マルチデバイス化によって変わる広告運用とターゲティング――ユニファイドキャンペーンに込めたヤフーのねらい

急速に進むマルチデバイス化に対応するために、広告主はどう準備し、広告システムはどこに向かっていくべきか
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スマートフォンやタブレットなどの新しいデバイスについては広告だけに頼ろうとする広告主様が多くいますが、コンバージョンまで考えると、Webサイトの運営やマーケティング全体で考える必要があります。

広告主によるマルチデバイス対応の手間を減らすとともに、インターネットユーザーの利用実態が変わりつつあることを強く意識してもらうこと。それが、ユニファイドキャンペーンのねらいです。

これは、ヤフー株式会社のスポンサードサーチ責任者である山下孝之介氏が、「マルチデバイス化」というインターネットユーザーの行動変化と「ユニファイドキャンペーン」について説明した言葉だ。

ユニファイドキャンペーンは、スポンサードサーチに関する一連の機能変更を指した名称だ。具体的には、デバイスごとにキャンペーンや広告グループを分けて運用せずに済むというものだ。以前は区別されていたPCとタブレットへの広告配信が統合されているのだ(ユニファイド)。

ユニファイドキャンペーンの一貫として新たに3つの機能変更を実施

ユニファイドキャンペーンの経過
  • 2013/05/15
    ユニファイドキャンペーン提供開始
  • 2013/06/26
    「アプリダウンロード広告」機能追加
  • 2013/07/22
    自動アップグレードの実施と機能改善
  • 2013/10/23
    広告表示オプションの機能改善
    地域入札価格調整率機能の追加
    入札価格調整率計算ツールの提供

マルチデバイス化への対応を強化する」これが、ユニファイドキャンペーンのねらいであり、これまでとこれからのスポンサードサーチが見すえていることだ。

2013年10月23日にスポンサードサーチに関する3つの機能変更が実施されたが、実はこれもユニファイドキャンペーンの一貫だ。5月の提供開始から、段階を踏んで少しずつ機能の変更や強化が行われてきた。

7月以降は、すべてのスポンサードサーチ利用者がユニファイドキャンペーンへと自動的に移行しているので、あえて「ユニファイドキャンペーン」と呼ぶ必要はなくなった。

今回の変更も含めて、今後予定されているスポンサードサーチの機能変更や拡張は、「マルチデバイス化への対応」を見すえた内容となるのは確かだ。

そこで、今回実施された3つの変更点のポイントとともに、あらためてユニファイドキャンペーンについて確認してみたい。

まずは、10月23日に行われた3つの機能変更と追加について、それぞれのポイントを見ていこう。

10月23日に行われたスポンサードサーチ3つの機能変更
  • 広告表示オプションの機能強化
  • 地域の入札価格調整率の対応
  • 説明文33文字の広告の新規入稿停止

広告表示オプションの機能強化

広告表示オプションでは、次の4つの機能強化が行われた。

  • 開始・終了日、曜日時間帯設定

    クイックリンクや電話番号ごとに、「開始日」「終了日」「曜日・時間帯」の設定が可能になった。たとえば、店舗の営業時間内だけ電話番号を表示させたり、時間帯によって表示する商材(「昼間はランチ、夜は宴会コース」など)を切り替えたりできる。

    キャンペーンのほうでも「開始日」「終了日」「曜日・時間帯」を設定している場合は、共通している期間、曜日・時間帯でのみ、広告表示オプションが配信される(設定していても共通していなければ配信されない)。

    店舗の営業時間帯だけ電話番号オプションを表示できる。
    ※画像はサンプルです。実際の表示とは異なる場合があります
  • 関連付けごとの「配信先デバイス」設定

    クイックリンクで、関連付けごとに「配信先デバイス」設定が可能となり、選択肢は「すべて」「PC・タブレット」「スマートフォン」の3つになった。

    ただし、クイックリンクで「優先デバイス」を設定したリンクは、スマートフォンのみに配信され、関連付けの配信先デバイス「PC・タブレット」では配信されなくなるので注意しよう。

