オープンソースと組み合わせて学内全体をCMSで統一/東京工科大学+DBPS

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東京工科大学+DBPS
(パナソニック ネットワークサービシズ株式会社)

取材・文:加藤さこ

学校法人片柳学園 東京工科大学
東京工科大学ウェブサイト概要
URLhttp://www.teu.ac.jp/
目的学外への大学情報発信と在学生、教職員に対しての情報提供
総ページ数2795(学外1567、学内1228)
ビジター層10代後半~(学外)
オープン1990年代半ば
CMS導入概要
  • サイト全体をCMS化
  • 導入期間:約6か月(学外3か月・学内3か月)
  • 導入プロジェクト人数:3人(旧コンテンツの移行はパナソニック ネットワークサービシズに依頼)

オープンソースと組み合わせて導入
学内外の更新方法をCMSで統一化

スキルのある人とない人の格差
更新作業が一般化されていない

東京工科大学のウェブサイトは、1990年代の半ば頃に学外向けに開設。当時は手作りでページ数も少なく、スキルのある担当者2~3名で運営されていた。本格的に作り始めたのは、2000年頃から。受験を控える高校生向けを対象としたコンテンツに力を入れ始めたことがきっかけだった。

東京工科大学
事務局 広報課
大田 丈裕氏

「スタート時は100ページ程度だったものが、その約5年後には2000ページを超える規模になり、更新も学部ごとにスキルのある人に任せるようになりました。工科系の大学なので、知識のある人が多く、部署によってスキルを持たない人のサポートをしていました。

しかし、その方法では、ひとりの人に作業が偏ることもあり、コンテンツが増えたときにその人がいなければ更新できないという問題が発生してきました。仕事量が増えて、待ちの状態が発生してしまう。これではリアルな情報が出て行かなくなってしまいます」

これを改善するにはどうするか、学内のウェブ運営委員会で討論したところ、ホームページ作成ソフトの導入などの案が挙がった。しかし、当時は初心者向けのものが少なく、使いこなせるようになるまで時間を割かなければならないということもあり、この案は見送られることになった。

一方では、学内のシステム構築を任せていた業者に依頼するという議論もあり、独自のソフトウェアを構築するという案も取り上げられたが、まったくのゼロからの開発なので、完成までに日数がかかること、そして本当に良いものができるのかという疑問も捨てられない。それよりも、だれでも更新が簡単できて一元管理のできる商用CMSが最適だということで、導入を進めていくことになった。

国内純正のものを絶対条件に各社情報を集めて選定を開始

2004年の春にCMSを導入することが決まり、まずはどのCMSを導入するか、選定しやすくするために絶対必要な機能が洗い出された。

東京工科大学にとって必要な条件は、まず、国産純正であること。これはサポート体制を期待できるということから出された条件だった。同じ理由で、ベンチャーでない大手企業の製品ということも条件に含まれた。

絶対条件に挙げるほど国産にこだわったのは、数年前に導入していた海外の製品の取り扱いが突然終わってしまって非常に困った経験があったため。特に今回は現状あるサイトの移行作業なので、ただ製品を購入して終わりというわけにはいかないのだ。リニューアルの際、コンテンツ制作の相談ができ、将来まで確実にサポートしてもらえる必要がある。リニューアルや移行まで頼めて、Unixで動くことが条件。もちろん複数のユーザー管理ができることも重要な選定条件だった。50人ほどのユーザーを登録して使うことが決まっていたためだ。

「これは工科系大学ならではかもしれませんが、オープンソースを使っていることも条件の1つでした。専用のデータベースだと、何か起きたときに中が見えなくなってしまいます。オープンソースのシステムと組み合わせたもので、運用のミドルウェア、OSまわりでオープンソースのものを使えること。そのうえで価格帯が安く、機能が豊富なものをと雑誌のCMS特集記事で各社情報を見比べました。

その中で条件を満たしていたのがPNS(パナソニック ネットワークサービシズ株式会社、取材当時の社名はPDN、パナソニックデジタルネットワークサーブ株式会社)のDBPSでした。電話で問い合わせをして機能面の詳細を聞き、コンテンツ制作の相談に乗ってもらえるか確認をしたところ、コンテンツのリニューアル委託作業を行ってもらえるということがわかったのです」

PNSはもともとデジタルコンテンツ全般の制作をしていたため、CMSの導入だけでなく、リニューアルの作業などお手の物だったのだ。

導入期間は学外3か月、学内3か月。旧コンテンツの移行は?

