明日の会議に間に合うWeb2.0虎の巻:非ギョーカイ500人の考える「Web 2.0」
非ギョーカイ500人の考える「Web 2.0」
ギョーカイ人の考えるWeb 2.0では、さまざまな意見がありながらも、ユーザーによって生成されるメディア/コンテンツやユーザー参加型のシステムが重要な要素であるとみなされていることがわかった。では、その大切なユーザーである非ギョーカイ人はWeb 2.0をどうとらえているのかをアンケートで調べてみた
編集部
調査方法
調査者 | インプレスR&D |
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調査期間 | 2006年7月10日〜13日 |
調査方法 | 独自アンケートシステムを使ったウェブインタラクティブ調査 |
サンプル数 | 524人 |
回答者プロフィール | 男性92.9%/女性7.1% 20歳代〜70歳代(30歳代〜40歳代が中心) |
回答者層は普通のビジネスマン
アンケートの回答数は524人。回答者層としては、グラフ1にあるように、仕事でウェブを使うだけの普通のビジネスマンが73.3%で、ウェブ担当者は3.8%、制作者/開発者は7.8%しかいなかった(グラフ1)。また、グラフにはしなかったが、52.9%がブログもウェブサイトも持っていない層だ。性別は偏っているが、年齢層は幅広い。
63.4%がWeb 2.0に縁なし
Web 2.0に関しては、「聞いたことはある」「知らない」の合計、つまりWeb 2.0に縁のない人が63.4%となった(グラフ2)。これは、Flickrやdel.icio.us、RSSリーダーを使ったことがあるとした人がそれぞれ数%ずつしかないことからもわかる。p.32で解説しているような、Web 2.0的な情報収集をしている人はまだごく一部だということだ。ただし、価格.comやアマゾンは80%前後の人が、YouTubeやmixi、はてなは25〜30%前後が使ったことがあるとしている。便利なサービスや楽しいサービスは積極的に使う傾向がわかる。
45.6%が「Web 2.0はよくわからない」
Web 2.0に対するイメージは予想どおりだった(グラフ3)。「Web 2.0ってよくわからない」とした人が45.6%もいたのだ。業界がどれだけ騒ごうとも、一般消費者であるユーザーにとってはワールドカップのほうが重要だということだ。しかし、「単なる流行言葉」とした人が17.9%に対して、Web 2.0が「重要なテーマ」であるとした人が32.8%いることも見逃してはいけない。実際のところ、「よくわからない」「その他」を除外して計算すると、65%が「重要」と答えていることになる。「よくわからないけれども重要なようだ」と感じている人も全体の8%いた。ほとんどの人が「Web 2.0って何だかよくわからない」としながらも、なんとなく重要なことだと認識していることがうかがわれる。
トラックバックは知っていてもCGMはわからない
Web 2.0関連用語の中では、「トラックバック」の認知度が70%を超えているのが興味深い(グラフ4)。しかし、「フォークソノミー」「CGM」あたりはほとんど理解されていないようだ。もちろんユーザーがそれと理解していなくても、ユーザー参加型のアーキテクチャや集合知は成立するが、「普通の」ユーザーを惹き付けて参加してもらうためには、「便利」または「楽しい」要素が必要になるのは間違いないだろう。
「Web 2.0=サッカー」 日本は世界レベルにほど遠いのか。
Q:Web 2.0をスポーツ(または動物)にたとえると?
