バーチャレクス・コンサルティング株式会社
~バーチャレクスが毎年実施する「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」2025年版の第三弾結果公開~
バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:丸山勇人、以下、バーチャレクス)はこの度、
「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」 を実施し、前回の
第一弾 、
第二弾 に引き続き2025年版第三弾の結果を取りまとめました。
■今回の分析テーマ
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タッチモデル構築とサブスクがもたらすカスタマーサクセス効果 -
タッチモデルの構築がもたらす業績向上効果 -
ツールの活用状況とタッチモデル有無による効果の差
【調査対象】自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる839人
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タッチモデル構築とサブスクがもたらすカスタマーサクセス効果
今回の分析では、自社で
カスタマーサクセスに取り組んでいる839人 を対象に、
「タッチモデル」 が企業の業況にどのような影響を与えるかを分析しました。タッチモデルとは、
顧客ごとの状況やニーズに合わせて接点(タッチポイント)を最適化 し、
適切なフォローアップやコミュニケーションを行う 手法です。顧客のライフサイクルや契約内容に基づき、「ハイタッチ」や「ロータッチ」などのアプローチを使い分けることで、長期的な関係構築と解約防止・アップセルを狙います。
まず、カスタマーサクセスの効果を感じている
「効果実感層」 (n=494)と、効果を感じていない/どちらとも言えない
「効果未実感層」 (n=345)のそれぞれに、
タッチモデルを構築しているかどうか を尋ねました。
効果実感層 では、約半数の
48.8% (昨年比+4.5ポイント)が
「タッチモデルを構築している」 と回答し、
未構築・検討中 と答えた割合は比較的
低い 結果となっています。一方、
効果未実感層 で
「構築している」 と答えた人は
9.6% にとどまり、タッチモデルが未構築・不明瞭な企業が多い状況がうかがえます。つまり、
タッチモデルを明確に定義 し、
顧客ごとの接点を最適化している 企業ほど
カスタマーサクセスの効果を実感しやすい 一方、モデルが未構築・検討段階、あるいは把握していない企業では、施策の成果が感じにくい傾向にあると考えられます。
図1:[2025年] タッチモデルを構築していますか
次に、
タッチモデルの有無 (あり/なし)を大分類とし、
サブスク商材の有無・不明 を掛け合わせて、
カスタマーサクセス効果を感じているかどうか を比較しました。その結果、
タッチモデルあり グループ(n=274)の多くが
サブスク商材 を扱っており、そのうち
82.8% が
「カスタマーサクセスの効果を感じている」 と回答しています。サブスク商材では顧客との継続契約が前提となるため、タッチモデルを活用し、顧客の利用ステージに応じたフォローアップを行いやすいことが要因の一つと推察されます。
一方、
タッチモデルなし (n=222)かつ
サブスク商材あり の企業では、
「カスタマーサクセス効果あり」 が
35.6% にとどまり、タッチモデルあり企業の約半分以下となりました。同じサブスクモデルでも、顧客との接点が属人的・断続的になりがちです。その結果、カスタマーサクセス施策が十分に機能せず、効果を感じられないケースが多いと考えられます。
図2:[2025年] サブスク商材構成とカスタマーサクセス効果体感分布(タッチモデル有無別)
タッチモデルの構築がもたらす業績向上効果
ここからは
タッチモデル が
業績 にどう影響しているかを見ていきます。まずは
直近一年間の新規顧客数 の変化です。
タッチモデルを構築 している企業では、
80.3% が
「新規顧客数が増えた」 と回答し、
15.0% が
「変わらない」 、
4.7% が
「減少した」 となっています。これに対して、
タッチモデルを構築していない企業 では、
57.9% が
「増加」 と答えており、タッチモデルあり企業と比べると約22ポイント低い結果となっています。このことから、タッチモデルの構築が顧客接点の体系化を促し、
新規顧客獲得 に
大きく寄与 していることが示唆されます。
図3:[2025年] 直近一年間の新規顧客数変化(タッチモデル有無別
新規売上 の変化においても、
タッチモデルあり 企業では
78.1% が
「増加した」 と回答しており、これは顧客の利用状況や契約ステージに応じたフォローアップが、追加契約やアップセルを促進しているためと考えられます。一方、
タッチモデルなし 企業では、
約半数 が
「増加した」 と答えるものの、タッチモデルあり企業と比べると約24ポイント低い結果で、さらに
「変わらない」 割合が
38.7% 、
「減少した」 割合が
7.2% と、売上成長の実感が十分に得られていない状況です。
図4:[2025年] 直近一年間の新規売上変化(タッチモデル有無別)
次に、
カスタマーサクセス取り組み前後 での