導入期間は学外3か月、学内3か月
旧コンテンツの移行はPNSに依頼

東京工科大学のウェブサイトには、大きく分けて学内向け、学外向けの2つのコンテンツがある。さらに学内では学生向けと教職員向けのコンテンツがあり、それぞれ目的が違い、機能も違う。

これまでずっとサイト全体の決め事がなかったため、それぞれの学部でデザインがバラバラになっていたり、一部だけ凝った作りがあったりなどで、統一感が損なわれていた。CMSを導入するのを機に、デザインを統一し、また、コンテンツの見直しもすることにした。

「CMSで一元管理することが決まってから、各学部のウェブ担当者からの意見をまとめて反映させていきました。まとめるには説得なども必要でしたが、委員会が中心になってうまく調整していけたと思います」

旧コンテンツの移行はPNSに依頼し、まずは学外コンテンツのほうを優先させ、学外のリニューアルと移行がすべて終わってから学内コンテンツに手をつけていった。作業期間は、学外向けサイトで3か月、学内向けサイトで3か月。プロジェクト人数は大学側から3名。PNSからの応援も合わせると10名ほどで作業を進めていった。

リニューアルしたデザインを元にしてテンプレートを作り、着々とコンテンツ移行を進めていきながら、その一方で各学部のウェブ担当者を集めてのトレーニングも行った。

「学外の導入時には本学施設の計算機実習室を利用して3回に渡って開催しました。最初のトレーニングでは約60人が集まりました。PNSではユーザー専用サイトでマニュアルを公開しているので、そちらで確認することも可能でした。工科系大学ということもあり、基本的なスキルはありますから、トレーニングは問題なく進めることができました」

コンテンツを整理して複雑に乱立する階層もすっきり

しかし、導入後の反応は、必ずしも良いものばかりではなかった。現状でも更新できる体制は整っていて、なぜ新しいことを学ばなければいけないのだという意見も発生したのだ。HTMLがわかればだれでも書けていたものが、CMSという新しいワークフローができたことで、これまで難なく更新してきた人が新しいシステムに慣れるのには大変だった。

「中には反発する意見もありました。しかし、これまで更新のできなかった人が簡単に行えるようになったというメリットは大きかったです。もともとスキルを持っていた人には面倒かもしれませんが、足並みをそろえるということでは成功していると思います。

管理者数については、ログインするユーザー数が決まっているので、全員に発行というのは残念ながら無理でした。それでも以前に比べたら格段に更新情報が増え、スピードがアップしています」

CMS導入前は、コンテンツがどこにあるのかを担当者しか把握できない状況だった。複数のサーバーを利用しており、階層もずいぶん乱立して、更新する側は非常にわかりにくいものになっていた。

「外から見ると1つに見えますが、実際には、コンテンツは複数のサーバーに分散しており各サーバーをマウントしている状態だったので、担当者本人以外は何がどこにあるのかまったく判断できない状態になっていました。問題が発生したときに担当者が休んでいたら、該当ファイルを探すだけでもどのサーバーのどこにあるのかを調べて半日かかるということもありました。それがCMS導入によって、管理画面上から見える階層が外と同じ階層になり、DBPSを扱える人ならだれでも探すことが可能になりました」

バラバラだったサーバーも1つになり、編集作業もかなり楽になった。また、公開期間やページタイトル、所有者ユーザーで管理コンテンツを検索する機能があるので、問い合わせに対して、担当者以外の人でも簡単にページを見つけることが可能。この機能はネットワークセンターで役立っているという。

導入当初の問題点としては、承認機能を使っていない部署からは、承認作業のシステムが面倒だという指摘を受けたこと。DBPSの承認はマネージャーが必ず承認ボタン押さなければ更新できない仕組みだった。つまり、承認を必要としない場合は、自分で承認ボタンを押さなければならなかったのだ。

