インタレストマッチ活用講座

インタレストマッチ導入と活用のポイント ~フィールアブロード 中村氏インタビュー

フィールアブロード 中村氏に聞く、インタレストマッチ導入と活用のポイント

※2013年1月29日より、興味関心連動型広告「インタレストマッチ」は「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」という総称に変わりました。 インタレストマッチは広告掲載方式のひとつとして存続します。

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2008年9月にスタートした興味関心連動型広告「インタレストマッチ」。09年2月にはオンラインでの新規アカウント開設も開始され、集客に活用する企業も増加している。リスティング広告などを活用し、5年間で売上を10倍に伸ばした実績を持つオンライン旅行会社フィールアブロードの中村明副社長に、インタレストマッチ導入の背景と活用状況をお話いただいた。

買収から5年間で、売上が 3000万円から3億円に拡大

編集部● 御社の事業概要をご説明ください。

株式会社フィールアブロード 中村氏
株式会社フィールアブロード
取締役 副社長
中村 明氏

中村● ビジネスクラス、ファーストクラスの海外航空券のオンライン販売に特化した旅行会社です。私は、米国と日本でシステムコンサルティングやウェブ開発などを手掛ける株式会社DEXという会社の副社長も務めています。このDEXのグループ会社が、フィールアブロードです。
フィールアブロードは、もともとはDEXの取引会社の1つでしたが、経営難に陥ったことがきっかけでDEXが買収をして、グループ会社になりました。
買収当時の2004年の売上は3000万円ほどでしたが、現在では10倍の約3億円まで成長しています。

編集部● ビジネス、ファーストの海外航空券に特化しているのはなぜでしょうか。

中村● エコノミークラスの格安航空券のオンライン販売は、非常に競争が激しいマーケットです。広告費用を差し引くとほとんど儲けを得られません。成約一件あたりの利益が200円とか300円といった状況です。大手の旅行会社でも、チケットではなくアコモデーション(ホテルなどの宿泊施設)やオプショナルツアーで儲けを得るビジネスモデルになっているところが随分あります。
実は当社も、買収当初はエコノミークラスのチケットを取り扱っていました。しかし利益率があまりに低く、人件費すら捻出できないため、ビジネスとファーストに特化せざるをえなかったという経緯があります。

編集部● 価格競争が行き着くところまで行き着いてしまっているわけですね。

中村● はい。航空券はどこで買っても同じものですから、差別化の一番のポイントは価格ですし、お客様も価格に敏感です。薄利多売のビジネスで規模が大きくないと勝てませんから、当社としては撤退せざるをえませんでした。
ビジネス、ファーストのチケットも、価格はもちろん大事です。しかし今はまだ、信用力であったり、サービスであったり、価格以外の部分で売る工夫ができると思います。インタレストマッチを利用し始めたのも、"売る工夫"をするためのデータを取るのが一つの目的です。簡単な例で言えば、何かキャンペーンを仕掛けるときも、広告のデータを見れば、いつから仕掛ければいいか判断できます。

編集部● インタレストマッチのお話は後ほどおうかがいします。スポンサードサーチを利用し始めたのは、いつからでしょうか。

中村● 2005年からです。やはりサイト全体を、狙った検索キーワードに最適化させるのは難しいので、リスティング広告での集客を目指しました。また当時はSEOを行うにしても、どのキーワードでやるべきか判断できていませんでした。お客様はどんなキーワードに反応するのか。それを見るためにリスティング広告を活用した面もあります。
スポンサードサーチは売上が10倍に増加した1つの要因ですが、間接的な効果としては、フィールアブロードという社名での検索が増えたことも大きいですね。

編集部● スポンサードサーチの運用で、とくに心がけている点はありますか?

