アクセス数が増えた原因や訪問理由を参照元から探る方法――流入分析(2) [アクセス解析tips]

サイトへの訪問理由を知るために参照元をどう活用するかについて説明する。
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流入分析の次の手

前回、流入分析の最初の手順について話した。今回はどのようにブレークダウンしていくか、すなわちサイトへの訪問理由を知るために参照元をどう活用するかについてお話ししよう。

皆さんのサイトはそれぞれ違うので、参照元にも当然それぞれの特徴が出ているはずだが、参照元を分類すれば、だいたい下記のようなカテゴリに分かれることをまずざっくりと把握しておこう。

表1:参照元の主なカテゴリ
カテゴリ代表的なサービス名
検索サイトYahoo! JAPAN、Google、Bing、その他日本のポータル系の検索
ディレクトリサービスYahoo!カテゴリ など
広告媒体各種メディア、タイアップ、キャンペーン など
ニュースサイトYahoo!ニュース、新聞・雑誌・IT系ニュースサイト など
自社の他サイトjpサイト、co.jpサイト、ブランドサイト、関係会社サイト など
WebメールYahoo!メール、Hotmail、Gmail、gooメール など
懸賞・ポイントサイトチャンスイット、ネットマイル など
価格比較サイト価格.com、ECナビ、コネコネット など
口コミサイトベネッセウィメンズパーク、@cosme など
掲示板2ちゃんねる など
動画投稿サイトYouTube など
ブログ、マイクロブログlivedoorブログ、はてなダイアリー、ココログ、アメブロ、Twitter など
SNSmixi、GREE など
知識系サイトWikipedia、オールアバウト など
Q&AサービスOKWave、Yahoo!知恵袋、人力検索はてな など

以上はサイトのカテゴリ別に分類したものだが、自社で管理可能なサイトかどうかによって分類するという方法もある。

キャンペーン(プレゼント)やPRなどは自分から能動的に仕掛けるものなので、管理できるというよりもあらかじめ計測することを前提に考えるべきものである。ただしこちらは参照元情報より精度の高い別の方法でキャンペーン分析などを行うことが望ましいだろう(キャンペーン分析に関しては、別の項目を立てて解説する予定なので、ここでは割愛させていただく)。

ある程度管理可能な参照元は?

「管理可能な参照元」というのは、キャンペーンのように直接的な効果が期待できるわけではないが、きちんとコンテンツやサイトを設計して中期的に流入をコントロールできる参照元サイト群のことを指す。

たとえば、SEOをきちんと行うことで、検索エンジンからの流入を最適化するというのが典型的な例だ。各種Webディレクトリへの登録もしておこう。その他でそれぞれの量的なインパクトは低くても口コミ系サイトやブログ、SNSなどからのリンクがあった場合は、どのページで何が語られているのかを参照元URL別のレポートを確認する。好意的なファンであれば、直接コンタクトしてこのファンの人たちと仲良くすることも一つの手だ。

平時は新しい参照元の発見と、ピーク時の原因究明を

メルマガや能動的なキャンペーン、Yahoo!ニュースに掲載されるなどの突発的事情がない限り、検索エンジンからの流入含め、多くの既存の参照元は劇的な変化は少ない。普段は、新しい参照元がドメイン名レベルで出現してきていないか見ておこう。

また能動的に仕掛けたわけではないのに突発的なアクセスがあった場合には、まず参照元に関するレポートを見ると、その原因を把握できる。新しい参照元から突発的にアクセスを誘導しているかもしれないし、既存の参照元からのアクセスかもしれない。いずれにしても、参照元をURLレベルで特定し、実際どのようなページからのリンクからサイトに誘導してきているのかを確認し、それに応じた対処を考えるとよい。

下図は、平時のアクセスとメルマガによる影響、突発的なアクセスに分類してみた例だ。

図1:要因別の日別ページビュー数の推移

解析ツールで自動的にこのように分類してくれることはないが、考え方として示してみたものだ。この普段の動きとは異なるオレンジ色のような場面に出くわしたら、まずは参照元を調べて流入増の原因を把握することから行おう。たいていは参照元で変化があるはずだ。

