新しいことを始めるときは「何をやめるか」会議をしよう(特にWebでは)

「何か新しく始める」場合には、「すでにある何かをやめる」ことも大切なのです
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今日は、Webサイトで機能強化したり何か新しいことを始めるときに大切な、「その代わりに何をやめるか」を考えることの重要性について。

Web担当者であるあなたは、日々いろんな情報に触れたり人の話を聞いたりして、「こういうことをやりたい」「サイトをこう変えたい」という気持ちがあると思います。

そして会議では、「次、どういうことをしようか」「こうすればいいんじゃないか」と日々話し合っていることでしょう。

でも、「何か新しく始める」場合には、「すでにある何かをやめる」ことも大切です。特にWebサイトでは、なおさらです。今度、「うちのサイトで、もう更新しなくていいもの」「うちのサイトにもう不要なもの」を検討して決める会議をするのはいかがでしょうか?


何か新しいことを始めるということは、それを回していく工数が必要になります。

今でも仕事量がいっぱいいっぱいの状態でやっているところに、さらに新しいことを加え続けていけば、いつかパンクするか、ミスをするか、そうでなくても質を保てなくなる可能性があります。

もちろん、予算が潤沢にあって、さまざまな施策をまわすスタッフ(または外部パートナー)をしっかりと確保できるのならば問題ありませんが、それでも最後のチェックをしたり全体を把握したりするWeb担当者さんの工数は限られていますよね。

また、それがサイト上にインターフェイスとして何かを追加する場合は、工数とは関係なく、画面上のスペースは限られています。つまり、ページ内に今までなかったものを表示すれば、それだけ画面がごちゃごちゃするわけです。何も考えずに要素や機能を追加していったら、訪問者にとってわかりづらいページになっていくということです。


だから、何か新しいことを始める場合には、いままでやっていた何かをやめることをちゃんと考えましょう。

使われていないソーシャルメディア連携ボタンは削除してしまいましょう。

ナビゲーションでクリックされていないリンクは削除してしまいましょう。

フォーム要素を追加するならその機会に不要な項目を削除しましょう。

「何となく」続けているキーワードへの広告出稿を止めてみるのもいいでしょう。

義務だけでやっていてだれにも読まれていないブログは廃止しましょう。

データというのは、そのためにあるのです。どのコンテンツがどれだけ見られているのかは、アクセス解析データを見れば一目瞭然です。どの集客施策が効いているかは、コンバージョン設定をちゃんとして計測しましょう。つぶやきボタンやいいねボタンがどれぐらい使われているのかや、サイト内リンクのナビゲーション類がどれくらい使われているのかも、「イベントトラッキング」をうまく使うことで分析できます。


そもそも、サイトの運用は、本来意図している目的を達成するために行うべきであって、惰性でするべきものではありません。「これは毎週更新するものだ」「これは以前からずっとやっているから」というだけで、役に立っているかどうかわからないのに工数を割き続けるのは、賢いやり方だとはいえません。

今やっていることのうち、「そもそも何のためにこの要素がページ上にあるのか」「何を達成するためにこのコンテンツを更新しているのか」が明確になっていないものは、廃止を検討する対象とするべきでしょう。


今度、「こういうことをサイトでやりたい」という案が出たときには、それをやるために何「をやめるか検討する会議」をしてみるのはいかがでしょうか?

え? 以前からやってる? いや、うちではどんどん増やすばっかりだったので……。

この記事の筆者

安田 英久(やすだ・ひでひさ)

株式会社インプレス
Web担当者Forum 編集統括(初代編集長)

プログラミングやサーバー、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、Webサイト 「Web担当者Forum」初代編集長。ビジネスにおけるWebサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開いる。現在は編集統括として媒体に携わる。

個人としては、技術とマーケティングの融合によるインターネットのビジネス活用の新しい姿と、ブログ/CGM時代におけるメディアのあるべき姿を模索し続けている。趣味は素人プログラミングと上方落語と南インドカレー。

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