サードパーティーCookie排除などの「プライバシー保護」最新動向、マーケターの6割以上が理解していない【LiveRamp調べ】

ユーザー側はユーザー側で、企業側を信用していない割に規約は読まない。

冨岡晶（Web担編集部） 2021/6/7 16:00 調査／リサーチ／統計 | 調査データ

2 4 3

LiveRamp Japanは、ユーザー行動の追跡排除やプライバシー意識への変化など、ここ最近のWeb業界動向について、広告主側とユーザー側に調査した結果を発表した。広告主のデジタルマーケター400名、ネットユーザー400名がアンケートに回答している。

ユーザー行動を追跡するような仕組みに対して、プライバシー保護の観点から、近年徐々に批判が高まっている。実際Googleは2020年初頭に、同社のブラウザ「Chrome」において、サードパーティCookieのサポートを終了する方向性を打ち出した。またAppleは、新しいプライバシー保護機能「App Tracking Transparency」をiOS 14.5より実装した。日本に限っても、改正個人情報保護法が2022年4月から施行される見込みとなっている。

マーケター側：プライバシー保護の最新動向、6割以上が理解していない

こうした背景を踏まえ、まずデジタルマーケティング担当者400人に、「ファーストパーティーデータ（自社が収集したデータ）、またはサードパーティーデータ（他社から提供されるデータ）を保有しているか」を聞くと、ファーストパーティーデータを保有していた企業は71％、サードパーティーデータを保有する企業は40％だった。

続いてファーストパーティーデータを保有していた企業285社に「それをもとに個々のユーザープロフィールを作成するソリューションシステムを導入しているか」を聞くと、「導入している」49.5％、「導入していない」41.8％、「分からない」8.8％で、ほぼ半分にわかれた。

また「デジタルマーケティング業界の最新動向として、サードパーティーCookie排除の動きや、IDFAの急激な減少につながるAppleのApp Tracking Transparencyの実装について、どの程度知っているか」と聞くと、「聞いたことはある・なんとなく把握しているが、詳細は理解していない」49.5％、「まったくわからない」14.0％となり、合計6割以上が、詳細な動向を理解していなかった。

さらに、「サードパーティーCookie排除に対し、自社でどのような対策を講じているか」と聞くと、「他社のソリューションを活用した、新しいマーケティングの仕組みを導入済み」26.8％が最多ながら、「現時点で対策は講じていない」19.8％がそれに続く。「自社で新しいマーケティングの仕組みを開発し、すでに導入済み」19.3％もあるが、1位と3位と合わせても半数に届いていない。

なお「自社が現在抱えているデジタルマーケティング活動における課題」では、「ユーザーのプライバシー保護」51.0％が最多で、以下「改正個人情報保護法の順守」48.0％、「主要ブラウザによるサードパーティーCookie排除への対応」36.5％が続いており、データ活用の最適化やCX向上より、プライバシー保護が最重要の課題となっていることがうかがえる。

ユーザー側：個人情報の取り扱いについて、企業側を信用していない割に規約は読まない

次に、ネットユーザー400人に対し、「自身のデジタル体験で、個人情報（名前、生年月日、電子メールアドレスなど）を提供したことがあるか」と聞くと、「ある」は58.5％だった。しかし実際には、電子メールをアカウントとして用いているサービスなども多く、本人が正しく認識していない可能性が高い。

そこで、個人情報を提供したことがある234人に、「個人情報を提供する際、提供先のデータ利用規約を確認するか」と聞くと、「ところどころ確認しているが、すべては確認していない」39.7％、「ほとんど確認せず、読み飛ばしている」28.2％などとなっており、規約はほぼ確認されていないことが判明した。

一方で、「企業による個人情報の取り扱いに対して、どの程度信頼しているか」という質問では、「あまり信頼していない」38.0％、「非常に信頼していない」15.0％と、過半数が信用していなかった。

この結果からは、“企業の取り扱いを信用していない割に、規約を読んでいないし、自身が提供している個人情報もあまり気に掛けていないユーザー像”が浮かび上がる。こうした心理も踏まえ、どのようなユーザー対応・対策を構築するか、企業側にとって大きな懸案事項といえるだろう。

調査概要

【調査対象】（1）主にマーケティング・広報宣伝関連・リスティング広告等を活用したデジタルマーケティング施策の設計・運用をする男女（2）週に4回以上インターネットを利用している20～59歳の男女
【調査方法】インターネットリサーチ
【調査期間】2021年3月26日～29日
【サンプル数】（1）400名／（2）400名