【台湾情報】工作機械産業22年は好調維持の見通し、EV向け次のブルーオーシャンか<ワイズ機械業界ジャーナル2022年5月第2週号発行>

リリース情報提供元: プレスリリース・ニュースリリース配信サービスのPR TIMES
2022年05月12日(木)
威志企管顧問股イ分有限公司(ワイズコンサルティンググループ)
~台湾機械業界の最新動向を分析する~

ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年5月第2週号を発行しました。今週号では、自動車業界、エネルギー業界、協働ロボット世界2位の達明機器人(テックマン・ロボット)、工作機械業界の動向について紹介します。


<最新号目次>


台湾自動車・バイク産業の概況と2022年の展望
再エネ・ネットゼロ商機を狙う台湾メーカー
協働ロボット世界2位、達明機器人(テックマン・ロボット)
工作機械産業 22年は好調維持の見通し、EV向け次のブルーオーシャンか



<工作機械産業 22年は好調維持の見通し EV向け次のブルーオーシャンか>
 新型コロナウイルスの感染拡大は徐々に収束しつつあり、各国とも経済活動を再開し始めており、米国、欧州、中国市場の機械設備調達需要は増加した。また、港湾需供ひっ迫を受けてメーカーの納期が長引いたため、川下顧客からの発注規模が上昇した。このため、2021年の台湾工作機械産業の生産額、販売額、輸出額はいずれも成長傾向を示し、とくに輸出額は20%以上の大幅成長となった。
 22年の産業景気については、川下メーカーからの需要は高水準を維持しているものの、原材料価格、輸送価格の高騰継続や港湾需供ひっ迫の継続でメーカーの納期に影響しており、違約金の発生を懸念する状態だ。そのため一部工作機械メーカーは新規受注を停止している。多くの研究機関は今年の工作機械産業景気について、生産額、販売額、輸出額いずれも成長傾向を維持するものの、成長幅は緩やかになると予測している。

自動車市場の景気回復で工作機械需要が上昇 EV用工作機械の割合増加
 工作機械産業最大の顧客である自動車産業の販売台数は2021年、前年比11.5%増の8,670万台だった。22年の販売台数は同5%増の9,000万台と予想されている。自動車市場の世界上位5カ国▽中国▽米国▽日本▽インド▽ドイツでは需要が回復したことから、21年の工作機械産業の市場規模は同7.0%増の727億6,000万米ドルだった。
 22年も工作機械産業は好景気を維持する見込みで、とくに米国では経済振興策の実施で投資意欲が高まっている。また、欧州市場でもワクチン接種率の上昇に伴い、市場需要が回復している。さらに、サプライチェーン再編の動きを受けて、工作機械需要も増加が見込まれる。このように、需要増加傾向が継続しており、22年の工作機械産業の世界市場規模は同10.8%増の806億2,000万米ドルを予測だ。
 温室効果ガス削減、カーボン・ニュートラルの流れに伴い、電気自動車(EV)の販売割合は急拡大し、世界の自動車販売割合で2021年は11.5%を占めた。22年には14.3%まで成長する予測だ。EVは構造上、エンジンとギアボックスがないため、関連部品・設備メーカーからの工作機械調達需要は減少する見通しだ。すでに一部の台湾メーカーはEVのバッテリーケース、モーターケース、ギアなどの伝動部品向け工作機械の研究開発、販売ルート開拓に力を入れ始めている。


22年工作機械産業の生産額


前年比15%の成長予測
2022年は、世界経済は回復傾向を維持する見込みで、国際通貨基金(IMF)を含む研究機関は主要国家の経済について21年と同様の成長傾向を維持できると予測している。工作機械の末端市場の需要増加が工作機械産業全体を押し上げる見通しだ。22年1月のデータを見ると、台湾工作機械産業の対欧州、対米、対東南アジア市場の輸出額は成長傾向を維持しており、22年通年でも成長傾向を維持できる見通しだ。
 しかし一方で、新型コロナウイルスの変異株、ロシアのウクライナ侵攻、インフレの長期化、港湾需供ひっ迫、中国経済の成長鈍化、輸出受注減少などの原因から、工業技術研究院(工研院、ITRI)産業科技国際策略発展所(産科国際所、IEK)は、22年の台湾工作機械の市場規模は1,496億台湾元、前年比15%増と予測した。とくに欧米市場と新南向政策の対象国(タイ、ベトナム、インドなど)からの需要は好調を維持する見通しだ。なお、景気循環の法則から見ると、22年の台湾工作機械産業の生産額の成長幅は増加傾向を維持できるものの、成長幅はゆるやかになる予測だ。(つづく)
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