改めて知るリンクベイトの威力――人気検索キーワードトップ10に5つ入ったネタとは?

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去る4月22日の夜、Randと私はじっくり腰を落ち着けて、これは絶対におもしろくなりそうだという記事を「書いて」いたの。読者の多いSEOmozのブログの記事を書くに、ほとんど睡眠もとらずに、ビール3杯とカクテル2杯を飲み干した後だというのは褒められたことじゃないのはわかってるわ。でも、これはきっと良い記事になるという、かなりの確信があったのよ。

※Web担編注

ここで触れられている記事は、「グーグルのワンボックス検索に入っているべきもの」という記事。グーグルで「シドニーでは今何時?("what time is it in Sydney?")」と検索すると検索結果の上部にシドニーの現在時刻が表示されるのを「ワンボックス」と呼ぶが、ワンボックスでこういう風に出るとおもしろいよね、という内容。

「リック・アストリーが絶対にしそうにないこと」と検索すると

と出たり、「ランボーの映画での死者の数」と検索すると

と出たりするとおもしろいよね、というネタが、偽の画面で並べられている。

今になって思うと、あのときは疲れてただけじゃなくて、ちょっと酔っ払ってたのね。私たちは、それまでやったことがないリンクベイトのネタを思いついて、みんなにウケると思ったのよ。そうしたら、投稿からまだ24時間ちょっとしか経たずにDiggで2500ポイントを獲得したじゃない。Randと私がSMX Social Mediaの会合を終え、ロングビーチから戻って来る間にどんどん盛り上がったみたい。私たちがロングビーチで飛行機に搭乗したときは150ポイントしか付いてなかったのに、シアトルに帰り着いてからもう一度チェックしてみたら1800ポイントに跳ね上がっていたわ。

私も、リンクベイトについては、今じゃいっぱしの専門家をきどっているから、この成果は嬉しかったけれど、これが画期的と呼べるほどのものではないこともわかってるわ。最近だと、2006年にレベッカがDrivlに記事を書いて、そのうちの1本が1年半後には8448ポイントを獲得した、なんてことがあったけど、それに比べたら今回の私の記事なんて足元にも及ばないものね。レベッカの記事が1万ポイントを突破できなかったのが残念なくらい。

ただ、私がここで本当に言いたいのは、Diggで1800ポイントとか2400ポイントとかっていう得票数は、これまで見たことがない数字だってこと。私は、SEOmozとDiggのタブを閉じて、Facebookを調べてみたの。そうすると、何人かの人から私の記事についてメッセージが届いていたんだけど、ジェフ・コイル氏がくれた「君はGoogle Trendsに気がついた?」というメッセージが目にとまったのよ。すぐに、何が起こったのかピンと来たわ。

「今日のホットトレンド(Today's Hot Trends)」のランキングで、私たちの記事に載せた検索フレーズ(1、2、3、4、6位)が、American Idol(5、7位)にほぼ圧勝したのよ。私たちの記事を読まずにGoogle Trendsを見た人はさぞ驚いたでしょうね。だって、一見何の関連もなさそうなこういう検索語句が、最も頻繁に検索されているクエリとしてここに現われそうな理由なんてまったくないんだもの。その後、下の画像みたいに「いったいなんだって、こんなメチャクチャな語句が検索されてるんだ?」って質問してる人を何人か見かけたわ(今となっては、下の画像で示した記事そのものにはもうアクセスできないんだけどね)。

いったいなんだって、こんなメチャクチャな語句が検索されてるんだ?
(Google Trendsより)
things rick astley would never do(リック・アストリーが絶対にしそうにないこと)
cure for fever(熱の下げ方)
i know kung fu(私はカンフーを知っている)
number of deaths in rambo(ランボー・シリーズの作品中で死んだ人の数)

