STYZ担当者不在・知識不足の壁を突破。AIの力でアクセシビリティの社会実装を加速

株式会社STYZ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:田中辰也)が運営するインクルーシブデザインスタジオ「CULUMU(クルム)」は、特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)が2026年6月6日(土)に開催した「2026年度春季HCD学会研究発表会」において、生成AIを活用したアクセシビリティ評価ツール「AXY(アクシー)」(※1)の設計および実証実験の成果について発表しました。
※1「AXY」は、多様な状況にある人が、必要な情報へアクセスしやすい条件と環境を整えられる社会の実現を目指し、専門知識を持たない開発者やデザイナーでも、Webアクセシビリティの評価から具体的な改善提案の確認までをシームレスに行える環境を提供します。詳細は当社プレスリリース(2026年4月15日発表)をご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000331.000022873.html
■実証実験の成果:評価時間を約95%削減(約1/20に短縮)本研究では、「AXY」の有効性を検証するため、実務経験を有するアクセシビリティ専門家による手動評価との比較実験を行いました。実験では、特定のテストページを対象に、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)2.2の適合レベル「A」および「AA」の計55項目を指標として評価を実施しました。
その結果、専門家が評価およびレポート作成に107分を要したのに対し、「AXY」による自動評価はわずか5分で完了し、評価にかかる時間を約1/20(約95%削減)へと劇的に短縮できることが実証されました。さらに、完全自動で評価した16項目において、専門家との正誤判定の一致率は87.5%という高い精度を記録しました。特に「適合(問題なし)」と判定した項目における専門家との一致率は100%であり、高い信頼性を示しています。
また、出力されるレポートの質においても極めて実用的な成果が得られました。専門家によるレポートでは具体的なコードを提示した修正案が限定的なものにとどまったのに対し、「AXY」が生成したレポートでは、検出されたすべての不適合項目に対して具体的な修正コード例や専門知識のない担当者でも理解できる平易な解説が自動生成されており、実務における改善のリードタイムを大幅に短縮できる有用性が確認されました。
このように今回の実証実験により、「AXY」が採用している、ページの見た目や文脈を読み取るAIと、コード診断を行う既存の自動評価ツールを組み合わせるアプローチは、柔軟性と厳密さを両立した高精度なハイブリッド診断を実現できることが実証されました。
■「AXY」開発背景:アクセシビリティ対応を阻む構造的な壁近年、ウェブサービスの普及に伴い、誰もが利用可能なアクセシブルな設計が求められています。特に2024年の障害者差別解消法改正により、民間企業においても合理的配慮の提供が義務化され、環境整備の一環としてウェブアクセシビリティ対応の必要性が高まっています。
しかし、実務現場におけるアクセシビリティ対応には大きな構造的課題が存在しています。従来の「axe-core」などを活用した自動評価ツールは、構文解析やコントラスト比の検証には優れているものの、プログラムではコンテンツの意味を読み取れないため、文脈に依存する評価には限界があります。一方で、専門家による目視や手動での評価は、文脈も含めた網羅的な検証が可能ではあるものの、コストが高く、多大な時間を要するというジレンマを抱えています。
さらに、組織内のリソース不足も深刻であり、企業が対応を見送る理由として「人材や知識の不足」や「担当者の不在」などが挙げられているのが現状です。その結果、多くの実装者が国際標準であるWCAGの達成基準の意図を十分に理解できないまま対応を迫られ、開発の後半に評価が先送りされることで、形式的な対処にとどまるという課題が生じています。こうした専門性の壁をテクノロジーで解消し、非専門家でも日常的な確認を始めやすくし、必要に応じて専門家・当事者検証につなげやすくするために開発したのが、統合評価型プロセスシステムである「AXY」です。
