もしも、「DODA」を解析するなら (前半)[第29回]

今回は求人・転職情報サイトの「DODA」。まずは、無料会員情報の登録と年収査定をやってみた。
よろしければこちらもご覧ください

誰もが知っている有名サイトをエキスパートレビューしながら、「もし、アクセス解析するなら」どのポイントに着目するかを第三者的な視点から解説。アクセス解析を用いてサイトの改善を行うための仮説構築力を身につけて、自社サイト、クライアントサイトをアクセス解析する際に役立ててほしい。

木曜9時は「かってに解析!」ということで、毎週連載「有名サイト、かってに解析!」では、有名サイトを取り上げ、アクセス解析で実際に解析データを見る前に、あらかじめサイトの問題点やチェックポイントにあたりをつける方法を解説していく。

今回は求人・転職情報サイトの「DODA」を取り上げ、課題の抽出や考察を行う。しかしながら、筆者は求人・転職業界の企業やサイトが直面している課題や戦略・戦術を十分に理解しているわけではない。あくまでもどのような点に着目したらよいのかを重視して読んでいってほしい。

「DODA」のファーストインプレッション

DODA」のトップページは、下の図1を見ていただくとわかるとおり、上部右側に、「転職支援サービスに登録」と「求人情報サービスに登録」という、2つの登録ボタンが目立つように配置されている。

図1:「DODA」のトップページ

今回ははじめに固定のシナリオを設定しないで、成り行きでサイトを巡ってみよう。この手のサービス系のサイトは、とにかくまずは無料登録をしないと、サイトの機能が十分に使えないことが多いような気がするのだが、まずはその直下の「はじめての方へ」を見てみることにする(図1の赤枠で囲んだ部分)。クリックしてジャンプした先のページが、次の「はじめての方へ」ページだ(下の図2)。

図2:「DODA」の「はじめての方へ」のページ

「求人情報サービス」(図2の赤枠で囲んだ部分)と「転職支援サービス」(図2の青枠で囲んだ部分)の2種類の登録の違いなどについてしっかり記述がされている。とにかく、このサイトで何らかの情報を得ようとするのであれば、最低でもこの「DODA求人情報サービス」に無料会員登録しておく必要があるということが理解できた。ページ内では、「無料会員登録」と「無料転職支援サービス登録」という名称があり、若干紛らわしい部分もあるが、オレンジ色と水色で色分けが明確にされているので、それほど気にならなかった。

  • 無料会員登録してみる
  • 年収査定を行う
  • 気になる年収査定は?

無料会員登録を行う

そこでまず、「DODA求人情報サービス」に無料会員登録を行ってみる。図2の[無料会員登録]ボタンをクリックして表示されるのが、「会員登録」ページだ(下の図3)。

図3:「DODA」の「会員登録」ページ

姓名、生年月日、性別、メールアドレス(これが会員IDになる)、パスワードなどを入力するだけのシンプルな入力フォームだ。とりあえず、その他サービスのお申し込みはすべてチェックを外して、もっとも簡易な形式で登録してみることにする。ページ下部の[会員登録をする]をクリックすると、確認ページが表示される(図4)。

図4:「DODA」の「会員登録内容の確認」ページ

この図4が会員登録内容の確認ページで、修正もしやすそうだ。[この内容で登録する]ボタンをクリックして、登録完了だ。簡単に登録までの流れが終了できた。下の図5が会員登録完了ページだが、簡単な登録をさせた後に、引き続き次のステップのサービスへ誘導するための登録を試みさせるというのは上手な方法だ。さすが競争の激しい業界で、まずは敷居を低くして登録をさせるというところからスタートさせるということなのだろう。

図5:「DODA」の「会員登録完了」ページ

追加の登録は敷居がまだ高いので、「年収査定サービス」というサービスだけやってみてから、「マイページ」に移動することにしよう。[年収を査定する]ボタンをクリックして次に進む(図5の赤枠で囲んだ部分)。

  • 年収査定を試してみる
  • 保有資格を登録する

年収査定を試してみる

前ページの図5の赤枠で囲んだ部分をクリックして「年収査定」のページに行く(下の図6)。

図6:「DODA」の「年収査定」ページ

「年収査定」ページでは、連絡先、学歴・語学力・資格、直近の職務経歴、転職の希望条件などを入力する必要があるのだが、連絡先が必要なのが理解できない。また携帯電話が必須であるのは最近の若い人の傾向から考えるとうなずけるが、記入しなくてもいいなら、必須入力にするのはおかしいのではないだろうか。