アンケートを実施したのがW杯直後という時期のせいか、はたまた自律分散志向のネットワークから連想されるのか、「サッカー」という回答がもっとも多くて46件。次いで「アメフト」(9件)、「F1」(7件)などがあった。サッカーは予想通りではあるが、それ以外はどれも1ケタ程度の数で、マイナーなものも含めてひと通りのスポーツがそろっているという印象だ。一方、動物のたとえでもっとも多かったのは「チーター」で12件。似たものに「ピューマ」「豹」「ライオン」「子猫」「ドラえもん」など、なぜかネコ科が多かった。ユニークな回答としては、以下のようなものがあった。
- サッカー。フィールド内ならば、どこに動いても、どこにボールを蹴ってもいい
- サッカー。世界的に大きな関心があり、必ずしも大国が優れてるとはいえない
- サッカーのようにチームプレーで各ポジションを連結しゴールを目指す
- 手を使ってもいいサッカー
- W杯のサッカー。話題性があって注目もされるが、あっという間に興味が引いてしまう
- サッカー。W杯の時のように、よくわかっていない人まで一時的に大騒ぎしているように思えるから
- サッカー。個々の能力が高い選手が集まったブラジル代表のように、優れた技術が組み合わさって、さらに高い技術になっている
- カーリング。面白いものだが、流行になったあと定着するか忘れ去られるかはこれから
- 市民マラソンランナー。それぞれが、自分のペースで、やりたいときにやりたい練習をするが、かたまりとしての発言力も持つ
- 日本プロ野球界。技術力の時代(Web 1.0)、資本力の時代(Web 1.5)、そしてエンターテイメント力の時代(Web 2.0)
- クリケット。名前は知っていても中身を知らない
- ボクシングの亀田親子(話題先行。実力は?)。
- パンダ。珍しいけど、それだけの存在
- エリマキトカゲ。メディアがこぞって取り上げるが、いずれ冷める
- 小回りが利くねずみ
- カメレオン。状況や環境によってさまざまに変化する
- アブラゼミ
- キメラ。複数の技術の組み合わせ
みんなバラバラすぎ。
あなたも自信を持って自己流Web 2.0を広めよう。
Q:「Web 2.0」を自分の両親または近所のおばさんに説明するとしたら、何と言いますか?
そもそも、「Web 2.0のことはよくわからない」という回答者が多かったため、その説明も実にさまざまで、思わず「バラバラすぎだろ!」とツッコミたくなるほど。井戸端会議のようなものと表現している回答が目についた。ブログに見られるような口コミやコミュニティ的な要素からの連想だろうか。コミュニケーション機能やインタラクティブ性の向上を示唆する回答も数多くあった。やはり、ユーザー(ネットを使う側)は、1.0なのか2.0なのかは特に意識する必要がないのかもしれない。ユニークな回答としては、以下のようなものがあった。
- 要するに無料で使えるものが増えたってことですよね!
- ホームページは単なる壁新聞ではなくなり、さまざまな機能が利用できるウェブサービスになった
- Web 1.0時代は自分から探して手に入れていたものが、Web 2.0時代は「むこう」で用意してそろえてくれる
- ニュースと井戸端会議がまとまった
- うわさ話と井戸端会議が匿名で公開されて、簡単にみんなでイジることができる仕組み
- 与えられるものではなく、構築していくもの
- 作り手以外の人たちも知ってか知らずか参加して作り上げるサービス
- がらくたを段ボールに詰め込んできれいなラベルを貼ったもの
- 寄り合いというか、みんなで寄ってたかってアレコレ言い合って、いいアイデアとかモノができたらラッキーみたいなもん
- 「説明するものではなく利用するもの」と言う
- 自分は新しいことをしてる、考えてると思い上がりたい人が多用する、実のともなわない概念
- 誰でも、お得意様になったような気分になれる。いけばいくほど自分の好みのものを紹介してくれる
- 機械が勝手にやりとりしてくれて、いろんな処理をやってくれる
- 知らなくてもまったく困らないもの。でも知っていると得するかもしれないと思われて焦るもの
- 何でも興味や関心があることを、または忘れたくないことなどを書き留めておくボード。また、人々の関心ごと、見方や考え方の概要がつかめる
- テレビのチャンネルをガチャガチャ切り替えていたのが、離れていてもリモコンで切り替えることができるように技術が発展したように、インターネットの操作性の技術革新
- インターネットの中で、ある人の意見に対して賛同したり、反論したりすること(ただし一方通行ではない)
- 今こうしておばちゃんと話している感覚がネット上で味わえるようなもの
- 見るだけのウェブサイトではなく、自分で作ったり、入力した内容に対して反応が返ってくるウェブページ
- 情報を関連させる力が新しいレベルになっている。要はいろいろ便利になって、適当で曖昧な思いつきでも何とかできるようになる
- うまく利用できれば民主主義、へたをすれば愚衆政治。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.1』掲載の記事です。
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