今さら聞けない! 「検索連動型広告」再入門~実践編
今回は、「基礎編」で紹介した検索連動広告の仕組みや特徴をふまえ、広告作成・掲載時の主なポイントを具体的に解説していく。
この記事で解説する「キーワード」「タイトル・説明文」「リンク先ページ」は、検索連動型広告の基本であり重要な部分の大半を占めるものだ。簡単に思える部分に大切な秘訣があるので、ぜひポイントをつかんでほしい。
キーワードを選定しよう
商品・サービスを適切に表現するキーワードを選ぼう!
検索連動型広告は、「検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告」のこと。実際に活用するためにはまず、広告を表示させたいキーワードを選び出す必要がある。そして検索連動型広告を用いたマーケティングを成功させるには、このキーワード選定作業が最も重要なプロセスになってくる。
キーワード探しはユーザー視点で
検索連動型広告を始めたばかりの人は、どんなキーワードで広告を表示させるのかを考えるときに、商品やサービスを表す言葉や名前、ジャンル名などを思い浮かべるだろう。その方法も悪くはないのだが、キーワードの一覧を作ったら、一度「自社の商品を見つけてほしい人は、そのキーワードで検索するだろうか」と想像してみてほしい。
検索連動型広告でのキーワード選びの基本は、検索ユーザーの立場に立つことだ。つまり、次のように考えるのだ。
この商品(サービス)は、どんなニーズをもっている人に適したものなのか
そしてそのニーズをもっている人はどんなキーワードで検索するだろうか?
「自分がこの商品を購入(サービスを利用)するとしたら、どんなキーワードで検索するか」という視点を忘れずに、自分のウェブサイトが取り扱っている商品やサービスを最も適切に表現できるキーワードを探していこう。
まずは100キーワード
検索連動型広告を有効に活用したいならば、業態や店舗の規模にもよるが、最低でも数十個~数百個のキーワードが必要になるだろう。大手のECサイトなどの場合は、数千個~数万個の単位でキーワードの選定を行っているところもあるほどだ。
数百個のキーワードというと探すのが大変そうに思われるが、心配しなくてもいい。たとえばオーバーチュアのスポンサードサーチのサービスは、キーワードをいくつか入力すると、それに関連するキーワードを自動的にピックアップしてくれるツールを備えている。Googleのアドワーズ広告にも、同様のツールがある。こうしたツールを上手に利用すれば、数十個~数百個程度の関連キーワードは、それほど手間をかけずに見つけ出せるものだ。
キーワードの「大きさ」に注意
また、キーワードは、ただ闇雲に数を増やせばいいというものではない。
検索連動型広告において、キーワードはその意味の幅や使われ方の多様性によって、「ビッグキーワード」「ミドルキーワード」「スモールキーワード」の3種類に分類される(図1を参照)。これらをバランス良く組み合わせていくことが重要だ。
キーワードの種類 | キーワード例 | キーワードの特徴 | 検索数 | 入札価格 | コンバージョン率※1 |
---|---|---|---|---|---|
ユーザーの状態 | |||||
ビッグキーワード | 「パソコン」 「自動車」 | 意味の広い単語1つ | 非常に多い | 高い | 低い |
目的が定まっていないケースが多い。購入・検討の初期段階。 | |||||
ミドルキーワード | 「パソコン モバイル」 「ワンボックスカー」 | ある程度具体的な意味の単語1つや、意味を狭める単語+ビッグキーワードの組み合わせ | ある程度多い | 普通 | 普通 |
購入を検討しているユーザーも少なくない。 | |||||
スモールキーワード | 「パソコン モバイル パナソニック」 「アストンマーチンDB1」 | 製品名や型番などの対象を特定する単語1つや、メーカー名や金額などの対象を限定するキーワード+ミドルキーワードの組み合わせ | 少ない | 低い | 高い |
具体的なキーワードで検索しており、実際に購入しようとしているケースも多い。 |
キーワードは一つひとつ入札価格(1クリックあたりの料金)が異なるが、ビッグキーワードよりも、ミドルキーワード、スモールキーワードの方が価格が低い傾向がある。できるだけ予算を抑えたい場合は、「ミドル」や「スモール」の比率を多くするなど、自分なりに工夫をして運用していこう。ただし、「ミドル」「スモール」キーワードを中心にすると、1キーワードあたりの集客数は少なくなる傾向があるので、ある程度の集客数を期待するならば、意識してキーワードを多く用意するようにしよう。
広告を作成する
「良い広告」の3つのポイントとは?
