バーチャレクス・コンサルティング株式会社
~バーチャレクスが毎年実施する「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」2025年版の第四弾結果公開~
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:丸山勇人、以下、バーチャレクス)は
「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」 を実施し、この
度2025年版第四弾 の結果を取りまとめました。
■これまでの2025年調査結果
【第一弾】
「カスタマーサクセス、経営層の78.6%が「聞いたことがない」/取り組み企業の約8割ではAIの導入・活用進む」
【第二弾】
「AI活用」74.5%のカスタマーサクセス企業が効果を実感/6割以上が「新規売上増加」で業績向上
【第三弾】
タッチモデルとサブスク戦略が切り拓くカスタマーサクセス効果/ツール活用が業績向上に与える大きな影響
■今回の分析テーマ:カスタマーサクセスを自社で取り組んでいる839人対象
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フェーズ分け運用の実態と業績指標に与える影響 -
ツールの活用状況とフェーズ分け運用の関係 -
サクセスロードマップのフェーズ分け基準と業績に与える影響
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フェーズ分け運用の実態と業績指標に与える影響
カスタマーサクセス活動を実施して
成果を出している 企業では、あらかじめ
業務プロセス がどの程度
定義・標準化・マニュアル化 されているかが、成功の重要な要因となっています。そこで、今回は、
運用プロセス・ルール がどの程度整備されているか、すなわち、
サクセスロードマップに基づいたフェーズ分け運用 が実践されているかどうかを尋ねました。通常、企業は
顧客のライフサイクル に応じて
オンボーディング、アダプション、リニューアル などの各フェーズに必要な
運用プロセスを策定 しています。このようなプロセスの整備により、カスタマーサクセス施策の効果が最大限に引き出され、顧客満足度やロイヤルティの向上、ひいては解約防止やアップセルにつながるのです。
カスタマーサクセスの取り組み を自社で行っている
839人 のうち、効果を感じている
「効果実感層」 (n=494)と、効果を感じていない/どちらとも言えない
「効果未実感層」 (n=345)のそれぞれに、
サクセスロードマップに基づいた運用プロセス・ルールを定めているかどうか を尋ねたところ、
効果実感層 では、半数以上の
55.3% が
「フェーズを分け運用している」 と回答し、さらに
試験運用を行っている と回答した人が
34.6% と、合わせて約
9割 が何らかの形で
フェーズ分け運用を実践 していることがわかりました。これに対し、
効果未実感層 では
フェーズ分け運用 を行っている人はわずか
15.4% にとどまり、多くの企業でフェーズ分けの
運用体制が未整備 、または
認知されていない ことが示されます。フェーズ分けを行うことで
顧客の状況を正確に把握 し、
最適なタイミングでフォローアップを実行 できるため、
カスタマーサクセス施策の成果が顕著に上がる ことが、このデータから示唆されます。
図1:[2025年] サクセスロードマップに応じた運用プロセス・ルールは定められていますか
ここからは、
フェーズ分け運用を行っている層 、
行っていない/不明層 に分け、それぞれの
直近一年間の業況変化 について見ていきます。まず、
新規顧客数 の変化を確認します。
フェーズ分け運用を行っている 、
あるいは試験運用を始めている 企業(n=326)では、
76.1% が
「新規顧客数が増えた」 と回答しており、
「減少した」 は
5.2% にとどまっています。一方、
フェーズ分け運用には至っていない 、もしくは
状況が不明 な企業(n=513)では、
「増加した」 が
55.6% と半数を超えているものの、
「変わらない」 が
37.2% 、
「減少した」 が
7.2% という結果となりました。つまり、
フェーズ分け運用を実践 している企業は、
新規顧客数の増加をより実感しており 、顧客ライフサイクルを明確に区分してフォローアップを行う体制が、新規顧客獲得に大きく寄与していることが示唆されます。
図2:[2025年] 直近一年間の新規顧客数変化(フェーズ分け運用有無別)
継続売上 については、
フェーズ分け運用を実施 している企業では
70.2% が
「継続売上が増加した」 と回答し、
「減少した」 は