あと、[途中保存]というボタン(図6の赤枠で囲んだ部分)があり、こういうのは今まで見た経験がない。確かにこのくらいたくさんの入力項目がある場合に一気に入力できないことはありそうだから、この機能は有効かもしれない。実際、私の場合は入力途中で電話がかかってきたのだが、急なことだったので[途中保存]ボタンをクリックするところまで気が回らなかった。結局、セッション切れを起こしてしまい、それまでに入力した内容はすべて消えてしまった。

また、最終学歴の入力部分で「大学」を選択したところ、一瞬の間をおいて、学校名や卒業年月を選択する部分が追加で表示されて驚いた(下の図7)。

図7:「DODA」の「年収査定」ページで大学名と卒業年月を選択させる部分

図7の赤枠で囲んだ部分で「選択する」をクリックすると、下の図8のような画面がポップアップする。

図8:「DODA」の「学校情報の登録」ページ

まず1の入力部分(図8の赤枠で囲んだ部分)に学校名を入力して、[検索]ボタンをクリックする。そうすると、図9のように、候補が1つだけ、2の部分(図9の赤枠で囲んだ部分)に表示されることがある。

図9:学校情報の登録ページの一部

しかしこの場合に、表示された1つをクリックして選択しないと、その下の3のボックスに××学部といった候補が出てこない。学校名が表示された後、どうしたらよいのか、しばらくわからなかった。

私の場合は、所属していた学科がすでになくなっており、その場合は5の入力部分(図8の青枠で囲んだ部分)に直接入力できるのはよかった。しかしこの場合も、いったん[登録]ボタンを押して決定してしまうと、修正できないため、修正するときは削除するしかない(図10の赤枠で囲んだ部分)のは残念だ。

図10:「DODA」の「年収査定」ページで大学名を選択し終わった部分

保有資格を登録する

続いて、「年収査定」ページの中の「学歴・語学力・資格」の部分に、保有資格を[選択する]ボタンがある(図6の青色で囲んだ部分)。これをクリックすると表示されるのが、「保有資格の登録」ページだ(下の図11)。

図11:「保有資格の登録」ページ

ここには公認会計士から情報システム監査士までありとあらゆる分野の資格が網羅されていて、複数の資格を登録することも可能になっている。国家資格などは転職の際には価値が高いと思うので、この部分がしっかり作り込まれているのは好感が持てる

そういった入力を完了して、[入力内容を確認する]ボタンをクリックすると、確認ページが表示される(下の図12)。

図12:年収査定サービスの入力内容確認ページ

確認して完了をクリックすると、「年収査定サービスの入力完了」ページが表示される(下の図13)。

図13:年収査定サービスの入力完了画面
  • 気になる年収査定の結果は?
  • マイページの使い勝手を見てみる

マイページの使い勝手はどうか?

「年収査定サービスの入力完了」ページから、[マイページへ]をクリックして(前ページの図13の赤枠で囲んだ部分)、「マイページ」(下の図14)へ移動すると、年収査定の結果が確認できた(図14の赤枠で囲んだ部分)し、別途、登録したメールアドレス宛てに、メールの連絡も来ていた。

図14:「DODA」のマイページ

年収査定は、入力項目によって自動的に何らかの計算式で計算をしていると考えられる。年収査定の結果は、下の図15のとおりだった。

図15:「DODA」の「年収査定の結果」ページ

「マイページ」をご覧になるとわかるが、最低限のサービスだけ登録しておくと、まだまだ一杯サービスが受けられるのですよという感じで、[申込]ボタンや、[メール配信の配信設定]ボタンなどが多数置かれているのがわかる。「マイページ」にすべての情報が集約されている感じで、もっと使ってみようかなという気にさせるよい作りになっているように感じた

次回はいよいよ情報を主体的に収集すべく、求人検索を行っていくことにする。最後に今回の分もまとめてアクセス解析の観点でどのような数字を追っていったらよいかも考察したい。

◇◇◇

さて、この連載では、

  • Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
  • 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論

などを随時募集している。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。

この記事の筆者

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社へ。調査部、インターネット視聴率センター長などを経て、2000年ネットレイティングスへ。視聴率サービスやアクセス解析サービスの立ち上げに尽力。2006年株式会社クロス・フュージョンを設立し代表取締役に。2023年活動停止。

著書など:
Web担当者Forumでの連載:
テーマ別カテゴリ: 
記事種別: