ケータイマーケティングソリューション 利用動向調査報告書ハイライト - 携帯マーケ入門#11
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[特集]今からでも遅くない! これから始めるケータイマーケティング入門
2008年全国ケータイ利用動向調査
「ケータイマーケティングソリューション 利用動向調査報告書」ハイライト
「2次元コードとメール配信」をコンボで活用
予算規模と今後の取り組みは2極化傾向に
現在のケータイサイト隆盛を支えるバックボーンとして、「着メロ・着うた・動画などの着信系コンテンツ」「既存コンテンツの変換・ウェブ開発」「メール配信」「QRコード」「キャンペーンソリューション」「電子クーポン」など、さまざまなケータイマーケティングソリューションが活用されている。ケータイサイトの制作や運用の現場ではこれらソリューションが欠かせない存在となる一方で、予算確保や投資対効果検証などで課題を抱えているのも現状だ。今後の自社のケータイサイト戦略を検討するにあたり、Web担当者が知っておくべきケータイマーケティングソリューションの最新利用動向をまとめてみた。
協力:インプレスR&Dインターネットメディア総合研究所 文:編集部
※調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。
ケータイサイトの中心は消費者向け。
製品・サービス情報の告知・販売に活用
「インターネット利用動向調査2007」によれば、日本国内の法人におけるウェブサイト開設率はPC向けが49%、ケータイ向けが12%。ケータイサイトのターゲットを見てみると、「消費者向け」(86%)がほとんどを占めている。さらにその内訳は、会社員(66.5%)がもっとも高く、専業主婦、大学生・専門学生・短大生、パート・アルバイト・フリーターがそれに続いている(図1)。携帯電話利用者の中心層とされる若年層がやや低いのは、企業向けサイト・社内向けサイトの複数回答により、企業属性者の比重が高くなっているためと思われる。
コンテンツそのものとしては「製品・サービス情報の掲載・告知」「製品・サービスの販売・予約受付(オンラインショッピング)」「会社概要の掲載・告知(地図含む)」が大きく抜きん出ており、そのほかも多岐にわたっている(図2)。コンテンツの側から対象を考えてみると、基本的に製品・サービスを軸に情報を消費者に提供するものとなっているのがわかる。
導入ソリューションは「2次元コード」と「メール配信」のコンボ
広告媒体・製品販売への活用が最大の用途
この調査では、自社のケータイサイト全体に対して、どれぐらいビジネス上の効果があると感じているかも聞いている。ここで示したいくつかのグラフでも、この「ケータイサイトに感じている効果」の回答とのクロス集計の結果を示しているので、参考にしてほしい。
「ケータイSEO」などのアクセス誘導対策もウェブ担当者としては気になるトピックだ。各社が実施している対策を具体的に調査したところでは、やはり「SEO」を行っている法人がダントツに多く、ケータイサイトに効果を感じている企業ほどSEOの実施比率が高い図3)。検索連動型、ピクチャー型、コンテンツ型などの広告出稿も同様だ。メールマガジンは手堅く実施されている印象だ。ケータイサイトへの効果を感じている層のSEOへの取り組みの高さと、感じていない層の「アクセス誘導は特にしていない」率の高さとの対照が明確でおもしろいところだ。
では、どういったケータイマーケティングソリューションを利用しているのかを見てみると、「2次元コード、QRコード、カラーコード」(25.4%)と「メール配信」(19.8%)が抜きん出ている(図4)。ユーザーをQRコードなどで誘導して、メールでつなぎ止め、再度アクセスしてもらい、顧客ロイヤルティを高めるという流れが、ケータイサイトの中心スタイルであるといえる。いかにこのサイクルを補強するかが、運用側にとっては鍵となるだろう。
これらのケータイマーケティングソリューションの利用意向を用途別にみると、「広告のための媒体構築」を除き、全体的にケータイサイトに効果を感じている法人ほど利用意向が高い(図5)。
予算がないからケータイサイトには力を入れない?
