コミュニティの成功と「尖ったアイデア」の関係

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コミュニティサービスの企画提案、コンサルティングなどを行う際に、もっともよく突っ込まれるのは、それが「面白い企画であるか」ということだ。

一口にコミュニティサイトといっても、多種多様な形態があり、あまたのサービスが存在する中で、ヒットを飛ばすのは難しいというのは明白であり、当然のことではある。

会員の囲い込みであるとか、企業のなにがしかの目的を満たすためのツールとしてという明確な意図がある場合は別だが、特別「コミュニティである必要」を感じていない企業が、そのような反応を示すのは、ほかとの差別化をしなければ勝てないというという、しごく当然の懸念がある以上、当然だろう。

しかしながら、実際にコミュニティサービスに多く触れている私自身の考えは、必ずしもそうではない。

面白い企画から生まれたサービス、いわゆる「尖った」サービスは、ネットリテラシの高いアーリーアダプタ層への受けはよく、一瞬にして広まる可能性を持っている。特に昨今は、やはり時代の風潮なのか、Web2.0的な要素を持っていること自体が、それらのユーザーに訴求するための、クリティカルパスになっているようだ。

だが、アーリーアダプタ層というのは、面白いサービスを見つけることや、早く知ること自体に興味を持ってはいるが、継続して使うという意思はあまり持っておらず、サービスを盛り上げるという目的にはマッチしないように見える。

もちろん、ツールとして便利なサービスであれば、継続して利用してもらうことも可能ではあるだろうが、より、コミュニケーションに比重が置かれているコミュニティサイトの場合、あまりメリットにはなりえない。

また、それらのユーザーの反応を意識しすぎたサービスは、もちろんすべてではないが、上述したようにWeb2.0的な要素を盛り込むことに終始する傾向があり、実際の利用シーン、広まり方を想定しているかという点において、疑問符がつくことが多い。

では、コミュニティにとって、重要なのは何なのだろうか?

コミュニティは生きている。人々が集い、コミュニケーションを行い、それらを楽しむことが、どのようなコミュニティにも共通して存在するニーズであると言える。

コミュニケーションを楽しむという目的において、面白い企画は、一つの要素ではあるかもしれないが、やはり、すべてにはなり得ない。

逆に、どんなに一般的な機能しかもっていなくても、ユーザーの利用シーンが想定しつくされ、一連の機能群がうまく連携を取る形で、大きなニーズを満たすべく存在することができれば、サービスとしては盛り上がっていくものだ。

これらは、実際に、過去、私が企画・提供してきた多くのサービスを通じて感じてきたことではあるが、しかしながら、コミュニティのあり方、成長の仕方を目の当たりにしたことのない方たちには、どんなに力説しても伝わりづらいことでもあるようだ。

コミュニティサービスの成功は、アイデア自体の面白さよりも、運用や、運用設計を見据えた企画にあると言えるだろう。

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