日本企業のWebサイトパフォーマンス業種別ランキング&ベンチマークを日本コンピュウェアが発表

国内6業種におけるリーダー企業(計54社)のWebサイトパフォーマンスを比較
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日本コンピュウェア株式会社は、同社が独自に選定した6業種におけるリーダー企業54社のWebサイトパフォーマンスを比較し、業種ごとの上位ランキングを含むベンチマーク結果を発表した。

このベンチマークでは、以下の測定項目を採用している。

  • レスポンスタイム(秒) ―― 訪問者が特定のURLにアクセスしたときに、そのページの全コンテンツが読み込まれるまでの時間(短いほど良い)
  • 可用性(%) ―― 訪問者が特定のURLにアクセスしようとした際に、アクセスできた割合(100%に近いほど良い)
  • 均一性(秒) ―― レスポンスタイムのばらつき(短いほどばらつきが少ないので良い)

今回ベンチマークが発表された業種は次のとおり。

  • 小売 - カタログ通販、TVショッピング
  • 小売 - ネット関連(E-コマース)
  • 銀行 - 大手銀行およびネット銀行
  • 証券 - ネット証券
  • トラベル - 国内旅行(代理店)
  • トラベル - オンラインチケット販売

では、業種ごとにランキングと平均値をみていこう。

小売 - カタログ通販、TVショッピング

レスポンスタイム(秒)
平均:1.96 秒

サイト
1QVCジャパン0.77
2たのめーる0.98
3ジャパネットたかた1.18
4Askul Internet Shop1.18
5ベルーナ1.80
6SHOP CHANNEL2.10
7Nissen On-line2.33
8CECILE2.56
9DHC Online Shop3.28
10ベルメゾンネット3.44
可用性(%)
平均:99.98 %

サイト
1たのめーる100
ジャパネットたかた100
Askul Internet Shop100
ベルーナ100
SHOP CHANNEL100
Nissen On-line100
CECILE100
DHC Online Shop100
ベルメゾンネット100
10QVCジャパン99.84
均一性(秒)
平均:1.02 秒

サイト
1QVCジャパン0.30
2SHOP CHANNEL0.31
3ベルーナ0.71
4ジャパネットたかた0.81
5CECILE0.86
6Askul Internet Shop0.88
7ベルメゾンネット0.99
8DHC Online Shop1.20
9たのめーる1.32
10Nissen On-line2.86

小売 - ネット関連(E-コマース)

可用性(%)
平均:99.95 %

サイト
1Yahoo! ショッピンク100
Joshinネットショッピング100
ECカレント100
楽天市場100
エプソンダイレクト100
アマゾン100
DELLオンラインストア100
8ヨドバシカメラドットコム99.84
9Sony Style99.69
均一性(秒)
平均:0.97 秒

サイト
1Sony Style0.44
2ECカレント0.45
3楽天市場0.67
4ヨドバシカメラドットコム0.82
5Yahoo! ショッピンク0.84
6Joshinネットショッピング0.91
7DELLオンラインストア1.28
8エプソンダイレクト1.41
9アマゾン1.95

銀行 - 大手銀行およびネット銀行

可用性(%)
平均:99.98 %

サイト
1三菱東京UFJ銀行100
三井住友銀行100
住友信託銀行100
みずほ銀行100
ゆうちょ銀行100
中央三井信託銀行100
りそな銀行100
ソニー銀行100
住信SBIネット銀行100
10楽天銀行(e-bank)99.84
均一性(秒)
平均:0.49 秒

サイト
1住友信託銀行0.11
2中央三井信託銀行0.14
3りそな銀行0.23
4三井住友銀行0.23
5三菱東京UFJ銀行0.26
6みずほ銀行0.40
7ゆうちょ銀行0.43
8楽天銀行(e-bank)0.51
9ソニー銀行0.70
10住信SBIネット銀行1.88

