フォースタートアップス、東京大学空間情報科学研究センターとSTARTUP DBを活用した共同研究発表
フォースタートアップス株式会社
成長産業支援事業を推進するフォースタートアップス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:志水 雄一郎 以下、フォースタートアップス )と国立大学法人東京大学(東京都文京区、総長:藤井輝夫)空間情報科学研究センター(柴崎研究室)による共同研究論文「起業家コミュニティはスタートアップを成長させるのか?」及び「起業家出身大学・出身企業との近接性がスタートアップの成長に及ぼす影響」の2本の論文が公開されましたので、お知らせいたします。
フォースタートアップスと東京大学空間情報科学研究センターの共同研究プロジェクト「スタートアップ・エコシステムの構造分析」は、2019年9月から開始され、約2年半の間に査読論文3本、学会発表3件の成果を達成できました。この研究のテーマは、「ヒト・バショ・カネの観点からスタートアップ・エコシステムの構造を解き明かす」というものでした。研究の成果として、以下のことが明らかになりました。
【ヒト:起業家リサイクリングの効果が日本でも現れ始めている】
2000年代に創業して成功を収めた起業家が投資家となって、現世代の起業家に投資を行う起業家リサイクリングという現象が日本でもみられ始め、それがスタートアップの成長に対して一定の効果を上げていることが明らかになった。しかし、その効果はまだ小さなものに止まっている。
【バショ:リソースとの距離が6Km以内だと成長効果が上げやすい】
起業家は、リソースに乏しく、出身大学・出身企業などからリソース(人材、技術・知識、顧客、ビジネスノウハウなど)を動員することによって成長できる。そして、起業家の出身母体(リソース源:大学、企業)との距離は、近い方がリソースを動員し易いと考えられている。実証分析の結果、東京においてはこの距離が6Km以内だとスタートアップが成長し易いということが明らかになった。
【カネ:海外VC等の投資がまだまだ小さい】
課題として見えてきたのが、事業会社による投資は行われているもののほとんどは非製造業(商社、情報通信、広告会社など)で、資金力の豊富な大手製造業による投資はあまり行われていないということが明らかになった。また、欧米・中国・インドなどは、米系の大手VCファンドがローカル拠点を設置して積極投資を行っているものの、日本では海外VCの投資は増えているものの依然として規模が小さいことが課題としてあげられる。
■現在のエコシステムにおける課題と今後の研究テーマ
日本のスタートアップ・エコシステムは、以前と比べると確実に改善し、成長しておりグローバルのスタートアップエコシステムランキングでも東京は、2020年の30位以内から2021年には9位(*)まで改善した。しかし、世界との比較では、GDPの規模に対するユニコーン創出数は少なく、ベンチャーキャピタルの投資規模自体も依然として小規模に止まっている。日本を個別に見ると改善しているが、グローバルな競争では他の先進国・新興国の成長スピードが速く、相対比較では劣後してしまっている。特にユニコーン創出は、スタートアップ・エコシステム強化の上では極めて重要な要素になる。これは、起業家及びその従業員が得るキャピタルゲインの規模によって、次世代に再投資される資金の規模とノウハウの質に制限がかかってしまうからである。小規模な成功の場合、再投資される額も小さく、スケールアップノウハウの伝承レベルの質も必ずしも高いものとはならない。するとエコシステムは、いつまでたっても成長できなくなる。エコシステムが成長しないと都市の競争力も低下してしまうという問題が発生する。そのため、ユニコーンの育成は、エコシステムにとっても都市政策上も非常に重要になってくる。そして、日本においてユニコーン育成にとって最も重要とされているのが、スケールアップ・ファイナンス(スケールアップギャップとも言う)とVC産業の成長・規模拡大の問題である。これは、レイターステージでの投資資金不足の事で、この部分の解決がユニコーン創出の鍵になる。そこで、本研究プロジェクトでは、この問題に対処すべく、「スケールアップファイナンスの課題と解決策のグローバル分析」、「グローバル比較によるベンチャーキャピタル産業成長要因分析」などを次の研究テーマとして、実証分析を進めていく予定である。
*Startup Genome と Global Entrepreneurship Network (GEN)が調査する「Global Startup Ecosystem Report」2021年版
https://startupgenome.com/report/gser2021
<査読付き論文:3本>
2022年4月「起業家出身大学・出身企業との近接性がスタートアップの成長に及ぼす影響」。都市計画論文集, 57(1), p228-239
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/57/1/57_228/_article/-char/ja
2022年3月「起業家コミュニティはスタートアップを成長させるのか?」、組織科学, 55(3), p49-61
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/55/3/55_20220415-2/_article/-char/ja/
2020年10月「東京 23 区におけるスタートアップ・エコシステム集積の研究 2 変量ローカルモラン統計量を用いた共集積の分析」. 都市計画論文集, 55(3), p1055-1062.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/55/3/55_1055/_article/-char/ja/
<学会発表:3件>