■今後の展望今回の実証実験で得られた知見をもとに、「AXY」の評価モデルをアクセシビリティ領域にとどまらず、より広範なデザイン評価領域へと拡張していく予定です。情報の伝わりやすさを評価する「情報の理解容易性(可読性)」や、ターゲット層に応じた「専門用語の妥当性」、さらにはロゴや指定色の遵守を確認する「ブランド整合性評価」など、これまで評価者の主観に頼らざるを得なかった感性的な指標を客観的なデータとして扱える基盤の確立を目指します。
また、長期的には、定型的な評価や一次スクリーニングを「AXY」が高速に処理することで生み出されるリソースを、実際の障害当事者が直接評価プロセスに関与する「当事者との共創モデル」の深化へと投資していく体制を構築します。専門家が単なる規約準拠の判定者から、当事者視点に立った設計改善やアクセシビリティの社会的な普及活動を牽引する存在へとシフトできるよう支援し、多様な状況にある人が、必要な情報へアクセスしやすい条件と環境を整えられる社会の実現に貢献してまいります。
■発表論文情報
■本件に関するご相談・ツールの利用について- AXYの導入、ご利用について
AXY専用ページ内の「資料請求・お問い合わせ」よりご相談ください。
https://axy.culumu.com/- アクセシビリティ・インクルーシブデザインに関するご相談
AXYの評価結果をもとにした具体的なサイト改善や、多様なユーザーと共創するインクルーシブデザインの導入、社内体制の構築など、本格的な取り組みに関するご相談は以下よりお問い合わせください。
https://culumu.com/contact■関連セミナーのご案内
セミナー概要アクセシビリティ対応の必要性は理解されつつある一方で、「どの部署から巻き込むべきか」「まず何を確認すればよいのか」「経営や開発現場にどう伝えればよいのか」で足が止まる企業は少なくありません。
本ウェビナーでは、大企業の担当者がアクセシビリティ対応を社内で前に進めるための最初の一歩を、ユーザー起点設計やヒューマンセンタードデザインの視点から整理します。法令対応やチェックリストだけに閉じず、実際の利用者の困りごとをどう捉え、社内の関係者と共有し、改善のプロセスにつなげていくのか。アクセシビリティを「特別な対応」ではなく、より多くの人に届けるサービスづくりの入口として考えます。
このような方におすすめ- 大企業でWebサイト、アプリ、サービス、製品のアクセシビリティ対応を担当している方
- アクセシビリティの必要性は感じているものの、社内での進め方に悩んでいる方
- 法務、広報、マーケティング、開発、デザインなど複数部門を巻き込む必要がある方
- チェックリスト対応だけでなく、ユーザー起点で改善を進めたい方
- インクルーシブデザインや当事者リサーチを、アクセシビリティ推進に活かしたい方
開催概要
■インクルーシブデザインスタジオ CULUMU について
インクルーシブデザインスタジオCULUMUは、高齢者や障害者(※)、外国人など、多様な当事者と共創し、事業開発を支援する専門家集団です。最大の特徴は、5,000以上の非営利団体とのネットワークを活かした独自の調査パネルです。これまでリーチが困難だった人々とのマッチングや定性調査を可能にし、その仕組みは「当事者と近い距離で開発を支援する」と高く評価され、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
大手企業からスタートアップまで100件以上の取引実績があり、NPOや研究機関などのパートナーと共に、社会課題解決やDE&Iを推進するプロジェクトを多数手掛けています。
※『当事者ではなく社会の側に整備されていない部分や理解が不足している面があり、そのために不利・不便な状態や不自由にあるのが「障害」である』という社会モデルの考え方から、この文章では「障害者」という記述で統一しています。
■株式会社 STYZ 概要当事者発想で問いを発見し、人・市場・制度・テクノロジーをつなぐことで新しい価値を社会に実装することを目指しています。
ドネーションプラットフォーム事業(Syncable):非営利セクターへの新たな資金流入を促進。
インクルーシブデザイン事業(CULUMU):企業課題と社会課題を同時に解決。
テクノロジー事業(STYZ Tech):次世代技術による人間中心の体験創造。
R&D事業(当事者発想ラボ):社会課題から企業の事業成長の源泉を発掘し、社会実装。
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