アフィリエイターの“やる気”をUPさせる! 成功報酬設定の注意点と落とし穴
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
前回、アフィリエイト管理画面にログインすると、多くの広告主の情報が読み取れることをお伝えしました。報酬だけで判断されるわけではありませんが、他社を見て、より魅力あるプログラムにすることが大切です。プログラムについては数回に分けて掘り下げていきます。今回は、アフィリエイターへの成果報酬の考え方について解説します。
アフィリエイトの成功報酬の種類について知っておこう
ASPのプログラムにおいて、何を「成果」とするかには、大きく分けて下記の3種類があります。
①クリック報酬……その名のとおり、バナーなどの広告がクリックされた時点で成果となります。
②リード系……メールマガジンの登録、資料請求、会員登録、オンラインでの見積り、サービス予約など、見込み客を獲得した時点で成果となります。
③売上型……商品購入やサービスの利用申し込みが成果となります。
アフィリエイターが広告主を選ぶとき、成果条件が魅力的であるほうがより良いとされます。成果の到達までの難易度が低い方が提携数(自プログラムと、提携関係にあるアフィリエイター)が増える傾向にあります。
上記の例だと、送客するだけで成果につながるクリック報酬や、メールマガジン登録で成果となるリード系は難易度が低いと言えます。
クリック報酬やリード系は成果到達の難易度の低さから、短期間で多くの成果があがる場合がありますが、ここで注意点をお伝えします。
クリック報酬の注意点
クリック報酬は、バナー素材をクリックした時点が送客のゴールとなります。難易度が一番低いため、ポイントサイトなど大量に送客できるサイトに掲載されると、短期間で予想以上の費用が発生する場合があります(このためクリック報酬を導入している広告主は「ポイントサイトへの掲載は不可」としている場合が多いです)。
また、クリックはあるのに、その後の会員登録や商品購入という次の成果につながらないといった問題が発生する場合もあります。
クリック報酬は個人的にあえておすすめすることはありませんが、導入するとしたら短期間で多くの送客を集めないといけない時と、後発プログラムなどで、とりあえず大量に「面を押さえたい」時ではないかと思います。
導入する場合は、大手のポイントサイトにはクリック報酬のプログラムを提供しないこと。そして、毎月成果確定前にアフィリエイト別レポートを見て、数字が大きく飛び出た動きをしてないか確認することが大切です。
例えば、広告の表示回数とクリック数が同数程度の場合は、有効な送客がされていないと判断して良いでしょう。
リード系の注意点
リード系は、成果設定次第で「会員登録は増えたけど、サービスを利用してくれるユーザーは増えなかった……」といったことも起こりえます。
例えば「メールマガジンを登録したら、1件につき100円の成果報酬」といった設定にしたとします。メールマガジンに登録するだけで100円の報酬が受け取れて、さらに自己申込もOKだったとしたら、自分で申し込むアフィリエイターがいることは想像できます。つまり、サービスを利用する目的ではない登録が増えてしまう可能性があるのです。
これを防ぐためには「同一IPからの登録を不可にする」「同じ住所からのエントリーを不可にする」といった広告主側の仕組みでカバーすることと、そもそも「自己申込を不可にする」など、運用上のルールが必要です。
報酬金額は「新規獲得にいくら使えるか」で決めよう
報酬額の設定は、アフィリエイターと提携を進める意味で重要な要素の1つです。安易に「とりあえず、このぐらいでいいや」と安めに設定してしまうと、そもそも提携してくれるアフィリエイターの数が増えなかったり、広告を貼ってもらえなかったりする場合があります。
また、逆もしかりで「とりあえず、高めにしておこう」と高額でスタートすると、想定以上の送客があったときに困ることになります。
見込み顧客が会員登録後に商品やサービスを利用する、つまり実際の顧客に引き上げる仕組みがなければ、多くの送客があっても無駄となってしまいます。
報酬額は1度決めてしまったら、失敗したからといってすぐには修正できません。個々のアフィリエイターと、提携時に契約しているものだからです。
報酬額を修正するには、通常はASP担当者へ連絡し、提携済みアフィリエイターへ「報酬額の設定の見直しを行います」と契約内容が変更になることを周知する期間を置き、それからの修正となります。できる限り修正がないよう、慎重に決める必要があります。
報酬額については、単純に「100円ぐらい」とか「同業より少し高めに」といった理由で決めてしまいがちですが、新規顧客の獲得を期待するなら、新規獲得にかける費用はいくらなのか考えて額を決定すると良いでしょう。
おすすめは「最初から上限で勝負をしない」こと
また、個人的におすすめするのは、最初から上限で勝負をしないこと。
例えば「トライアルセットの新規購入1件につき1,000円まで支払い可能」だとしたら、最初に上限の1,000円に設定してしまうと、次の施策が打てません。
この場合、あえて最初は新規購入1件の報酬を500円に設定し、残りの500円を使って、有力アフィリエイターへより高い報酬設定を提案したり、商戦期に合わせて報酬アップキャンペーンを行ったりします。
もちろん、ベースである「新規購入1件/500円」が、他社と比べて見劣りしない報酬であることが必要です。他とのバランスを見て決定しましょう。
アフィリエイターにとってわかりやすいルールが必要
また、実際にアフィリエイターが受け取れる報酬には、定率と定額の2つがあります。
①定率……「商品が1つ売れたら商品価格の10%を支払う」というように定率で支払う方式。
②定額……「1クリックにつき1円」「会員登録につき100円」「資料請求1件につき1,000円」というように定額を支払う方式。
ASPによっては、定率と定額を組み合わせた設定ができるところもあります。
定率と定額を組み合わせた例:
- 初回限定お試しセット購入……1件/1,500円 + お試しセット以外の商品購入につき定率3%
- 新規会員申込み……1件/500円 + クリック報酬 1クリック/1円
- 商品購入……商品購入につき定率10% + 会員登録1件/50円
どこをゴールにして成果とするかは、戦略によりさまざまです。
ASPによっては、1つのプログラムに1つの報酬しか立てられない場合があります。それでも定率と定額、2つのゴール設定を行いたければ「定額のプログラムと合わせて、もう1つ定率のプログラムを立ち上げる」こと。つまり、ASPの中で2つのプログラムを同時に走らせる方法です。
ですが、このプログラムを分けるやり方はアフィリエイターからあまり評判がよくありません。2つのプログラムにまたがって成果が上がった場合に、広告主側の運用ルールによって、どちらかの成果がキャンセルになる場合があるからです。
不明確な条件は、アフィリエイターの信頼を損ねます。より多くのアフィリエイターから選ばれるためには、ルールをシンプルにわかりやすくすること。そして、できる限りアフィリエイターが活動しやすい、成果につながりやすい成果条件を用意することが大切です。
このようにアフィリエイターが受け取る報酬、成果設定は、アフィリエイトプログラムを行う上で、重要な決定事項のひとつです。提供の仕方で提携数は変わってきます。アフィリエイターにとって魅力あるオファーを提供できるよう心がけましょう。
オリジナル記事はこちら:アフィリエイターの“やる気”をUPさせる! 成功報酬設定の注意点と落とし穴(2016/03/25)
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