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定期購入事業者は知らなきゃマズい「改正特定商取引法」改定のポイント【事例あり】

定期販売を手がける事業者は知っておくべき「定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化(施行規則第8条第7号等)」を図版で解説
ネットショップ担当者フォーラム編集部 2018/3/26 7:00 |

この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。

「平成28年改正特定商取引法」(2017年12月施行)ではいくつかの大きな改定があり、EC事業者が知っておかなければならないのが、定期購入契約について、支払総額や契約期間などの販売条件を明記することが義務化されたこと。消費者庁が購入条件を明確に表示せずに申し込みを誘導する定期購入への対応を強化したものなんです。EC事業者が知っておくべきこと・順守しなければならないことなどをまとめました。消費者庁の情報と合わせてお読みください。

定期購入の申込ページに表示しなければならない内容と表示方法とは?

定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化(施行規則第8条第7号等)

「平成28年改正特定商取引法」では、いわゆる定期購入契約に関し、通信販売の広告やインターネット通販における申し込み・確認画面上に、下記の2点を明示することが義務付ました

  • 定期購入契約である旨、および金額(支払代金の総額等
  • 契約期間その他の販売条件(それぞれの商品の引渡時期や代金の支払時期など

これは、健康食品や化粧品などの通信販売において、「“初回お試し500円”というコピーにひかれて申し込んだが、実際は1年間の定期購入コースへの加入が条件で、思った以上の料金を請求された」といった相談が急増したことを受けての改定です。

	飲料	健康食品	化粧品2012年	44	386	2282013年	40	740	5172014年	105	1337	3712015年	322	2887	6972016年	1258	9678	2193
定期購入に関する相談(2017年3月31日までにPIO-NETに登録された消費者相談情報)
出典:「平成29年度消費者白書」を元に編集部で作成

趣旨としては、顧客の意に反して売買契約の申し込みをさせようとする行為を禁止するものです。

「支払代金の総額」について、「1か月に1箱(○○円)」と決まっていない商品でも、半年または1年の消費量から、目安となる金額を明示する必要があります。以下に良いとされる例・悪いとされる例を示します。

良い例①のポイント

良い例①
注文内容確認注文内容を確認し、注文を確定してください(これが最後の手続きです)。下記の注文内容が正しいことを確認してください。「注文を確定する」ボタンをクリックするまで、実際の注文は行われません。注文明細 変 更 商品名	5か月間購入コース 商品価格 1,000円(税抜)	※初回(月)分	3,000円(税抜)	※第2回~第5回分 送料	2,500円(税込)	※5か月分 消費税 1,040円 総額	16,540円	※5か月間購入コースお届け先  変 更ネッ担 太郎〒101-0051東京都千代田区神田神保町1-105発送方法宅配便  変更支払方法  変更△△カード XXXX-XXX-XXXX有効期限 06/2020TOPに戻る(注文は確定されません)注文を確定する

申し込みの最終確認画面に消費者が締結することになる定期購入契約の主な内容(契約期間または商品の引き渡しの回数、消費者が支払うことになる金額(各回の商品の代金、送料、消費税などの総額)がすべて表示され、その画面上で「注文を確定する」といったボタンをクリックして初めて申し込みが確定する。

良い例②のポイント

良い例②
注文内容確認注文内容を確認し、注文を確定してください(これが最後の手続きです)。下記の注文内容が正しいことを確認してください。「注文を確定する」ボタンをクリックするまで、実際の注文は行われません。注文明細  変 更 商品名 5か月間購入コース 商品価格	1,000円	(税抜)	 送料 500円	(税込)	 消費税	80円 総額	1,580円 ※5か月間購入コースのうち初月分・税込5か月間定期購入コースの内容を確認する(内容を確認するまでは申込みができません)クリック・定期購入コースは5か月間の定期購入契約となり、総額16,540円になります・初(月)回のみ、お支払額は1,580円(送料・税込)になります・第2回から第5回までのお支払額は1月あたり3,740円(送料・税込)になります・初月を含めた5か月間のお支払の総額は16,540円になります

「内容を確認する」といったボタンをクリックすることにより、定期購入契約の主な内容のすべてが表示され、この操作を行って初めて申し込みが確定する

悪い例①のポイント

悪い例①
○○コース 初回特別価格通常価格 3,000円→1,000円(33%OFF!)商品説明・○○コースは5か月間の定期購入契約となります・5か月間の定期購入を条件に、初(月)回が1,580円(送料・税込)になります・第2回から第5回までのお支払額は1月あたり3,740円(送料・税込)になります

