Facebook≒インターネットと考える人が過半数!?(ただし日本ではない)

日本のデータではないのですが、私にとって、これはかなり衝撃的でした。
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今日は小ネタです。「インターネットとはFacebookのことである」と考える人が、ある種の国ではかなりの数に上るという調査結果がありました。日本のデータではないのですが、私にとって、これはかなり衝撃的でした。

Mozillaが発表した「インターネット・ヘルスレポート」の「ウェブリテラシー」の項目に、興味深いデータがありました。

「Facebookがインターネットである」という設問に対してそれを認める回答をした人の比率が、ナイジェリア・インドネシア・インド・ブラジルで50%を超えていたのです。

インドネシアとナイジェリアでの調査はSMSを用いて行い、各国で500有効回答を得ている。(その他の国での調査方法を含めた調査概要の詳細はQuartz Mediaの記事の最下部に記載)

調査元のQuartsz Mediaによると、インドネシア人の11%は、Facebookを使っているにもかかわらず「インターネットを使っていない」と回答しています。実際に開発途上国では、電気店に「Facebookが欲しい」と言って来る客がいるとのことです。

文化的な観点で言うと、われわれはインターネットがオープンであることに価値を感じています。行政の情報でも企業の情報でも、必要に応じて一次情報にあたって調べられますし、マスメディアに比べてはるかに多いさまざまな観点の情報を得られる場であることは、すばらしいことです。

それに対して、Facebookはたしかに居心地が良い場をつくってくれるものの、情報の多様性という観点では、(Facebook上の友だちがどういう人かにもよりますが)かなり「自分の知りたい・見たい・見て納得できる情報」に偏ってしまっています。

そうした世界を「これがインターネットである」と思ってしまうことに対しては、なんとも言えないじくじたる思いがあります。

それはともかく、この調査からは、なかなかおもしろいユーザーの感覚が見えます。

グラフでを見ると、米国で「Facebookがインターネットである」と考えている人は5%しかいないし、日本でも同じぐらいだろうとは思います。

しかし、それとまったく同じではないにしても、われわれのような、Webやデジタルを仕事にしている人にとっては当然の「違い」「区別」がない人が、かなりいても何もおかしくないのではないでしょうか。

IEのアイコンをインターネットだと思っていて、「インターネット≒ヤフー」となっている人の数は、(スマホが主流になるまでは)かなり多かったですよね。

われわれにとっては重要なYahoo!検索とGoogle検索の違いなんて、結構な数の人が興味ないでしょうし、ましてやMFI(モバイルファーストインデックス)が今どういう状態なのかなんて、意識しておらず興味もない人のほうが圧倒的大多数でしょう。

そして、日々さまざまな記事やコンテンツに触れているにもかかわらず、それぞれのコンテンツがどういったサイトやどのメディアに掲載されていたのかを覚えている人なんて、かなり少ないですよね。

また、多くのタイプの情報については、その情報が掲載されていたサイトが信頼に値するかどうかや、その情報がオリジナルで作られたものかどうかなんて興味がありません。単に「見た」「わかった」「おもしろかった」「納得できた」と感じるだけなんですよね。

もっと言えば、広告とコンテンツの違いも気にしていないし、「これは広告ですよ」と書かれていてたとしても気がつかない人も多い印象があります。

そういった「区別がちゃんとついていない人」たちは、いろんなことにだまされます。

ページ上に広告で「ウイルスが見つかりました」と表示すれば不安になるのも当然ですよね。それが広告で、無作為にそう表示しているだけだとわからないのですから。

おもしろそうなリンクをクリックした先で「あなたは今有料コンテンツを申し込んだ。IPアドレスで所在がわかっているので払わなければ訴える」と赤文字で表示されれば、申し込んだ覚えも何もなくても、怖くなって金を払ってしまいます。

だからこそ、われわれWebやデジタルを仕事にしている者は、お客さんがそういうタイプの人であることを念頭において仕事を進めることを、忘れてはいけません。

Web担に「見るゾウ! 知るゾウ! ユーザー像!」というコーナーがあります。ダジャレがメインの記事だと思われがちですが、実際には「ユーザーはあなたとは違う」「あなたにとって思ってもみない行動をユーザーはするものである」ことを、事例とともに解説している記事です。

そのコーナーの記事で解説しているように、自分にとって当然のことであっても、お客さんにとっては「知らない」「不安になる」「よくわからないから、やめておく」ということは多々ありますからね。

そして、紛らわしい表示をせずに、明確に「これは広告」「これは広告じゃない」「あなたにはこういう選択肢がある」「退会するならこちら」と示すのが正しいやり方ですよね。

それが、オープンで多様性のあるインターネットを、さまざまな人にとって価値ある健全な場として成長させていくのに必要なことだと、私は思います。

最初のデータ以外は客観データなしの「思ったこと」ばかりですいません。でも、それぐらいこのデータは衝撃的だったのです。はい。

この記事の筆者

安田 英久(やすだ・ひでひさ)

株式会社インプレス
Web担当者Forum 編集統括(初代編集長)

プログラミングやサーバー、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、Webサイト 「Web担当者Forum」初代編集長。ビジネスにおけるWebサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開いる。現在は編集統括として媒体に携わる。

個人としては、技術とマーケティングの融合によるインターネットのビジネス活用の新しい姿と、ブログ/CGM時代におけるメディアのあるべき姿を模索し続けている。趣味は素人プログラミングと上方落語と南インドカレー。

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