激変するメディアとネットの融合、CGMビジネスの可能性に迫る「JANES-Way episode2」開催
2006年11月15日、東京千代田区のベルサール九段にて、Web 2.0時代の最新テクノロジーやサービス、ビジネスを紹介するカンファレンス「JANES-Way episode2」がEビジネス研究所の主催にて開催された。
JANES-Wayは、急速に進化し続けるネットビジネスにおいて、その進化・成功の道を探るべく、インターネット関連企業が一同に会し、最新の製品やサービス、テクノロジーを紹介するカンファレンスである。2006年6月の開催に引き続き、第2回となる今回は「最新のWebテクノロジー&サービスの探求」と題して展示会やセッションが開かれ、同時に新卒者向けの会社説明会「Web Area 就活カンファレンス」も開催された。
カンファレンスでは多数の講演が行われ、午後には「激変するメディア、CGMの可能性と未来について」と題し、Web 2.0のキーワードとともに変化を見せるメディアに注目したパネルディスカッションが行われた。モデレーターに早稲田大学教授/国際IT財団専務理事の中村伊知哉氏を迎え、テレビ側、ネット側で活躍するパネラーに第2日本テレビ事業本部ED 土屋敏男氏、フジテレビラボLLC営業企画部 井上裕基氏、サイバーエージェントアメーバ事業本部マネージャー 一谷幸一氏、データセクション代表取締役/メタキャスト取締役COO 橋本大也氏らを迎えて、テレビとインターネットとの融合の可能性など、CGMを中心に議論が交わされた。
まず、中村氏から、2005年のライブドアや楽天の動き、竹中総務大臣による「通信と放送の在り方に関する懇談会」など、大きな議論を呼んだ通信と放送について質問がされた。土屋氏は「テレビという完成されたシステムがあるのに、テレビでできることをネットに載せても意味がない」とし、「テレビでは何100万人が見るような広いコンテンツが前提になるが、ネットのコンテンツは狭くて深くていい。これはテレビの思考とはまったく違うもの。テレビではできないことが何かを追求していきたい」と語った。
フジテレビラボの井上氏は、「テレビとインターネットでは見たいコンテンツも違うし見方も違う。テレビは受動的だが、ネットは能動的にコンテンツを見に行く。ネットのように目的を持ってリーチしているユーザーにとっては、短時間に濃縮されたコンテンツの方がより意義がある」と語り、テレビとまったく同じものをネットでも見たいという形にはならないとした。一方で、テレビ、ラジオ、雑誌とのメディアミックス展開のニーズが、特にナショナルクライアントの間で高まっているという。
一谷氏は、「インターネットとテレビの融合の可能性もありますが、役割分担が必要。インターネットはメディアでもあるが、検索やECなどシステムの側面がある」とした。たとえば、動画の投稿プラットフォームなどをネット側で用意し、面白いコンテンツをテレビで流してスターを作るといった具合だ。実際に、アメーバビジョンでは、テレビ東京と連携して番組作りを行っているという。
橋本氏は、東京MXテレビのBlogTVでの体験を例に、テレビ局がインターネットを利用する際、特に地方局に可能性があるのではないかと語った。「東京MXテレビの番組を見ようとしたが、人に聞いても見方がわからずに最後はネットで番組を見ました」と語り、地方局においては、BlogTVのようにネットに流した方が発見される可能性が高く、視聴者獲得のチャンスにつながることも考えられると述べた。
最後に、GoogleのYouTube買収など、大きな波が押し寄せているが、日本でCGMはビジネスにつながるのか、という質問がなされた。
土屋氏は、従来のテレビ放送とはビジネスモデルやコンテンツの特性が違うことを指摘し、「今までは作り手や送り手が見せるに値するかを検証していたが、投稿動画のようなコンテンツでは、ユーザーが見せたいと思ったコンテンツを自由に投稿する。こうした表現の違いから生まれてくるビジネスモデルは従来とはまったく違うものになる、新しいビジネスモデルの可能性を感じている」と語った。
インターネットが普及して10年、そのあり方は、道路であった時代からユーザーが集まる広場へと変化を見せている。ディスカッションでは、CGM、放送と通信の融合の可能性について語られたが、期待される一方、現状はまだ具体的な可能性は見えてこないようだ。ネット側とテレビ側、それぞれがその特性を理解し、新しい表現を生み出していくことが今後の課題となるだろう。
JANES-Way
http://janes-way.net/
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