『モバイルSEM ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法』

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BOOK REVIEW ウェブ担当者なら読んでおきたいこの1冊

『モバイルSEM ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法』

神野 恵美(編集者、ライター)

モバイルインターネットとPCインターネットの違いは何か?
確実に収益を得るためのモバイルビジネス戦略を考える

  • 中橋 義博 著
  • ISBN:978-4-478-55020-5
  • 定価:本体1,600円+税
  • ダイヤモンド社

携帯電話の普及や定額制パケットサービスの開始により、今後発展が期待されるモバイル市場。本書は、その来るべきビジネスチャンスに備え、マーケティング戦略の確立が待たれるなかで登場した、モバイルSEMのノウハウ本だ。

筆者は、PCとモバイルの数々の違いを分析するなかで、日本のモバイル市場が通信キャリア主体で作り上げられた閉鎖的なビジネスモデルであるという点を挙げる。キャリアの公式メニューからアクセスするのが一般的な携帯サイトでは、長年検索サイトが定着せず、公式サイトは外部リンクを禁止しており、サイト同士がリンクを張るという習慣もなかったと指摘する。さらに、モバイルの場合、情報の論理構造を定義するHTMLタグが利用できない上に、リンクの習慣がないことから、「現時点ではモバイルSEOは有効ではない」と結論する。

確かに、検索ワードとページとの一致性と、被リンク数が重要となる従来のSEO対策においては、重要な要素を欠くのは事実だ。だが一読者としては、それゆえにSEOの有効性を単純に否定するのではなく、モバイルならではの方法論への展開を本書に期待したかったのが正直なところだ。

しかしながら、本書はSEMの予算の立て方から、費用対効果を高めるキーワードの設定、広告文作成のコツまでが網羅された、実用的な一冊。これからモバイル事業への参入を考えている企業の担当者にも参考になるはずだ。

この記事の筆者

神野 恵美
(編集者、ライター)

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