企業規模により「30万円未満」「1000万円以上」と対照的に
ここまではケータイマーケティングソリューションに効果を感じている企業の視点で見てきた。しかし全般的に「利用しない」「わからない」など消極的な回答の比率もけっして少なくない。利用意向がない法人に明確に理由を尋ねたところ「ケータイサイトには力を入れていない」「予算が厳しい」が3割強のほぼ同率で並んだ(図6)。グラフは割愛するが、雇用者規模別だと5000人以上の企業が「予算が厳しい」を理由とした比率が67%と突出している。
利用しない理由において、「ケータイサイトには力を入れていない」「予算が厳しい」という2つは、ニワトリとタマゴの関係でもある。実際に年間あたりのコスト総額を見てみると(図7)、年間コストは雇用者規模が大きな法人ほど高く、5000人以上の規模では500万円以上が過半数、1000万円以上でも3割を超えている(「わからない」を除く)。しかしながら、全体平均では「1万円以上5万円未満」の回答がもっとも多く、30万円未満でほぼ半分を占める割合となった。
課題トップ3にあげられたのは、「予算を確保しにくい」「投資対効果がわかりにくい」「コストが高い」と、金銭面が難航していることだった(図8)。これら課題は、渾然一体と捉えて対処するのではなく、明確に切り分けて対処すべきだ。とくにケータイサイトの場合、個々の消費者を追跡しやすく、PCサイト以上に消費行動の流れを把握しやすいメリットもある。投資対効果がわからないまま闇雲に予算確保に走り回るのではなく、アクセス解析などの結果を活かし、サイト戦略と適正予算を組み立て、社内の理解を得るという、シンプルなPDCA戦略がウェブ担当者には必要だろう。
現状維持の“消極的姿勢”では取り残される
認証・課金・企業内業務支援でケータイサイトをさらに充実
悩めるウェブ担当者が「即効性の高いケータイマーケティングソリューション」を見付ける手引きとなるよう、各ソリューションに対する満足度を見てみよう。「非常に満足している」「満足している」の合計が高いのは「認証・セキュリティー」「課金システム」「企業内業務支援関連のソリューション」となっている。一方低めなのは「画像認識・読取」「着信系コンテンツ」など(図9)。利用したい各ソリューションの用途4パターン(図5)と組み合わせて考えれば、自社のケータイサイト像を明確にしたうえで導入しやすいだろう。
まとめとして、今後のケータイサイトに対する方針の傾向も探っておこう。効果を感じている法人ほど今後に対する取り組みは積極的だ。「非常に効果がある」なら「積極的」で、「効果がある」なら「やや積極的」で、「どちらともいえない」「効果がない」でも、縮小まで踏み切るところはなく「現状維持」がボリュームゾーンとなっている(図10)。ちなみに、業種では官公庁や金融・保険業はケータイサイトへの取り組みが鈍く現状維持の傾向が高かった。雇用者規模での差異は見られなかった。
図6の利用しない理由、図8の課題とあわせて考察すると、ケータイサイトについては、いまだ各法人が戸惑っており、積極的活用まで至っていない現状が見て取れる。「効果は見えないが使いたい」「可能性があるはずだが、使いこなせない」「とりあえず現状を維持できればよい」など、まるでインターネット黎明期を再現しているかのように、その基本姿勢は徹底して「消極的」だ。しかし一方で、効果を実感している法人ほど、ケータイサイトに注力する傾向が出ていることから、今後は「勝ち組・負け組」といったレベルで、ケータイサイト、さらにケータイマーケティングソリューションを使いこなす企業、使いこなせない企業が2極化していくことは十分にあり得るだろう。
全国のケータイサイトを開設している企業において、自社のケータイサイトの制作・管理・運用・マーケティングを担当している人に対して、PC上のインターネット調査を実施(2007年10月19日〜23日)。
計1,023サンプル。なお本調査では、アンケート回答者を11業種×6段階の雇用者規模の66セグメントに区分し、各セグメントで有効回答数を確保している。
「ケータイマーケティングソリューション 利用動向調査報告書」は、法人のケータイウェブサイト担当者の意向を雇用者規模別、業種別、ケータイサイトの効果有無に集計・分析した「2008年全国ケータイ利用動向調査」の中から、法人のケータイマーケティングソリューションについてまとめた調査報告書。ケータイサイトの制作・運用に際し、2次元コードやメール配信、コンテンツの変換・作成・開発、SEO、モバイルCRMなどを目的とした各ケータイマーケティングソリューションの利用状況や満足度、課題、コスト、今後の利用状況などを、属性別に分析・掲載している。
発行日:2008年3月5日初版発行
発行:株式会社インプレスR&D
サイズ・判型:A4判・138P
価格:2万5,000 円〜10万円(税別、提供形態による)
提供形態:書籍/PDF/サイトライセンス
http://www.impressrd.jp/iil/K-tai_market_sol2008
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