申し込みの最終画面に定期購入契約のすべての内容が表示されていない。または、容易に認識できないほど離れた場所に表示されている

悪い例②のポイント

悪い例②
○○コース 初回特別価格通常価格 3,000円→1,000円(33%OFF!)注文を確定する

申し込みの最終画面に定期購入契約のすべての内容が表示されていないか、容易に認識できないほど離れた場所に表示されており、「注文内容を確認する」といったボタンの設定や、「ブラウザの戻るボタンで前に戻ることができる」旨の説明など、契約内容を確認、または訂正するための手段が提供されていない

定期購入契約に関する各事業者の取り組み

実例として、消費者庁のインターネット消費者取引委員会の配布資料より、ファンケルと「Rakuten RAXY」(楽天ラクシー、運営は楽天)の取り組みをご紹介します。

ファンケル

ファンケルでは健康食品とサプリメントの定期便「健康・得楽便」において、電話の場合はトークスクリプトの中に定期サービスであることや次回のお届けについて伝えるように徹底。ネットでは「ご利用ガイド」やFAQ、利用規約を設け、利用者がサービスについて調べやすい工夫をしているほか、下記のタイミングで繰り返しサービス内容を案内している。

ファンケル「健康・得楽便」最終確認画面
定期便「健康・得楽便」の最終確認画面で、コース名とお届け開始年月を明記
ファンケル「健康・得楽便」最終確認画面
同じく最終確認画面。規約の下に「規約に同意し申し込む」というボタンを設置
ファンケル「健康・得楽便」活用ガイドブック
商品の到着10日前に「お届け内容のご案内メール」を送信。また、初回お届け時に「健康・得楽便」 のガイドブックを同梱。登録内容の確認、変更、停止について説明
ファンケル「健康・得楽便」商品お届け明細
商品お届け明細書にも次回分がいつ届くのかを記載
※画像はすべて 第27回インターネット消費者取引連絡会配付資料より、編集部でキャプチャ

Rakuten RAXY

コスメの定期購入サービス「Rakuten RAXY」には1か月プランと3か月プランがあり、解約手続きが行われなければ自動更新される。意図しない購入を防ぐために、プラン選択ページ、最終確認画面、メールやマイページでプランの詳細と解約について案内している。

解約受付期間と併せ申込ボタン前に表示注意事項を最終確認画でも改めて表示
プラン選択ページに自動更新の旨と解約期間を記載。最終確認画面にも重ねて記載
自動更新月前にメールでの通知を実施
解約ボタン近くにも解約期間を表示
更新月にはメールとマイページで解約期間についての案内を記載

また、利用者からの解約や住所変更についての問い合わせが多かったため、下記のような改善を行った。

解約に関するページ改善(例)
マイページにて、「解約」ボタンを設け、分かりやすく。改善前 改善後
ヘルプページに具体的な例や手順を記載すると共に、マイページに「送付先の変更ボタン」と「解約ボタン」を設置し、手続きをわかりやすくした。この改善により、問い合わせが約8割減少した
※画像はすべて 第27回インターネット消費者取引連絡会配付資料より、編集部でキャプチャ

まとめ

「平成28年改正特定商取引法」のガイドラインではECの定期購入の表示例を示していますが、施行規則の対象はカタログ通販やテレビ通販なども含んでいます。通販ビジネスに全般に対する規制なんです。

皆さん、数年でECビジネスに対する行政の規制強化が少しずつ強まっているのはご存知ですか?

記憶に新しいのが、消費者契約法・特定商取引法の見直し。「『勧誘』に広告を含めるようにし、不当勧誘にもとづく取消権(注文キャンセル)をECサイトでも認めるべきではないか」という「勧誘概念の拡大」が議論されました(結局は法律に盛り込むことは見送られることになりましたが、継続的に議論されています)。

こうしたことを含めて、法改正の動向を注視すると同時に、業界全体で問題を改善していかなければ「法律でビジネスががんじがらめにされてしまう」可能性はゼロではないということを知っておきましょう。

「平成28年改正特定商取引法」は、ECビジネスの台頭によって増加している悪質な定期販売事業者を排除することが目的にあります。

「平成28年改正特定商取引法」に関する行政の情報をまとめましたので、ぜひぜひ目を通してください

定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化(「ガイドライン」)
顧客の意に反して売買契約の申込みをさせようとする行為に該当しないと考えられる例(編集部が消費者庁の資料をキャプチャし追加)
定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化(「ガイドライン」)
顧客の意に反して売買契約の申込みをさせようとする行為に該当すると考えられる例(編集部が消費者庁の資料をキャプチャし追加)

オリジナル記事はこちら:定期購入事業者は知らなきゃマズい「改正特定商取引法」改定のポイント【事例あり】(2018/03/22)

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