4.0% にとどまっています。一方、フェーズ分け運用が
未実施または状況が不明 な企業では、
「増加した」 が
47.6% 、
「変わらない」 が
45.0% となっています。この結果から、
フェーズ分け運用を行っている 企業は、顧客の
ライフサイクル を明確に区分し、最適なタイミングで
フォローアップ を実施できるため、
継続的な売上向上 が期待できると考えられます。
図3:[2025年] 直近一年間の継続売上変化(フェーズ分け運用有無別))
次のグラフは、
カスタマーサクセス取り組み前後 の
アップセル率 の変化をフェーズ分け運用の有無で比較したものです。アップセル率が
「向上した」 と回答した割合を見ても、
フェーズ分け運用を行っている/試験運用している 企業では
60.7% に上る一方、
フェーズ分け運用をしていない/状況が不明 な企業では
32.7% にとどまり、約28ポイントの差が見られます。フェーズ分けを明確に実施している企業では、顧客がどの段階で追加提案に応じやすいかを正確に把握でき、適切なタイミングでアップセル提案が可能になっていることが推察されます。一方、
フェーズ分け運用を行っていない/不明 な企業では
「変わらない」 が
45.0% 、
「低下した」 が
12.3% と、合わせて
過半数以上 が
アップセル率の伸び を
実感できていない 状況です。
図4:[2025年] カスタマーサクセス取り組み前後アップセル率変化(フェーズ分け運用有無別)
NPS(ネット・プロモーター・スコア) については、
「向上した」 と回答した
フェーズ分け運用企業 の割合が
58.0% と過半数を占めています。対照的に、
非運用企業 では
29.6% にとどまっています。さらに、
フェーズ分け運用企業 で
「この指標は把握していない」 と回答した割合はわずか
1.2% であるのに対し、
非運用企業 では
10.7% と約9ポイント高く、
NPS の
測定自体が不十分 な企業が多いことがわかります。これらのデータから、顧客の利用ステージを
複数のフェーズに区切って把握 することで顧客満足度や推奨意向を高めるための
フォローアップが的確 に行われ、結果として
NPS向上につながっている 可能性を示しています。一方、フェーズ分け運用がなされていない企業では、
顧客の声 を継続的に収集・活用する仕組みが十分に整っておらず、
NPSの変化 を
測定すらしていない ケースが多いため、カスタマーサクセス施策の
成果を十分に得られていない と考えられます。
図5:[2025年] カスタマーサクセス取り組み前後NPS変化(フェーズ分け運用有無別)
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その他項目のデータおよび分析は以下よりご覧いただけます
・ 直近一年の新規売上変化(フェーズ分け運用有無別 )
・ カスタマーサクセス取り組み前後クロスセル率変化(フェーズ分け運用有無別 )
・ カスタマーサクセス取り組み前後継続率変化(フェーズ分け運用有無別 )
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ツールの活用状況とフェーズ分け運用の関係
続いて、
ツールの使用状況 が
フェーズ分け運用の有無 によってどう変わるかを検証します。以下のデータは、
フェーズ分け運用企業 を対象に、どの
カスタマーサクセスツール を利用しているか、またそれに対して
「効果を感じている」 か
「効果を感じていない/どちらとも言えない」 かを比較したものです。
まず
「顧客情報管理」 は
38.4% が効果を感じていると回答し、他のツールと比べても圧倒的に
高い利用・効果実感率 となっています。これは、顧客データを一元管理し、フェーズ分けされたステージに応じてフォローアップを最適化できるため、カスタマーサクセス施策の成果に直結していることを示唆しています。
「オンボーディング管理ツール」(18.8%) や
「ヘルススコア管理」(13.7%) も、顧客の導入・定着段階を可視化するため、効果を得やすい傾向が見られます。これらは顧客の早期立ち上げや解約リスクの早期察知に直結しており、フェーズ分け運用との相性が非常に高いと考えられます。
続いて、
「AIによる顧客対応支援ツール」(8.3%) 、
「AIによるデータ分析・予測ツール」(7.1%) 、
「AIによる自動化ツール」(5.9%) はいずれも
1割弱 が
「効果を感じている」 と回答。これは、フェーズ分けと連動して顧客データの分析や自動化を実施することで、最適なタイミングでのフォローアップや効率化が進み、カスタマーサクセス施策がさらに強化されている可能性を示しています。総じて、フ
ェーズ分け運用企業 は
