Webアナリストを名乗るならこれぐらいやろうよ――その2:どのデータから分析するべきか

耳の痛いことを言えば、ほとんどのマーケターが適切なデータを分析していない。
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この記事は、3回連続の記事の1つです。3回全体は次のとおり:

Webアナリストを名乗るならこれぐらいやろうよ シリーズの記事

さあ、分析に取り組むための第2弾に進む準備はできているだろうか? 念のために言っておくと、今回は3回シリーズのうちの第2回となる。第1回の「Webアナリストを名乗るならこれぐらいやろうよ――その1:何を知るべきかを知る」では、分析作業の方向を決める質問を再検討する方法について、段階を追って説明した。

耳の痛い本当のことを言えば、ほとんどのマーケターが適切なデータを分析していない。「分析」を支援してくれるツールがありすぎて、マーケターの多くは、デュアルモニタを備えたマシンの前に座って、レポートとかエクセルの罫線やピボットテーブルとかを眺めながら「いったいここから何がわかるんだろう」と頭を悩ませている。情報が多すぎて分析が手に負えなくなっているのだ。だから、洞察と行動の地へ戻れるように手を貸したい。

#1 通常と違うことは最優先で調べる

「どこから手をつけたらいいのか?」という質問をよく受ける。答えは簡単、おかしいと思ったデータから始めることだ。驚かされたこと、心配させられたこと、Webサイトのパフォーマンスの動きに変化をもたらしたようなことに、時間の多くを費やすべきだ。

たとえば、先週、SEOmozで週次統計を出したら、次のようなデータが出た。

SEOmozが提供している「Rank Tracker」というサービスの利用トラフィックが急激に落ち込んでいる。なんてこと。これが最優先となったのは言うまでもない。ただちに、このデータを1時間もかけてあれこれ調べたあげく、サイトを更新した際にトラッキングコードを正しく埋め込んでなかったことを突き止めた。はぁ……。では、こうした異常をどう調べればいいのだろうか?

Google Analytics(GA)を利用しているならば、最初に調べるべき所がいくつかはっきりしているが、その1つがAnalyticsインテリジェンスだ。「インテリジェンス」タブの中にあり、自分のデータが「パターンを外れた動き」を示した場合にアラートが発生するように設定できる。つまり、直帰率やPV数など設定したパラメータが、普段の数値よりも下回ったり上回ったりした数値になったら自動的に通知してくれる機能だ。アラートの精度は、スライドバーで変えられる。アラートが発生した場合、メールで知らせてくれる。

そのほかに「過去と比較」機能も、問題をいち早く発見するために大変有効な手段だ。GAでは、設定した2つの期間についてデータの動きを比較し、どんな違いが出ているかを知ることができる。

これは、サイトのどのセクションについても2つの期間で統計データを比較でき、ほかの比較のしかたではおかしなところが見つからないデータセットで異常を知ることのできる優れた方法だ。私はいつもこの機能を使っている。

「過去と比較」機能の例。前週との比較でデータが悪化していることがはっきりと示されている。

サイトのデータで変化が起きた場合、それを突き止める方法は他にもたくさんあるが、ほとんどの場合に手作業でベンチマークテストをしたり、毎日モニタリングしたりといったことが必要になる。みんながみんなGAを利用しているわけじゃないことはわかっているけど、ここに述べた2つの機能は、起きてしまった異常ではなく、今まさに起こりつつある異常を見つけることのできる、すばらしい方法だ。

・会社の現在の目標に合わせて分析する
・すべてのデータが有用とは限らない、引き際を知ろう

#2 会社の現在の目標に合わせて分析する

さて次に目を向けるのは、統計情報のなかでも、会社の目標に直結したり役立ったりするものだ。人によっては、こちらのデータを優先順位のトップに据えることもあるが、私個人の考えとしては、異常のないデータは……問題なしだ。だから、私はまず問題のあるデータを特定し、理解してから、「その他のデータ」に目を向けるべきだと考えている。

「その他のデータ」とは、目標達成へ向かっているかどうかを会社に示してくれるデータのことだ。会社のロードマップを理解し、そこから外れないように導いてくれるデータを見抜いて抜き出せるかどうかは、あなたにかかっている。毎月1~2回、私は「探索」を始めるのだけれど、分析というのはたいていの場合、探してなんとかするべきものではない。では、重要なデータの分析に役立つ機能として、具体的にどんなものがあるのだろう?

アドバンスセグメントは、私が愛用するGAの機能の1つだ。この機能を利用することにより、さまざまな指標やディメンション、ユーザータイプ、変数をすばく相互参照できる。セグメントを保存すれば、複数のプロファイルで利用できる。だから、会社全体で注視し、取り組んでいる重要な指標がある場合、社員が簡単にログインして保存したセグメントで推移をチェックできる。この機能をこれから使うことを考えているなら、アドバンスセグメントについて解説した動画(英語)を見てみるといいだろう。

指標の視覚化は、私に言わせると、見過ごされがちな機能だ。GAには、多くの視覚化オプションが用意されているため、データをいろいろな角度から見ることができる。同じデータセットをさまざまな角度から見ることはきわめて大切だと私は考えている。経験から言って、そうすることで頭が刺激され、いろいろな関係性やトレンドなどを再考せざるを得なくなるからだ。

GAの視覚化オプション。関係性を把握するのに、私は特に棒グラフを愛用している。

最後に、GAの加重並べ替え機能について触れておきたい。この機能は導入されて日が浅いため、おそらく利用していない人も多いことだろう。数か月にわたる要望の声を受けて、GAは選択した指標で並べ替えたリストを表示したうえで、最初に選択した指標を「固定」して2番目のフィルタを適用できる機能を提供するようになった。GAを導入していない場合、Dr. Peteが「加重並べ替え機能を自作する」という記事で、この機能を自作する方法を教えてくれている。これは、影響が最も大きいデータだけを分析したい場合に役に立つ。

GAの加重並べ替え機能。

#3 すべてのデータが有用とは限らない、引き際を知ろう

多くのWebアナリストにとって、これは難しい。数字に没頭し、直感が正しいことを実証しようと何時間も費やしていれば、ランナーズハイならぬ「データヘッドハイ」を味わえるかもしれない。

しかし、重要なのは、引き際をわきまえることだ。そう、その通り……降参しなさい、タオルを投げ入れなさい、分析の白旗を挙げなさいってこと。Webアナリティクスではすべてのデータを完璧に分析できるわけではない。本当に必要な情報がデータとして得られないことは多々ある。数字を変えることはできない。できないことはできない。分析の神様が勝つこともあれば、あなたが勝つこともある。あるがままを受け入れて、あきらめをつけよう。

手元に残るのは何か?

重要なデータだ。GA、Omnitureなどの分析パッケージにおける最大の難点は、供給されるデータが文字通り無限にあるということだ。会社の目標にしたがって分析の優先度を決め、あらゆる機能を自在に活用すれば、山積みになったデータの実体が見えてくる。

ではみなさん、ご唱和ください。「時間をかけていいのは、愛を返してくれるデータだけ」

この記事の筆者

この記事は、Daily SEOmoz Blog に掲載された以下の記事を日本語訳したものです。

原文:「So You Call Yourself an Analyst? Part 2: Analysis Redefined」 by JoannaLord (2010/09/28)

記事セレクション:渡辺隆広株式会社アイレップ
翻訳:株式会社ガリレオ

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