はじめはかなり驚いたけど、気持ちが少し落ち着いてから(ちょっと時間がかかったわ。だって私たちが記事に出した検索語が5つもトップ10に入っているんだから)、私たちはGoogle Trendsの結果を徹底的に調べる作業にかかったの。エンゲルベルト・フンパーディンクに関する検索は、どちらかというとエディー・イザード(英国のコメディアン、俳優)が大好きっていうような人向けのものだから、それは別にして、私がでっち上げたクエリはすべて、Google Trendsのトップ100に入っていたの。例の記事では、「ワンボックス」機能で本当に示される結果へのリンクも3つ入れておいたんだけど、それもすべてトップ100に挙がっていたわ(「What happens in Vegas?」も、映画の題名(邦題「ベガスの恋に勝つルール」)だからワンボックスで結果が表示されるんだけど、あのときはそのことに気づいていなかったのよね)。

4月23日のグーグル検索トップ100。赤丸を付けたものが件の記事で扱った検索フレーズ

正直なところ、私はこれをまとめるのに気乗りしてないの。「くだらないネタだぜ」なんていう、わかりきったコメントを投稿している連中がたくさんいるのを見てため息をついてからは、特にそう。こんなコメントを読めば、投稿者がグーグルに飛んで、Randと私が提示したクエリを試してみたことは明らかだわ。この検索結果が本物じゃないってことは、最初にはっきりと書いてあるのに、それを読みもしなかったのね。それだけじゃなく、私たちが画像処理した偽のスクリーンショットに、連中は見事に引っかかったってこと。わざと本物の検索画面とはちょっと変えてあったのに。でもまあ気にしないわ。とにかく、この人たちはフレーズを検索してくれたのよ。

人間不信にならなくてすむよう、あそこに出ているフレーズを検索した大勢の中には、実際にグーグルはどんな結果を返してくるんだろうって、好奇心で検索してくれた人がいたと思いたいわ。Diggからグーグルに飛んだ8万3000人がみんな横着で、たったあれだけの短い前置きを読まなかったなんて思いたくないもの。

なぜこのリンクベイトが人気を集めたのか
どういったネタがリンクベイトに適しているのか?

なぜこのリンクベイトが人気を集めたのか
どういったネタがリンクベイトに適しているのか?

さて、Google Trendsの結果に十分に目を通したあと、私たちはこれらが意味することについて客観的に考えてみたわ。それで、最初に出た結論は、ソーシャルメディア全般の性質に関すること。

リンクベイトがもたらしてくれるトラフィックなんて、最も当てにならないものだっていつも思ってたの。今もその考えは変わらないんだけど、Digg(や、おそらくStumbleUponも)のビジターがこんなにたくさん、なじみのサイトで費やす時間を割いてまで、これらの語句をグーグルで検索してくれただなんて、ホントに信じられなかったわ。両サイトのユーザーがここまでの関心を示してくれるのは、滅多にないことなのよ。

これらのフレーズがこれほどまでに人気が出るなんて思ってもみなかったんだけど、こんなことになるとわかっていれば、私が実際にリンクを張った、ちゃんとワンボックスが出る3つの検索フレーズ「ユニコーンの角の数(number of horns on a unicorn)」「シドニーは今何時?(what time is it in sydney)」「生命、宇宙、そして万物についての解答とは(what is the answer to life the universe and everything)」は、もっといい結果が出ると期待してたでしょうね。だって、この3つのフレーズの場合、興味のある人は記事中のリンクをクリックするだけでいいんですもの。ソーシャルメディアのビジターは、初めにこちらが思っていたより当てにできるし思慮もあるとまでは言わないけれど、一般の利用者まで含んだGoogle Trendsのようなものに影響を及ぼすほど大勢が検索してくれるなんて、まったく予測できなかった。

すごくおもしろいと思ったのは、「リック・アストリーが絶対にしそうにないこと(things rick astley would never do)」という検索フレーズが、「熱の下げ方(cure for fever)」と「私はカンフーを知っている(i know kung fu)」を抜いて、最も人気の高いフレーズになったこと。私としては、これで私たちがインターネットにRickroll(YouTubeで視聴者を偽のリンクで誘って、Rick Astleyの「Never Gonna Give You Up」のミュージックビデオにリダイレクトするいたずら)を仕掛けることができた、と思いたいわ。けれど、Related searches(関連検索)に並んでいるフレーズを見たら、知らない人はまたもや頭を抱えるに違いないわね。