  • 広告表示オプション一括編集

    広告表示オプションで、これまでは「1件ずつ作成」「一括作成」はあったものの編集は「1件ずつ編集」だけだったが、一括編集もできるようになった。

  • 統計値のコンバージョン分割

    広告表示オプションの統計情報画面で、「コンバージョン名」「コンバージョン測定の目的」の表示切り替えが追加された。

参考情報

地域の入札価格調整率の対応

これまでの「スマートフォン入札価格調整」「曜日・時間帯入札価格調整」に加えて、地域別での入札価格調整も可能になった。これにより、全国で一律だった入札価格を、潜在顧客がいる可能性や競争率の高さに応じて比重を変えるといった、地域別の戦略を実施できる。

たとえば、沖縄の旅行会社であれば、沖縄以外や特に需要が高いある東京や大阪を強くするといった調整ができる。

地域ターゲティング設定時に入札価格調整ができる。
※画像はサンプルです。実際の表示とは異なる場合があります

また、入札価格を調整した結果いくらになるかを計算するための「計算ツール」機能も追加された。計算ツールでは、選択したキャンペーンに設定している入札価格調整率を組み合わせて指定することで、最終価格を計算できる。

参考情報

説明文33文字の広告の新規入稿停止

これは、説明文33文字の広告が将来廃止になることを踏まえた変更で、今後の説明文は19文字×2行の形でしか入稿できない(既存入稿分の広告配信は継続される)。

合計文字数は38文字とこれまでよりも増えているが、広告が表示される位置(検索結果ページの上部/下部か右側か)によって表示のされ方が変わる。右側の場合は、19文字×2行となるので、文章自体は19文字単位で考えるようにしよう。

また、現在33文字になっている説明文は、将来的には自動的に分割されて19文字×2行の形に統一される予定なので、今から見直して準備しておくと安心だ。

例外として、新規アカウント作成時の「かんたん広告作成」機能のみ、これまでと同じように説明文33文字での広告作成となる。ただし、これも順次19文字×2行へと切り替わる予定だ。

新しくなった「広告新規作成画面」では、説明文の入力欄が2つになった。
※画像はサンプルです。実際の表示とは異なる場合があります
  • 2人に1人(57%)がデバイスをまたいで利用
  • またいで利用しているユーザーの80%が3時間以内に別のデバイスに引き継いでいる
  • コンバージョンの向上は広告だけでなく施策全体で考えることが必要

――マルチデバイス化の実態とユニファイドキャンペーンのねらい

ユニファイドキャンペーンのねらいとマルチデバイス化の実態
スポンサードサーチ責任者インタビュー

ユニファイドキャンペーンによるさまざまな変更は、インターネットユーザー環境のマルチデバイス化が前提となっている。検索エンジンと巨大なメディアサイトを持つYahoo! JAPANは、特にこの変化を強く感じたからこそ、動き出したともいえる。

Yahoo! JAPANでは、どのような意図でユニファイドキャンペーンを進めようとしているのか。ヤフー株式会社のマーケティングソリューションカンパニー 検索連動型広告ユニット サービスマネージャーの山下孝之介氏に、そのねらいと広告主はどうすべきかを伺った。

マルチデバイス化でユーザーの利用実態に大きな変化

―― ユニファイドキャンペーンのねらいや意図について教えてください。

山下 孝之介 氏
ヤフー株式会社
マーケティングソリューションカンパニー
検索連動型広告ユニット
サービスマネージャー

山下氏 ユニファイドキャンペーンの根本には、広告主様の負担を減らしたいという思いがあります。その答えが、配信先となるデバイスや地域などをいちいち考えてなくても、1つのキャンペーンで対応できるようにするというものです。