証券 - ネット証券

レスポンスタイム(秒)
平均:3.19 秒

サイト
1カブドットコム証券0.47
2SBI証券1.18
3マネックス証券1.20
4野村ジョイ5.69
5楽天証券7.43
可用性(%)
平均:100 %

サイト
1カブドットコム証券100
SBI証券100
マネックス証券100
野村ジョイ100
楽天証券100
均一性(秒)
平均:0.86 秒

サイト
1カブドットコム証券0.21
2SBI証券0.45
3マネックス証券0.71
4野村ジョイ0.94
5楽天証券2.01

トラベル - 国内旅行(代理店)

可用性(%)
平均:99.98 %

サイト
1Yahoo!トラベル100
るるぶトラベル100
じゃらんnet100
ぐるなびトラベル100
阪急交通社100
JTB100
楽天トラベル100
日本旅行「宿ぷらざ」100
近畿日本ツーリスト100
10一休.com99.84
均一性(秒)
平均:1.09 秒

サイト
1Yahoo!トラベル0.16
2ぐるなびトラベル0.39
3JTB0.61
4近畿日本ツーリスト0.91
5るるぶトラベル0.91
6阪急交通社1.06
7じゃらんnet1.34
8楽天トラベル1.56
9一休.com1.81
10日本旅行「宿ぷらざ」2.11

トラベル - オンラインチケット販売

レスポンスタイム(秒)
平均:1.49 秒

サイト
1スカイマークエアラインズ0.30
2えきねっと0.40
3AIR DO0.51
4スターフライヤー0.99
5スカイネットアジア航空1.06
6ANA SKY WEB1.33
7JAL1.87
8楽天トラベル2.21
9国内線.com2.60
10空旅.com3.64
可用性(%)
平均:99.99 %

サイト
1スカイマークエアラインズ100
えきねっと100
AIR DO100
スターフライヤー100
ANA SKY WEB100
JAL100
楽天トラベル100
国内線.com100
空旅.com100
10スカイネットアジア航空99.86
均一性(秒)
平均:0.70 秒

サイト
1スカイネットアジア航空0.05
2スターフライヤー0.12
3空旅.com0.25
4スカイマークエアラインズ0.26
5ANA SKY WEB0.52
6国内線.com0.55
7AIR DO0.67
8えきねっと0.68
9楽天トラベル1.52
10JAL2.33
※2010-07-12 記事公開当初、持ち株会社の社名で記載されていた部分を、事業会社の社名に変更いたしました。
6業種の傾向、調査概要、コンピュウェアによる分析

6業種の傾向

今回調査対象となった6業種54社のうち、平均レスポンスタイムが2秒以上なのは22社。そのうち12社が平均1秒を切っていた。また、本来可用性は100%であるべきだが、100%でなかったのは6社あった。

6業種の傾向を見てみると、銀行業界は良レスポンスを常に保っており、次に高速なのがトラベル(オンラインチケット販売)と小売(Eコマース)。証券はレスポンスタイムが遅いが、総じて可用性が高かった。

※縦軸がレスポンスタイム(少ないほど良い)、横軸が均一性(少ないほど良い)、バブルの大きさが可用性(大きいほど良い)

調査概要

  • 測定対象サイト: 日本コンピュウェアが独自に選定した6業種における国内リーダー企業計54社(今回は各サイトのトップページのみを測定)
  • 測定期間: 2010年6月1日~6月30日(計測期間中、60分ごとに計測)
  • 測定方法: Compuware-Gomezソリューションを用いて、測定対象企業Webサイトのトップページのレスポンス、可用性、および均一性を測定(測定元は国内ISPに設置した測定ノード1箇所)
  • 測定条件: 測定に利用したユーザーエージェントはFirefox 3.5相当(同時接続セッション数などもFirefoxのデフォルト設定に準じる)
  • その他の条件:
    • 事前に告知したうえで行われるメインテナンスによるアクセス不能状態は測定対象外
    • 事前の告知がなかったメインテナンスの場合でもメインテナンスであることが示されたアクセス不能状態は測定対象外
    • httpレスポンスコード200が返っていればページ内容にかかわらずアクセスできたとみなす

