとめ(2/10~11)

2 years 10ヶ月 ago

2月10日(金)から2月11日(土)にかけ関東甲信越、東北地方など東日本の広い地域で積雪する予報を受け、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手配送キャリアは2月10日までに、現状の影響と対応を公表した。

ヤマト運輸

一般道路の通行止め、道路規制や渋滞、除雪状況などの状況で、関東圏から全国に送る荷物の配送などに遅れが生じている。営業所窓口における当日発送締め切り時間の短縮も発生しているという。

関東圏から全国、全国から関東圏への荷物のほか、新潟県、山梨県、長野県で全国への配送、および全国から当該地域への荷物配送に遅れが生じていると。

なお、荷物は遅延了承での預かりになる。

佐川急便

関東甲信や東北地方の広い範囲で積雪、路面状況の悪化などで配送に遅れが生じる可能性がるとしている。

また、以下の地域で荷物の配送、預かりを停止している。

  • 東京都
    西多摩郡(奥多摩町、日の出町、檜原村)
  • 神奈川県
    • 相模原市緑区(根小屋、長竹、中野、又野、太井、三井、青根、青野原、三ケ木、青山、鳥屋、寸沢嵐、若柳、与瀬、与瀬本町、小原、千木良、小渕、佐野川、澤井、吉野、名倉、日連、牧野)、愛甲郡(清川村、愛川町半原、愛川町三増)、足柄下郡(箱根町)
  • 山梨県
    • 富士吉田市、北杜市、南巨摩郡(身延町)、南都留郡(道志村、山中湖村、忍野村、河口湖村、鳴沢村)、上野原市(秋山村)
  • 長野県
    • 松本市、岡谷市、塩尻市、諏訪市、茅野市、安曇野市、諏訪郡、東筑摩郡(生坂村、山形村、朝日村、麻績村、筑北村)、伊那市、駒ヶ根市、上伊那郡、木曽郡

日本郵便

航空便の欠航で関東地方を中心とした地域で、荷物の引き受け、郵便物・ゆうパックなどの配送に遅れが発生することが見込まれるとしている。

瀧川 正実

アスクルが歯医者向け通販を強化、歯科医院向け通販・ECのフィードを傘下に

2 years 10ヶ月 ago

アスクルは歯科医院向け通販を手がけるフィードを傘下に収め、歯科業界向け通販・ECを強化する。

2月8日開催の取締役会で、歯科業界向け通販サービス「FEEDデンタル」のフィードや他関連会社を傘下に持つAP67の発行済株式85%%を取得し、子会社化することを決議した。

フィードなどはデンタルホールディングの子会社で、AP67が全株式を保有する。AP67の買収でデンタルホールディングおよびその子会社(フィードを含む)はアスクルの連結対象となる。株式譲渡の実行は2023年2月28日を予定。

フィードは全国の歯科医院に向けて医療関連の通信販売事業「FEEDデンタル」を展開。海外商品を含めたコストパフォーマンスの高い歯科材料や歯科用品など専門商材の幅広い品ぞろえを強みに成長してきた。

フィードは全国の歯科医院に向けて医療関連の通信販売事業「FEEDデンタル」を展開 アスクルが買収
フィードが展開するECサイト(画像は「FEEDデンタル」を編集部がキャプチャ)

顧客基盤の相互活用による販路拡大など、グループ全体でのシナジーを最大化。幅広く仕事場を支えるインフラ企業として、企業価値の向上を図っていく。

AP67はアドバンテッジパートナーズのファンド(APファンド)が抱える企業で、アドバンテッジパートナーズは2020年、特別目的会社を通じてノーリツ鋼機が保有していたデンタルホーディングス買収。デンタルホーディングスの発行済み株式の15%は2021年11月にリコーリースへ譲渡している。

AP67の2022年3月期連結業績は、売上高が前期比11.2%減の125億1600万円、営業利益は同93.5%減の1億400万円、経常損失は1億800万円、当期損失は4億5300万円。

石居 岳

インフレで買い物客の動向はどう変わる? 「実店舗よりもオンライン利用者が多い」など5つの最新トレンド

2 years 10ヶ月 ago

ターゲティング広告などを提供するCriteo(クリテオ)は、日本の買い物客1200人超を対象としたインフレーションにおける買い物客の購買行動についてまとめた最新動向を発表した。調査結果によると、より賢くショッピングをする買い物客は、実店舗よりもオンライン店舗を選ぶようになっているようだ。

不確実な経済環境でさまざまなコストが上昇するなか、買い物客の55%が購入前にオンラインで多くの時間をかけ、最適な商品やお買い得品を検索しているという。

自分にぴったりの商品を見つけ出す場所は「オンライン」

調査結果によると、より賢くショッピングをする買い物客は、実店舗よりもオンライン店舗を選ぶようになっていることがわかった。

  • 買い物客の55%:購入前にオンラインでより多くの時間を費やし、自分にぴったりの商品やお買い得品を検索
  • 買い物客の53%:実店舗よりもよりお得な価格の商品をオンラインで発見
  • 買い物客の42%:「オンラインでショッピングをすることが多い」と回答

