「Facebookはじめました」は必須! 店舗がSNSで成功するための第一歩
コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
心得其の418
結果につながるアプローチ
夏真っ盛り。すると各所で目にするのが「ダイエット特集」。しかし「この夏にまだ間に合う!」とは、詐欺同然のあおり文句。今、話題の「ライザップ」でさえ「結果にコミット」する期間を「2か月」と設定しているように、今日明日で効果が出る減量方法があれば、むしろそれは「ヤバイ」ものです。
ダイエットには、効果的な方法とそうでないアプローチがあります。私は30年来のダイエッター、知識だけは豊富です。たとえば、「ジョギング」は減量目的としては不適当。適度な運動で食欲は増進し、食べて筋肉がつけば「重くなる」とは、市民ランナーとしても名高い漫画家の喜国雅彦氏も指摘しています。その点、ライザップは独自の科学的メソッドによって、食事制限やトレーニングなど効果がでるアプローチを続けます。
Webについても同じことがいえます。確実な効果を期待できるアプローチと、次善の取り組みがあります。
集客を意識すること
近くの定食屋が「Facebook」を始めました。創業20年を数え、地元での知名度は高く、それが理由かこれまでWebへの取り組みは皆無でした。毎日写真付きで「日替わりランチ」をFacebookに投稿し、週に一度の定休日も、わざわざ「お休みさせていただきます」と挨拶するところに、生真面目そうな女将さんの性格がにじみ出ます。ところが、売上につながっているとは残念ながらいえません。
コンテンツの更新は大切です。しかし、これはジョギングのようなもので、豊富なコンテンツという基礎体力の向上につながっても、売上アップには直結しません。売上アップを目指すには、まず「集客」が必要で、これはダイエットにおける食事制限と同じく、結果にコミットするためのコアメソッド。
コンテンツが呼び水になることも確かですが、「集客」への意識が欠けたWebの取り組みは、労力ばかりを浪費します。
狙うのは新規客か、リピーターか
定食屋の店内には、Facebookを始めたことを伝えるチラシの1枚すら掲示されていませんでした。路面店がWebを始めたなら、リアルでの告知は不可欠です。目的はもちろん「集客」で、毎日更新しても、それを見る人がいなければ徒労に過ぎません。ちなみに、私がこの店のFacebookの存在を知ったのは、女将さんと「ママ友」の会話を偶然耳に挟んでのことです。
「集客」には大きく分けて2つのアプローチがあります。新規客を増やすか、リピーターを増やすかです。
どちらも大切ですが、創業20年を数える店舗なら、すぐに効果を実感できるのは後者です。すでに店を利用しているお客が多くいると考えられ、彼らの来店頻度をFacebookの利用によって増やすことは、新規客の獲得と比べれば、さほど難しくないからです。
レジ脇でアピール
店内における「Facebook始めました」の貼り紙は、SNS「集客」のための必須条件です。そして「レジ脇」の掲示はマスト。
満腹になった客にとって、店はすでに遠い存在です。次の空腹まで必要性がなくなります。洋服や宝石でも同じで、満たされた物欲が店への興味を急速に失わせます。しかし、お会計の際、レジ脇に「Facebook始めました」と掲示しておけば、目にしたお客の何割かは、別のシーンでFacebookのロゴを見たとき、店のことを思い出してくれます。
翌週、別件でFacebookにアクセスしたとき、定食屋のページを思い出します。そこにあった「ランチ写真」に心が動き、足が向かったのは、以前に触れた「飲食店写真」と同じ理由です。さらに「本日生ビール無料」のうたい文句にロックオンしたのは、梅雨とは名ばかりの猛暑だったから。そして、妻の分と合わせて2,120円(税込)の売上をFacebookがもたらします。
Facebookの集客効果
Facebookから「新規客」を呼び込むこともできます。住所や出身校でフィルタリングし、ご近所のユーザーを探して声をかけてみます。そこに「常連客」を見つければ、友達申請をします。「友だち」が気後れするなら、「フォロー」だけでもOKです。
Facebookの利用者は、地元、同窓生、同じ趣味といった「つながり」を大切にする傾向があるので、気楽に声をかけてみるとよいでしょう。見ず知らずの人にいきなり声をかけては、不信に思われて逆効果でしょうが、地元店の見知った顔であれば有効な方法です。
「友だち」が増えるメリットは、Facebook上での接点が増えるだけではありません。すべてのSNS企業の生命線は「アクティブユーザー」の数です。Facebookが、ほぼ毎日のように「友だち」の近況を知らせるのは、自社のサービスを繰り返し利用させるためです。それはつまり、Facebookがあなたの店の最新情報(更新情報)を宣伝してくれるということ。
行列はできなくても
SNSに慣れたユーザーにとって、お店や企業とつながりを持つことは、無料で配布されるスタンプカード程度の感覚に過ぎません。だから、タイムサービスや限定メニューなどのちょっとしたお得情報を配信してあげれば、喜んで「友だち」になってくれることでしょう。
つまり、Facebookは会員カードの発券も、顧客管理システムも不用で無料の「会員管理システム」にも応用できるということです。これが「集客」につながることは言わずもがな。
Facebookを始めたからといって、行列ができることなどありません。しかし、ランチタイムに数人ぐらいの「集客」なら、投稿を工夫することで実現できます。経験を積み重ねながら続けることで、大きな成果につながるのはWebとダイエットの共通項です。
最後に今後、SNSの提供企業が、サービス内で管理流通できる「ポイントシステム」を、スマホアプリの形でリアル店舗向けに提供することを期待しています。「ポイント制」を好むのは日本だけという説もありますが、なにより「生活インフラ」としての重要度が高まり、リアルでの接触頻度(リーチ)の拡大、認知度のさらなる向上が収益アップにつながるのではないかと。店も客もSNSも喜ぶ「三方良し」として。
今回のポイント
「はじめました」と必ず告知
集客を意識すれば結果が付いてくる
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