「Webコンテンツはもうダメだよね」にSEOのレジェンドが反論【SEO記事11本まとめ】

いまのターゲット顧客のメディア接触行動を理解して、適切なユーザーに適切なコンテンツを
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「コンテンツが増えすぎたせいで、もうマーケ的にはWebコンテンツの価値は下がったよね」という意見を、元Mozのランド・フィッシュキン氏が明確に否定している。

ほかにも、「グーグル画像検索結果表示の変更でSEOがはかどる?」「全ページ共通のテキストで重複コンテンツ?」「ローカルSEOの成功事例」「AMP最新情報」「最新技術を使ったPWAの威力」などなど、SEOに役立つ情報をまとめてお届けする。

※来週のこのコーナーは、筆者取材のためお休みさせていただきます。次回3月10日の更新をお楽しみに。

今週のピックアップ

「Webコンテンツはもうダメだよね」にSEOのレジェンドが反論
適切なコンテンツはさらに価値あるものに (Rand Fishkin on Twitter) 海外情報

「もうWebコンテンツに価値はない」――こうした意見に対して、SEOのプロフェッショナルとしても名高いランド・フィッシュキン氏が持論をツイッターで展開した。

「コンテンツ ショック」や「コンテンツ飽和状態」のようにコンテンツの価値が下落しているとウェブマーケティングの世界で騒がれている。

コンテンツマーケティングやソーシャルメディアの隆盛で、オンラインにはコンテンツがあふれ返っている。それによって、企業がマーケティング目的でコンテンツを作ることの価値が下がっている――そういったことが方々で言われるようになった状況を受けての発言だ。

「いまだかつてないほどに多くのコンテンツが出現し、そのなかで際立つのは難しい」という意見には僕は賛同する。しかし、「コンテンツの価値が減少している」という意見には強く反対する。

世界中のより多くの人がオンラインで今までよりも多くの時間を費やし多くのコンテンツを利用している。少なくともあと20~30年はこれが当てはまるだろう。

フィッシュキン氏は、コンテンツが多すぎてコンタクトポイントを作るのが難しい状況である点は認めている。しかし、それでもユーザーがコンテンツに触れて消費しているのは間違いないのだ。

僕の考えでは、難易度が増しているのは主に次のような理由による。

  • より多くの競合
  • コンテンツ利用の習慣の継続的な変化(何を利用・いいね・シェアするかと、どのようにそうするかの変化)
  • コンテンツ利用者の間における、ごみコンテンツを見分ける能力の向上(過去数年よりもごみコンテンツをすぐに見分けられ、そういうコンテンツに近づかないようになっている)

「フェイスブックの利用時間がやや減少」や「去年はグーグル検索からのアクセスが2.5%少ない」といった記事を目にしても、それはコンテンツ利用が全体として下降したことを意味してはいない(実際に、写真撮影やコンピュータに費やす時間を僕たちは減らしていない)。

どこでどのようにしてコンテンツが利用されているかが変化しているかを示しているに過ぎない。

一見すると「ネットユーザーのコンテンツ利用が減少している」ことを表すかのような調査データが発表されるたびに、「コンテンツは死につつある」などと言う人がいる。しかし、大切なのは個々のプラットフォームの状況変化ではない。

フィッシュキン氏は、「グーグル」「フェイスブック」といった個々のチャネルにフォーカスしすぎた考えに対して次のような警鐘を鳴らし、マーケターとして本来取り組むべきユーザーを見るべきだと警告している。

コンテンツマーケッターは、「パックが向かっている先にめがけて滑る」必要すらない。単に、パックが今あるところに向かって滑ればいい。

新しいチャンネルは登場し続けるし、古いチャンネルでの新しい機会は出現し続ける。適切なユーザーに向けた適切なコンテンツは、今日(こんにち)ではこれまでにないほどに大きな価値をもたらすことができる。

