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ここ最近、世の中一般的に話題に上がっているというだけでなくソーシャルメディアの浸透を強く身近に感じています。というのも、最近では携帯やPCのメールを使わずFacebookで前職の皆とやり取りをすることが当たり前のように行われておりますし、センスの良い友人が「いいね!」を押したショップの情報が気になり自分も「いいね!」を押しブランドを知るキッカケとなったり、ニュースサイトよりもまずは信頼できる仕事の仲間がつぶやくニュースをチェックする・・なんてことがごく当たり前になりつつあります。
今後益々浸透するであろうソーシャルメディアは、この先企業にとって一体どこまでその存在を凌駕していくことになるのでしょうか。本コラムでは、ソーシャルメディアを通じて先進的なマーケティング活動を取り組んでいる企業事例やサービスについて、いくつかご紹介していきたいと思います。
1. ソーシャルメディアによって、よりリアルな顧客の声をマーケティングに反映
≪ゲータレード社のソーシャルモニタリングルーム≫
米国スポーツドリンク最大手のゲータレード社(現在はペプシコ傘下)では、シカゴ本社のマーケティング本部に『Social Media Mission Control Center(ゲータレード・ミッション・コントロール・センター)』というものが構えられています。ゲータレード社と言えばアメリカのマーケティング領域において、世界的に著名なアスリートを採用し大々的に宣伝を行うことで常に注目の的である企業。そのゲータレード社が設けたこの施設では、6つのスクリーンに映し出されたソーシャルメディア分析情報を介し顧客の声をリアルタイムで吸い上げ、マーケティング活動に即座に反映していくということを行っています。
■Twitterのつぶやきを可視化したデータ
ゲータレードの商品や会社、また競合に対するつぶやきや関連するアスリートやスポーツ栄養食品・飲料などに関することをモニタリングしています。
■ブロゴスフィア内の会話のモニタリング
各種注目のトピックスや話題になっているネタなどをモニタリングしたり、商品やキャンペーン展開時の前後の評判分析などを行っています。
ゲータレード社のコンシューマー&ショッパーエンゲージメント/シニアマーケティングディレクターのカーラハッサンが一つ例を公開しています。
"David Bannerというラッパーアーティストを起用したコマーシャルが放映された直後にソーシャルメディア上にて彼に関する話題が集中したのを受け、ゲータレード社のFacebook上のファンやTwitterのフォロワー達にそのアーティストの曲がフルバージョンで聞けるというバナーを告知しファンを惹きつけるなどする。また、そういった反響一つ一つを通じてファンが訪れるWebサイトなどへ改善を加えていく。それらの一連の取り組みにより商品に対するエンゲージメント率を250%増加させ、またWebサイトの離脱率を25%から9%にまで低減させることに成功したそうだ。"
これらが、本質的にブランドのエンゲージメント醸成やはたまた売上拡大までに、どこまで貢献しているかは定かではないですが、このように顧客に耳を傾け即座にマーケティング活動へ反映させるといった動きをゲータレード社は既に2年近く前から構想して実行している事になります。
その他、米国Dell社の事例は皆さまも昨年末によく目にされていたのではないでしょうか。Dellは現在Facebookでファン数が約73万人(2011年9月現在)、Twitterでも数十のアカウントを運営しフォロワー合計で数百万人もいると言われています。そこで繰り広げられている消費者のDellへの関心事について解析・対応する為のセンターとして『Social Media Listening Command Center』というものを昨年立ち上げています。
このセンターでは、FacebookのAPIやTwitter、何十億ものブログサイトや、ビデオ共有サイトを元にデイリーで2万2000あるソーシャルメディアへの投稿をトラッキングしソーシャルメディア上の投稿数や、その内容、投稿している人の数、投稿者のフォロアーの数、そして感情分析などを掌握しているようです。そこで集められた各種データは会話やトレンド、地理そしてや言語などに分類してセグメント化されるなどし、CRMや広告の効果測定の検証に活用していくそうです。