「この不便さをPNSに報告したところ、同じような意見があったのでしょう。次のバージョンアップで承認機能の解除機能が追加され、ゼロ段階承認が可能になって解決することができました。できない人に便利なことも、できる人にとっては制約が課せられてしまうことになります。どちらにとっても使いやすいようにしていくという点では、まだ細かいところで課題が残っています」

ワークフローの確立と標準化はCMS導入の大きな効果(クリックで画像を拡大)

開発マニュアルの公開により独自でのサイト作成も可能に

導入時のテンプレート数は、およそ30ほどだったが、PNSからもらった開発マニュアルを参考にしながら、別業者を使って違うサイトを作ったり、学内でスキルの高い人達が新しくテンプレートを作ったりして、現在ではかなり増加しているという。

「実は、別会社に依頼して、PNSの開発マニュアルを元に片柳研究所の新しいサイトもCMS化したんです。やはりデザインが優れている会社や最新の技術を持っている会社に依頼をしていくことになります。PNSでは、そのように外部への発注も支援してくれています。マニュアルがあるので、開発しやすいのもDBPSを選んだメリットといえるでしょう。大学内部でもウェブに詳しい人は独自でサイトを増やしていますよ」

今後も先端技術を取り入れて新しいものにチャレンジ

CMSを導入するタイミングでリニューアルをしたことは、コンテンツの見直しとデザインの統一をする良い機会となった。リニューアル後は、学生からもお知らせの更新がすごく良くなったと評判が上がっている。バージョンアップ時には、導入当初にはなかったRSS機能をオプションで追加した。

「RSSは必要な要素の1つなので追加購入は必須でした。これまで新聞や受験雑誌がメインだった学生募集ですが、今ではウェブサイトが募集ツールとして欠かせないものになっています。

東京工科大学は、ウェブの流れの先端にいて、常に最新のものに目を向けていくことの重要性を感じています。新しいことにチャレンジし、先端技術を取り入れるのは本学の目標ですから」

東京工科大学は、今後、Web 2.0も視野に入れ、新たなウェブサイトの展開を取り入れていく予定だ。その第一歩としてCMSの導入は、ウェブ環境の改善に大きく役立ったようだ。

解決したかった問題点
  • 更新頻度を多くしたい
  • デザインの統一を図りたい
  • スキルに関係なくだれでも更新できるようにしたい
  • 複数のサーバーが乱立してしまった状態をわかりやすく整理したい
利用CMS情報

ウェブサイト管理専用に国内自社開発されたCMS。企業・自治体・学校の各ジャンルで、すでに多数の導入実績があり、各ユーザーの意見をフィードバックさせながら常に進化し続けている。製品の特徴として、更新担当者にとってわかりやすい管理画面を有しており、テンプレートを使うことでサイトのクオリティを保ったまま簡単に更新作業を行うことができる点や、テンプレートの作りやすさなどが挙げられる。またサイト全体をCMSで管理することにより、ページをただ簡単に作れるだけでなく、ナビゲーションリンクや各ページ間の相互リンクがページの更新に合わせて自動生成・削除されるため、ページ閲覧者にとって見やすく・わかりやすいウェブサイトを簡単に管理できる。これによりJIS X8341-3対応への貢献も大きく果たしている。

製品名DBPS
提供事業者パナソニック ネットワークサービシズ株式会社
URLhttp://dbps.pdn.co.jp/
提供形態インストール型
出力形態静的HTML出力
対応OSWindows/Linux
特 徴国内で自社開発されたウェブサイト管理ツール。
CMS選定のポイント
  • 国内純正のものである
  • 大手メーカーの製品である
  • コンテンツの製作の相談に乗ってくれる
  • Unix/Linuxで動作する
  • DBやHTTPのサーバーにオープンソースのものを利用できる
  • 機能が豊富でコストが抑えられる
  • 複数のユーザー管理に対応している

※この記事は、『Web Master 完全ガイド Vol.2』 掲載の記事です。

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時(2006年1月)のものです。

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この記事の筆者

加藤さこ

フリーライター

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