定石やセオリーは存在しない試行錯誤を通じて新しいモデルを作り上げていく
定石やセオリーは存在しない
試行錯誤を通じて新しいモデルを作り上げていく
先に紹介したレンチャー氏が、キーノートの中で「There is No Playbook」(定石なんてものはない)と強調していた点も非常に興味深かった。
ソーシャルとモバイルという大きな流れのなかで、顧客行動を測定して企業収益と結びつけ、チャンネルへの投資を最適化すること。この一連の流れには、決して「こうすればOK」というセオリーがあるわけではなく、各社が自社のビジネス状態と顧客にあわせて試行錯誤しながら実践していくしかない。この点は、日本でも米国でも変わらないのだろう。
その点を象徴していたのが、間接効果測定のセッションだ。講師による一方通行のプレゼンテーションは行わず、各テーブルに参加者が10名程度ずつ集まり、それぞれの考える間接効果測定(アトリビューション)の定義や現状の自社の課題を語り合い、お互いにアドバイスする形式がとられていた。
製品の機能拡張とともにますます進む製品間の連携
ジェネラルセッションの最後では、アドビ システムズ社 オムニチュアビジネスユニットのチーフテクノロジストであるエラー氏が、SiteCatalyst、Test&Target、Discover、SearchCenter、Recommendationsなどの各製品の次バージョンについて紹介した。
製品それぞれについて機能を強化したり拡張したりしていくことはもちろんだが、
SiteCatalystやDiscover、Insightで設定したセグメントをTest&Targetで利用することで、特定セグメントに対するクリエイティブテストを簡易に実施できるようにする。
Adobe Survey(サイト内アンケートツール)で得た回答者のうち指定したセグメントデータからDiscoverを起動することで、アンケートの回答結果とサイト上での行動を結びつけた形で把握できるようにする。
といったように、とりわけデータのセグメントという軸で製品間の連携がより一層進化を遂げていくようだ。
日本ではSiteCatalyst単体での利用もまだまだ見られるが、米国ではDiscover(上位分析ツール)、Test&Target(サイトコンテンツの自動テスト&最適化ツール)、SearchCenter(リスティング広告の自動入札・最適化ツール)や、Genesisを利用した他ベンダー製品とのデータ連携が当たり前のように行われている。
筆者の感覚では、国内でも、Omnitureテクノロジー利用者のニーズは計測そのものからクリエイティブのテストによるコンバージョン向上に少しずつ移っている印象がある。そのため、Test&TargetやRecommendationsなどに今後さらに関心が高まり、事例も増えてくるのではないかと思われる。
サミットのセッションで紹介された内容は必ずしもすぐに日々の業務に活用できるハウツーものではないが、こちらでの取り組みを肌で感じられるだけでなく、日本からの参加者との交流の機会にもなる。マーケティング最適化に興味がある方は、来年開催のサミットへの参加を検討してみてはいかがだろうか。
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