レスポンスタイムの計測にあたっては、ページへのアクセス開始時のDNS名前解決に始まり、ページを構成するすべてのデータ(画像、CSS、JavaScriptなど、非表示のコンテンツ含む)をダウンロードし終わるまでの時間を計測している(ベンチマークでは画面へのレンダリング時間は含まず)。

レスポンスタイム計測はHTMLだけでなくページ構成要素すべてに対して測定

※本ベンチマークは、Webサイトの優位性や利便性を保証するものではないことに注意。

Webサイトのパフォーマンス低下は、企業ブランド、収益、顧客満足度に悪影響を与える

調査を行った日本コンピュウェア株式会社 Compuware-Gomez事業部ソリューション・エンジニアの森下貢孝氏は、今回のベンチマーク結果について、次のように述べている。

※1 “eCommerce Web Site Performance Today” white paper, August 2009 by Forrester

ネット証券を除く業種では、おおむね、レスポンスタイムの2秒ルール※1をクリアしており、Webサイトのパフォーマンスへの関心が高いことがうかがえます。特に、銀行系のサイトは他の業種に比べて優れており、安定的かつ高品質であると思われます。ネット証券系サイトについては、安全性重視の観点からSSLセッションを利用しているケースが多いため、レスポンスタイムが他業種に比べて長い傾向にあると推測できます

しかし、これだけですべてを判断するのは適切ではない、と森下氏は主張する。

今回のベンチマークでは、各企業のトップページのみを対象としました。各企業は、これだけではなく、実際に売買などの取引を行うページでのパフォーマンスに目を向ける必要があります。また、3つの指標を組み合わせて分析することも重要です。たとえば、レスポンスタイムが優れている企業があったとしても、可用性や均一性が劣っていると、ビジネス機会の損失につながる可能性があります

※2“The Performance of Web Applications: Customers Are Won or Lost in One Second”, November 2008 by Aberdeen Group

Webサイトのパフォーマンス低下は、企業ブランド、収益、顧客満足度に悪影響を与えることが、調査で明らかになっている。ある調査によると、ページロード(読み込み)に5秒以上かかるサイトでは、Webコンバージョン率が7%低下し、顧客満足度が6%低下することが報告されている※2

Webサイトのパフォーマンス測定は、継続的に行うことが重要です。パフォーマンス測定を、ある一時期だけ短期間行っても、日々変化するWebサイトパフォーマンスの状況をタイムリーに把握することはできません。また、競合他社との比較を継続的に行うことにより、競合優位を的確に確立することにつながります」(森下氏)

この調査を行った日本コンピュウェア株式会社は、システムやWebサイトのパフォーマンス管理のソリューションを提供している。以前はシステム向けのソリューションが中心だったが、Webサイトパフォーマンスの管理と最適化を提供する米ゴメス社を2009年10月に買収し、現在はシステムからWebサイト、Webアプリケーションまで、一貫したパフォーマンス管理を提供している。

コンピュウェア社の提供するWebサイト向けのソリューション「Compuware-Gomez」は、Webサイトのパフォーマンスを、実際のユーザーがアクセスするときと同様の環境で測定するために、データセンター内ではなく、インターネット側から監視・測定する仕組みをもっている。全世界12万以上の契約PCユーザーからなる測定端末や、全世界100か所以上の主要バックボーンを利用して、企業のWebおよびモバイルアプリケーションに対し、パフォーマンス測定を行っている。

コンピュウェア社のサービスを利用してパフォーマンス管理を行っている企業の例

・日本コンピュウェア株式会社
http://jp.compuware.com/

この記事の筆者

安田 英久(やすだ・ひでひさ)

株式会社インプレス
Web担当者Forum 編集統括(初代編集長)

プログラミングやサーバー、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、Webサイト 「Web担当者Forum」初代編集長。ビジネスにおけるWebサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開いる。現在は編集統括として媒体に携わる。

個人としては、技術とマーケティングの融合によるインターネットのビジネス活用の新しい姿と、ブログ/CGM時代におけるメディアのあるべき姿を模索し続けている。趣味は素人プログラミングと上方落語と南インドカレー。

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