「サブスクリプション大賞」受賞サイトに学ぶ、ユーザーに支持される+時代のニーズを捉えたサービスの特徴とは?
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会が発表した「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」(最も躍進を遂げたサブスクリプションサービスを表彰するアワード)でグランプリを獲得したのは、AIと英会話ができるAI英会話アプリ「AI英会話スピークバディ」(運営はスピークバディ)。英会話練習の際に「AIが相手のため、話せなくても恥ずかしくない」という観点のマーケティング、法人向け・個人向けの双方に伸びしろがあるといった点を評価した。
「日本サブスクリプションビジネス大賞」は、サブスクリプション型ビジネスを運営している事業者がエントリーし、サブスクリプション振興会および有識者が審査を行う公募型の大賞。サブスクリプション型のサービスを振興するとともに、新たなサブスクリプションサービス創出のきっかけ作りのため2019年に創設され、2024年で5年目を迎えた。
■各受賞サービス
- グランプリ・・・・・・…AI英会話スピークバディ(スピークバディ)
- シルバー賞・・・・・・the kindest(MiL)
- ブロンズ賞・・・・・・akareco(ジギョナリーカンパニー)
- 特別賞・・・・・・ZenPop(ZenGroup)、はたけビュッフェ(ノーティスト)、AIロボットのサブスク(AZ日本AIロボット)、MedicalTalk Global(iMedical)
- 日本ネット経済新聞賞・・・・・・Cha Cha Cha(自立の)
- サブスク振興会特別賞・・・・・・ニコノリ(MIC)
グランプリ
AIと英会話の練習ができる「AI英会話スピークバディ」
https://app.speakbuddy.me/
「第二言語習得理論」などの科学的理論と最新の生成AI、音声認識技術など最先端テクノロジーをかけ合わせ、実践的な英会話を効果的・効率的に習得できるAI英会話アプリ。AIがユーザーの英語力に合わせたカリキュラムを自動で作成。苦手な発音、詰まりがちなか所、忘れそうな学習内容などをすべてAIが分析し、特別なトレーニングも提供する。
1日の学習時間は10~15分と継続しやすい時間を設定。ゲーム感覚で取り組めるトレーニングや継続メダルなど、毎日継続したくなる仕組みにすることで、ユーザーが挫折してしまうことを防止しているという。
開発から10年目になるサービスだが、この9年間さまざまな苦労があった。9年前、まだAIは“うさんくさいもの”と思われていたので、投資家から「必要ない」と言われることもあった。また、AppleやGoogleがようやく雑誌以外のサブスクリプションアプリを認定した年でもあり、サービスリリース前は審査で承認してもらえるのかドキドキしながら開発したことを覚えている。
サービス開始当初はユーザーもサブスクに慣れていなかった。また、運営も4人ほどだったため、サポートページに自分の電話番号を載せて自ら電話対応した。「加入した覚えがないのに課金された」「解約方法がわからない」といった声に1つひとつに真摯に向き合ってきたからこそ、今もサービスを続けることができている。
サブスクビジネスは決して楽ではない。「自然とユーザーが積み上がっていくのではないか」「登録しただけで利用していないユーザーからもお金をもらえるのだろう」と投資家から言われることもあるが、ユーザーはそんなに甘くない。契約更新最終日やその前日にアクティブになる人が増えるし、更新のタイミングも把握していて、非常にシビアに見ている。そういったなかでユーザーの皆さんに選ばれて続けてようやく約成り立つビジネスだと思う。
今後もたくさんの人たちに喜んでもらえるクリーンなサブスクビジネスを提供していきたい。(スピークバディ)
グランプリ選出の理由について、町野健氏(日本サブスクリプションビジネス振興会 会長)は次のようにコメントした。
私も過去何十年、英語の勉強をオフライン・オンラインで勉強してきたが、やはり「話せないことが恥ずかしい」という気持ちがある。選定理由1つ目として、スピークバディのサイトに書いてあるように「恥ずかしくないことから始める」ことをマーケティングしているのが素晴らしいポイント。非常に強力なフックになり、使い始めると2回目、3回目以降の障壁が下がるようになることが素晴らしい。英会話は効果をうたいがちだが、「AI英会話スピークバディ」は効果もありつつ、先述の点がユーザー数の大幅な伸びにつながっていると思う。
2つ目は、使い始めた後に効果を出すための因数分解が素晴らしい。AIと会話することで会話の抑揚などを分析し可視化される面白さもあるし、苦手な点などを細かく分析したうえで学べるので効果を実感できる。法人向け・個人向け共に伸びしろがあるということもあり選定した。(町野氏)
シルバー賞
離乳食・幼児食サブスクサービス「the kindest(カインデスト)」
https://the-kindest.com/
子どもの月齢だけでなく、1人ひとりの好み、アレルギーなどに合わせて商品を届ける、離乳食・幼児食のサブスクリプションサービス。商品は小児科医・管理栄養士が監修し、専属シェフと共同開発している。
私たちが提供しているベビーフードは、50年以上前からマスに届く単価の100円、200円という商品。当然ながら粗利が低く、競争が激化していくなかでコストコンシャスになっていく業界だ。そんななかで、お父さん・お母さんたちと直接つながり、長く付き合うビジネスモデルによって、「食べる」ことに関するさまざまな価値をサービスを通じて提供できた。それがサービス躍進の根底にあると思っている。