2021年11月「起業家出身大学コミュニティがスタートアップの成長に及ぼす効果: 起業家支援組織、起業家間コミュニティの影響」. 経営情報学会 全国研究発表大会要旨集, p305-308
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390572343743580928
2021年10月「投資家とスタートアップの地理的距離は、成長に影響するか?」地理情報システム学会
https://www.csis.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2022/01/174.pdf
2020年6月「 2 モードグラフによるスタートアップ・エコシステムの資金調達構造分析.」 人工知能学会全国大会論文集 第 34 回 (2020) (pp. 2H4GS1301-2H4GS1301). 一般社団法人 人工知能学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2020/0/JSAI2020_2H4GS1301/_article/-char/ja/
『STARTUP DB(スタートアップデータベース)』について
国内最大級の成長産業領域に特化した情報プラットフォームです。企業データベースは、13,000社以上の日本のベンチャー・スタートアップ企業の情報を保有するとともに、起業家・投資家、エコシステムビルダーの方々累計150名以上のインタビューコンテンツをリリースしています。2019年6月24日より、英語版リリース。また、世界最大級のベンチャー企業データベース「Crunchbase」とデータ連携し、日本企業の情報を海外のプロフェッショナルに届けることで、国内の成長産業領域市場の発展に貢献しています。
URL : https://startup-db.com/
フォースタートアップス株式会社 概要
社名:フォースタートアップス株式会社
代表者:代表取締役社長 志水 雄一郎
設立:2016年9月1日
所在地:東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー36F
https://forstartups.com/
フォースタートアップスは、「(共に)進化の中心へ 」というミッションを掲げ、「for Startups」というビジョンのもと、インターネット/IoTセクターをはじめ、ディープテック等リアルビジネス領域も含めた起業支援と転職支援を中核とした成長産業支援事業を推進。国内有力ベンチャーキャピタルと連携したスタートアップ・ベンチャー企業への戦略的資金支援や、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」の運用、及び、大企業とのビジネス共創モデルによる産業エコシステム強化にも取り組む。
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成長産業支援事業を推進するフォースタートアップス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:志水 雄一郎 以下、フォースタートアップス )と国立大学法人東京大学(東京都文京区、総長:藤井輝夫)空間情報科学研究センター(柴崎研究室)による共同研究論文「起業家コミュニティはスタートアップを成長させるのか?」及び「起業家出身大学・出身企業との近接性がスタートアップの成長に及ぼす影響」の2本の論文が公開されましたので、お知らせいたします。
フォースタートアップスと東京大学空間情報科学研究センターの共同研究プロジェクト「スタートアップ・エコシステムの構造分析」は、2019年9月から開始され、約2年半の間に査読論文3本、学会発表3件の成果を達成できました。この研究のテーマは、「ヒト・バショ・カネの観点からスタートアップ・エコシステムの構造を解き明かす」というものでした。研究の成果として、以下のことが明らかになりました。
【ヒト:起業家リサイクリングの効果が日本でも現れ始めている】
2000年代に創業して成功を収めた起業家が投資家となって、現世代の起業家に投資を行う起業家リサイクリングという現象が日本でもみられ始め、それがスタートアップの成長に対して一定の効果を上げていることが明らかになった。しかし、その効果はまだ小さなものに止まっている。
【バショ:リソースとの距離が6Km以内だと成長効果が上げやすい】
起業家は、リソースに乏しく、出身大学・出身企業などからリソース(人材、技術・知識、顧客、ビジネスノウハウなど)を動員することによって成長できる。そして、起業家の出身母体(リソース源:大学、企業)との距離は、近い方がリソースを動員し易いと考えられている。実証分析の結果、東京においてはこの距離が6Km以内だとスタートアップが成長し易いということが明らかになった。
【カネ:海外VC等の投資がまだまだ小さい】
課題として見えてきたのが、事業会社による投資は行われているもののほとんどは非製造業(商社、情報通信、広告会社など)で、資金力の豊富な大手製造業による投資はあまり行われていないということが明らかになった。また、欧米・中国・インドなどは、米系の大手VCファンドがローカル拠点を設置して積極投資を行っているものの、日本では海外VCの投資は増えているものの依然として規模が小さいことが課題としてあげられる。
■現在のエコシステムにおける課題と今後の研究テーマ