中村● 広告とウェブサイトの親和性が大事だと思っていて、コンバージョン率や直帰率などのデータを見ながら、サイト側を改善していっています。言ってみれば、常にテストを行っているという状態です。例えば以前は情報量が多くごちゃごちゃしたサイトでしたが、今は掲載する情報量を少なくしてすっきりしたデザインに変更しています。その方がお客様の反応が良かったからです。情報量を増やすために海外の現地情報など、お金をかけてコンテンツをつくったこともありましたが、まったく役に立ちませんでした(笑)。

いち早くノウハウを蓄積した企業が
ネットでのビジネスを制する

編集部● 売上が順調に拡大する中、インタレストマッチを新たに利用し始めたのはなぜでしょうか。

株式会社フィールアブロード 中村氏

中村● 近年ではビジネス、ファーストの航空券についても競争が激しくなっています。その結果、キーワードによっては広告のクリック単価が高止まりしているという状況が続いています。成果の面でも、今の経済環境では仕方ないかもしれませんが、横ばいで推移しているので、新しいことをやってみようと思いました。
個人的にも、インタレストマッチの広告が自分の嗜好に合わせて表示されていると感じたので、テストで使ってみるべきだと思いました。最終的にはターゲットとする顧客ごとに、スポンサードサーチとインタレストマッチを使い分けられればいいという考えです。
ネットのビジネスは競争が激しいので、有望な技術をすぐに試し、いち早くノウハウを蓄積できた企業でないと勝てないと思っています。

編集部● スポンサードサーチとインタレストマッチの広告効果で、何か違いを感じましたか?

中村● 広告によるページビューの増加に比例して売上が増えるという構図は同じです。ただお客様の質が違います。違うタイプのお客様、強いて言えばネットを使い慣れていて広告をクリックすることに対して躊躇しないお客様を集客できているのを感じます。行動特性も違いますし、旅行会社なので最終的には電話でやり取りをしたりするのですが、コミュニケーションの取り方も違うように思います。データを分析している最中ですのではっきりとは言えませんが、今までは獲得できていなかったお客様を獲得できていると思います。

編集部● 収益に関する貢献度はいかがですか?

中村● インタレストマッチはテストで利用している段階で、スポンサードサーチで効果のあったキーワードだけに絞り込んで入札をしている状況です。キーワードごとの反応の違いを見ている最中ですから、今はまだ貢献度はこのくらいと言うことはできません。また旅行商品の売上は季節に大きく左右されますから、少なくとも1年間は運用してみないと、きちんとしたデータを得られないと考えています。

編集部● インタレストマッチには、顧客を絞り込んで広告を表示できるターゲティング機能が備わっています。この機能はお使いでしょうか。

中村● それもまだ使っていません。今はまだ初期設定の状態で、スポンサードサーチを経由するお客様との行動特性の違いを見ているところです。行動特性がわかったら、それに合わせてサイトを変えるのが先決です。ターゲティング機能を使うとしたら、そのあとになると思います。ちなみにデータは、社内にプログラマーがおりますので、自社で開発したツールで分析しています。

編集部● とくに重視している指標はありますか?

中村● CTR、CPC、CPAといった基本的な指標はもちろん見ます。ただそうした指標に至るプロセス、何をやったから効果が出たかというのは数字には表れません。私たちはあえてそのプロセスの部分を大事にしています。数字だけを追いかけていると、例えば数字が下がったときにリカバリー策が出てこなくなると思っています。
社内環境や外部のビジネス環境も考慮しながら数字を見るのが、あらゆるマーケティングの基本です。極端に言えば、直帰率さえ低ければ、ほかのマーケティング上の工夫でカバーできるのではないかと思っています。


今回のインタビューのまとめ
  • 競争が激しいエコノミーではなく、ビジネス&ファーストの航空券販売に特化
  • リスティング広告のポイントは、広告とウェブの親和性を高めること
  • インタレストマッチは「ネットを使い慣れたユーザー」を集客する傾向がある
  • 航空券は季節性の高い商品。広告効果の分析には1年間のデータ蓄積が不可欠
  • 指標を見るのではなく、指標に至るまでのプロセスを見ることが大事

株式会社フィールアブロード

フィールアブロードのホームページ
  • 本社所在地 ● 東京都港区芝大門2-6-6 芝大門エクセレントビル
  • 代表取締役社長 ● 瀧口信幸
  • 設立 ● 1995年11月
  • URL ● http://www.feelabroad.co.jp/
  • 東京都知事旅行業 第3-3563号
    (社)日本旅行業協会 正会員

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用語集
CPA / CPC / CTR / SEO / インタレストマッチ / キャンペーン / コンバージョン率 / スポンサードサーチ / ページビュー / リスティング広告 / 直帰率
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