次は、ソーシャルメディアを上手く活用し、販促強化を狙った事例の紹介です。
2. Facebookのコネクトを活用し、購買機会の増加を狙う?
楽天に『Myコネクト』という機能があります。Facebookのコネクト機能と連携したコンテンツ(機能)ですが、これが結構便利です。主な機能としては
- 誕生日が近い友達が一覧で表示
- その友達が登録している好きな映画、本、音楽などの情報が表示
- その友達と同年代の人の購買ランキングへの遷移
- ランダムに、自分の友達が関心を示している映画、本、音楽などが表示
- Facebookの各アクション(いいね!やコメントなど)の表示
- 自分と同年代の人の購買ランキングの表示
となっています。提供されているサービスとしてはシンプルなのですがFacebookと連携した事により購買キッカケをよりユーザーへ提供しやすくなったはずです。好きなものや友達の関心事の精度が更に強化されていくと、サプライズプレゼントのお届けなど、ユーザーの利用ニーズも向上していくのではないでしょうか。現状は楽天でのアクションはFacebookへは反映されない仕組みになっていますが、ネットのプチギフトの要領で相手先の住所などが不明でもFacebookで繋がっておりギフト受領承認がFacebookの中で完結出来るようになれば、より利用者が増えていくことと思われます。
ちなみに、楽天以外のFacebookコネクトを利用した事例は国内ですと以下があります。
などが手掛けています。米国ではAmazonも楽天と同じサービスを提供しています。Intelでは『The Museum of Me』というプロモーションコンテンツでFacebookコネクトを活用していますね。
最後は、最近注目を集めているシェアサービスについてです。
3. ソーシャルメディアの台頭が後押しするWebのシェアサービス
最近日本でも広がりを見せているシェアサービス。元来、オフィスの間借りや経営でいうシェアードサービスなど、特定の場所や保有する資産をシェアして効率化を図るといった事は実在していました。ただ、特にインターネットの場合ソーシャルメディアの台頭により消費者同士でも物事をシェアし合うということがますます容易となり、Web特有の利便性を活かした新形態のシェアサービスが近年では続々と登場してきています。先にも述べた通り、物をシェアするという考え方はリアルビジネスでもカーシェアリングやブランドレンタルサービスなどが当てはまると思いますが、これらの多くは企業が保有する商品やサービスを複数の顧客がシェアするといった形態が多いはずです。それに対し、Webサービスの場合ソーシャルメディアの浸透が後押しし、個人と個人のモノの共有が容易になる、ということが最大の特徴ではないでしょうか。それにより、これまでには成しえなかった新形態のシェアビジネスがインターネットの世界では登場する形となりました。
以下にいくつか国内のシェアサービスをご紹介します。
■みんなのカーシェアリング『カフォレ』
クルマを"借りたい人"と"貸したい人"が出会うカーシェアリングサイトです。いわゆるレンタカー会社さんなどが展開するカーシェアリングと異なり、あくまで個人間でのカーシェアリングです。借り手としては、一般のレンタカーよりも安価に車をレンタル出来き、貸し手としては自分が使わない時間だけ車を貸してあげることによりお金まで稼げてしまうという何とも利害が一致した美味しいサービスです。
■日本初のアパレルシェアサービス『4次元クローゼット』
Web上に存在するみんなで使えるクローゼット、というテーマでファッション業界として初のシェアサービス。
会員同士がクローゼットに眠っているようなお気に入りアイテムを持ちこみ合い、ファッションを気軽に楽しむ事が出来る。利用する為には、自分もアイテムを登録する事が必須のようですが月額料などは無料、あとは送料とクリーニング代を支払うだけでOKという利用者にとっても優しいサービスです。このサービスは起業チャレンジ2010というビジネスコンテストで最優秀賞も受賞しているようです。
このようなWebのシェアサービスは、企業にとって新たなビジネスチャンスをもたらします。というのも、これまでは車であればそれらを商品(サービス)として保有する既存の事業者が新たな形でWebサービスを展開する・・という流れが主流だった訳ですが、これまでカービジネスに関わらない、しかも数人規模の中小企業であってもこのようなカーシェアリングサービスを事業として展開していくことが可能になる訳です。
ちなみに、今年の始め頃、AirbnbというWebを通して部屋を貸したい人と、宿泊したい旅行者を結びつけるサービスの利用者が、前年比800%増となった、と話題になっておりました。Airbnbに関してはFacebookコネクトも活用されています。国内のシェアサービスもFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアとの連携は今後増えていくでしょうから、より広がりを見せると思われます。
以上、いくつかの視点でソーシャルをキーに変貌しつつある企業のマーケティング活動やビジネス形態についてご紹介させていただきました。いずれも今後のWebビジネスにおいて、ソーシャルメディアは必ず無視できない存在となっていきます。現在では、『ソーシャルメディアの活用』というと、ソーシャルメディアによる集客強化やFacebookの構築といったところに主眼がおかれがちですが、少し広い視野で見つめてみると、自社のマーケティング強化や新たなビジネス展開のヒントが転がっているのではないでしょうか。
■本コラムの元記事はこちら
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