シニア向けのバナー広告ねーって、誰がシニアやねん!!【オカンでもわかるネット広告の歴史】
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
前回リターゲティング広告のしくみを理解し、表示されるバナー広告を楽しく活用していたおかん。そんなある日、表示された健康食品のバナー広告を見てかなりカチンときた! イラスト◎浮蓮 要
登場人物
僕 大学院を卒業後、地元大阪の大手メーカーに就職したが、なぜか配属された広告宣伝部でアドテクに興味を持ってしまい、あっさり東京のインターネット広告会社に転職してしまった。現在入社3年目の27歳。オカンには「虎の子は虎やな」とわけのわからないコメントをもらったが、たぶん応援してくれていると信じて毎日楽しく忙しく働いている。
オカン 純然たる大阪のオカン。自慢(?)のファッションセンスをビジネスにいかそうとネットショップを始めた。
それにこの間話したCookieもだけど、基本的には個人情報を読み取ったり悪用したりっていうことはしないよ。収集して解析したデータは、あくまでもユーザーに有用な広告を届けるためなんだ。
故きを温ねて新しきを知る。ネット広告の歴史
広告主側はメディアごとでのレポート管理や分析が大変だったし、表示やクリックされた分だけお金を払いたいっていうニーズがあり、メディア側は空いた広告枠を収益につなげたいってニーズがあって、「アドネットワーク」が生まれたんだ。
メディア側は売りたい広告枠をアドネットワークに提供する、広告主もアドネットワークに依頼をすれば、自動でメディアに配信できる。今までかかっていた作業を取りまとめてくれるから……
DSPはDemand Side Platformの略で、複数のアドネットワークやWebサイトの中から広告主にとってなるべく安く、そして効果が高くなるであろうユーザーのいる広告枠に広告を配信するためのツール。
SSPはSupply Side Platformの略で、メディア側で広告枠の収益が最大になるようにするためのツール。
この2つが組み合わさって行われるRTB(Real Time Bidding)っていう広告枠の自動取引が今ネット広告の主流になっているよ。
いま主流の「RTB」とは?
するとSSPは「このユーザーのこの広告枠に対して、広告を表示させるために入札しませんか?」というリクエストをDSPに送る(③)。
この時、前回説明したように、実際には細かいユーザー情報が送られるわけじゃなく、Cookieという名札(ID)だけが受け渡されるから(④)、別にオカンの名前や個人情報が送られることはないよ。
DSPはサイトを訪問しているユーザーの過去の履歴とかを分析して、瞬時に適正な価格で入札する。広告主が事前に決めた目安をもとに、DSPが各サービスのロジックで自動で入札額を決めて入札するんだ。広告主Aは105円、B社は110円、C社は115円で入札したとするよ(⑤)。
DSPは入札の結果をSSPに伝えて(⑥)、SSPはその結果を元に落札者(最も高い値段を付けた広告主)を決定し、それをメディアに伝える(⑦)。
※わかりやすくするために、上の図ではSSPに対してDSPが1つ接続された状態になっていますが、SSPは複数のDSPと接続している場合もあります。その場合は、各DSPの中で最も高値を付けた入札者同士で、再度勝者が争われます。2回戦ですというわけです。
C社が最も高い値段で入札しているので、C社の広告がメディアサイトに掲載される(⑧、⑨)。
「アドエクスチェンジ」はRTB取引の立役者
厳密に言うと、RTB取引の中には「アドエクスチェンジ」というものも出てきます。
アドエクスチェンジは複数のアドネットワークとWebサイトを束ねたもので、アドネットワーク間の広告枠の交換ができるようになっています。
このアドエクスチェンジという市場ができたことで、広告をインプレッションごとに取引するRTBの形態が一般的になったのです。
もともと、RTB取引はアドエクスチェンジ内でしかできなかったのですが、DSPがアドエクスチェンジやアドネットワークと接続されることで、すべての広告枠がRTBで取引可能になったのです。
だから、「シニア向け」って出てるのも、進化したテクノロジーによって「オカンにこの情報が役に立つんじゃないか」と思った人がいたから配信された広告なんだよ。
後日……
今回覚えたいアドテク用語
DSP(ディーエスピー)
Demand Side Platformの略で、複数のアドネットワークやWebサイトの中から広告主にとってなるべく安く、そして効果が高くなるであろうユーザーのいる広告枠に広告を配信するためのツール。
SSP(エスエスピー)
Supply Side Platformの略で、メディア側で広告枠の収益が最大になるようにするためのツール。複数のDSPやアドネットワークと接続し、最も単価の高い広告を選んで配信してくれる。
RTB(アールティービー)
Real Time Biddingの略で、広告枠のインプレッションが発生するたびに入札を行い、最も高い金額の入札者の広告を表示する仕組み。入札価格の不要な高騰を防ぐため、実際には「セカンドプライスオークション」という方式が取られ、最高入札額ではなく2位の入札額+1円が落札額になることが多い。
オリジナル記事はこちら:シニア向けのバナー広告ねーって、誰がシニアやねん!!【オカンでもわかるネット広告の歴史】(2017/06/14)
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