※筆者注: アイスホッケーにたとえた表現

「パックが向かう先にではなく、今パックがある場所に向かって滑ればいい」というメッセージは、SEOにおいて言われる「いまのグーグルに最適化するのではなく、グーグルが理想とする状態を想定して最適化する」という点と背反しているように見える。

しかし、彼が言っているのは「今のグーグルを見るか、グーグルの向かう先を見るか」というSEO施策の話題ではない。「いまのターゲット顧客のメディア接触行動を見る」ということだ。

「適切なユーザーに向けた適切なコンテンツ」という表現は、デジタルマーケティング業界で言われる「適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切なメッセージを届ける」という根本の考え方に通じるものがある。

40万人以上のフォロワーをツイッターで持ち、コンテンツマーケッターとしても超一流のフィッシュキン氏の言葉だけに重みがある。

SEOにおいてもコンテンツは今後も決定的に重要だと考えていて問題はないだろう。もしうまくいっていないのであれば、ユーザーを適切に理解できていないか、コンテンツを適切に作れていないかだと考えるべきではないだろうか。

★★★★☆
  • すべてのウェブマーケッター 必見!

グーグル検索SEO情報

グーグル画像検索の表示形式変更でアクセス増のチャンス到来か
画像検索は見落とされがちなSEO (Google SearchLiaison on Twitter) 海外情報

画像検索での画像の表示方法をグーグルが変更した

これまでは画像検索の検索結果ページで、画像の横に表示されていた[画像を表示]ボタンでオリジナル画像をもとの大きさで表示できた。

しかしそのボタンが撤去されたのだ。検索結果画面に表示された画像のオリジナルを見るには、[表示]ボタンを使って掲載先のページを訪れる必要がある。

オリジナルの画像を見るには[表示]ボタンをクリックする

検索ユーザーからは「改悪だ」との声があがっているようだ。しかし、ウェブ担当者にとっては、良い修正かもしれない。というのも、画像検索に掲載される機会が多いサイトは、画像検索からのトラフィックが増えることを期待できるからだ。

ところで、画像検索SEOは見落とされがちな施策ではないだろうか。ここを重視する人はさほど多くないように思われる。画像検索の最適化に関しては、公式ブログ記事ヘルプ記事を参考にするといい。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

全ページに掲載の定型文のせいで重複コンテンツになってしまう!?
問題なし (John Mueller on Twitter) 海外情報

グーグルのジョン・ミューラー氏にツイッターでフォロワーが次のように質問した。

法令に関係する注釈をすべてのページの先頭に掲載しています。小さなフォントサイズにはしています。

これはランキングに影響するでしょうか? 定型文であることを示すタグを設定した方がいいですか?

ミューラー氏はこのように回答した。

大丈夫だろう。そうしたことに問題があるとは思わない。

何らかの定型コンテンツスニペットをすべてのページに掲載するのは、よくあることだ。たとえば次のようなものが思い浮かぶ。

  • 法令に関する注釈
  • 免責条項
  • ECサイトであれば配送に関する説明

こうしたテキストが原因で重複コンテンツ扱いされてしまうのではないかと不安になるウェブ担当者もいるようだが、心配する必要はない。

ユーザーや検索エンジンを騙すことが目的ではないし、ウェブサイトには一般的に見られるやり方だ。グーグルは理解しているので評価を下げられることはないし、ましてペナルティを受けることもないはずだ。

重複コンテンツ扱いを本当に恐れるのであれば、その部分を画像にすることもできるが、そこまで神経質になることもないだろう。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

グーグルマイビジネスで来客が大幅アップの成功事例
ローカルビジネスにGMBは必須のオンラインツール (グーグル広告主コミュニティ) 国内情報

グーグルマイビジネスによるローカルSEOの成功事例を、アドワーズ公式ブログが紹介している。グーグルマイビジネスに登録した酒造会社が次のような成果を収めたそうだ。

  • グーグルマイビジネス経由のウェブサイト訪問回数が月377件
  • 経路案内利用回数は月837件

物理的な店舗やオフィスを構えるローカルビジネスでデジタルマーケティングを進めるならば、グーグルマイビジネスの活用は必須だ。

たとえば、ユーザーがどのように利用したかのデータを次のように取得できる点をみても、その価値がわかるだろう。

未登録だとしたら今すぐにでも登録してほしい。

★★★★☆
  • すべてのローカルビジネスWeb担当者 必見!

