いま再び注目を集めるTwitter - 明日のモバイルほろ酔い語り

今回のテーマは、最近なにかと話題の「Twitter」(ツイッター)。
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ここは、東京下町のとある居酒屋。板だけ載せた酒瓶ケースの上に、ずらりと焼鳥やもつ煮を並べ、路上で立ち飲みが基本の店だ。気さくなおかみさんが、手作りの肴を振る舞ってくれ、深夜までずっと賑わっている。

そんな気取らない店に、IT系勤務のホットなやつらが夜な夜なつどって業界の噂話に花を咲かせ、ときには激高しときには愚痴をこぼし、ときには成功を喜び合う……。店内では、聞き逃せないような最新情報、そしてモバイルの未来に関わるような貴重なアイデアが飛び交っているのだ。

今日も、おもしろそうな会話が耳に飛び込んできたようだ。

文、写真:清水亮(ユビキタスエンターテインメント)

今回のテーマは、最近なにかと話題の「Twitter」(ツイッター)。2006年7月に登場したサービスで、ドッグイヤーのIT業界にあっては、それなりに古くからあるサービスだ。それが今年に入ってから、急激にブレイクし、ここ最近は一般紙などでも特集されるほどの人気振りとなった。今回はTwitterを取り巻く状況について、筆者と友人がさまざまな考察を繰り広げる。

登場人物

さすらいのTwitter野郎。2年前にTwitterを始め、いまは常時3つのアカウントを使い分ける。ヘビーユーザーであり、TwitterクローンやTwitterクライアントのプログラム経験もある。
M子=某ソフトメーカーに勤める20代事務職。iPhoneユーザーだが、使いこなしてるとは言い難い。ちょっとだけ尖ったユーザー。

いま再び注目を集めるTwitter

■いまさらだけど、「Twitter」ってなに?

Web担当者ForumでもTwitterアカウントを開設中

M子「清水さんって、最近、ぜんぜん捕まらないですよね」

「そうかな」

M子「着信拒否してないですか?」

「してないけど、ケータイの着信音は、いつもオフになってるんだ」

M子「え、バイブもなし?」

「うん。僕はなにか考え事をしてるときに邪魔されるのが嫌いなんだよね」

M子「うーん、コミュニケーション力に難ありですねえ」

「余計なお世話だよ。だいたい、大事な用事なら電話じゃなくてメールを書くでしょ。電話だけでお手軽に済まそうってのは、だいたいろくな用事じゃないんだ。飯奢れとか」

M子「うーん、ちょっと図星かも(笑)」

「そらきた。まあ、僕はどうせメッシーですよ」

M子「あ、でも聞きたいこともあったんですよ。『Twitter』(ツイッター)って知ってます?」

「え? 知ってるけど?」

M子「あれってどうやって遊ぶんですか?」

「え? 君、Twitter始めたの?」

M子「うん」

「なんでまた?」

M子「なんか、最近、たまたま会社で拾った雑誌でTwitter特集してて……」

「(週アス落ちてたのか…)へーえ」

M子「それで、登録してみたんですけど、ぜんぜんわからないんですよねー」

「なにが?」

M子「なんか、お勧めユーザー、みたいなのを自分のにそのまま登録したんですけど、知らない人の書き込みがひたすら出てくるだけなんですよー」

「いや、Twitterって、そういうもんだから」

M子「でも、これぜんぜん楽しくないですよ。どうやったら使いこなせるんですか?」

「あー、Twitterはね、基本的に自分の知り合いとやらないとおもしろくないよ

M子「えー、じゃあmixiみたいなものかあ?」

「違うけど、感覚としては近いかな」

M子「ちなみに清水さんは使ってるんですか?」

「使ってるもなにも、もう2年くらいずっと使ってるよ」

M子「ええぇーっ! Twitterってそんなに昔からあるの!?

「そうだよ」

M子「じゃあなんで今頃話題になってるんでしょう?」

「うーん、それはたぶん、去年、アメリカで再ブレイクしたからじゃないかな」

M子「再ブレイク?」

歌手のブリトニー・スピアーズや、オバマ大統領が使い始めて、それで一気に広まった感があるよね」

Twitterを利用している海外セレブのつぶやきを集めた「Celebrifeed」

M子「ええーっ!そんなセレブな人たちが使ってるんですか!」

「うん。もっとも、本人かどうかは良くわからないらしいんだけど」

M子「なあんだ」

「でも、けっこう、それっぽいから注目されてるんだよ。このサイト(Celebrifeed)とかに行くと、Twitterを使っているセレブの発言だけを読むことができるよ」

勝間和代(かつま かずよ)

