台湾発電・送電・配電機械製造業の振り返り及び今後の展望＜ワイズ機械業界ジャーナル2021年３月第２週号発行＞

威志企管顧問股ｲ分有限公司（ワイズコンサルティンググループ）
～台湾機械業界の動向が分かる～

ワイズコンサルティング グループ（本社：中華民国台北市、代表取締役：吉本康志）は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の３月第２週号を発行しました。今週号では、発電・送電・配電機械業界、工作機械業界、工作機械メーカーのＹＬＭ、鉱業・建設機械業界について紹介します。



＜210311号内容＞




●今週号の記事を一部紹介します。
＜台湾発電・送電・配電機械製造業の振り返り及び今後の展望＞（本文から一部抜粋）
一、産業概況
　新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に拡大した影響で、川下産業である機械設備産業と石油化学産業の景気低迷が続いたことから、2020年１～10月の電動機の生産額は前年同期比10.12％減、販売額は同14.69％減となった。また、19年は台湾電力（台電、ＴＰＣ）の入札案件があり、比較水準の昨年数値が高かったことから、20年１～10月の電力変圧器の生産額は同2.44％減、販売額は同0.64％増でほぼ横ばいとなった。
　一方、住宅建築工事と再生エネルギー設備の出荷が順調であったことから、高圧・低圧配電盤及びブレーカーの生産額は成長傾向を示した。総合すると、2020年１～10月の台湾発電・送電・配電機械製造業の生産額は454億9,800万台湾元で前年同期比1.54％増とわずかに成長した。しかし、原材料の価格低迷を受けて製品価格を値上げできなかったことから、販売額は434億8,100万台湾元にとどまり、同2.01％減の小幅減少となった。
　2020年第４四半期は、住宅建築工事と製造業の工場新設工事が増加し、台湾当産業の販売成長に追い風となった。また、再生エネルギー設備の出荷が順調に続いたことに加えて、20年末から原材料価格も回復したため、台湾当産業メーカーは製品価格を引き上げる余裕ができた。
　このため、20年第４四半期の台湾当産業の生産額と販売額はいずれも前年同期比で小幅成長となった。なお、20年通年の生産額は前年比10％以下の成長率を維持し、販売額は横ばいとなる見通しだ。


二、産業動向
　電気自動車（ＥＶ）市場の急成長に伴い、動力システムである電動機の需要は大きく成長している。大手自動車メーカーは自社の生産ラインを確保し、電機メーカーに対する電動機製品の発注も増加した。
　台湾の電機メーカー、台達電子工業（デルタ・エレクトロニクス、台達電）と東元電機（ＴＥＣＯ）はモーター、伝動システム（減速機及びギアボックスを含む）、電力管理システムを統合したＥＶ用動力システムをリリースした。また、富田電機（フクタエレクトリック＆マシナリー）は独自のＥＶ用動力システムを研究開発し、豊洲工場（台中市神岡区）と銅鑼一期工場（苗粟県銅鑼郷）でモーターの多品種少量生産を行い、2021年９月より銅鑼二期工場で量産開始する予定である。

三、今後の展望
　行政院が通過させた2021年度総予算案のうち、インフラ建設の予算額は20年を下回った。しかし、ＴＰＣの▽大潭火力発電所（桃園市観音区）▽台中火力発電所（台中市）▽興達火力発電所（高雄市）で、ガス発電設備の設置がピークを迎えるため、ＴＰＣからの発注は台湾当産業メーカーの売上高成長を支えるとみられる。
　また、ＴＰＣは電力契約者の節電効率を向上させるため、2024年までに150億台湾元を投資して300万世帯の低圧電力契約者にスマートメーターの設置工事を実施する予定だ。20年末までに約100万世帯の設置工事を完成しており、後続工事による需要によって台湾当産業メーカーの出荷は成長するとみられる。
　洋上風力発電については、すでに複数の海外メーカーが台湾に洋上風力発電機部品の生産拠点を設置している。例えば、シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー（ＳＧＲＥ）が台中港に建設したナセル組立工場が2021年から稼働予定で、年間生産能力は100基を想定している。また、ＫＫウィンドソリューションズが台湾に設置した生産ラインも20年第４四半期から電源変換モジュール（ＰＣＭ）を出荷開始しており、台湾当産業の風力発電機製品の販売額成長への追い風となるだろう。
　総合すると、新型コロナウイルス感染症の世界経済に対する影響が続く中、市場競争の激化が台湾当産業の電動機とＰＬＣ製品の輸出に悪影響を及ぼすとみられる。しかし、再生エネルギー電力設備の商機拡大に加えて、台商（海外で事業展開する台湾系企業）及び半導体メーカーによる工場新設と生産ライン稼働から派生した重電製品需要があるため、2021年上半期の台湾当産業の生産額と販売額はいずれも前年同期比で成長傾向を示すと予測される。

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