インフレ下でも多くの人が“好きなものには積極出費”

世界的なインフレの影響で、ガソリンや食品などの必需品のコストは上がっている。その一方で、クリテオは「欲しいと思う商品や体験を購入することをあきらめない消費者の姿も見えてきた」とみている。好きなものには積極的に出費する傾向がみられた調査結果は次の通り。

買い物客が「より多く出費している」と回答した項目とその割合
買い物客が「より多く出費している」と回答した項目とその割合
買い物客が「同程度またはそれ以上に出費している」と回答した項目とその割合
買い物客が「同程度またはそれ以上に出費している」と回答した項目とその割合

日本は所得に関係なく高級品への支出が多い

クリテオが調査を実施した他の8か国(オーストラリア・フランス・ドイツ・イタリア・韓国・スペイン・英国・米国)のなかでも、日本は所得階層に関係なく、ジュエリー・時計・香水・ハイブランドバッグなどの高級品への支出が多いことも判明したという。

買い物客が「高級品に同程度またはそれ以上に出費している」と回答した、国ごとの割合(所得別)
買い物客が「高級品に同程度またはそれ以上に出費している」と回答した、国ごとの割合(所得別)

​“前倒し”で買い物をする消費者。どのような工夫をしているのか?

消費者は、限られた予算を最大限に活用するために、さまざまな工夫をしていることがわかった。物価上昇の影響を受けて、調査の回答者は次のような手法をとっている。

  • クリスマスなどのホリデーシーズンや誕生日に向けたプレゼントを前もって購入する: 17%
  • 商品を購入する予定をキャンセルもしくは延期した: 26%
  • 早めに電化製品や家具などの高額商品を購入している: 27%
  • 洗剤やティッシュなどの必需品はまとめ買いしている:60%

安値よりも商品の品質を優先する声も

調査結果を受けて、クリテオは「節約を第一に考えつつも、買い物客は依然として長持ちする高品質な商品を求めている。割引・クーポンと並んで、製品の品質や送料無料は購入を決定する重要なポイント」だと分析している。

商品の購入決定を決める大きな要因として回答者から支持された項目。品質を重視する意見も多い
商品の購入決定を決める大きな要因として回答者から支持された項目

​求められているものは、単なる“値引き”以上の価値

調査結果によると、消費者が共感できるブランド価値を提供していることや、ポイントやマイレージなどのロイヤルティが高い商品は、買い物の意思決定を後押しする動機になっているようだ。

「今後6か月間にブランド・小売店から商品を購入する場合、地球環境への配慮、ロイヤリティポイント、ブランド価値はどの程度重要か」という質問への回答
「今後6か月間にブランド・小売店から商品を購入する場合、地球環境への配慮、ロイヤリティポイント、ブランド価値はどの程度重要か」という質問への回答

調査概要

  • 調査機関:Criteo
  • 有効回答数:1254人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:日本の買い物客
  • 調査期間:2022年11月~12月
高野 真維

日本航空(JAL)がECモール事業に進出/アマゾン日本事業の2022年売上高は約3.2兆円【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

2 years 10ヶ月 ago
2023年2月3日~2023年2月9日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 日本航空がECモール事業に進出。グループの「JALショッピング」は営業終了、通販モールへ完全移転

    約3000万人のJALマイレージバンク(JMB)会員に向けて、物販を手がける企業の商品を購入できる“買い物の場”を提供

    2023/2/6
  2. アマゾン日本事業の売上高は約3.2兆円、ドルベースは243億ドル(前期比5.7%増)【Amazonの2022年実績まとめ】

    アマゾン日本事業の2022年(2022年1~12月)売上高は円ベースで3兆1958億7600万円。ドルベースでは243億9600万ドルで前期比5.7%増

    2023/2/8
  3. ヤフーとLINE、ZHDの合併で、eコマースは「ポイント・販促中心」から「成長と収益性のバランスを両立」にシフトへ

    Zホールディングス、ヤフー、LINEが2023年度中に合併へ。eコマースの経営目標は、従来の「ポイント・販促中心」から、「グループアセットを最大限活用することに注力し、成長と収益性のバランスを両立」に変える

    2023/2/8
  4. 食品メーカーの2023年値上げは前年比2倍ペース。月間2000品目超の値上げ、夏まで常態化の可能性

    今後は、4月に控える輸入小麦の価格改定動向が注目される。小麦の国際相場はピークから下落しているが2021年に比べると高止まりの状態が続いている

    2023/2/6
     
  5. ヤマト運輸「年度ごとに運賃を見直す」。「宅急便」「EAZY」「宅急便コンパクト」「国際宅急便宅急便」は10%値上げへ

    「物流事業者は、これまでも生産性向上などさまざまな取り組みを進めてきたが、物流に必要なコストを、運賃やサービス料金に適切に反映できていないことに加え、コスト上昇を吸収することが極めて難しくなっている」(ヤマト運輸)