基礎ツール および
AIツール を
効果的に活用 し、カスタマーサクセス施策を
成功させている ことがうかがえます。
図7:[2025年] カスタマーサクセスツール利用と効果実感(n=591、フェーズ分け運用をしている/試験運用を始めている)
反対に、
フェーズ分け非運用 層の
ツール利用状況 を見ると
、「特に利用していない」 の回答が、
効果実感層 では
7.7% 、
効果未実感層 では
48.0% に達している点が際立っています。
図8:[2025年] カスタマーサクセスツール利用と効果実感(n=248、フェーズを分けた運用には至っていない/状況不明)
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詳細な分析は以下よりご覧いただけます
・ フェーズ分け非運用層のツール利用状況
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サクセスロードマップのフェーズ分け基準と業績に与える影響
最後に、具体的に
どのような指標でフェーズを区切っているか 、それぞれの
指標 が
業績にどのような影響を与えているか を検証します。まず、
フェーズ分け運用層 に対して、
サクセスロードマップ をどのような
クライテリア(基準)でフェーズ分け しているかを尋ね、その回答をカスタマーサクセス効果の実感度別に比較しました。その結果、カスタマーサクセス
効果実感層 では、
ヘルススコア(単体・複合) とその
閾値を用いる 割合が合計で
約9割 (40.8%+50.5%)に上り、
「ヘルススコア+期間」 を組み合わせる層は
7.7% 、
期間のみ で分けている層は
1.1%に とどまっています
。 これは、顧客の
健康度 や
利用状況 を
数値化 し、一定の基準(閾値)を設けることで、
解約リスクの早期察知 や
アップセル機会 の把握が容易になっていることを示します。
一方、
効果未実感層 では、
複合ヘルススコア(59.9%) の利用が比較的高いものの、
「ヘルススコア+期間」(23.1%) や
「期間のみ」(6.8%) といった組み合わせが全体の
3割 を占めています
。 これらの結果から、
効果実感層 では
シンプルなヘルススコア基準(単体・複合) を明確な閾値とともに運用するケースが多く、顧客の利用状況や健康度を正確に把握できるのに対し、
効果未実感層 では
期間基準 を加えたり
期間のみで分けたり と、顧客ごとのリスクやアップセル機会を的確に把握できていない可能性がうかがえます。
総じて、
ヘルススコアを軸にしたフェーズ分け が明確であれば、解約防止や追加契約のタイミングを逃さず、カスタマーサクセス施策の
効果を高める ことができると推察されます。
図9:[2025年] サクセスロードマップはどのようなクライテリアでフェーズを分けていますか(フェーズ分け運用をしている人)
直近1年間の
新規顧客数 の変化を
「フェーズ分けのクライテリア」 によって比較したところ、
単一の指標によるヘルススコアを用いる企業 (n=196)が
78.6% で最も高い割合、
複数の指標を用いる企業 (n=312)でも
70.2% が
「増加した」 と答えています。
「期間のみ」 または
「ヘルススコア+期間」 で定めている企業では、新規顧客数の増加割合が
相対的に低く 、
「変わらない」「減少した」 が
比較的高い 点が目立ちます。期間だけに頼ると、実際の利用状況や健康度が正確に把握できず、初期導入やオンボーディングの段階で見逃しが起きやすいと推察されます。これらのことから、シンプルなヘルススコアに基づくフェーズ分けが新規顧客獲得に有利であり、期間基準のみの場合は伸びが抑えられる傾向が見て取れると言えるでしょう。
図10:[2025年] 直近一年間の新規顧客数変化(フェーズ分けクライテリア別)
継続売上 についても同様に、
ヘルススコア(単一・複数)を用いたフェーズ分け ほど、
「増加」 を実感している割合が
高い という傾向が鮮明に表れています。
単一のヘルススコアを閾値とともに運用している企業 は
76.0% 、
複数の指標を組み合わせる 場合も
63.1% が
「継続売上が増加した」 と答えました。一方、
ヘルススコアと期間の組み合わせ や
期間のみ をクライテリアにしている企業は、
「変わらない」「減少した」 の割合が
高め となっています。
単一のヘルススコ アを
明確な閾値 とともに運用することで、
顧客の利用状況 や
健康度 をシンプルに把握しやすく、
解約防止 や
追加契約 のタイミングを逃しにくいと考えられます。その結果、継続売上向上に直結している可能性が大きいでしょう。