新Search Consoleはユーザーのフィードバックで改善されてきた
あなたの意見が完成版に反映されるかも (グーグル ウェブマスター向け公式ブログ) 国内情報

すでに全ユーザーに公開された新しいSearch Consoleのベータ版だが、ここに至るまでに、限定テストユーザーからのフィードバックをもとに改善されてきた経緯を紹介する記事を、公式ブログが公開した。

実際のデザインの細部だけでなく、構成に関する判断にもユーザーからのフィードバックが役に立っているとのことである。

ベータ版はまだ完成にはほど遠い状態だ。使ってみて改善点を思いついたらフィードバックしよう。あなたの意見が正式版に反映されることが十分にありえる。

サイドバーメニューの下にある「フィードバック」から改善点や問題点、要望を送ることができる
★★☆☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
  • グーグルに協力したい人
Web担当者に役立つ最新情報
  • 新規サイトを立ち上げるなら初めからHTTPSで
  • グーグル検索結果でタイムスリップ発生!? ニュースが過去の日付で表示される状況が
  • グーグル主催AMPイベントからの最新情報まとめ
  • グーグル社員が最新技術で作ったオリジナルPWAサイト
海外SEO情報ブログの掲載記事から
  • 遂に来た!通信が安全ではないことを示す警告をすべての非HTTPSページにGoogle Chromeが常に表示。2018年7月リリースのバージョン68から
  • PWA版Googleマップが正式公開、ネイティブアプリ不要になる日がGマップにも来るのか?

Web担当者に役立つ最新情報

新規サイトを立ち上げるなら初めからHTTPSで
あとからのHTTPS移行は苦労する (John Mueller on Twitter) 海外情報

HTTPSでのサイト構成について、グーグルのジョン・ミューラー氏がこんなアドバイスをしている。

新しいウェブサイトを構成するのであれば、HTTPSを使いなさい。

HTTPSは必須ではないが、ランキングシグナルにもなっている。後からHTTPSに移行するよりも最初からHTTPSにしておくほうが簡単だ。

グーグルはHTTPSをランキングを決める要素として使っている(順位への影響力は微々たるものだが)。しかし検索を抜きにして考えても、ウェブの世界は確実にHTTPS化している。

たとえば、Chromeブラウザでは、HTTPのページに「保護されていない通信」のラベルがURL欄に常に表示されるようになる。これは、SEOに関係なくUX(ユーザー体験)の面でもHTTPSにしていないことのマイナスが増える動きだ。

一般的に言って、HTTPSへの移行はサイトの規模が大きくなればなるほど、構成が複雑になればなるほど、難しくなっていく。新規にサイトを立ち上げる際には最初からHTTPSにしておくことは、筆者も強く推奨したい。

★★★★☆
  • すべてのWeb担当者 必見!

グーグル検索結果でタイムスリップ発生!? ニュースが過去の日付で表示される状況が
グーグルには難しい処理 (Search Engine Round Table) 海外情報

グーグル検索結果に表示されるスニペットには、そのコンテンツが公開された日付・時間が記載されることがある。いつの情報なのかを確認できるので、役立つことも多い。

ところが困ったことに、この日時が不正確なことがある。

米フロリダで発生した米乱射事件を報じた記事が、事件が発生するよりも以前の日時でグーグル検索結果に表示されていたのだ。

事件を報じる記事がSERPでは事件よりも過去の日付を示しているスクリーンショットを、元記事では紹介している

グーグルのダニー・サリバン氏によればタイムゾーンの問題だったり記事中に複数の日付があったりと、さまざまな要因でこうした間違いが起こりうるのだそうだ。グーグル側での対処が難しいこともあるという。