広告表示の要はタイトル・説明文
検索連動型広告で表示される広告は、図2のように、「タイトル」「説明文」「URL」の3つの要素で構成されている。
それぞれ表示できる文字数には次のような制限がある。
タイトル | 説明文 | |
---|---|---|
オーバーチュア スポンサードサーチ | 15文字 | 33文字 |
Google アドワーズ広告 | 12文字 | 34文字 |
この文字数制限の範囲内で、いかに訴求力のある広告を作成できるかも、キーワード選定と同じくらい重要だ。
クリックされやすい広告3つのポイント
では、訴求力の高い=クリックされやすい「良い広告」とは、どんな広告なのだろうか。ポイントとしては、大まかに言って次の3つが挙げられる。
商品やサービスの特徴をわかりやすく伝えているかどうか
広告は「検索ユーザーの興味」と「広告の内容」が一致したときにクリックされる。ユーザーがその“一致度”を判断しやすいように、商品やサービスの特徴を具体的にイメージできる表現にすることが大切だ。競合する他社の広告との差別化が図られているかどうか
一部のスモールキーワードを除けば、検索連動型広告では、検索結果ページに複数の広告が表示されるのが一般的だ。そして検索ユーザーは、それら複数の広告を瞬時に見比べて、自分の興味に合った広告をクリックする傾向がある。「値段の安さ」が売りならば具体的な金額でアピールする、品質の良さが特長ならば何が高品質なのかを具体的に訴求するといった具合に、競合のウェブサイトにはないポイントを、文章に盛り込むようにしよう。リンク先のウェブページの内容と広告の文章が一致しているかどうか
詳しくは後述するが、広告の内容とリンク先ページの内容が異なる場合、ユーザーはたとえ広告をクリックしたとしても、すぐに「何か違うな」と感じて、ブラウザの[戻る]ボタンをクリックして検索ページに戻ってしまうものだ。そうなるとクリックで発生した広告料金が無駄なコストになってしまうので注意してほしい。
リンク先ページを設定する
見込み客を逃さないリンク先ページとは?
検索連動型広告で設定するリンク先ページのことを「ランディングページ」と呼ぶこともある。広告をクリックして着地(ランディング)するページという意味だ。/p>
検索連動型広告を利用する目的は、単にアクセス数を増やすことだけでないはずだ。商品の購入やサービスの利用・登録といった、いわゆる「コンバージョン」を獲得すること最終的な目的のはずだ。この目的を達成するためには、見込み客に逃げられないリンク先ページを、いかに構築するかも大切になってくる。
リンク先ページの大原則は、広告のタイトル・説明文で訴求した内容が、きちんと記述されているページであること。
広告をクリックしたユーザーは、リンク先ページでまず、広告で見た商品やサービスについての情報を探そうとする。リンク先ページにそうした情報が見つからない場合、サイト内の他のページも探してくれれば目的の情報が見つかる場合でも、残念ながら大半のユーザーはそのような行動はとってくれない。「違うな」と思った瞬間に検索サイトに戻り、別の広告をクリックするか、他のキーワードで改めて検索するのが普通だ。
このため、既存のウェブページをリンク先ページとして利用するなら、広告で訴求した商品やサービスについての情報が、しっかりと書かれているページを選択するのが大原則になる。購入や登録のためのボタンが同一ページ内に設置されていれば、なお望ましい。
リンク先として適切な既存ページがない場合は、リンク先ページを一からつくってしまう手もある。その場合、商品やサービスの特徴、価格や送料など、購入を後押しする情報を漏れなくそのページ内に記載し、さらに1クリックで購入や登録手続きに移行できるようにしておこう(図3)。
ユーザーが求める情報をページ内に適切に記述し、購買や登録に必要なアクションを最小限に抑えることが、見込み客を逃さないリンク先ページの基本だ。しつこいようだが、「トップページに誘導すれば、あとはユーザーが勝手に探してくれる」という考え方は通用しないことを肝に銘じておこう。
広告の精度を高める
地域やスケジュールを指定しての広告掲載も可能!
広告の精度を高めるに、検索連動型広告のサービスが用意しているさまざまな機能を、積極的に利用しよう。精度向上に役立つ代表的な機能が、「地域ターゲティング」と「スケジュール設定」だ。
「地域ターゲティング」は、検索ユーザーが特定の都道府県や地域にいる場合にのみ広告を表示するシステムだ。この機能を利用すれば、たとえば実店舗の近隣都道府県のユーザーだけに広告を表示して来店を促したり、首都圏、中京圏、近畿圏といった大都市圏に集中して広告を表示させたりできるようになる。
「スケジュール設定」は、広告の掲載スケジュールをあらかじめ設定しておく機能だ。たとえばセールやキャンペーンの広告を、その期間が始まったら自動的に掲載を開始して、期間が終わったら自動的に終了するように設定できる。また、週末だけに広告を掲載するようにも設定できる。
検索連動型広告の使い勝手の良さは、キーワードの組み合わせ、広告の内容、リンク先ページの設定、地域、スケジュールの設定などを、いつでもフレキシブルに改善していける点にある。
検索連動型広告は、いったん広告を掲載したらおしまいというものではない。試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ広告効果を高めていくものなのだ。
そうして、安い広告費で高い効果を得られるようになるころには、あなたも検索連動型広告がいかに効率的なマーケティング手法かということが理解できるようになっているだろう。
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