複合的な指標を用いる場合 も一定の成果が確認されます。複合指標は精度が高い反面、運用難易度が上がることから、単一指標ほどのシンプルさは失われるかもしれませんが、顧客の状況をより
多面的に把握 できる利点もあると推察されます。
図11:[2025年] 直近一年間の継続売上変化(フェーズ分けクライテリア別)
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その他項目のデータおよび分析は以下よりご覧いただけます
・ 直近一年の新規売上変化(フェーズ分けクライテリア別 )
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フェーズ分け運用とツール連携がカスタマーサクセス成功の鍵
今回の分析から、
フェーズ分け運用を実施 している企業は、顧客ライフサイクルを正確に区分し、各フェーズに応じた適切なフォローアップを実施することで、
新規顧客獲得、新規売上、継続売上、アップセル、クロスセル 、そして
NPS向上 といった
各種業績指標 において
顕著な成果を上げている ことが明らかとなりました。
シンプルなヘルススコアを基軸 とした
フェーズ分け が、解約リスクの早期察知や追加契約のタイミングの最適化につながることを強く示しています。一方、
フェーズ分け運用が未実施または状況が不明な企業 では、顧客データの統合管理や運用体制が十分に整備されておらず、結果として
各指標の向上 が
限定的 であることが推察されます。
ツール活用 においても、
フェーズ分け運用企業 は顧客情報管理、オンボーディング管理、ヘルススコア管理などを
効果的に導入 しているのに対し、
非運用企業 ではツールの
導入率 や
効果実感 が
大幅に低い 傾向にあります。カスタマーサクセス施策を成功に導くためには、ツールの導入のみならず、顧客ライフサイクルに沿った
フェーズ分け運用との連携 が不可欠であると言えるでしょう。
さらに、今回の結果全体からは、組織全体での
統合的な顧客管理 体制や、
AIツール を活用した自動化の促進が、今後のカスタマーサクセス施策のさらなる
効果向上に寄与 する可能性が高いことが示されています。すなわち、
フェーズ分け運用 と
適切なツール の活用が一体となることで、企業はより高い顧客満足度とロイヤルティを実現し、
持続的な成長を達成 できると結論付けられます。
本調査の分析結果は複数回にわたって公開していきます。各回では、カスタマーサクセスの導入状況や成果、成功要因、今後の展望などをテーマごとに掘り下げ、日本企業におけるカスタマーサクセスの実態と動向を詳しく分析します。
第四弾調査結果詳細 本調査結果の詳細な分析結果全文はこちら
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2025年2月21日~2025年2月26日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)64,138人
過去の調査結果はこちら 2019年~2024年の調査結果をご覧いただけます
<参考>
バーチャレクス社翻訳カスタマーサクセス担当者のためのバイブル
『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
カスタマーサクセスの法則や用語を紹介
カスタマーサクセスのいろはがわかるサイト
カスタマーサクセスで顧客接点の未来を創る by Virtualex Consulting
(すべて生成AIで制作したコンセプトムービー)
VIDEO
■ バーチャレクス・コンサルティング株式会社 について
バーチャレクス・コンサルティングは創業来「企業と顧客の接点領域」にフォーカスしたビジネスを展開しており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、"Succession with You" ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げています。現在では顧客企業のCRM領域のDX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開しています。
■ バーチャレクスグループ について
バーチャレクスグループは、各企業約1,000名以上の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。2016年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場しています。
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