グーグルはページ公開日時の検出を完全に自動化しており、サイト管理者が指定することはできない。構造化データも役に立たない(手がかりにはしているだろうが)。

日付を指定する仕組みを提供すると今度は乱用する人も出てくる。古い記事なのに新しい記事のように見せかけて、グーグルニュースで不正にトップに掲載させる人が出てくるのは想像に難くない。

我々にできることはなく、グーグルがアルゴリズムを改善するのを待つしかない。

★★★☆☆
  • ホントにSEOを極めたい人だけ

グーグル主催AMPイベントからの最新情報まとめ
グーグルはAMPに本気 (Yusuke Utsunomiya on ツイッター) 国内情報

グーグル主催のカンファレンス「AMP Conf 2018」が2月12日~13日にオランダのアムステルダムで開催された。名前が示すとおり、AMPをテーマにしたカンファレンスだ。

AMPの将来についてトークする、AMPチームリーダーのマルテ・ウーブル氏

日本のグーグルから参加者していたシニア モバイル ソリューション コンサルタントの宇都宮氏がハイライトをツイートしているので、紹介する。次の8項目だ。

  • AMP Stories(没入型コンテンツ表示)
  • AMP for email(Gmail内のメールにAMPページを埋め込み)
  • 自社サーバーからAMPを最適な状態で配信
  • WordPressのAMPプラグインが進化
  • 日本企業のAMP成功事例
  • ECサイトでのAMP使いこなし事例
  • ECでも広告からのLP経由のジャンプ先がAMPに
  • 新機能amp-bind-macroとamp-date-picker

AMP Confには筆者も参加した。当初と比べてグーグルのAMP推しがおとなしくなった感があるが、高速体験のみならず、AMPをモバイルウェブの標準プラットフォームにすべくAMPの開発にいっそう本気でグーグルは取り組んでいると感じた。

常に新しい情報が出てくるAMPの世界なので、こうした情報をうまくゲットして知識をアップデートしていこう。

★★★★☆
  • すべてのWeb担当者が興味を持つといい

グーグル社員が最新技術で作ったオリジナルPWAサイト
Web ComponentsやPRPLパターンを駆使 (ウェブボウズ) 国内情報

AMP Confのハイライトまとめをツイートしたグーグルの宇都宮氏が、最新の手法を活用したPWAサイトを構築した。

どのような手法で作り上げたのかを、そのサイト自体で解説しており、次のような技術や手法が織り込まれている。

  • Web Components
  • PRPLパターン
  • HTTP/2
  • Service Worker
  • Intersection Observer

一般的によく使われているサードパーティ製のフレームワークを使わずに、完全にオリジナルのコンポーネントを使っているあたりが、PWA(とAMP)の普及促進のために技術的アドバイスをしているスキルの高さを物語っている。

記事で語られている内容はほぼすべて技術的な内容なので、理解するのは非常に難しいだろう。しかし、この記事に書かれている新しいテクノロジーは、表示パフォーマンスにすぐれた良いUXを実現できるものだ。開発者とともに研究し、参考にできるところは真似するといいだろう。

★★★☆☆
  • 技術がわかる人に伝えましょう

海外SEO情報ブログの
掲載記事からピックアップ

HTTPSとPWAに関する記事を今週はピックアップ。

この記事の筆者

鈴木 謙一(すずき けんいち)

「海外SEO情報ブログ」の運営者。株式会社Faber Companyの取締役Search Advocate(サーチ・アドボケイト)。

海外SEO情報ブログは、SEOに特化した日本ではもっとも有名なSEO系ブログの1つ。米国発の最新のSEO情報を中心に、コンバージョン率アップやユーザーエクスペリエンス最適化のための施策も取り上げている。

正しいSEOをウェブ担当者に習得してもらうために、ブログでの情報発信に加えて所属先のFaber Companyでは、セミナー講師や講演スピーカーを主たる役割にしている。

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