もう1つ私たちが驚いたのは、例の記事でSEOmozにすごい数のビジターが集まったこと(それから、それでもサイトがダウンしなかったという事実。ジェフとメルにバラの花束とチョコレートを送ってあげて)。私は以前にもこのことを試したことがあったから、これはRandが「画像」のカテゴリに投稿したおかげだっていうことがはっきりわかるわ。Randは、ありがちな{PIC}というマーカーは付けなかったんだけど、イメージベイト(画像によるリンクベイト)は、文字を読まなくちゃいけないという意識がなくなるから、テキストコンテンツよりクリックスルー率が格段に上がるものなのよね。

でも、画像を見に行く人って、普通は関心が長続きしないのよね。だから、このロジックでいくと、私たちの記事ではおもしろい矛盾が生じているのかも。私たちの画像にどんな魅力があって直帰率が下がり、わざわざグーグルで検索しようという気にまでさせたのかしら?

その答えはおそらく、私たちがいつもリンクベイトについて言っていることで説明がつくと思う。

つまり、最良のコンテンツ、最も驚くべき結果をもたらすようなコンテンツに対して、人の興味はある程度長い時間持続するということ。そして、その興味が人に次の行動を促すということ。

リンクベイトの戦術に関する議論を始めてしまったら、どこへ収束するかはっきりとは予測できないので、本当はここで例としてウィジェットベイトを持ち出したくはないんだけど、クイズベイトやウィジェットに関して最もすばらしいことの1つは、それが人に何かをさせるということ。クイズやウィジェットは、人に「戻る」ボタンをクリックさせるんじゃなくて、何かアクションを起こさせるの。後になってから考えてみれば、よそのサイトに対する行動ではあったけど、私たちの記事は確かに行動を求める形になっていたのよね。

もう1つ、私たちが成功した秘訣は、あの結果が偽物だってことがあからさまにはわからないようにしてあったこと。もし私たちが、記事の冒頭で誰の目にも明らかなように断り書きを入れて、あの記事の性質がわかるようにしていたら、Google Trendsの結果があんな風にはならなかったと思うわ。たぶん、トップ100には私たちのフレーズがちょこちょこと顔を出しただろうけど、トップ5に入ることはなかったでしょうね。

余談だけど、私たちの記事が偽物だってDiggに報告が入り始めたとき、Diggの愚かさがいとも簡単に明らかになったわよね。

はい、タイトルは紛らわしいです(わざとそうしたのよ)。でも、ほんの1クリックで、正確であることにうるさいDiggユーザーの気持ちも落ち着いたんじゃないのかしら。それに、このような手法でクリックスルーを誘ったのは、何も私たちが初めてじゃないわ。

昨日の夜、私はかなりの数のスクリーンショットを保存したけど、何といっても次のが最高に愉快。「weeellll...」のピリオドとlの数を変えたバリエーションが、Google Trendsの検索キーワード上位にどのくらい顔を出したのかしらね。

まあ、この手を誰かがまた使ったとして、どれだけ効果があるかはわからないけど、今回の教訓はかなりわかりやすかったわね。

ページビューが気になるなら、まずはロングテールクエリで検索結果のトップを獲得し、それから、そのクエリを検索させるようなリンクベイトを作ること。リンクベイト用の記事がDiggで1500~2500ポイントほど獲得できることを期待して、人々が検索結果ページからリンク先に飛んでくれることを願うの。

でも、例の検索語で検索結果の上位に表示されたサイトをクリックした人はいるのかしら。そういうサイトに関するトラフィックデータで、利用できるものがあれば目を離さずにいるつもりよ……あっ、新しいリンクベイトの仕掛けを思いついたかも!

この記事の筆者

この記事は、Daily SEOmoz Blog に掲載された以下の記事を日本語訳したものです。

原文:「Holy Mother of Linkbait」」 by Jane Copland (2008/04/24 17:01 PDT)

記事セレクション:渡辺隆広株式会社アイレップ
翻訳:株式会社ガリレオ

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