以前は、Yahoo! JAPANでもデバイスや地域ごとに配信指定することを推奨してきましたが、スマートフォンの急速な普及でその考えを変えざるを得なくなりました。すべてのお客様が自動的に移行することに対してはお叱りもいただきましたが、インターネットユーザーの利用実態が変わりつつあることを広告主様に強く意識していただきたいというYahoo! JAPANの意図があります。

インターネットユーザーの環境がマルチデバイス化へと進んでいることは確かなので、その対応は必須です。Yahoo! JAPANとしては、それを前提に「見込み顧客をすべてのデバイスでとらえる」と考えてユニファイドキャンペーンを推し進めています。

ターゲティングが自由に指定できなくなったというよりは、「インターネットユーザーの状況を踏まえて、広告システム側で適切に対応するように変えた」とご理解いただきたいです。

広告主様も、デバイスをまたがった購買行動を当然の前提として、デバイスの種類を問わずコンバージョンを得られる準備をしておく必要があります

スマートフォンは右肩上がり
プライベートではPCに代わってタブレットが台頭

―― Webの運営でも広告でも「スマートフォン」は重要なキーワードですが、最近の状況はどのようになっていますか。

山下氏 スマートフォンからの利用は相変わらず右肩上がりで、タブレットも同様です。特にタブレットの特徴として、週末に利用される傾向があります。代わりにPCが下がっているので、家庭でのプライベートな用途が多いと考えられます。また、連休中にアクセスが増え、飲食関連の検索も多いことから、旅行先に持っていくデバイスという面もあります。

7月に、スマートフォン、タブレット、PCにテレビまで含めたマルチスクリーンの利用実態調査を行いました。ここでも、複数のデバイスをまたいだ行動が当然になりつつあるという結果が出ていました。

今年はついにNTTドコモさんもiPhoneを扱うことになりましたが、これもスマートフォンの利用者が増えるきっかけになると見ています。

マルチデバイスの利用実態

Yahoo! JAPANが行った調査「日本市場におけるマルチスクリーンの利用実態」では次のような結果が示されており、マルチデバイス化が着実に進みつつあることが読み取れる。

  • 2人に1人(57%)がデバイスをまたいで利用
  • またいで利用しているユーザーの80%が3時間以内に別のデバイスに引き継いでいる
  • ショッピングにおいて、2人に1人(53%)が複数のデバイスを利用して購入
  • 毎日5人に4人(77%)がパソコン、スマートフォン、タブレットのいずれかでYahoo! JAPANを利用
  • 62%がYahoo! JAPANを週1回以上複数のデバイスで利用している
  • デバイスをまたいで継続して行っている行動の65%が検索(Web:81%、ショッピング:53%)

※2013年7月24日~25日に、スマートフォンやタブレットの利用者2067人に対して実施

コンバージョンの向上は広告だけでなく施策全体で考えることが必要

―― マルチデバイス時代に向けて、広告主としてはどのような準備をしておけばよいのでしょうか。

山下氏 PCにおけるSEOやコンバージョンを高めるノウハウというものは、これまで長い時間をかけて議論を重ねてきた結果です。スマートフォンやタブレットといった新しいデバイスでも、同じように時間をかけて議論し、最適な方法を見つける必要があります。

ところが、これらの新しいデバイスについては、広告だけに頼ろうとする広告主様が多くいます。もちろんYahoo! JAPANとしては、それに応えられる広告サービスを提供していきます。しかし、コンバージョンまで考えると、広告だけでなく施策全体で考える必要があります

Yahoo! JAPANが、「Yahoo!タグマネージャー」「Yahoo!アクセス解析」「スマホサイトビルダー」といったサービスを提供しているのは、単に広告だけではなくWebサイトの運営やマーケティング全体で広告主様を支援していくためです。

ユニファイドキャンペーンで追加されたり変更されたりする機能についても、これから少しずつ広告主様にノウハウが蓄積されて、将来の成果につながっていくと考えています。

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この記事の筆者

Web担編集部

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