講座10 思わずクリックしたくなるタイトル&説明文の「内容」とは
文:芝野徹也 監修:紺野俊介((株式会社アイレップ))
タイトル&説明文で興味を引く、3つの工夫とは
キーワード広告のタイトル&説明文は、自然検索結果のタイトル&説明文と異なり、広告主が検索キーワードごとに意図を持って設定できるという特長がある。この特長を活かし、タイトル&説明文で“目立つ”と同時に、内容で“興味を引く”ことができれば、見込み顧客をあなたのサイトに誘導する確率はますます高まるだろう。
それでは、“興味を引く”ためにできる工夫とは具体的に何があるだろうか。基本的なチェックポイントを3点挙げてみよう。
① 検索キーワードに沿ったタイトル&説明文を
まずは、「タイトル&説明文の内容を検索キーワードに沿った内容にする」ことが、基本中の基本だろう。
キーワード広告のターゲットとなる見込み顧客は、その検索キーワードに興味・関心をすでに持っているのである。したがって、その検索キーワードと関連性の高い情報のあるサイトだと、直感的に理解できるようにすることがクリック率を高める近道なのである。
その手法を追求した結果が、講座9で述べている検索キーワードを含んだタイトル&説明文である。講座9では、検索キーワードをタイトル&説明文に含めることで、タイトル&説明文の該当個所が太字表記になるというテクニックを“目立つ”という観点から推奨したが、次のステップである“興味を引く”ためにも、このテクニックは非常に重要である。
媒体によるタイトル&説明文字数の制約により、検索キーワードをタイトル&説明文に挿入できない場合も多いだろう。しかし、太字表記できず“目立つ”効果が発揮できなくても、“興味を引く”効果を期待できるだろう。検索キーワードそのものでなくても、代替案として同義語を含めるなどの工夫により、見込み顧客が探している情報と一致していることがわかりやすい内容にすべきである。
② 訴求ポイントを明示したタイトル&説明文
次に“興味を引く”手法としては、「訴求ポイントを明示する方法」が挙げられる。
検索結果画面に自分の求める情報と関連性が高いと思われるリンク先が複数あった場合、あなたは何を判断材料にしてクリックするだろうか。通常は、タイトル&説明文によって訴えかけられるサイトのアピール内容から、自分の嗜好にあったサイトを選ぶことだろう。
したがって、タイトル&説明文には見込み顧客が好むような訴求ポイントを盛り込むことが重要なのである。
見込み顧客が欲している情報が検索キーワードによって類推できるからこそ、キーワード広告ではその欲している情報と相性の良い訴求ポイントを打ち出すことが重要になる。
たとえば、ネット通販の代表的な訴求ポイントを考えてみよう(表1)。
訴求ポイント | 例 |
---|---|
お得系 | 送料無料 / 無料配送 / 手数料無料 |
限定系 | 今なら○○ / ○月○日まで / オンライン限定 |
安心系 | 返品可能 / バックアップ / サポート |
スピード系 | 即日出荷 / 最短○日 / 24時間対応 |
価格系 | 激安 / ○%オフ / ○円 |
品揃え系 | 品揃え豊富 / 幅広く / 満載 |
ネット通販を利用する場合、通常のリアル店舗での売買に比べ、実際に商品に手を触れることもなく、また人と対面して質問・相談することもなく行われるため、不安を感じる要素も多いだろう。特に、自分が使い慣れたネットショップであれば問題ないが、キーワード検索でたどり着いたサイトとなると初めて訪問するサイトの場合がほとんどだ。これらの不安感をクリックする前に取り除くためにも、「返品可能」や「サポート」などの安心系ポイントをタイトル&説明文に含めると、サイトに訪問する前から安心感も高まりクリックしやすくなる傾向がある。あなたの運営するサイトが一般的に知名度のある社名・ブランド名の場合は、それらをタイトル&説明文に盛り込むことも安心系の訴求につながることだろう。
また、人気商品が品薄になり希少価値が高まることで、人気がさらに過熱するというのはよく見られる事象だが、広告でも「期間限定」や「オンライン限定」などの限定系の訴求ポイントを明示することは有効な施策としてよく見られる。特に、季節ごとのお歳暮やクリスマスなどのイベントは、検索ボリュームが増加する期間が限られているため、その期間を狙った限定系の訴求ポイントを活用するのは非常に有効である。
このような訴求ポイントを盛り込んだ広告は、キーワード広告に限った手法ではなく、私たちが日常で目にする機会の多いマス広告では当たり前のように行われている。テレビCMや雑誌広告などを目にした際に、それぞれ何を訴求ポイントとして訴えている広告かを意識すると、参考になることもあるだろう。
③ 競合他社との差別化を意識したタイトル&説明文
上記の①、②の条件を満たすタイトル&説明文の目途がついたら、いくつかのキーワードで検索して、検索結果画面に現れる競合他社のタイトル&説明文と、あなたのタイトル&説明文を比較してみよう。あなたのタイトル&説明文は、競合他社の広告と差別化できているだろうか。
まずチェックすべき観点は、訴求ポイントとしてタイトル&説明文に盛り込んだ情報が競合他社と比較した場合に見劣りしていないか、ということである。
特に価格系の訴求ポイントとして、「5%オフ」や「特価19,800円」といった具体的な数値を掲載している場合は要注意である。競合他社の広告がそれよりも大きな値引き率や安い価格を明示している場合、クリックされづらくなってしまい、その結果、競合他社に見込み顧客を奪われてしまうかもしれないからだ。価格系の訴求ポイントは具体的な数字を使うことによりアピールを強化できる反面、広告間での比較も簡単になるため注意が必要だ。このような場合は、同じ系統の訴求で勝負をするのは避けて、スピード系や品揃え系などの別系統の訴求ポイントで差別化を計るべきだろう。
次に、チェックすべき観点は、競合他社の広告と見比べて似通った広告になっていないか、ということである。限られた文字数制限の中で、講座9で述べたような“目立つ”工夫を行うと、表現の余地もわずかになってしまうため、似た広告になりがちである。このような場合は、あえてオーソドックスなタイトル&説明文を避けてみるのも1つの手段だろう。
クリックの先にある“顧客化”を意識したタイトル&説明文
3つの“興味を引く”工夫を紹介したが、これらはあくまで最終的なゴールである“顧客化”の一歩手前のステップであることを忘れてはならない。タイトル&説明文とランディングページの内容がかけ離れている場合、せっかくユーザーを誘導しても直帰してしまうことが予想される。
“興味を引く”工夫をするのと同時に、ランディングページとタイトル&説明文の親和性を高める工夫も意識することが、最終的な顧客化への近道なのである。
内容を吟味すること
- 関連性の高いサイトだと、直感的に理解できるようにする → キーワードに沿った内容
- 見込み顧客が好むような訴求ポイントを盛り込む → 訴求ポイントを明示
- 競合他社と比較した場合に見劣りしていないかチェック → 競合他社との差別化
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