開発途上国のインフラ投資、GDP比3~5%でも資金不足――投資障壁を克服する3つの要素を提示【A.T. カーニー】

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KEARNEY
案件パイプライン、リスク配分、専用ファンドの整備が民間資本の呼び水に

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考「新興市場におけるインフラ投資障壁の克服」(英題:Overcoming barriers to infrastructure investment in developing markets)を発表しました。
本論考では、開発途上国はインフラ投資へGDP比3~5%を配分する場合が多く、高所得国の一般的な1~3%を上回る一方、絶対額では資金需要を満たすにはなお不十分だと指摘しています。高い財政負担、低い投資家需要、限られた制度能力により、多くの案件がフィージビリティ段階を越えられず、金融クローズや実装に至る案件はさらに少ないとしています。こうした投資障壁を克服するため、本論考は、戦略に整合した強固な案件パイプラインの構築、政府支援メカニズムと有効なリスク配分、専用インフラ・ファンドを通じた金融環境の高度化という3つの構成要素を提示しています。


開発途上国ではしばしばGDP比3~5%、高所得国の1~3%を上回る
開発途上国は財政制約に直面しながらも、しばしばGDP比3~5%をインフラ投資へ配分しています。これは高所得国の一般的な1~3%より高い比率ですが、絶対額では道路、浄水場、送電網などの需要を満たすには不十分な場合があります。比率の高さは、インフラ・ギャップ解消の緊急性と必要投資規模を反映しています。
民間投資家や機関投資家を呼び込むには、個別案件を孤立して構想するのではなく、国家・セクター戦略に整合した長期パイプラインとして提示することが重要です。政府には、プレFS、詳細評価、銀行融資可能な案件組成、透明な調達準備、契約管理までを一貫して進める案件形成力が求められます。



8つの評価項目と9つの支援手段で銀行融資可能性を高める
案件形成の初期段階では、戦略的重要性、ニーズ、技術的実現可能性、財務的妥当性、ESG、リスク、法的・規制上の明確性、ステークホルダー整合という8項目を確認し、弱い提案を早期にふるい落とす必要があります。
さらに本論考は、VGF、ソブリン保証、価格エスカレーション、金利保護、為替リスク保護、アベイラビリティ・ペイメント、収益保証、税優遇・免除、オフテイク契約という9つの政府支援手段を例示しています。これらは案件の投資魅力を高め得る一方、財政・政策コストを伴うため、費用便益分析と慎重な設計が前提です。リスクを民間へ全面移転することも、政府がすべての下方リスクを負うことも適切ではありません。発生可能性と影響緩和能力を踏まえ、最も有効に管理・価格付けできる主体へ配分することが、公的財政規律を守りながら投資家信認を築く鍵となります。





専用ファンド設計の4要素、民間資本動員を後押し
案件が十分に準備され、支援メカニズムで支えられていても、市場が長期資金を供給できなければ資金調達は実現しません。本論考は、複数案件・複数セクターへの投資をプールする専用インフラ金融機関またはファンドを設け、リスク分散と金融市場発展を促すことを提案しています。
設計上の主要要素は、投資仮説、資本源泉とストラクチャリング、資本配備戦略、法的構造とガバナンスの4つです。政府拠出をファーストロスまたは劣後資本とする方法や、劣後・譲許的債務、ブレンデッド・ファイナンス、部分信用保証、共同投資などを、市場のギャップと投資家ニーズに応じて組み合わせます。ファンドはプレFSや投資評価などの初期活動も支援し、銀行融資可能な案件パイプラインの強化にも資します。





- 論考について
論考名:「新興市場におけるインフラ投資障壁の克服」(英題:Overcoming barriers to infrastructure investment in developing markets)
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/overcoming-barriers-to-infrastructure-investment-in-developing-markets


- 監修者
笹俣 弘志 シニア パートナー
A.T. カーニー シニアパートナー、エネルギー・素材プラクティス東京リーダー京都大学工学部原子核工学科卒業、コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。規制改革や脱炭素化が進む電力・都市ガス、通信系・石油系などの新電力、電力・都市ガス事業に関連するメーカー・金融・官公庁などに対し、シナリオプランニングを含む事業環境分析、成長戦略、海外事業戦略、買収・提携支援を実施。再エネ・蓄電池・VPP 事業などに明るい。内閣府 エネルギー・環境会議 コスト等検証委員会委員(2011 年)、同・需給検証委員会委員(2012 年)、京都大学特任教授(2014 ~ 2016 年度)を歴任。


竹村 文伯 シニア パートナー
東北大学工学部卒業、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修士。松下電器産業(現パナソニック)を経てA.T.カーニーに入社。日本の大手製造業、主にエレクトロニクス、機械メーカーを中心に、経営戦略、組織、事業戦略、新規事業展開、M&A等のコンサルティングに従事。


A.T. カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。
https://www.jp.kearney.com/
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