【レポート】デジタルマーケターズサミット2020 Summer

MAは何を基準に選ぶべき? 重要なのは「MAで何を実現したいのか」

顧客の購買行動がWeb中心となり、重要性が高まっているMA。では何を基準に選ぶべきなのか? ユーザーの導入事例とともに解説する。
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MA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)は、コロナ禍のデジタルマーケティングにおいて特に注目度の高いツールの1つ。Webでリード(見込み顧客)を発見し、最適なタイミングで適切な情報提供を行いながら育成を行う手法は、多くのマーケターに浸透してきている。

そして何よりテレワークの台頭により、営業担当者が顧客のもとへ訪問しづらくなっている。そんな時代にMAはどんな効果を発揮するのか? MAツール「SATORI」を活用する企業の担当者が、「デジタルマーケターズサミット 2020 Summer」で実態を解説した。

登壇者は、ユーザー企業側として経理業務代行サービスを提供するメリービズの鄒氏と、メンタルヘルステック事業などを手がけるラフールの眞木氏。司会はSATORIの中曽根氏が務めた。

SATORI
左からSATORI株式会社 マーケティング営業部 カスタマーサクセスグループ グループ長 中曽根有樹氏/メリービズ株式会社 セールスアソシエイト 鄒(つぉう)久美子氏/株式会社ラフール マーケティンググループ マネージャー 眞木麻美氏

高まる「Web中心の購買行動」をMAでフォロー

一般的にMAとは「Marketing Automation/マーケティングオートメーション」の略。MAツールは、メールアドレスなど何らかの個人情報を取得している「実名顧客」に対し、顧客のフェーズに合わせた最適なコミュニケーションを行うことで、段階的に「見込み顧客」への育成を図る仕組みである。具体的な機能としては、その育成段階に応じたメールの出し分け、Webサイト閲覧状況に基づいた「スコアリング」などによる購入意欲分析などが挙げられる。

MAの概略
MA(Marketing Automation)の概略

SATORIの中曽根氏は、MAツールが注目を集める背景として、顧客の購買行動が非対面化してきたことを指摘する。

企業の担当者が何か課題を解決したいと考えたとき、まずはWeb上で自ら検索をする。購入するサービス・製品の比較もインターネットの情報を元に自身で行うため、情報収集の段階で営業担当者に直接会う機会は減っている。よって、非対面でのマーケティング活動の重要性はますます高まっている状況である(中曽根氏)

SATORI株式会社 中曽根有樹氏
SATORI株式会社 マーケティング営業部 カスタマーサクセスグループ グループ長 中曽根有樹氏

加えて、2020年上半期は新型コロナ問題が社会を席巻した。大手企業を中心に在宅勤務・テレワークが加速したため、営業担当が商談のために取引先を訪問したくても不可能となったり、オフィスに電話をかけても担当者が出社しておらずコンタクトが取れなかったりする事態が一般化してしまった。つまり、さらにオンラインシフトは加速し、Web上で顧客へのアプローチができるMAの重要性が、いっそう高まっていると言えるだろう。

導入例1
「初心者でも使いこなせるMAツール」を第一条件として導入

今回のセッションでは、MAツール「SATORI」を活用し新規顧客の獲得や既存顧客の育成に取り組んでいる担当者2名に、その実運用を聞いた。

「初めてMAを導入する」という立場から「SATORI」に向き合っているのは、メリービズの鄒氏。同社は「バーチャル経理アシスタント」という経理業務代行サービスを提供しており、仕訳入力の代行、月次決算など各種経理業務を幅広く受託している。

メリービズ株式会社の鄒(つぉう)氏
メリービズ株式会社 セールスアソシエイト 鄒(つぉう)久美子氏

鄒氏自身はリード獲得・育成のためのセミナー運営や「SATORI」を活用したリード育成領域を担当。顧客にあたる経理業務のアウトソーシングを検討中の企業に対して、どのようなアプローチを行うかが重要になる。新型コロナ問題が社会を席巻した2020年上半期は、オンラインセミナーの開催に力を入れたという。

新型コロナ問題は企業のテレワーク導入を推し進めたが、経理部門に限ってはやや事情が異なる。請求書・稟議書などの紙文化が根強いため、企業全体ではテレワークを推進しつつも、経理担当者だけは出社せざるを得ないケースが多く、メリービズにも多くの相談が寄せられた。

実際にサービスを利用しているユーザーからの評判は良く、口コミをきっかけに新規顧客からの問い合わせを受けるケースが少なくなかった。しかし営業部門の人員が限られ、問い合わせが来た新規顧客への対応が中心になってしまったことで、『ぜひ導入したいが予算時期の関係で今は契約できない』といった失注顧客に対しては、初回商談後に再アプローチできていない課題があった(鄒氏)