経済評論家。『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』『お金は銀行に預けるな』『起きていることはすべて正しい』『断る力』など、ベストセラー著作が多数あり、若い世代のビジネスマンを中心に広く人気を博している。Twitterは2009年7月中旬ごろより利用開始。

広瀬香美(ひろせ こうみ)

ミュージシャン。『ロマンスの神様』が1993年に大ブレイク、以降も『ゲレンデがとけるほど恋したい』『ストロボ』『GIFT』などをヒットさせる。広末涼子、上戸彩、はるな愛などに楽曲を提供するなど、シンガーソングライター/プロデューサの立場などでも精力的に活動。勝間和代とは友人関係で、彼女に勧められて同時期よりTwitterを利用開始。

M子「すご…。でも英語…。当たり前かあ」

「当たり前だね」

M子「日本のセレブはやってないんですか?」

「やってるよ。そういうユーザーがたぶん、フォローするのにお勧めだと思うんだけど」

M子「じゃあもう登録してるってことかな?」

「うん。たとえばほら、勝間和代とか」

M子「あー、あの、自転車乗ってる人? 私、あの人、あんまり好きじゃないんです。他には?」

「えー? じゃあ、広瀬香美とか」

M子「誰ですか?」

「……」

■で、Twitterって、おもしろいの?
■筆者の複数アカウント使い分け術とは

■で、Twitterって、おもしろいの?

M子「そもそも、これってなにがおもしろいんですか?」

「うーん、知人の近況を手軽に把握できることかな?」

M子「でも、それってmixiでもいっしょじゃないですか?」

「いや、mixiって、日記でしょ? 一日に何回も書くのは抵抗があるじゃん。それに比べてTwitterは、その瞬間の気持ちや状況を1行でつぶやくから簡単なんだよね」

M子「その瞬間の状況?」

「たとえば、お腹が空いた、とか」

M子「そんなの別に知りたくなくないですか?」

「けど、誰となしに『お腹が空いた〜』って言ってしまうことあるでしょ? けど、周りに人がいなかったら、独り言になってしまって、すごく寂しいじゃん」

M子「うーん、言いませんけど」

「そういうときに、『お腹が空いた〜』ってTwitterにつぶやくと『あ、僕も…』『私も!』みたいに誰かが共感してくれることがあるんだよね。そういうときが、けっこう楽しい」

M子「へぇ、あれかな。宛先のないメールみたいな感じ? ケータイの」

「ああ、そういう感覚は近いと思う」

M子「なるほど、この人たちの書き込みは、誰ともなしに書かれたメールなんだ」

「そうやって、複数のユーザーとやりとりするようになってくると、けっこう、自分の近況や心境を書いていくのも楽しくなってくるんだよね」

M子「ふーん。でもそれってmixiやブログとどう違うの?」

ブログは、やっぱり、ちょっとまとまった文章になるから、身構えるじゃない。書くほうも読むほうも。それに比べて、Twitterはすごく気軽に始められるんだよね。『あー、お腹空いたなぁ』から始めてもいい」

M子「たしかに。日記とか書くのって昔から苦手だったしなあ」

「まずは始めてみるといいよ」

■筆者の複数アカウント使い分け術とは

清水氏ももちろんTwitterアカウントを開設中(@shi3z_japan)

M子「清水さんもTwitterをやってるんですよね。名前を教えてくださいよ」

「実は、アカウントを複数持っているんだよね」

M子「え? どういうこと?」

「僕は、かなり昔から使ってて、使い方も固定されてきていたんだけど、最近、またTwitterが流行しているらしくて、新しい読者が増えて来たんだ。そこで、アカウントを複数にして使い分けてるんだよね」

M子「そこまでするんですか?」

「うん。ちなみに一般用が『@shi3z_japan』、ふだん使ってるのが『@shi3z_now』、海外用が『@shi3z』って感じで3つある」

M子「海外用?」

「iPhoneの仕事や、昔の知人など海外で英語しか読めない友達や、iPhoneのアプリを使ってくれているユーザー向けに海外用アカウントを取ったんだ」

M子「へー。なにが違うの?」

「僕が英語でつぶやきを書いてるだけ」

M子「えー、英語できるんですか?」

「いや、できないけど。まあ、練習かな。これが一番フォロワーが少ない(笑)」

M子「フォロワーって?

「僕のTwitterを登録してる人」

M子「他の2つは?」

「@shi3z_nowはふだん使う用で、これはほんとに『お腹空いた』とかを書いてる。@shi3z_japanはメインで、もう少し役立つ情報とか、絞って書いてる」

M子「なんで日本語が2つもあるんですか?」

「もともと1つだったんだけど、僕の発言って長いし多いから、フォローしてる人が少ないと僕の発言で画面が埋まっちゃうらしいんだよね。それで、鬼のように書く用(@shi3z_now)と、ときどき重要なことだけ書く用(@shi3z_japan)に分けたワケ」

M子「どれが一番、読者が多いんですか?」

「@shi3z_japanかな。一番古いし」

M子「んー、じゃどれにしようかな」

「最初は@shi3z_japanと@shi3z_nowを両方フォローして、『これは多過ぎる』と思ったら@shi3z_nowを外すと良いよ」

M子「@shi3z_nowを登録すると良いことあるんですか?」

「うーん、僕がお腹が空いたタイミングがわかる(笑)」

M子「あ、そこですかさず電話すればいいんだ」

「そうだね、暇そうなときに電話をもらえば、出るだろうね」

■たくさんある「Twitterクライアント」のオススメ
■Twitterの可能性のカギは“検索”

■たくさんある「Twitterクライアント」のオススメ

M子「でも、そんなにたくさんのTwitterアカウントを同時に使うのって、面倒じゃないですか?」

「それがそうでもないんだよね。いま、世の中にはたくさんTwitterクライアントアプリやサービスが溢れてるし」

M子「どういうこと?」

「つまり、Twitterを利用するためのソフトは、Twitter.comだけじゃなくて、他のいろんな会社が作ってるってことだね」

M子「へえ、そんなことできるんですね」

「Twitterはかなり早くからシンプルなAPIを提供していて、これを利用するだけでだいたいなんでもできるんだよね」

M子「たとえば?」

「たとえば、Twitterが登場したばかりのときは、まだ日本のケータイからは使えなかったんだけど、どうしても使いたかったから、自分のケータイからTwitterにアクセスできるサービスを作ったりね。『携帯Twitter』って言って、昔はけっこうユーザーもいたんだけど…」

M子「けど?」

「いまはメンテしてない。iPhoneを使うようになったからね」

M子「iPhoneにもTwitter用アプリがたくさんありますよね。ありすぎてどれを選んだら良いかわからないんですけど」

『NatsuLion for iPhone』の画面イメージ

フリーで人気があるのは『NatsuLion for iPhone』だよね。これでたいていの機能はカバーしてるからこれでいいんじゃない?」

M子「え、じゃあ有料のはなにが違うんですか?」

「実はあんまり違いはないんだ。ただ、細かな使い勝手とか、微妙な点に違いがあるんだけどね」

M子「ふーん、ちなみに他にはどんなのがあるんですか?」

僕が良く使っているのは『Tweetie』。検索とかの機能がシンプルで使いやすいね。位置連動のつぶやきを検索しやすい『Twinkle』も根強い人気があると思う。あとは『Twitterfon』が有名かな」

M子「そんなにあると本当に迷っちゃう」

「いまはなにを使ってTwitterをやっているの?」

M子「これまでのところは、Safariで頑張ってます」

「頑張り過ぎだよ(笑)。iPhoneの場合、Safariで頑張るより専用アプリがあるなら、落としてきて使ったほうが絶対良いよ」

M子「そうなんだあ」

「あと、PCで使うと便利なWebサービスもいくつかあるよ。たとえば『HootSuite』とか」

M子「なんですそれ?」

「HootSuiteは、複数のTwitterアカウントを同時に管理できるWebクライアントで、“OAuth”(オース)を使ってないという点を除けば、なかなか優秀なクライアントだと思うよ」

M子「“OAuth”って?」

「複数のサイトで安全に認証情報を渡す仕組みさ。OAuthに対応してないサイトは、認証の情報、たとえばパスワードなんかを横取りされる危険があるので、なるべく使わないほうが良いと言われてるんだよね」

M子「へーえ」

「他にもSplitweetというのもある。これも見たところOAuthにはまだ対応してなさそうだ」

M子「だめじゃないですか!?」

「まあダメなんだけどね(笑)。ただ、OAuthに対応することの弊害っていうのもあるんだ。最近有名なのは“MobsterWorld事件”だね」

M子「あ! なんか聞いたことあります」

「TwitterのOAuthの仕組みを悪用して『MobsterWorld』というゲームがスパムDMを送りつけ、さらにそれを踏んだユーザーがOAuthで他のユーザーに連鎖的にスパムを送るという現象を起こして、Twitter全体にまたたくまに広がったみたいだよ」

M子「私のところにも来ました!」

「って、喜ぶような話じゃないって。これに関してはまだ対策が講じられていないので、早急な対策が求められているけど、同時に過度に対策するとTwitterの可能性がスポイルされてしまう危険性もあって、そのあたりが非常に難しいんだよね」

■Twitterの可能性のカギは“検索”