・管理不能で暴力的なアクセスを誘導するYahoo!ニュース
・セッション参照元とページ参照元
・まとめ

管理不能で暴力的なアクセスを誘導するYahoo!ニュース

ある程度大きな企業のサイトになれば、突発的なアクセス増は覚悟しておかなければならない。もっとも警戒すべきはYahoo!ニュースだ。Yahoo!ニュース、特にYahoo! JAPANのトップページに表示される「トピックス」で紹介され、関連リンクとして企業サイトが紹介されていると、暴力的なアクセスが来ることがある。

図2はあるサイトの実際のアクセス数データ(3日間)だが、1日目のアクセスレベルと比較すると、2日目と3日目の突出ぶりがわかると思う。増加している部分は、Yahoo!ニュースに掲載されて、headlines.yahoo.co.jpのリンクからサイトに流入してきたものである。

図2:Yahoo!ニュースに掲載されたサイトのアクセスデータ

Yahoo!ニュースに掲載された場合の参照元URLのサブドメインはdailynews.yahoo.co.jpとheadlines.yahoo.co.jpである。この2つのサブドメインから巨大なアクセスがあった場合は、Yahoo!のトップページのトピックスに、自社に関連するニュースが掲載されていたと考えられる。この場合は、実際の参照元のURLまで調べてどのページにどのような関連リンクがあるのか参考にするとよい。サイト内のどのページへリンクが張られており、そのリンク先は適切なコンテンツになっているかを確認しよう。

dailynews.yahoo.co.jpとheadlines.yahoo.co.jpの参照元のページの内容も刻々と変化するので結果論でしかないが、次に同じような話題でアクセスが急増することに備えておこう。またいわれのない誹謗中傷などを掲示板などでされて、そこからリンクを張られてしまった場合も、あらかじめ準備できるものではない。なお2ちゃんねるは、外部へのリンクをいったん別のページを経由して飛ばすために、2ちゃんねるのどのページからリンクを張られたのかは、正確には確認できない。

セッション参照元とページ参照元

参照元情報はそれほど精度が高い指標ではないことは前回述べたとおりだが、それでも利用者の訪問動機を探るには有効だ。

「参照元」という場合、特に断りのない限り、セッション始まりの際の参照元、つまり「セッション参照元」を指すのが一般的だ。

その他の参照元としては、ページ別にその参照元を表したものとして、「ページ参照元」というものがある。これらをつなげることでサイト内のユーザーの遷移図を描くツールもあれば、参照元を紐付けずに単純に時系列に並べて経路分析をするツールもある。このページ参照元に多くカウントされているページは、ナビゲーションなどで次のページへの誘導をしているページが多くなるはずで、その意図どおりになっているか見るとよい。

また、ツールによっては、「ユーザーが最初にサイトに訪れた際の参照元」という指標を提供しているものもあるようだ。これはユーザーがサイトに訪問した最初のきっかけ(何度も訪問している場合は、その初回つまり最初の訪問動機)を示しているということで、非常に重要な価値があると考えている訳だ。特に広告効果測定系のツールでは、最初のきっかけになったリスティング広告の価値もある程度正確に把握しようということで、検索エンジンからのすべてのセッション参照元の履歴を追跡するようなツールもある。すべてのサイトで必須ということではないが、自社サイトで必要だと思われる場合には、対応しているツールの導入を検討してもよいだろう。

まとめ

  • よくある参照元はカテゴリ別に把握しておこう
  • 管理不能で暴力的なアクセスを誘導するYahoo!ニュースに掲載された際は、次に同じような話題でアクセスが急増することに備えておこう
  • 検索エンジンや口コミ系サイトやブログ、SNSはある程度管理可能な参照元
  • 平時は新しい参照元の発見と、ピーク時の原因究明を心がけよう
  • セッション参照元以外の参照元を調べることもツールによっては可能
この記事の筆者

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社へ。調査部、インターネット視聴率センター長などを経て、2000年ネットレイティングスへ。視聴率サービスやアクセス解析サービスの立ち上げに尽力。2006年株式会社クロス・フュージョンを設立し代表取締役に。2023年活動停止。

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