指標の変化 を見ていきます。カスタマーサクセス取り組み前後の
アップセル率 の変化を「タッチモデルあり/なし」で比較すると、
タッチモデルを構築している 企業では
65.0% が
「アップセル率が上がった」 と回答しているのに対し、
タッチモデルなし企業 では
34.9% にとどまりました。
「変わらない」 の割合は
タッチモデルあり 企業で
25.5% 、
なし 企業で
46.3% となっており、タッチモデルあり企業の方がアップセルに大きく成功しているといえます。これは、顧客の利用状況や契約ステージに合わせて適切な提案を行いやすくなるためと推察され、顧客ごとのフォローアップが属人的に行われがちな企業との差を生み出していると考えられます。
図5:[2025年] カスタマーサクセス取り組み前後アップセル率変化(タッチモデル有無別)
顧客満足度や推奨度を測る
NPS(ネット・プロモーター・スコア) においても、
タッチモデルあり 企業では
62.8% が
「向上した」 と回答しました。一方、
タッチモデルなし 企業では
31.8% にとどまり、
「変わらない」「低下した」 の割合が
相対的に高い 点が特徴的です。これは、顧客の声を継続的に拾い、満足度向上につなげるためにタッチモデルが有効であることが推察されます。実際にタッチモデルを構築している企業は、顧客の声をいち早くキャッチし、ネガティブな反応が出る前にフォローアップを行う仕組みを回せるため、結果として顧客推奨度の向上につながっているのでしょう。
図6:[2025年] カスタマーサクセス取り組み前後NPS変化(タッチモデル有無別)
継続率 の変化を見ても、
タッチモデルあり 企業は
65.7% が
「増えた」 と回答し、
なし 企業の
41.8% を大きく上回っています。「変わらない」や「減った」の割合も、タッチモデルなし企業の方が高いことから、
顧客ロイヤルティ向上 や
解約防止の観点 でも
タッチモデルが効果を発揮 していることが明らかです。顧客との長期的な関係構築が重視されるカスタマーサクセス施策において、タッチモデルを構築することで、解約リスクの高い顧客への早期アラートや、追加契約・再購入のタイミングを逃さず提案できると考えられます。
図7:[2025年] カスタマーサクセス取り組み前後継続率変化(タッチモデル有無別)
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その他の<カスタマーサクセス認知・理解状況>データおよび分析は以下よりご覧いただけます
・ [2025年]直近一年間の継続売上変化(タッチモデル有無別)
・ [2025年]カスタマーサクセス取り組み前後クロスセル率変化(タッチモデル有無別)
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ツールの活用状況とタッチモデル有無による効果の差
最後に、
カスタマーサクセスにおいて利用される各種ツール が、
タッチモデルの有無 によって
どの程度効果を発揮しているか を比較します。下記の2つのグラフは、それぞれタッチモデルあり企業とタッチモデルなし企業を母数として、各ツールを利用している企業のうち「カスタマーサクセス効果を感じている」割合と「効果を感じていない/どちらとも言えない」割合を示したものです。
タッチモデル構築層 では、
「顧客情報管理ツール」 の
使用率 が最も
高く 、
効果を感じている人 も
49.3% と半数近くとなっており、顧客データの一元管理が顧客とのフォローアップに直結していると考えられます。さらに、
効果を感じていない 割合が
4.7% と低く、タッチモデルとの組み合わせによりデータを実際のアクションにつなげやすい点がうかがえます。
続く
「オンボーディング管理ツール」 は
27.4% が
効果を実感 し、新規顧客が製品・サービスを使いこなすまでの導入プロセスをスムーズに行う重要性が示唆されます。
さらに、
「ヘルススコア管理」 は
20.1% が
効果を感じて おり、解約リスクや利用状況を早期に把握することで、ネガティブな反応が出る前に適切なフォローを行える可能性が高いと言えます。
NPS計測(12.4%) や
ヘルプページ/FAQ(15.3%) も、顧客満足度向上や自己解決率の改善に寄与しているようです。タッチモデルにより顧客のフィードバックをいち早く把握し、適切な情報提供やサポート体制を整えることで、顧客ロイヤルティ向上につながっていると考えられます。
タッチモデルあり企業 では総じて
「顧客情報管理」 や
「オンボーディング管理ツール」「ヘルススコア管理」 といった顧客の利用状況や健康度を可視化し、プロアクティブな対応を可能にするツールが特に高い効果を得ています。これは、タッチモデルを通じて顧客接点を体系化することで、蓄積されたデータを実際のフォローアップに落とし込みやすいからと推察されます。
今後も活用が広がりそうな
「AIによる顧客対応支援ツール」(11.3%) 、
「AIによるデータ分析・予測ツール」(10.2%) 、
「AIによる自動化ツール」(9.9%) についてはいずれも
1割前後 の
効果実感 を得ています。これは、タッチモデルあり企業がAIを活用して顧客データの分析・自動化を行い、プロアクティブな対応や効率化を進めていることを示唆します。今後、AIとタッチモデルの連携がさらに進めば、アップセル/クロスセルや解約防止の精度が一層高まる可能性があります。