■Twitterの可能性のカギは“検索”

M子「ふーん、でも、なんでTwitterがいま流行ってるのか、ここまで話を聞いてもぜんぜんわかんないですねえ」

「それはねえ、やっぱり実際に使ってみないと!」

M子「使ってもイマイチ」

「そう言われるとなあ……ただ、おもしろさがわかるには、運も必要かな。どんな人をフォローして、どんな人からフォローされるかってことが重要かも」

M子「なんか、SNSとかだと、流行り過ぎてて、たまにあんまり話をしたくない昔の知り合いからメールとかもらっちゃうんですよね。それが嫌でいまはSNSとかやってないんですけど」

「そういう話あるよねえ。特に女性は」

M子「Twitterも、そういう意味では絡みづらいかも」

「とはいえ、Twitterをビジネスに活用しようという風潮も増えて来ているんだよ」

M子「たとえば?」

「たとえば、大手PC通販のDELLなんかは、Twitterでキャンペーンを展開して、2年で300万ドル(3億円)の売り上げを達成した、なんてのはけっこう大きなニュースになったね」

M子「へー。でもそれって、大手企業の2年間の売り上げとしては少ないんじゃ…」

「まあそうだけど。でも、ネットマーケティングの世界では、こうした新しいメディアに飛びつく層を早期に取り込めたことは成功だと言えると思うんだよね。他にもユーザーからの意見を直接吸い出したりといったことに使われたりしている」

M子「ユーザーのつぶやきを企業が直接見ることができたら、確かに便利ですね」

「Twitterで今後益々伸びてくるのは検索だと思うんだよね。Twitterの発言を検索したり、見せかたを変えたりすると、非常に大きな情報が得られると思うんだ。そういう意味では、Twitterで話題になっているキーワードだけ抜き出す『Buzztter』(バズッター)なんて言うサービスも生まれているよ」

『Buzztter』の画面イメージ
『TweetMeme』の画面イメージ

M子「流行りのネタを探すのに良さそうですね」

「それと、TwitterでつぶやかれているWebページだけをジャンル別に抜き出すサービス『TweetMeme』(ツィートミーム)なんかもおもしろいね」

M子「これは英語しかないんですねえ」

「はてなブックマークされた記事が自動的に投稿される『TwitterBot』もあるよ」

M子「これはなにげに便利かも。っていうか、RSSリーダーで良くないですか?

「ま、そうなんだけど。RSSリーダーってイマイチ流行ってないじゃない? その理由はいくつかあると思うんだけど、まず、フィードの登録とRSSの消化っていうのが、ちょっとしたストレスになってると思うんだよね」

M子「Safariに未読が溜まると、罪悪感が出ますよね。いまもう気にしてないですけど」

「そういう、『まだ見てないの?』という強迫型メディアから、『暇なら見る?』という適当型メディア時代がシフトしてるのかもしれない、と思うんだよね」

M子「はー、なるほど」

「案外、今後はWebコンテンツは形を喪って、Twitterみたいなマイクロコンテンツの流通が主流になるかもしれないよ」

M子「うーん、よくわかんないけど、まずはTwitterをちゃんと使え、ということですか」

「そういうことにしておこうか。生活のあらゆる情報がTwitterに入力されて、Twitterで生活が完結できる日も遠くないかも」

M子「それはとりあえず、かなりイヤな日なんですけど」

「でも、うちの会社なんかは、自作の社内Twitterを2年前から導入してるんだけど、同僚のつぶやきを見てると、けっこう発見があっておもしろいよ。そういう、グループウェア的な展開とかも今後はどんどんやっていくんじゃないかなあ」

M子「ページビューなんかよりもTwitterでどのくらいフォローされてるかが重要になったりして」

「アメリカの田舎では、ミュージシャンがレコード会社に売り込むときに、Facebookのファン数や、Twitterのフォロワー数を持ってくらしいよ」

M子「結局、情報を流通させるための仕組みってことですもんねえ」

「Twitterが登場してもう2年以上経つけど、いままたブレイクするってことは、そろそろ本物かもしれないなって思うね!」

その十一!  とにかくTwitterを楽しむ方法を見つけてみるべし

この記事の筆者

清水 亮
株式会社ユビキタスエンターテインメント
代表取締役 兼 CEO

電気通信大学在学中に米Microsoft Corp.の次世代ゲーム機向けOSの開発に関わり、1998年末に株式会社ドワンゴ入社。1999年に同社で携帯電話事業を立ち上げる。2002年退社し、米 DWANGO North America Inc.のコンテント開発担当副社長を経て2003年独立。2005年、独立行政法人情報処理推進機構により、天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される。

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