    2023/2/7
     
  6. 【ステマ規制】消費者庁が公表した運用基準案とは?判断基準は第三者の「自主的な意思」の有無

    消費者庁は今年1月、ステルスマーケティング規制に対する事業者の予見性確保のため、運用基準案を公表。運用基準は、ステマを「事業者による表示内容への関与」で整理する

    2023/2/6
     
  7. Amazonの2022年売上高は5139億ドルで9%増。アマゾンの直販ECは前年割れに

    営業利益は同50.8%減の122億4800万ドル。当期純損益は前期の333億6400万ドルから、2022年度は27億2200万ドルの損失に転落した

    2023/2/3
     
  8. 転売屋などの不正利用から自社を守る方法とは? D2C(ネット通販)事業者が取るべき対策を解説

    年々巧妙化する不正利用の影響と取るべき対策を、売れるネット広告社の加藤公一レオ氏が解説!

    2023/2/8
     
  9. 【小林製薬のコールセンター改善施策】AI検索と音声認識を連携し、マニュアルやFAQの自動検索で業務効率化を実現

    小林製薬様では「業務負荷の削減」「対応品質の平準化」を目的に、電話内容を音声認識したテキスト文から自動でFAQやマニュアルをAI検索するシステムを構築した

    2023/2/3
     
  10. 「2020年代前半 国内物販EC取扱高No.1」は修正。「Yahoo!ショッピング」はどうなる?【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年1月30日~2月5日のニュース

    2023/2/7
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

消費者ニーズをつかむ“ファンケル流”リテンションマーケの最新事例など全13講演のECイベント【見どころを紹介】

2 years 10ヶ月 ago
EC&マーケティングのサクセスストーリーを一挙公開! 全13講演すべて無料で視聴できるECイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬」を2月21日(火)に開催

2月21日(火)に開催する「ネットショップ担当者フォーラム 2023 冬~ECサクセスストーリー大集合~」では、ファンケル、花王、イケア・ジャパン、アダストリアなど、通販・EC業界で大きな存在感をもつ有名企業が登壇。

「“ファンケル流”リテンションマーケ最新事例」「イケア・ジャパンが実践する顧客体験を向上させるオムニチャネル戦略」「アダストリアが語るメタバース事業とビジネスの可能性」などのテーマについて、企業の責任者などが講演します。13講演すべて「無料」で視聴できます。

まだお申し込みをしていない方のために、13講演のなかから編集部おすすめの講演の見どころをご紹介します。

ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

見どころ①急速に変化する消費者ニーズをグッとつかむ“ファンケル流”リテンションマーケ最新事例
11:00~11:45 KA-1 オープニング基調講演

ファンケルの通販営業本部 営業企画部部長の長谷川 敬晃氏が講師に登壇し、ファンケルならではのリテンションマーケテイングについて最新事例をお話します。ファシリテーターは花王DX戦略部門 全社DXデザイン部の生井秀一氏。変化が激しい消費者のニーズをとらえるヒントにつながるかもしれません。

株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部 部長 長谷川敬晃 氏
株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部 部長 長谷川敬晃 氏
2003年ファンケル新卒入社。自社ECサイト運営やリニューアル、サービスのシステム開発、ツール導入のPMを担当。スマホアプリやマーケティングオートメーションの立ち上げ、外部ECモールへの公式店出店を主導。現在は業務をDX進化させ、あくなきCX向上のための取り組み、及び直営の通販・店舗のチャネルを融合させた、顧客体験価値の最大化に向けたOMO推進の業務に従事。
「FANCL ONLINE」より(画像は編集部がキャプチャ)
FANCL ONLINE」より(画像は編集部がキャプチャ)
花王株式会社 DX戦略部門 全社DXデザイン部 生井 秀一 氏
花王株式会社 DX戦略部門 全社DXデザイン部 生井 秀一 氏
花王の販売会社に入社し、営業部門で大手流通チェーンを担当。2012年ヘアケアブランドのマーケティングを担当した後、2015年Eコマースの営業マネジャーとしてECに関わる。2018年に全社DX推進をする、プロジェクト型組織の先端技術戦略室に在籍。 2021年DX戦略推進センター設立、現在ではDX戦略部門で、全社DX戦略を担当している。
「My KAO Mall」より(画像は編集部がキャプチャ)
My KAO Mall」より(画像は編集部がキャプチャ)
ネットショップ担当者フォーラム 2023冬

「ネッ担 Meetup vol.3」(オンライン懇親会)を開催!

2月21日(火)18:30~20:30に、先着100人限定で、登壇者や参加者と情報交換ができるオンライン懇親会を実施。参加賞や豪華賞品(家電製品、化粧品セット、食品など)が当たるプレゼント抽選会も開催します!

ネットショップ担当者フォーラム2023冬 ネッ担Meetup オンライン懇親会

明日はまた別のオススメ講演をお伝えします!

ネットショップ担当者フォーラム編集部
確認済み
7 分 13 秒 ago
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