潜在ニーズを呼び起こす “属性×キーワード×ランディングページ”の合わせ技――高年収者限定転職サイトのターゲティング術
※2013年1月29日より、興味関心連動型広告「インタレストマッチ」は「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」という総称に変わりました。 インタレストマッチは広告掲載方式のひとつとして存続します。
本人も自覚していない「潜在意識の掘り起こし」と「態度変容」を起こすことができる、それがインタレストマッチ。
こう語るのは、転職サイト「ビズリーチ」を運営する株式会社ビズリーチのマーケティング部の青山弘幸氏だ。同社では、ターゲットである高年収者の会員集めにYahoo!リスティング広告を活用している。
転職に積極的な人は検索連動型広告のスポンサードサーチでつかまえられるが、それ以上に重要なのが潜在層への訴求だ。ここに効くのがインタレストマッチであると語る青山氏に、具体的な活用ノウハウを聞いてみた。
年収750万円以上のビジネスパーソンにターゲティング
ビズリーチが運営するサイト「ビズリーチ」は、年収750万円以上のビジネスパーソンに対して、年収1000万円以上の求人情報を紹介するハイクラス向け転職マッチングサービスだ。2009年4月にサービスを開始したが、それまで日本ではハイクラスの求人情報に特化したサービスはなかったため一躍注目されることとなった。
「年収は基準の1つで、サービス開始当初は『年収1000万以上の管理職』という肩書を設定していました。
業種や職種では限定していませんが、そのなかでも比較的多いのはIT、金融、コンサルタント、メーカー系です。最近は、エンジニアの方にも数多く登録していただいています
」(青山氏)
ビズリーチでは、サービス開始当初からネットを中心にマーケティングを展開してきた。スポンサードサーチやインタレストマッチも活用している。
「サービス開始直後はマーケティング予算も限られていましたから、CPA(顧客獲得単価)に基づいてコントロールできる広告として、スポンサードサーチを中心にマーケティングを行っていました。
『転職』『転職サイト』といったビッグワードは予算的に厳しかったので、『外資 転職』『社名 転職』『金融 転職』など、キーワードでセグメント分けをしていました。スポンサードサーチでは、転職への気持ちが顕在化している方をターゲットに、会員獲得に取り組んでいました
」(青山氏)
潜在層の転職願望を呼び覚ますターゲティングと広告テキスト
その後、インタレストマッチも使い始め、現在ではビズリーチにおけるオンラインマーケティングの主力媒体となっている。インタレストマッチでは、これまでマッチング精度の改善や機能強化を何度か重ねてきたが、特に「地域」「年齢」「性別」によるターゲティング機能は重宝しているという。
- 「地域」「年齢」「性別」でターゲットを切り分ける
- 年代別に“響く”ようにメッセージを書き分ける
- モチベーションに合わせてランディングページ(登録項目)を構成
「ビズリーチは、誰にでもご利用いただくというよりは、管理職以上を中心としたハイクラスの人材にターゲットを絞っています。広告のターゲティング機能は、高い効率性を保つための生命線だといえます。
また、30代~50代がターゲットですが、各年代で響くメッセージが異なります。広告テキストを工夫してランディングページを切り分けることで、成果に結び付けることができます。具体的には、広告テキストに『部長』や『課長』といった肩書や役職、年収等を入れることで、その年代の方にとって魅力的なキーワードで訴求します。単なる『転職しよう』ではなく具体的な金額や肩書を示すことで、興味を喚起される人も多いでしょう。
また、ランディングページの作りでは、たとえば登録時の入力項目を少なくします。スポンサードサーチ経由に比べると、インタレストマッチ経由で来訪された方のモチベーションは低いため、その差を考慮して登録のハードルを下げるわけです。そのうえで、取りきれなかった情報は後々のCRMで補完していきます。いかに段階的にデータを取得するかもマーケティングの役割だと考えています。
スポンサードサーチは、転職のモチベーションが顕在化していて、『すぐに転職したい』『そのための情報を得たい』と思っている方に訴求するには最適なツールです。しかし、顕在化している方だけを対象にしてしまうと、どうしてもボリュームの限界が見えてきます。
そこでインタレストマッチを使えば、『具体的な転職の計画はないが、いい話があれば考えたい』という心理状態の潜在層にも訴求できます。仕事の内容に満足していると職を変えようという発想は起こりにくいですが、年収アップならわかりやすくて誰でも興味を抱きやすいものです。本人も自覚していない転職願望、つまり潜在ニーズを呼び起こす効果は、インタレストマッチならではですね
」(青山氏)
ネットマーケティングで重要なスピードとPDCAを実現できる運用体制
ビズリーチのリスティング広告は、青山氏とアシスタントの2名体制で運用されている。これに、開発者やデザイナーを加えた4人がマーケティングチームとなる。代理店など社外の力は借りず、サイト制作から運用までを社内で行う。
「予算を含めた運用は、上司と相談の下、すべて私が判断しています。予算のほとんどは、オンラインマーケティングです。予算規模やデータに基づいた効果検証が前提となると、マス媒体やオフラインは使いづらく、どうしてもPDCAを回せるオンライン中心になります。
予算配分は、一定のCPA以内という軸で判断しています。この場合の『A(獲得)』とは会員登録です
」(青山氏)
ビズリーチのマーケティングがネット中心なのは、「データドリブン」「マーケティングドリブン」という考えが社内に根付いているからだ。数字に基づいた効果測定やPDCAの実践は欠かせない。マーケティングチームを社内に置いて内製化している理由もここにある。
「当社は、インターネット企業であると自負しています。ネットならではのマーケティング手法で効率的にビジネスを行うというのが目標です。
Yahoo!リスティング広告をはじめ、さまざまなサービスやツールを使ってマーケティングを行う以上、その仕様変更によって影響を受けてしまいます。いかに速くPDCAを回していけるか、新しい機能を活用していけるかが鍵です。ネットの世界は、いち早く着手したところが大きなアドバンテージを持ちます。競合が多いなかで、他社に負けないスピードでプロモーションを行うための体制が現在の形です
」(青山氏)。
ビジネスパーソンが自分価値を知ることのできるサイトに
ネットを活用したマーケティングで順調に成長を続けるビズリーチだが、市場のポテンシャルはまだまだ高く、成長の伸び代は大きい。
「市場規模から見ると、年収750万円以上の方のまだ数パーセントしか会員獲得できていません。また、世の中にある年収1000万円以上の求人をいかにして集めるか。これが今後の課題です。
不景気で先行きが不透明な時代ですが、自分の市場価値を把握できて、さらに最適な求人情報を効率的に得られる。そんなサイトを実現することがビズリーチの使命です。これまでのキャリアを棚卸しして登録しておくことで、自分の市場価値や可能性を把握することができる。そんなサービスでありたいと考えています
」(青山氏)
- 本社所在地 ● 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町15-14
- 事業内容 ● 日本最大級の年収1000万円以上(管理職・専門職に特化)の転職サイト「ビズリーチ」を運営。日本初の求職者課金型転職サイト。会員、ヘッドハンター、求人情報を年収1000万円以上レベルに限定し、運営事務局が独自の基準で審査を行う。会員数15万人(直近の年収750万円以上に限定)。登録ヘッドハンター800人。登録企業900社。求人情報(年収1000万円以上に限定)6600件。2009年4月にグランドオープン。
- URL ● https://www.bizreach.jp/
ソーシャルもやってます!