図8:[2025年] カスタマーサクセスツール利用と効果実感(タッチモデルあり、n=274)
一方、
タッチモデルなし企業 でも
顧客情報管理ツール 利用率が最多でありつつも、
効果を感じている 割合は
24.4% と、タッチモデルあり企業に比べると半分程度にとどまり、蓄積されたデータを実際の顧客フォローに十分活かしきれていない可能性があります。
「オンボーディング管理ツール」 は
8.5% 、
「ヘルススコア管理」 は
6.3% が効果を感じていると答えていますが、いずれも一桁台でタッチモデルあり企業よりかなり低い数値です。
「AIによる顧客対応支援ツール」(4.3%) 、
「AIによるデータ分析・予測ツール」(3.4%) 、
「AIによる自動化ツール」(2.2%) など、AIを活用したソリューションの
効果実感 はタッチモデルあり企業よりさらに
低め です。
タッチモデルなし企業では、ツールを導入しているケースがあっても、効果を感じている割合がタッチモデルあり企業と比べて軒並み低く、
「特に利用していない」 層も多い点が特徴的です。ツールを活かす仕組みがないままでは、顧客データの活用やAIによる自動化が機能しづらく、カスタマーサクセス施策が属人的・断続的にとどまりがちだと推察されます。
図9:[2025年] カスタマーサクセスツール利用と効果実感(n=447、タッチモデルなし)
タッチモデルの構築がカスタマーサクセス効果に直結
今回の分析の結果から、カスタマーサクセスに取り組む企業は
、タッチモデルの「構築」(=整備) が
新規顧客獲得、新規売上、継続売上 の各指標において
顕著な効果 をもたらしていることが明らかとなりました。特に、
サブスクリプション型商材 を取り扱う企業においては、タッチモデルと連携することで、顧客との接点を最適化し、
アップセル・クロスセル、NPS、継続率の向上 に直結している点が際立っています。
各種カスタマーサクセスツール も、
タッチモデルを活用 することでより高い
効果を発揮 しており、顧客情報の一元管理やプロアクティブなフォローアップが、顧客満足度やロイヤルティ向上に大きく寄与していることが示唆されます。
一方、
タッチモデルが未構築 の企業では、ツール導入のみでは
十分な成果を得られず 、
「変わらない」 や
「低下した」 との回答が目立ち、顧客との継続的なコミュニケーションが不足していることがうかがえます。これらの結果は、今後
タッチモデルの明確な構築 と
サブスク戦略 、さらに
AIツールを活用 した
包括的なカスタマーサクセス施策の推進 が、企業の持続的成長と顧客満足度向上に不可欠な要素であることを示しています。
なお、今回の調査で得られたデータは膨大であるため、本調査の分析結果は複数回にわたって公開していきます。各回では、カスタマーサクセスの導入状況や成果、成功要因、今後の展望などをテーマごとに掘り下げ、日本企業におけるカスタマーサクセスの実態と動向を詳しく分析します。
第一弾調査結果詳細 本調査結果の詳細な分析結果全文はこちら
【調査実施概要】
「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2025年2月21日~2025年2月26日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)64,138人
【2025年版実態調査結果】
2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査第一弾
2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査第二弾
過去の調査結果はこちら 2019年~2024年の調査結果をご覧いただけます
<参考>
バーチャレクス社翻訳カスタマーサクセス担当者のためのバイブル
『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
カスタマーサクセスの法則や用語を紹介
カスタマーサクセスのいろはがわかるサイト
カスタマーサクセスで顧客接点の未来を創る by Virtualex Consulting
(すべて生成AIで制作したコンセプトムービー)
VIDEO
■ バーチャレクス・コンサルティング株式会社 について
バーチャレクス・コンサルティングは創業来「企業と顧客の接点領域」にフォーカスしたビジネスを展開しており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、"Succession with You" ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げています。現在では顧客企業のCRM領域のDX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開しています。
■ バーチャレクスグループ について
バーチャレクスグループは、各企業約1,000名以上の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。2016年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場しています。
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