日本のスタートアップ・エコシステムは、以前と比べると確実に改善し、成長しておりグローバルのスタートアップエコシステムランキングでも東京は、2020年の30位以内から2021年には9位(*)まで改善した。しかし、世界との比較では、GDPの規模に対するユニコーン創出数は少なく、ベンチャーキャピタルの投資規模自体も依然として小規模に止まっている。日本を個別に見ると改善しているが、グローバルな競争では他の先進国・新興国の成長スピードが速く、相対比較では劣後してしまっている。特にユニコーン創出は、スタートアップ・エコシステム強化の上では極めて重要な要素になる。これは、起業家及びその従業員が得るキャピタルゲインの規模によって、次世代に再投資される資金の規模とノウハウの質に制限がかかってしまうからである。小規模な成功の場合、再投資される額も小さく、スケールアップノウハウの伝承レベルの質も必ずしも高いものとはならない。するとエコシステムは、いつまでたっても成長できなくなる。エコシステムが成長しないと都市の競争力も低下してしまうという問題が発生する。そのため、ユニコーンの育成は、エコシステムにとっても都市政策上も非常に重要になってくる。そして、日本においてユニコーン育成にとって最も重要とされているのが、スケールアップ・ファイナンス(スケールアップギャップとも言う)とVC産業の成長・規模拡大の問題である。これは、レイターステージでの投資資金不足の事で、この部分の解決がユニコーン創出の鍵になる。そこで、本研究プロジェクトでは、この問題に対処すべく、「スケールアップファイナンスの課題と解決策のグローバル分析」、「グローバル比較によるベンチャーキャピタル産業成長要因分析」などを次の研究テーマとして、実証分析を進めていく予定である。
*Startup Genome と Global Entrepreneurship Network (GEN)が調査する「Global Startup Ecosystem Report」2021年版
https://startupgenome.com/report/gser2021
<査読付き論文:3本>
2022年4月「起業家出身大学・出身企業との近接性がスタートアップの成長に及ぼす影響」。都市計画論文集, 57(1), p228-239
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/57/1/57_228/_article/-char/ja
2022年3月「起業家コミュニティはスタートアップを成長させるのか?」、組織科学, 55(3), p49-61
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/55/3/55_20220415-2/_article/-char/ja/
2020年10月「東京 23 区におけるスタートアップ・エコシステム集積の研究 2 変量ローカルモラン統計量を用いた共集積の分析」. 都市計画論文集, 55(3), p1055-1062.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/55/3/55_1055/_article/-char/ja/
<学会発表:3件>
2021年11月「起業家出身大学コミュニティがスタートアップの成長に及ぼす効果: 起業家支援組織、起業家間コミュニティの影響」. 経営情報学会 全国研究発表大会要旨集, p305-308
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390572343743580928
2021年10月「投資家とスタートアップの地理的距離は、成長に影響するか?」地理情報システム学会
https://www.csis.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2022/01/174.pdf
2020年6月「 2 モードグラフによるスタートアップ・エコシステムの資金調達構造分析.」 人工知能学会全国大会論文集 第 34 回 (2020) (pp. 2H4GS1301-2H4GS1301). 一般社団法人 人工知能学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2020/0/JSAI2020_2H4GS1301/_article/-char/ja/
『STARTUP DB(スタートアップデータベース)』について
国内最大級の成長産業領域に特化した情報プラットフォームです。企業データベースは、13,000社以上の日本のベンチャー・スタートアップ企業の情報を保有するとともに、起業家・投資家、エコシステムビルダーの方々累計150名以上のインタビューコンテンツをリリースしています。2019年6月24日より、英語版リリース。また、世界最大級のベンチャー企業データベース「Crunchbase」とデータ連携し、日本企業の情報を海外のプロフェッショナルに届けることで、国内の成長産業領域市場の発展に貢献しています。
URL : https://startup-db.com/
フォースタートアップス株式会社 概要
社名:フォースタートアップス株式会社
代表者:代表取締役社長 志水 雄一郎
設立:2016年9月1日
所在地:東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー36F
https://forstartups.com/
フォースタートアップスは、「(共に)進化の中心へ 」というミッションを掲げ、「for Startups」というビジョンのもと、インターネット/IoTセクターをはじめ、ディープテック等リアルビジネス領域も含めた起業支援と転職支援を中核とした成長産業支援事業を推進。国内有力ベンチャーキャピタルと連携したスタートアップ・ベンチャー企業への戦略的資金支援や、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」の運用、及び、大企業とのビジネス共創モデルによる産業エコシステム強化にも取り組む。
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