「美味しい」「安全」以上の価値をユーザーに届けられたことで、結果的に高いプライシングを許容してもらえるようになった。高いプライシングであることでより投資ができる、質の良いサービスを提供できる――こんな、デフレによるマイナスのスパイラルではなく、良いスパイラルを作り続けてこられた。
「食べる」ことを中心とした多面的な価値を、現代社会のご両親、これから子育てをするご家族に届けることで、子どもたちを応援し続けるブランド・会社としてまい進していきたい。(MiL)
ブロンズ賞
デジタル資産・継承サービス「akareco(アカレコ)」
https://www.akarecord.com/
SNSアカウント、銀行口座や証券口座などの金融口座、仮想通貨などの情報をデジタルで登録・管理し、契約者が亡くなった際に、事前に登録した継承者に必要な情報を提供するサービス。相続手続きやサブスクサービスの解約などの悩み・課題解決につなげる。
アナログで「エンディングノート」と言った形で残すものはあるが、すべて紙で残し続けることが難しいというデメリットがある。また、書いたものを保管している際、自分が知らないタイミングで人に見られることを嫌がる人もいる。「akareco」は、デジタルアカウントの情報を登録することで、契約者が亡くなった際に継承者として登録した家族が情報を確認できる。
「相続で資産を適切な配分できない」「サブスクなどのサービスを利用している人が亡くなった場合に引き落としが継続されてしまう」「家族から事業者に解約手続き届けが送られてきても、その届けの真偽が判断できない」という課題も出てくると思う。
「akareco」の登録情報を活用することで、サブスクサービスなどを提供する事業者に届けが本当かどうかという情報提供ができれば、速やかに企業側で退会処理が行える。ユーザー、事業者双方にとっても解約、情報の照会ミスを防げるのではないだろうか。今後、事業者との連携も取り組んでいければと思っている。(ジギョナリーカンパニー)
特別賞
海外向けサブスクリプションボックスサービス「ZenPop」
https://zenpop.jp/
「Japanese」「Limited」「Inspiring」というコンセプトのもと、1年プランで月額約25ドル、月に1度、オリジナルの箱に9種類の製品を詰め合わせて届けるサービス。
農場から好きな野菜を好きな分だけ収穫できるサービス「はたけビュッフェ」
https://hatakebuffet.com/
月定額4400円(税込)から、利用者が農場から好きな野菜を好きな分だけ収穫できるサービス。年間約100種類以上の野菜が栽培された農場へ利用者が出向き、収穫できる。
さまざまなロボットのサブスクサービス「AIロボットのサブスク」
https://az-ai-robot.com/
家庭用ロボット、医療・介護ロボット、産業ロボットなど、さまざまなロボットを定額で利用できるサービス。少子高齢化、労働力不足といった日本社会が直面する課題を解決し、持続可能なサービスの提供をめざしているという。
医療通訳支援ソリューション「MedicalTalk Global(メディカルトークグローバル)」
https://imedical.jp/ja/consultation-service
言葉や言語の壁を乗り越え、「いつでも」「どこでも」「誰でも」「安心・安全」に医療サービスを受けられることを目的とした多言語医療コミュニケーション支援アプリ。母国語でフォームに沿って基本情報、病歴、症状などを入力し個人カルテを作成しておくことで、受診時にローカライズされた情報が医療機関に公有される。
日本ネット経済新聞賞
知育玩具のサブスクサービス「Cha Cha Cha」
https://chachacha-toy.com/
保育士などの資格を持つスタッフが子どもの成長に合わせたおもちゃをプランニングし、2か月に1回届ける定額制サービス。対象年齢は0~6歳まで、月額3910円(税込)から利用できる。基本プランの他に、障がい児に特化したプランもある。
受賞について、運営会社の「自立の」は「改めてお客さま、関係者の皆さま、今も現場で働いているスタッフたちへの感謝の気持ちで溢れている。定期サービスを運営しているので、こういった賞も定期的に狙っていきたいと思っているので、今後より一層努力していきたい」と話す。
「Cha Cha Cha」の受賞理由は、「知育玩具のサブスクサービスということで、未就学児を含め子どもたちの健やかな発達を促すと共に、事業を通じて障がい者雇用を生み出している点を高く評価した。ユニークだと思うのが、初月1円プランという珍しいプランを実現している点。業界でも見かけないプランで、新規顧客獲得につながっている点も選出の理由だ」(日本流通経済新聞社)
サブスク振興会特別賞
定額制カーリースサービス「ニコノリ」
https://www.niconori.jp/
全国47都道府県で展開している定額制のカーリースサービス。頭金0円で、車検、自動車税、メンテナンス費用なども込みで月額5500円(税込)から利用でき、リース契約満了後は名義変更を行うことで、自分の車として乗り続けることも可能。
受賞についてMICは次のようにコメントした。
「ニコノリ」は「お客さまに素敵なカーライフを過ごしてほしい」という思いから生まれ、2015年にスタートしたサービス。新車で購入する際、わからないことや手間などがあると思うが、それらの手続きなどを「ニコノリ」のカーアドバイザーがすべて実施している。これからも皆さまに素敵なカーライフを送っていただけるよう「ニコノリ」のスタッフが全力でサポートしていくので、ぜひサービスを利用してもらえたらと思う。(MIC)
「ネットショップ担当者フォーラム」掲載のオリジナル記事はこちら「サブスクリプション大賞」受賞サイトに学ぶ、ユーザーに支持される+時代のニーズを捉えたサービスの特徴とは?(2024/12/09)
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