こうした課題を解決するため、メリービズでは社として初めてMAツールを導入することとなった。数あるMAツールの中からの選定にあたって、社内に精通した人物がいなかったため、「初心者でも使いこなせるMAツール」を第一条件とし、検討を重ねた。結果、最終的に「SATORI」を導入し、効率的なマーケティング活動の仕組み作りを始めた。

メリービズの「SATORI」活用フロー
メリービズの「SATORI」活用フロー

わかりやすいインターフェイスが魅力
MA導入3か月、メルマガリンクのCTRが1.5倍、資料DLは8倍

「SATORI」はメルマガ施策で大きな効果を発揮した。導入当初の3月は、メール開封率が高い一方で、文中リンクのクリック率、関連資料のダウンロード率は低かった。しかしSATORIのサポートも受けながら改善を進めた結果、3か月後にはリンクのクリック率が当初の1.5倍、資料ダウンロード率に至っては8倍を達成したという。

鄒氏は「SATORI」の魅力として「直感的な操作性」を挙げる。どんなに高機能なツールであっても使いこなせなければ意味がない。その点、「SATORI」は操作性に優れ、施策に必要な機能をすぐに見つけられる。リード獲得・育成を目的としたオンラインセミナーを、企画と開催だけでなく、MAを活用した開催後フォローの仕組みづくりまでわずか3週間で設計できた裏には、「SATORI」の操作性があってこそだと鄒氏は振り返った。

導入例2
リードの情報蓄積・検索性に優れた「SATORI」に乗り換え

一方、「もともとMAを導入していたが乗り換えた」と話すのは、メンタルヘルステック事業などを手がけるラフール。同社からは眞木氏が登壇し、「SATORI」へ移行した経緯を語った。

株式会社ラフールの 眞木麻美氏
株式会社ラフール マーケティンググループ マネージャー 眞木麻美氏

ラフールの主力サービスは、組織分析ツール「ラフールサーベイ」。従業員の業務に対する意欲の状況やメンタルの状態を、アンケート調査結果から可視化するためのツールとなっており、おもに企業の人事部門に対して採用・導入を促すべく、マーケティング施策を実施している。

ラフールサーベイは従業員の健康福祉の観点からも意義あるサービスだが、日常業務に必要不可欠なサービスではないのもまた事実。よって、経営層・人事部門に導入意義を深く理解してもらうための啓蒙が欠かせず、MAのような顧客育成を行うツールは大変重要なのだ。

眞木氏は、他のMAツールから「SATORI」に移行した理由をズバリ「Web施策の強化にあたり、分析をするためのデータが従来のツールでは不足していたから」だと明かした。

以前のMAツールでは、リード1人1人に関する情報の蓄積が足りなかった。例えば、顧客との最終接触日時を調べようとした場合、以前のMAツールでは必要なデータが取得できなかったことが課題だった。そこで、この課題を解消し、分析可能なデータを増やし、新たなマーケティング施策を実現するために「SATORI」を選んだ(眞木氏)

ラフールの「SATORI」活用フロー
ラフールの「SATORI」活用フロー

効果的なデータ分析によりアポの獲得率は最大4倍へと向上

「SATORI」の導入後、アポの獲得率は4倍へと大幅に向上した。眞木氏はその理由について、効果的なデータ分析が可能になったことにより、顧客へ架電する際の優先順位付けの精度が向上したことなどを挙げた。

例えば「SATORI」のセグメント機能とシナリオ機能を使えば、ある特定のURLがクリックされた際に通知を出すこともできる。他にも、お客様のWebサイト閲覧状況から『ホットリード』(購買意欲が高い顧客)を絞り込んで、タイミングを見計らって電話するなど、さまざまな施策を組み合わせられるようになった(眞木氏)

これからMAを導入したいという企業に対して、眞木氏は「解決したいことを事前に洗い出し、MA導入の目的を明確にしておくことが重要」だと説く。MAは確かに多機能だが、フルに使いこなすにはユーザーの心構えも必要になってくる。また、Web上の顧客行動をトレースするだけでなく、未活用のまま社内で眠っている名刺などの顧客情報もしっかりと“棚卸し”し、活用すべきだという。

目的意識を持った運用、必要な機能の見極めがMA選定の必須要件

鄒氏・眞木氏の説明を受けて、中曽根氏は「お二人の話は、何を目的にMAツールを導入して、どんな成果を出したいかを事前に明確化されている点が共通している」と発言。MAツールを単に導入して終わるのではなく、目的意識を持って運用すること、そのためにはどんな機能が必要かを見極めることが、選定の必須要件だとした。

最後に「MAツール導入でなんでもできると思われがちだが、あくまでツールに過ぎない。そのため導入後も活用し軌道に乗せることが重要だ」とし、選定にあたってのポイントを挙げ、セッションを締めくくった。

  • MAツール導入の目的を明確にする
  • MAツール導入前の課題がMAツールで解決できるのかを確認する
  • 運用する人にとって使いやすいツールであるかを考慮する
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